スターリングエンジンとは

デスプレーサ形（γ型）スターリングエンジン

スターリングエンジンの作動原理

1．スターリングエンジンは密閉サイクルです。

-＞ガスの吸排気が無いので、弁を使いません
２．スターリングエンジンは二つのピストンで動作します。

-＞圧力を変えるピストンと、動力を出すピストンを用います．
３．スターリングエンジンは再生熱交換器が必要です．-＞熱交換器が高出力と高効率を生みます．

４．スターリングサイクルは可逆サイクルで，冷凍機になります．

-＞極低温冷凍機で実用化しています．

ディスプレーサピストンの役目

スターリングエンジン解説図【1】

　解説図【１】の説明をします．

　シリンダーの中にゆるいピストンを入れます．
　シリンダーの一方を加熱し，もう一方を冷却します．クランクを回すことで，デスプレーサピストンがシリンダー内の流体を加熱側，冷却側を交互に移動させます．
　ピストンの移動により，シリンダー内の温度が高温になったり，低温になったり，圧力も高くなったり，低くなったりします．

スターリングエンジン解説図【２】

解説図【２】の説明

　クランクを回してデスプレーサピストンを冷却側に来ると，冷却側にあった作動流体はピストンとシリンダーの隙間を通り，高温側へと移動します．
　デスプレーサピストンが低温側に来るとシリンダー内の温度は高温状態になります．
　この時シリンダーの中の圧力も，加熱されることで，高圧状態になります．

スターリングエンジン解説図【３】

　解説図【３】の説明

　デスプレーサピストンが高温側に移動すると，シリンダー内の作動流体は隙間を通り，低温側に移動します．
　冷却側に移動した作動流体の熱が冷たいシリンダーとピストンの壁面に吸収され冷却されます。
　その結果，作動流体温度が低くなり，低圧の状態になります。
　ペットボトルに半分ぐらいのお湯を入れて冷蔵庫で冷やすと，ペットボトルがへこむのと，同じです。
　このようにデスプレーサピストンはシリンダー内を高温･高圧にしたり，低温・低圧にして，シリンダー内に圧力の差を生み出します。
　内燃機関ではガソリンなどを爆発させて作り出すのですが，スターリングエンジンの場合，ディスプレーサピストンがこの役割を果たします。

パワー・ピストンの役目

スターリングエンジン（ガンマ型スターリングエンジン）解説図【４】

　解説図【４】の説明

それでは，シリンダー内に圧力差が生じたので，これを動力として取り出すこと方法を考えてみましょう。
　動力を得るためには，もう一つのピストン(パワーピストン)を取り付けます．
　ピストンが二つ存在することがスターリングエンジンの最大の特徴です．
　前述の作動流体の熱は，シリンダー壁面が熱の放熱・吸収をしましたが，効率を上げるために再生熱交換器（Ｒ．Ｇ）を使用します．これは金網状のものをたくさん詰めたもので，加熱・冷却の手助けをするものでスターリングエンジンの性能を大きく左右するものです．
マスクのように吐く暖かい息を蓄熱し，外の冷たい空気を暖めてくれるのと同様です．
　では，クランクを回してデスプレーサピストンを動かしてみましょう。
今度は，ディスプレイサーピストンによって作り出された圧力が，パワーピストンによって動力に変わるようになりました。
　パワーピストンが受ける力は，デスプレーサピストンの動きよりも９０度遅いときが最も大きくなります．それで図では，シリンダーの向きがはじめから９０度ずれているために、二つのコンロッドがクランクの同じ位置につけられるシンプルな形式です。

　スターリングエンジンのもう一つ大きな特徴として、モーターでエンジンを回転させると，低温側が熱くなり、高温側は冷たくなります
　つまり，外部から回転させると冷凍機に変身する、可逆サイクルなのです。
　このことを利用して熱を加えて動力を取り出すエンジンと，モーターで駆動してクーラーとして使う事のできるすばらしい可逆サイクル，スターリングエンジンおよびスターリングクーラーなのです。

整理事項

デスプレーサピストン（D.P）

シリンダー内のガスを移動して、温度変化によって高圧の状態と低圧の状態を作り出します。

パワーピストン（P.P）

ディスプレイサーピストンによって作り出されたシリンダー内圧力を動力として取り出します。

再生熱交換器（RG）

ディスプレーサピストンによって移動する高温ガスの熱量を蓄熱したり，低温ガスを高温にしたり，熱交換の役目をします．
ここで、最も身近なエンジン内燃機関と比較してみましょう．

内燃機関（ガソリン･エンジン)の作動原理

Fig.1 ガソリンエンジン解説図

�　У杁す堋�−気化したガソリン（混合気）を吸入する行程

�◆О欺鵡堋�−混合気を圧縮します。ガソリンエンジンでは圧縮比は約８〜１１の範囲．

��：点火爆発行程−混合気をプラグ（電極）によって爆発し，動力を作る．

�ぁ�排気行程−燃焼した排気ガスを大気に放出する．