スターリングエンジンとは

P-V線図について

スターリング･サイクルのP-V線図

Fig.２　スターリングエンジンのｐ−V線図

スターリングエンジンの理論熱効率

スターリングエンジンの場合再生熱交換器がありましたね
これによって低温側と高温側の空気を入れ替えるのですが，
QAB＝QCD
となるようにRGがきちんと冷たい方からの空気を温かくして，また温かい方から空気を冷たくしてくれればRGの熱効率は１００％と言えます．
すると，あとはQ1とQ2の外部からの熱の出入りを考えればよく熱効率は
η＝（Q1-Q2)/Q1
となります．
すなわち、
η＝（T1-T2)/T2
実際には，再生熱交換器の効率は１００％より若干劣る為に，この効率の式 η は，
もう少し複雑になるのですがそれは省きます。
グラフにおいてＰ（圧力）が高い所でこのサイクルを働かせると得られる仕事，つまり，出力は
高い数値が期待できます。ガソリンエンジンの場合には圧縮比が大きくても大体１２ぐらいで
最高爆発圧力は８０気圧ぐらい，しかしスターリングエンジンの場合には作動流体を１５０〜２００
気圧で充填させて作動させる事もできる。

カルノーサイクルのP-V線図
ここで,もう一つのサイクルを参考にあげておきます
Fig.３　 カルノーサイクルのP-V線図

Ａ→Ｂ：等温膨張

高熱源から熱量Q１を受け取る。
Ｂ→Ｃ：断熱膨張

熱の出入りはなく外に仕事をして温度が下が る。
Ｃ→Ｄ：等温圧縮

低熱源に熱量Q2を捨てる。
Ｄ→Ａ：断熱圧縮

熱の出入りはなく外から仕事をされて温度が上がる

所でこのカルノーサイクルとスターリングサイクルは似てませんか
高温側と低温側の２つの熱源があって，可逆サイクルで・・・・・。
ここに一つの定理があって
�　О貭蠅裡欧弔稜�源の間に働く可逆サイクルの効率は等しい
�◆О貭蟆硬戮裡欧弔稜�源の間に働く熱源の中で，可逆機関の効率は最大になります。

つまりは，スターリングエンジンとは可逆サイクルなので理論的な熱効率はカルノーサイクルに近いのです。
スターリングサイクルは，理想のカルノーサイクルを実現させる代替エンジンとして期待されるのです。

カルノー・サイクルは熱機関の理想的なサイクルではあるのですが、そのまま成立させるのは，今日に至っても難しいのです。
このサイクルの生みの親カルノーさんは，産業革命の時代，まだ熱力学も確立しておらず，熱素説などの諸説が入り乱れる中で，熱機関の本質的な
１，高温から低温への熱の移動
２，物体の体積の変化を利用して熱を移動させる。
の２点にたどりついた人です。

オットーサイクルのP-V線図

Fig.１　オットーサイクル

１−２断熱圧縮　　　３−４断熱膨張

オットーサイクルの理論熱効率

Q1＝ガソリンを燃焼させて得られる熱量
Q2＝放出される熱量で排気ガスの熱量

理論熱効率はＱ1、 Ｑ２ から
η＝（Ｑ１−Ｑ２）／Ｑ１
と表わす事ができます。
放出される熱量Ｑ２が無ければ１００％とする事ができるのですが、排気ガスを出さない事は無理です。
ここで，温度Ｔ ，定容比熱をＣvとすれば，Ｑ１=Ｃv(Ｔ3−Ｔ２）， Ｑ２=Ｃv(Ｔ４−Ｔ１）から
η＝１−(T４‐Ｔ１）／（Ｔ３‐Ｔ２）
となります。
以上の事からその機関の熱効率とは供給された熱量から放出される熱量の差の事を仕事に変えられた熱量と言い，その仕事に変えられた熱量と供給された熱量との比を熱効率と言います。
参考までに，図１の Ｐ−Ｖ線図で，ですね，
１→５ の区間を省いてやると２ストロークのエンジンになります。

オットーサイクルをFig.１に示す
オットーサイクルはガソリンエンジンの理論サイクルです.
上記で説明したガソリンエンジンの仕組みで，吸入⇒圧縮⇒点火爆発⇒排気（５⇒１⇒２⇒３⇒４⇒５）の行程を圧力：Pと容積：Vとでグラフ化したものが，
P-V線図に示したものです．