12:04 PM Mar 23rd mobile webから

（「おはなし」を書くの初めてなんですが、興味を持ってもらえましたでしょうか。ネタバレしてたらあしからずです。でも、相当脚色しているのでそこを楽しんで下さい。こういうのがタイムラインにでてきて、邪魔にならないペースってどれくらいなんだろう。）

1:08 PM Mar 23rd mobile webから

捜索活動は続いています。多くの旅人に消えたラクダの行方を尋ねていきました。中には勘違いから、中には皇帝に近づこうという野心から、ラクダを見たという旅人もいましたが、すぐにそれが事実ではないことが分かりました。

11:47 PM Mar 23rd mobile webから

初めはその類の嘘の証言だと軽く考えていました。ところが、兄弟とおぼしき三人の証言は無視できない詳細なものだったため、側近の息子が直接尋問することにしました。

6:19 AM Mar 24th mobile webから

「消えたラクダを見たというのは本当ですか。」一番上の兄が答えます。「はい、お役に立てるという意味から言えば、まさに見ました。」

8:09 AM Mar 24th mobile webから

「疑う訳ではないのですが、今まで多くの旅人が同じ事を言い出しながら、結果として事実と異なることを述べています。真実を試すため、ラクダとその使い手の特長は、伏せています。あなた方が本当に見たのであればその特徴を言って下さい。」

12:26 PM Mar 24th mobile webから

二番目の兄が答えます「そのラクダは右目が見えません。」末の弟も答えます「そのラクダは右の前歯が一本欠けています。」一番上の兄が答えます「粗末な荷袋の右にバターを、左に蜂蜜を積んでいました。」末の弟が最後に答えます「そのラクダには妊婦が乗っていました。」

1:45 PM Mar 24th mobile webから

全て真実です。「どういうことだろうか。良くないことが起こりかねない....」側近の息子は思いました。そして聞きたくはない質問をせざるを得ません。「そのラクダはどこへ向かいましたか」。

6:28 PM Mar 24th mobile webから

一番上の兄が答えます「東です。」

7:50 PM Mar 24th mobile webから

「真実の証言者が現れた。重要な証言であるため、私が自ら探索に向かう。」「東へ。」部下達にそう言って、側近の息子はすぐに東の探索に向かいました。偽りの探索の間に心は決めていました。三人をラクダと妊婦を盗んだ盗賊として訴え、皇帝の名において処刑することを。

11:23 PM Mar 24th mobile webから

三人を拘束していた宿に戻ると、このように言い渡しました。「あなた方に従って東を探索しましたが、ラクダは見つかりません。しかし、よくよく考えると、あなた方は、見た目では分からないようなことまで良くご存じです。」

5:13 AM Mar 25th mobile webから

「まるで、捕らえた獲物を確かめた後のように....。あなた方のような高貴な方に対して残念ですが、罪人として皇帝に訴えざるを得ません。」

6:35 AM Mar 25th mobile webから

三人はすぐに帝都に連行され、牢獄に入れられます。皇帝はあれほど心を配った隊商の安全が脅かされたことにショックを受けますが、三人が、優れた知性をもった身分の高い人物らしいことに関心を覚え、自ら裁判官となることにしました。

3:36 PM Mar 25th mobile webから

裁判において皇帝は言います「私の家臣の推理は誰にも反論できないものと判断します。すぐにラクダと妊婦をお返しなさい。私は寛容を常としたいと思っています。すぐに返せば命は保証します。」

6:11 PM Mar 25th mobile webから

「通商の安全は帝国の繁栄にとって最も大切なことだと考えています。もし返すことができないのであれば、厳罰にて対処します。」

7:21 PM Mar 25th mobile webから

一番上の兄が答えます「今のお言葉の中だけでも、高名な皇帝陛下の徳に触れることができ光栄に存じます。私どもは、帝国のお役にたてればと思い、出しゃばったことを申し上げました。事情の分からないよそ者がこれ以上帝国のお邪魔にならないよう謹んで皇帝陛下の裁決に従います。」

9:01 PM Mar 25th mobile webから

皇帝は、兄弟達の立派な態度に感銘を受けながらも、裁判官としての公正を守るため、厳罰とする判決を下しました。彼らは高貴な生まれであり、しかも大変優れた知性を備えていることが分かります。とうてい罪を犯すような人物ではないことは明らかです。