2001朝日連峰登山道整備ボランティアH報告

2001.8.18  (2001.7.29)


 今年は梅雨明けも早く暑い夏です。昨年同様、朝日連峰小国口の草刈りを7月20日〜23日に楽しく実施しました。
沢山の参加者のお陰で、予定以上の成果を上げることが出来ました。本当にありがとうございました。
道を守っている初男さんと、蛇引きの清水での飲みながらの2晩の語らい。「づつ」さんの様な若い美人や下山さんのように森林ボランティアのベテランと語れた貴重な時間。以下にその報告をします。


夏の祝瓶山(市毛さんの作品)

2001草刈りボラのあしどり 

7月20日
 小国町五味沢農家民宿 ふもと 集合。
@大朝日コース
 初男さんを CL に総勢12名。他に清野一家4名が同行。
 20日:蛇引きの清水にベースキャンプ設営。(2泊)
  平岩山コースと大玉山コースを草刈り。
A祝瓶山コース
 鉾田町から参加の大原さん他4名が「民宿ふもと」をベースに日帰りで祝瓶登山道の草刈り。
7月22日
 農家民宿 ふもと に下山。夜はマタギの重美さんも参加し大宴会。
7月23日
 朝 ふもと にて自由解散。

☆参加者
 総勢23名。
  内訳
   男性中高年:15名
      若者  :3名
   女性     :5名 


大朝日岳コースの報告

プロローグ
 今年は地元小国町商工会の早坂嬢、飛び入りの平塚市から参加の安坂嬢を加えて総勢12名で出発。
白鷹町からの清野さん一家が「途中行けるところまで同行したい」というので4名を加えてブナの森に入る。
今年は関東地方以南では激暑が続いて、早くも夏バテの感があったが小国も同様に暑い。
それでも森に入ると涼しい風が頬を通り過ぎてゆき気持ちがいい。

角楢小屋
 小屋には2名のお客様が居て丁度出発の準備中。
清野さんの子供達は元気で、親を置いて奥へ奥へと快調な足取り。
重い荷物を担いできた我々は此処で十分な休息。初男さんの足取りが今一か。(飲み会の連続のためか)

由紀子さんが初男さんから草刈りの手ほどき 早速角楢小屋周辺の草刈りをする由紀子さん(様になっている?) プロの初男さん。左の由紀子さんと何処か違いが…


小玉沢
 此処でハプニング。
木原さんがバランスを崩し転倒。河原の石で顔を打ち付け出血する。びっくりしたが直ぐに血が止まり、手当をして一安心。
河原の石は苔が生えていて滑りやすい。此処はいつも注意して渡るのだが、木原さんは睡眠不足も手伝いバランスを崩してしまった。
此処で大休止をとり、元気を付けて出発。

大玉沢の吊り橋
 この橋は1昨年に一本橋を架け替えたもので、昨年の冬の雪の重みでワイヤーが緩んでしまい夏に補修した。今年もワイヤーの具合はどうかとその事が心配であったが、良い案配に緩みは無いようだ。(胸をなで下ろす)

地蜂の逆襲
 大玉沢の吊り橋を渡るとこのコース最大の難所の急登が続く。
地元のピチピチお嬢さん達の足取りが重い。順調だと30分で最初の休み場(黒松の休み場)になかなか到着しない。
私達はしびれを切らして出発する。その後受けた連絡で、彼女たちは休み場の直ぐ下にあった地蜂の巣の辺りで刺されてしまい急遽下山。
登山でのショートパンツは止めよう。今回の彼女たちも長いパンツをはいていれば大丈夫であったことだろう。

蛇引きの清水
 蛇引きの清水には昼頃到着。
早速清水をガブ飲み。冷たくて冷たくて実に美味〜い。
一息ついて冷えたソーメン。これも美味〜い。何も言えない。
今回は4人用テントを3張り。
テント場が荒れていたので、まず整地。そしてベースキャンプを設営。今回はツルハシ持参。
初男さんと春日さん、それに梅津さんが肩掛け式草刈り機を3台尾根上まで担ぎ上げ。

初夜の宴会
 この日の宴会は星空の元。ブナの枯れ枝の大きな物がテント場に落下していてそれを薪にする。
焚き火を囲み、暮れていく西の空が茜色に色づき綺麗。檜岩屋山から袖朝日岳へと続く稜線が美しい。
皆の飲み方は私の予想以上にハイピッチ。焚き火で焼く肉の串焼き。冷たいビール。焼酎。日本酒。
全て美味い。喉を気持ちよく流れていく。
全員元気。飲んで話してそして食べて。小国の肉屋さんで購入した肉が旨い。脂も程よくのって。皆さんの胃袋も元気。
焚き火にうっすらと反射するブナの幹、葉。その先は真の闇。空を見るとそのブナの梢越しに満天の星空。
やがて登りの疲れや昨夜からの睡眠不足も手伝い、皆睡魔におそわれ底なしの眠り。

市毛さん今夜のメインディシュは?(山さん串焼きの串づくり)

アクシデント

 7月21日  早朝、初男さん、山さん、春日さんの3名で草刈りに出発。
山さんは2人より一寸(1分)テント場を出るのが遅れて、2人の後を追った。登山道に出て上を見ても2人の姿が見えない。2人の足の速さに感服。
「今日も暑そう」気持ちを入れ直して登り始めて間もなく。直ぐ右横で落ち葉を踏みしめる足音がする。「な〜んだ、初男さんはそこでキジ撃ちか」そう思いながら地面を見ながら歩いて3歩。突然 ガサ・ガサ・ザザー。藪をかき分けて黒い物体が走る。熊だ〜。その瞬間山さんは大きな声でシャナル。
なんと距離は5メートル。山さんのシャナル声に反応して初男さんが「熊か〜」と左上の方から声をかけてきた。(まだ昨夜の酒が抜けない少し緩んだ声)  初男さんはテン場から巻き道を登っていたのだ。
テントから50メートルほどの距離で熊に出会うことを予測していなかったので、しばらく大声でシャナッタ。
今年の春にはこの直ぐ下で大熊が獲れた。登山道の直ぐ脇で。(熊の写真を覗きたい人はクリック)
気持ちを整理して又登る。程なく初男さんと合流。二人で熊のことを話しながら急登をあえいで登る。朝から玉のような汗。

☆☆☆熊のこと  この辺り一帯は月の輪熊が沢山生息している。毎年春には駆除と称して熊狩りが、伝統の巻き狩りで行われている。
* 小国口の登山道で登山者が熊に遭遇して怪我をしたと言うことを今まで聞いたことがない。今回も熊の方から去って行った。今までに、ごく近い距離で山さんは二度熊に会っているが、いずれの場合も熊の方から去って行った。
大声を出すのが良いとか寝たふりが良いとか言うが、定かではない。山さんは大声派。
シャナル:大声で怒鳴ること。熊狩りで勢子が熊を追い出すとき大声を出し(シャナリ)ながら熊を鉄砲の方へと追い上げる。


草刈り 
 北大玉山で右左2コースに分かれる。初男さんは平岩山コース。山さん、春日さんは大玉山コース。
大玉山コースもさらに2つに分けて、春日さんは大玉山直登コース。山さんは平尾根コース。
天気が良く暑くて暑くて玉のような汗。汗。
春日さんと岩坂さんが昼食の用意をして登ってきた。こういうサポートがあるので本当に助かる。
昼近くなり尾根上を誰か私達の方に向かってくる。登山者にしては荷物が小さい。
やがて近くに来たその人は、新潟大学の若き研究者。歯科医のSさんだ。わざわざこの暑いのに手伝いに来て下さった。ありがとう。

雲上の初男さん
写真をクリックすると大画面
手慣れた春日さん 白倉さん奮闘 木原さんのデジカメで


ランチタイム
 今日はご飯にフリカケそして水をかけて流し込むブッカケご飯
鉾田の大原さん特製の唐辛子味噌をキュウリに付けて食べる。辛くて食欲満点。
京都から参加の木原さん。春日さん、岩坂さん、白倉さん、そして山さんの5人。しばし堪能。
「今頃平岩山の清水では冷たいソーメンを食べているだろう」と思いを巡らす。平岩の清水はその年により状況が異なる。今年の水はどうだろう?
きっと冷たいソーメンに今頃舌鼓を打っていることを想像しながら、こちらは暑さと戦いながらブッカケご飯。
木陰でしばし昼寝。桃源郷の昼寝。そよ風が気持ちいい。

星空研究会
 2晩目の宴会も盛大?(昨夜飲み過ぎてアルコール不足が心配)に挙行。
アルコールが心配になった頃、白倉さんが新潟の銘酒を披露。これには参った。宴会は大変な盛り上がり。しばし銘酒談義。
やがてアルコール類を飲み干し、話が星の話になる。若い岩坂さんが星にとっても詳しいという。
で「これから山頂に行き夜通し星を眺めよう」と酔った勢いで途方もない話がまとまる。 
初男さんは「酔った者が上に登るのは危険だから止めろ」と言うが、勢いを止めることが出来ずに、酔いどれ4名がビニールシートとヘッドランプをつけて出発。

40分ぐらい登り、尾根上でビニールシートを広げ、皆横になる。
岩坂さんの解説で夏の大三角形の確認から。まず天の川。白鳥座のデネブ。こと座のベガ(織女)。わし座のアルタイル(牽牛)。下に下がってさそり座。その右上には蛇座と蛇使い座。
さそり座の心臓(アンタレス)を狙ういて座。ベガの右横には冠座。月がない闇夜。星星が手の届く距離に見える。解説は続く。彼は学生時代から星空宴会を続けていたようだ。実に詳しい。この他にも諸々解説を受けたが………
気が付くと春日さんの大きないびき。昼の草刈りと酒の酔いで泥沼の眠り。
3名もやがてビニールシートの中でいびき。

この夜の星空は雲一つなく、北斗七星も北極星も火星も手を伸ばせば届きそう。生涯忘れぬ夜となるだろう。
翌朝、春日さんは帰りの駄賃にと草刈り機を肩にまさに朝飯前の草刈り。(感服)

キャンプ撤収
 楽しかった今回の草刈りも今日は下山。
今日中に帰るという人達はザックの整理をして早速下山。
今日登ってきてテントその他の荷物を下ろして下さる宇都宮の元気な大兼夫妻到着。
大兼さんとは昨年の山開き(朝日連峰小国口の五味沢地区主催)で初めてお会いする。その後は山でEメールで。
今年の山開きも健脚コースでご一緒。奥さんは軟弱を口にするが決してその様なことはない。健脚コースを十分にこなす。最近は朝日、飯豊にはまっている様子。

テント場の清掃を済ませ、蛇引きの清水を水筒に満たし下山。今日も暑い。途中で草刈り中の初男さん、春日さんとすれ違いひたすら下山。大玉沢で昼食の支度が待っている。
今日の昼は大玉沢で冷たいソーメン
河原に漂着している小枝を集めお湯を沸かす。河原での炊飯は水が豊富で楽しい。美味しいソーメンができあがった頃草刈り本隊が合流。
ソーメンを堪能した後長ーい昼休み。荒川本流で川遊び。汗まみれのシャツ類を脱ぎ捨て体を綺麗さっぱりにする。つめ〜てぇ!!
女性陣も上流の方で同じことをしている様子……。
ひとしきり遊んだ後、再度荷物を整理して下山。これからはブナの大樹の下の涼しい小径歩き。角楢小屋までは40分。

ふもとの大宴会その他
 近じか掲載予定。


参加者「由紀子」さんの思い出

 登山道の草刈?始めは状況も把握しないまま、五味沢へ。

夜出発で車で登山口に到着したので、寝不足気味。
各自荷物を詰めて、登山開始です。
参加したメンバーの方々は日頃から、登山をされている方が多く、皆さんについていくのが大変でした。初日は、3日分の食料を担いでベースキャンプとなる蛇引きの清水へ。50Lのザックいっぱいになるほどの荷物を担いでの山登りは初めての経験です。
しばらく平坦なブナの林を過ぎると、今回一番楽しみにしていたカクナラ小屋とのご対面。赤い屋根のかわいいやつ。早速中を覗いてみると囲炉裏までありました。思っていた以上に素敵な山小屋でした。
 最初は元気に登っていましたが小玉沢あたりにくるともうバテバテです。高田さんに励まされながらゆっくりと蛇引きまで登りました。途中、山のお話やお花のことを伺いながらの山登り。きつかったー。日頃の運動不足が.....。

山さん、初男さんは草刈をしながらの道中も快調な足取り。大玉沢からの急登は思わず立ちすくんでしまいました。途中、地元の女の子二人連れが地蜂に刺されたり、木原さんが転倒して怪我をしたりとハプニングが続きましたが、一番最後に無事ベースキャンプの蛇引きに到着。その後の、ビールとそうめんの美味しかったこと!
一息ついて、キャンプ設営と食事の用意を開始しましたが、みなさんテキパキと手馴れた様子。お水を汲みに行くぐらいしかお役に立てない私。うーん、さすが山男は手馴れたものだと感心してしまいました。初日はなんと串焼きでした。しかも串は山さんの手作り!お箸も枝を削ってくれてお手製のものでした!!(嬉しくてお持ち帰りしちゃいました)お料理は高田シェフの指揮のもと着々と完成してとても美味しかったです。山の上であんなに美味しいものが食べられるなんて。ゆっくりと食事を楽しみながら夜は更けるのであった。

 二日目。草刈本番。朝起きた時にはもう朝食の準備も出来ていました。朝食もそこそこに草刈部隊は元気に草刈にいきました。タフだー。高田さん下山さんと三人で大玉山登山に挑戦です。蛇引きから一気に稜線へ。登山道を見ると初男さんたちが草刈をした後で、とても綺麗になっていました。高山植物は切らないで雑草だけを刈る心配りに感心しました。初めての稜線に感動しながらも、体調がいまいち。とても喉が渇いて仕方がない。汗も馬鹿みたいに噴出してくる。30分ぐらいしか歩いていないのにお水をもう500ml以上飲んでも飲み足りない感じ。次の水場まで水が持つかどうか心配になり途中でリタイヤ。
 皆が戻ってくるまでキャンプ場でお留守番です。水場なので登山客がくるかと思っていたが一人も来なかった。始めは自然を独り占めしている気分でしたが、最後の方では、寂しくなってしまい岩坂さんグループが帰ってきたときはほっとしました。そのあと残りの方々も戻られ夕飯の支度です。
二日目のメニューは天ぷらです。サクサクのかき揚うまかった。
このあと、星空観測隊(山さん、春日さん、岩坂さん、市毛さん)が稜線まで星を見るということでヘッドランプで出かけていきました。その時の皆さん顔はワンパク坊主のように生き生きしてましたよ。ふふふ。

 最終日に荷物を詰めて下山する時は、もう終わっちゃうんだとちょっと名残惜しかったです。初男さんと今日で帰られる岩坂さん、市毛さんは先に出発。皆で見送り。下りは大兼夫妻が荷下げに急遽参加してくれることになり皆で下山です。
行きと違い下りは楽々。途中、また熊が出たようです。慎重に大玉橋まで下山。ここでお昼のそうめん作りの開始。
岩場なのに難なく火熾しして料理を開始する山さんにまたまた感心。皆でお昼を食べて暫く河原で水浴びをしたりしながらゆっくりと下山しました。車の途中、最後の水場で会った、男性の登山者と、重美さんも合流しての民宿ふもとでの反省会?は一升瓶が行き交う中での大盛り上がりでした。本当にあっという間の4日間でした。

 今回参加された皆様、全くお役に立てませんでしたが色々とお世話になりました。高田さんのお料理も美味しかったです。また、参加できますように。(火熾しの技術は少しは身に付いたかも?)
日頃、軟弱(?)オートキャンプぐらいしか経験のない私には、皆さんがどんなに頼もしく思えたことか。本当にありがとうございました。

由紀子さんの勇姿は上の角楢小屋周辺の草刈り姿(初めてとは思えない)
由紀子さんは東京から高速バスと車に乗り継いで徹夜で五味沢へ到着。途中高速道路では運転も!
その上今回の参加に備えて大きな50リットルのザックにいっぱいの荷物を担ぎ上げて下さいました。(脱帽)


参加者の皆さ〜ん「山さん」まで感想や写真をご一報下さい。
山さん」yoshio@mth.biglobe.ne.jp
ふもと」hatuo@ic-net.or.jp


2000ボランティア報告