2002ボランティア報告

第1報   2002/8/07


角楢小屋今昔

 朝日連峰へ小国口から入山した人々にはなじみ深い小屋。
何時の頃からこの小屋が此処にあるのか定かではない。小屋は登山者の避難小屋というよりは、この山の麓、五味沢の人々の生活のための小屋掛けであったようだ。
以前は五月中旬になるとこの小屋に泊まり込み、ゼンマイをもっぱら採集して、ゆで揚げ天日乾燥して麓に担ぎおろしていた、ゼンマイ小屋であったわけです。小屋で使用する道具類を保管していた物置もあり屋根は茅葺きでした。
世の中の移り変わりで、ゼンマイを泊まり込みで採集する生活をする人が無くなり、何時の頃からか登山者が避難小屋として、イワナ釣り師達がそのベースとして利用するようになり現在に至っています。
その小屋も老朽化が進み、平成8年(1996)2棟のうち特に倒壊寸前の1棟を改築しました。先人達の苦労して造った小屋の資材は使えるだけ再使用しました。解体してびっくりしたのはブリキ板の下に張ってあった板は全てチエンソーで丸太を挽き割った物でした。労作です。又均一な板厚の見事さ。脱帽です。
解体の時、屋根のとブリキ板もそのまま再利用したのですが、素人が張ったため、ブリキとブリキの咬み合わせ継ぎが出来ず、釘で打ち付けたものですからペンキが少し古くなると雨漏りを起こしました。何度かペンキでしのいでいたのですが、この春にもう一枚トタン板をその上に張ることにして、今回の修繕工事となりました。

集合

 7月20日早朝農家民宿’ふもと’に参加者が集合しました。総勢32名。(後発隊含む)
祝瓶山コースの草刈りをしてくれる鉾田町からの参加者達は、大分早く到着した様子で既に準備完了していた。
簡単にスケジュールの確認とそれぞれのコースへの参加者の確認。そして資材を乗せた軽トラを運転する初男さんに続き皆が分乗した車が走り出す。
今年の梅雨明けは未だはっきりしないが、今日はやけに暑い。小屋の修繕資材の荷揚げが心配になる。この暑さで皆、暑さ負けしないだろうか。
林道終点の駐車場でそれぞれのコース別の食料分け。そして荷造り。
今年初めて参加する人々は要領を得ず右往左往。その人達にベテランの参加者が荷造りその他を手伝い、色々指導してくれるのは有り難い。
いよいよ出発。


小屋修繕

荷揚げ

 小屋修繕はまず資材運搬から。11尺のトタン板18枚。それにタルキ。更に修繕のための脚立や大工道具一式。かなりの荷物だ。
まず、人肩でフラフラ揺れながら第一吊り橋を渡る。取りあえず第一吊り橋を全量渡し、大石小屋の前に取りあえずデポ。
それぞれの人たちがそれらを肩にまずは角楢小屋へ。始めは重さをさほど感じないが、長いトタン板やタルキはバランスがとれず、やがて汗がじっとりと出てくる。今日はやけに蒸し暑い。何度も何度も休みながらも、確実に小屋に向かう。
若い人たちは日頃肩で荷物を運搬することがないので相当につらそう。ブツブツ、ぶつぶつ(脱走しっちゃうか)言いながら。
それでも昼までには全員が取りあえず角楢小屋に到着。
小屋では先行した食事担当の石井さんとお嬢さん2名で’そうめん’を作っていた。小屋の前は暑いので、角楢沢に降りて冷たいそうめん。見な旨い、うまいの連発。心配していた目白アブはどうやら未だ出ていないようだ。ひとまず安心。

午後も荷揚げ

 昼休みもそこそこに「取りあえず資材を担ぎ上げねば」と又大石小屋へ下る。
タルキを担ぐ者。トタン板を担ぐ者。皆担ぎ易いと思う物を肩へ。そして又つらい荷揚げ。皆無言でひたすら上へ上へ。
夕方ようやく小屋へ到着。暑さでもう限界。今日の荷揚げは終了。

 荷揚げが終わらず心配ではあるが明日がんばることにして少し早いが宴の準備にかかる。今朝の様子ではこのまま梅雨が明けると思いきや、雲が大分出てきたので天気が心配になり、宴会場にビニールシートを天幕に張る。これで少々の雨が降っても安心。
たき火。そして焼き肉の準備。ビールを冷やし、酒を用意し、即製のテーブルに肴を並べ「いざ開演」。

雨を心配して天幕を張り準備完了 七輪で串肉を焼き、(肩越しにも…待てない!)

ビールで乾杯。そして延々と続く宴会。ちょろちょろ燃えるたき火の元、夕闇が迫る頃には大分酔いも回る。昨夜徹夜で運転してきたせいもあり、酔いも早く、人によっては食事を始める者も。食事は午後から煮込んだ特製カレー。
20時を過ぎる頃はほとんどの者が小屋の中やテントへ入り寝息が聞こえる。私は全員が休むのを確認して小屋の中へ。今日はとにかく疲れた。


又荷揚げ

予定では今日は屋根張り工事をするつもりであったが、まだ荷揚げが終わらず、今日も荷揚げに大石小屋へ下る。今日は昨夜到着した新手も加わり、意気が上がる。それでも荷物を肩にすれば昨日と同じようにつらいに揚げ。更に今日はあいにくの雨。
そこへ茨城県から来たツアー登山の大勢が到着。祝瓶山コースとブナの森散策に分かれ、地元五味沢のマタギのガイドで賑やかに出会う。ブナの森ガイドは金良マタギ。挨拶もそこそこに又荷揚げ。
午前中、二度荷揚げのために大石小屋まで下る。 

いよいよ修繕工事

 二日目の午後になりようやく修繕工事に着手。
まずタルキを既設の屋根に釘で打ち付ける。前回の改築の際、出来るだけ今までの資材を再使用したので、下地の木材が結構腐食しているだろうと4寸釘で打ち付けた。松丸太の真に当たると堅く、なかなか釘が入らない。大玄翁で腕の痛くなるほど打ち込む。
一尺五寸間隔にタルキを渡す。
その上にとタン板を釘打ちするのだがこれが意外に難しい。何枚も打っている内にだんだん歪んでいってします。南面から。始めに下地にマーキングすればいいのだが、おっくうがってそれをしないで始めた。案の定上と下で歪みが生じてしまう。(反省)
両面の屋根にタルキを打ち、南面のトタンを張り終えこの日の作業を終了する。雨は降ったり止んだり。
雨漏りが心配だが、時間切れ。
 

忙中閑有り

 午後になり、荷揚げも一段落。
若者達は屋根張りには参加せず、角楢小屋の奥へのささやかな探訪。
ブナの森を抜け、大玉沢出会いの滝見見物。あれ程疲れていた者達が、気分が変わればこの元気。そこは若者。はい〜ポーズ。

二晩目の宴

 昨夜に続き今夜も宴会。宴会が始まる頃に雨が止み、片割れ月が出る。雲の割れ目から星も出る。
宴会は昨夜と異なり皆元気。賑やかに今夜は延々と続く。22時を過ぎても誰も未だ床につく者が居ない。今夜の肴は天ぷら。ゆきこさんがせっせと揚げてくれる。揚げたての天ぷらは次から次へ皆の胃袋へ。旨い、旨いの連発。
ビール、酒、そして焼酎。飲んでいるのに酔いが遅い。汗を出しすぎたので、皆発散してしまうのか?
それでも23時が近づく頃にはいそいそと寝床へ皆移動。昨夜と異なり今日は皆元気だ。
私は雲の切れ間から見える夏の空を鑑賞。白鳥座、こと座、ワシ座の夏の第三角形。それ北の方角にカシオペヤ。ゆきこさんがどうしてもWに見えないと言う。私には見えるのに。そこでよく見ると薄い雲が流れ、Vの3つの星は明るいので見えるが、左のVは少し暗いので見えにくいことに気が付く。
よく見ていると薄い雲が流れ、現れては消える星空もおもしろいことに気が付き、しばし見とれる。
そうして2晩目の眠りにつく。疲れのせいか小屋の中では軽い寝息を付いている者が一人ではなかった。今夜も心地よい眠りにつく。

屋根葺き

 三日目。朝からトタン張り。
昨日は歪んでしまったので、北面はトタン一枚一枚の横幅をタルキにマーキングしてから始まる。今度はうまくいった。ずれずにきっちり繋がる。気持ちいい。
そうこうしているうちに今日で帰る人達の荷造りが始まる。やがて草刈りに参加していて今日帰る人達も蛇引きの清水から下山してきた。
上はずっと雨が降っていた様子。テントも寝袋もドロドロだという。初めての山で雨のキャンプは大変であったことは想像がつく。ご苦労様。
下山する人達が帰る頃に草刈りサポーターが下山してきた。早速高田さんに手伝ってもらい、屋根張りの最後の仕上げに入る。棟の部分に銅板のグシ付け。
あらかじめ折り返しを下でして置いたのだが、いざ棟に付けようとすると寸法が少し合わない。素人故の誤差。それを何とか二人でごまかしながら、無事にグシも付いた。完了である。
草刈りの本隊も下山して、夕方角楢小屋を後にする。最後まで残ったのは神奈川県から参加のkさん、飯豊町からのUさん、宇都宮からのOさんご夫婦、それに私と高田さん。
夜は農家民宿 ふもと にて初男さんを交えて大宴会。
本当にご苦労さまでした。今回初めて此処角楢のブナの森に入った人も、雨にたたられさんざんであったけれども、後日思い出していただけば「楽しいことだけが思い出される」良い夏の一日であったのではないでしょうか。
山慣れした人でも雨のキャンプは辛いもの。まして初めてのキャンプが雨で、もう二度と行かないと言わずに秋のキノコの頃に又是非お出で下さい。
今度はきっと良い山になるはず請負です。今日の天気も曇り空。時々雨粒が。
トタン板を張る。これが意外と難しい。きっちり測りだしているはずなのに。だんだん歪んでいく。そこで工夫。一枚一枚の幅をタルキの上に決めておき、そして釘付け。こうすることにより歪みが小さくて済んだ。
上の蛇引きの清水に上がり草刈りをしていたメンバーが小屋に下山。ここで今日帰る人たちが同行して下山していく。本当に今回はお世話になった人達。
荷揚げというのはなんと言っても人数が者を言う。大勢が参加してくれたお陰で所期の目的が達成できそう。本当にありがとう。
下山する人達に別れを告げ、又屋根葺き。

高田さんとの意気も合いトントン…… 銅板のグシも付き、これで雨漏りストップ

そうこうしている内に草刈りの残りの人々が下山してきた。そしてやっと棟の銅板の打ち付けが終わり、今回の作業が終了する。


02大朝日岳コース草刈り報告

参加者からのレポート               大兼ご夫妻

今夜は取りあえずここまで。この続きは又。


昨年の記録2001草刈り報告
今までの参加者の報告などがあります。