菊など人の手で作り上げられてきた花卉は 野草とくらべるとひ弱いのはやむを得ません。
それ以外にも栽培種にはさまざま問題があります。
特に菊の場合は 挿し木(挿し芽)で年々株を更新するほうが良いといわれています。
失敗の少ない方法として ダンゴ挿し というものがあります。 この方法は菊以外のバラなどさまざまな花類に共通の方法なので広く利用できます。
<手順>
挿し木用の茎は長めに切り 1時間以上水揚げをしておきます。 挿し木をする直前にカミソリのような鋭い刃を用いて 先端から6−7センチの長さに切ります。
鹿沼土か赤玉土を一握りビニール袋に入れて 粉状になるまでゆっくりとすりつぶすか すり鉢などですりつぶしてから 水を入れ
発根促進剤(下に注釈) を混ぜてダンゴを作るように練ります。
そして 左の図のように切り口のところにマッチの頭のようにくっつけます。 場所は葉の付け根のやや下あたりです。
ビニールポットなどであらかじめ湿らせておいた種まき用の用土に お箸などでなるべく大きな穴を開けておき ダンゴがはがれないように慎重に挿します。
以後は湿り気を保たせながら2−3週間おくと根ずきます。 ビニールポットから花壇などに本植えする際に 当然ながらビニールポットは
取り外してください。
ケアが十分にゆきわたる花壇などの場所なら 地面に直接さしたほうがビニールポットにさすより成功率が上がります。 もともと挿し木は地面に
直接行うのが本来なのです。
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発根促進剤は ルートン又はオキシベロン と言い 園芸店で売られています。 量は
説明書によってください。
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ダンゴを巻く部分は古い歯ブラシなどでこすっておくと良いという意見があります。
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挿し木後一週間ほどはこまめに潅水し その後は控えめに灌水したほうが良いという意見があります。
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ビニールポットに行う場合は なるべく大きなものを使用してください。
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既に花が咲いたものをショップで購入したものは挿し木(さし芽)にはできません。 あくまで花芽のつく前(成長期)に行う必要があります。
しかし・・・。
すでに開花した菊などをさし木に使うのは理論的にはダメなのですが 花および蕾を全部切り取ってしまうと その菊は花芽のつく前と錯覚を起して根を
生ずる場合 つまりさし木が可能な場合もあります。
花屋さんで切り花として売られている美しい菊の切り花を購入して試してみてはいかがでしょうか。 その場合は小さな葉
を幾枚か残して行う必要があります。
ただし 成功率はかなり低い ことを御承知ください。
<発根のメカニズム>
発根はオーキシンという植物の成長を促す作用を持つ植物ホルモンの働きによります。
葉でオーキシンの先駆物質であるプレオーキシンとでもいうべきホルモンが作られ それが成長部でオーキシンというホルモン剤となって 茎を下降し発根するとされます。
このメカニズムを考えると挿し木用の茎の葉の枚数は多い方が良いということになります。
しかし茎の揚水能力も考慮に入れると多過ぎてもいけないことにもなります。
ことに気温が高くなると葉からの水分の蒸発が多くなり 揚水能力が追いつかず 葉や芽が枯れやすくなります。
どの程度葉を残すかについて筆者は自信のあるコメントはできませんが・・・。
挿し木を行う時期の外気温にもよりますが 葉は3−4枚が適切かも知れません。
なお 当然ながら挿し木をおこなう茎に葉が一枚も無いのは良くありません。
挿し木(挿し芽)は理論的には花芽分化が起きる前の9月頃までは可能です。
しかし6−9月など夏場の高温下では茎からの揚水が追い付かず この方法でもうまくゆかない場合があることに
留意してください。
<種まきも簡単ですよ>
菊などを増やす場合 挿し木は非常に有効ですが ”種まき” をして新芽から育てることも簡単にできます。 難しくあり
ませんので種から育てることもご考慮ください。
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