2.(3)物に感情移入できますか?


送信者: 山田  日付: 2010/02/09 10:57 PM
宛先:  Aさん Bさん Cさん Dさん
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bcc: E先輩 F先輩 G先輩 Qさん
件名:  当事者意識 Season2 episode:2【物に感情移入できますか?】クイズ付き


 補題一への感想で、bccの方から、犬は感情移入の対象になるけれど、うさぎはならないという意見がありました。

 文鳥はなります。ぜったい。

 犬と文鳥には心があって、うさぎにはないのかな????

 こうやって色々な例を比べていくと見えてくるものがあると思います。

 (これが、ディアレクティケーというものです。)

 だからこそ、一言でも良いので返事をください。

 【非表示希望】でも良いので。


 補題二


 物に感情移入できますか?

 物を擬人化して表現することがあります。

 パソコンが調子悪いときに「パソ子さんご機嫌斜め」とか。


 私にとって、物は機能重視で、また、新しもの好きなので、一つの物に愛着を感じることは、あまりありません。

 みなさんはどうでしょう?

 大切な楽器とかは、擬人化しているのでしょうか。

 擬人化して感情移入の対象となる身近なものがある方メール下さい。どんな感じですか?


 私にとって、感情移入の対象となる物はないかなあ..と考えて唯一思いついたのが小学校の校舎でした。


 補題二「物に感情移入できますか?」に対する私の答えは、ほとんどNOです。唯一の例外については次回で。


 当事者意識 season2において、補題は○○に感情移入できますか?という形で進みます。


 クイズを出します。最終定理も同じ形式ですが、その最終定理の○○は何でしょう?

 これから補題が何回か続きますので、分かった段階で解答して下さい。

 それぞれ何回目の補題で正解に達したか競争です。

 正解が他の人に分からないように、cc無しで私だけにメール下さい。


 
補題2についてDさんから返事が来ました。



送信者: Dさん  日付: 2010/02/12 07:08 PM
宛先:  山田 
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件名:  Re: 当事者意識 Season2 episode:2【物に感情移入できますか?】クイズ付き


 山田さん

 気に入って使っている物には感情移入できると思います。

 私の場合は、気に入ったものを使えなくなるまで使い続けることが多く、あまり飽きることがないので愛着をもって使用しているものが多いです。


 具体例をあげると、趣味でスノーボードをやるのですが、すべる前には板に「今日もよろしく」と心の中で声を掛けてから滑り始めたり、傷をつけてしまった時は謝っている自分がいます。

 また、シーズンが終われば感謝の気持ちを込めて板のメンテナンスをしています。

 Dより



送信者: 山田  日付: 2010/02/13 01:27 PM
宛先:  Dさん
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件名:  Re: 当事者意識 Season2 episode:2【物に感情移入できますか?】クイズ付き


 Dさん


 さすがですね。

 共感力の優れた人はこうなんですね。

 私は、物の扱いが荒く、いつも妻に怒られています。

 また、熱しやすく、冷めやすいので、物に愛着が湧きません。

 (但し、熱したときは超高熱になります。炉心融解レベル。)


 スノボー、凄いですね。私はスキーも滑れないので、尊敬します。

 「板」って言い方がかっこいい。

 傷を付けると謝るのですね。さすがです。

 私は、メンテナンスとか苦手なんですよね。



 優しさは、人間として素晴らしい気質です。

 でも、世の中は、この美徳を、そのままでは認めてくれません。

 特に会社は、色々な思惑が渦巻いていますので、裸のままの優しさは、他人に利用されるだけです。

 社会人として立派になることと、優しさを持ち続けることは、一見、矛盾することのように思えます。


 若い頃、とても良い人だったのに、すっかり変わってしまった人がたくさんいます。

 美徳は、いつしか捻じ曲がり、ひねくれていきます。

 組織や現実社会のプレッシャーはそれほど厳しいということです。

 自分を守るためには、しかたがないことだと思います。


 そんな中でも、若い頃の美徳を持ち続けている人もいます。

 (同期で○○支店長のVさんはとてもまっすぐな人で、今でも変わりません。××部のW次長もそうかな。)


 美徳を持ち続けるには、次の二つのどちらかしかありません。

 1.能力がずば抜けている(同期の中とか、会社の中のレベルではなく、外の世界で通じるレベル)。

 2.強い心を持っている(これから持つ、でもいいですよ)。


 1を持っている人は、言うことありません。

 そうでないなら、ぜひ2を身に付けてください。

 打たれ強いのも重要ですが、それだけでなく、頑張り続けられる強さを持ってください。


 頑張り続けられるのも才能の一つですが、努力で勝ち取れる才能でもあります。

 たぶん、あなたは、「仕事で頑張る」ということがどういうことか分っていないんだと思います。

 
 こんな説明かっこ悪いのですが、遠距離通勤のあなたを先に帰し、遅くまで仕事をして、帰る間際の社外メールのccに必ずあなたを入れていたのは、頑張るというのはこういうことだよ、というのを見て欲しかったからです。

 夜遅くまで仕事をすることが頑張ることではないと思いますが、私には他に頑張りを示すことができなかったので、そうしました。

 自分なりの頑張る姿を見つけてくれれば良いと思います。


 
次はCさんからの返事です。


送信者: Cさん  日付: 2010/02/15 08:20 AM
宛先:  山田 
cc:  
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件名:  Re: 当事者意識 Season2 episode:2【物に感情移入できますか?】クイズ付き

 山田さん


 物にも感情移入することはできると思います。

 ご存知のように、私は楽器を吹いていますが、名前を付けています。

 年齢設定もあります。息子のように呼んでかわいがっています。(ジロー[仮名]、17歳<実年齢です>)

 15キロ以上ある重い楽器なので、今は自分では運べませんが、人に持ってもらうときの行く末はとても気になります。

 また、壁や駅の改札等にぶつけてしまったら、ごめん、と謝ります。

 今の楽器とは大学2年からの付き合いですので、4年目になります。

 さすがに、そこまでくると愛着もかなり湧きます。

 逆に重くて、迷惑掛けやがって、と思いますが・・・・


 私の楽器の名前は、楽団内でも浸透しているので、皆からも呼んでもらっています。

 楽器を吹いている人にとっては、楽器はパートナーそのものですし、自分よりも大切に扱ったりしているものです。

 楽器には自分の息を通して命を吹き込む、というか、楽器それ自体が身体の一部であって、自分の身体と一体として鳴らすものです。


 上記のとおり、物でも感情移入の対象となると思います。

 よろしくお願いいたします。

 Cより



送信者: 山田  日付: 2010/02/15 12:48 PM
宛先:  Cさん
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bcc: E先輩 F先輩 G先輩 Qさん
件名:  Re: 当事者意識 Season2 episode:2【物に感情移入できますか?】クイズ付き


 Cさん

 
 Dさんもそうでしたが、感情移入する能力の高い人は、こうなんですね。

 ジローの行く末を気遣うなんて、本当にお母さんみたいですね。


 普段使っているもの、長くつきあっているものとジローの違いをぜひ教えてください。

 つきあっている時間は相当長いはずのパソ子には感情移入しないのですか?

 Dさんのスノーボードと少し違うのは、ジローが楽団内に認知されていることでしょうか。

 ジローにはCさんの思い入れと思い出が詰まっているだけでなく、楽団内で認知された「人格」があるということですね。

 楽団員のみんなにとっても、Cさん・ジローペアを通じて自分達の楽器への思いをあらためて確認することができるのだと思います。


 Cさんのジローであり、みんなのジローですね。



 
上の私の返事は、平静を装って書いていますが、Cさんの文章を読んで彼女の能力についてあらためて感心していました。

みんなのジローという観点(関係の客観性)は、次の補題三で取り上げるテーマです。

Season1でもありましたが、Cさんは議論を先回りしています。

Cさん自身は全く意識していませんし、上の文章は、補題二をまじめに考えて出てきただけであり、他意があるものではありません。

「偶然」と言ってしまえばそれで収まる程度の内容ですが、彼女の場合、ただの「偶然」ではないと思います。

やはり人間の感情移入する能力、共感力がいかに凄いものかの実例だと考えるべきだと思います。


次はAさんの返事です。

私の問題意識(この言葉も重要ですね)の琴線に触れる内容だったので、長い返事を書くことになりました。



送信者: Aさん  日付: 2010/02/15 01:48 PM
宛先:  山田 
cc:  
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件名:  Re: 当事者意識 Season2 episode:2【物に感情移入できますか?】クイズ付き

 補題二について

 物に感情移入することはできると思います。

 しかし、物は動物等と違い、リアクションがないので、本当に感情移入できているか検証することは不可能です。

 よって、様々な観点から考えるしかないのかな、と思います。


 1.自分の経験から言うと・・・

 幼い頃遊んでいたぬいぐるみなど、擬人化した対象は、何かの拍子に床に落としてしまった時等、さぞかし痛かったろうに、と思わず考えてしまいます。

 また、長い間使っている財布に傷ができると、擦りむき傷を連想してしまいます。


 2.リアクションがある物について・・・

 冒頭に、物は動物等と違い、リアクションがないので、と書きましたが、パソコンとかの頭のいい物ならリアクションがあるとも言える気がします。

 山田さんのおっしゃる通り、新しいパソコンであれば、そうでもないと思うのですが、私が扱っているパソコンはかなり付き合いが長いので、リアクションがあるように見えてきます。

 ズズズ、と一生懸命処理作業をしているパソコンに対して、無理やり次の作業を命令し、バグってしまった時は、パソコンがテンパっている、又はストライキを起こしているような印象を受けます。

 3.まわりの人をみてみると・・・

 まず、私が思うに、学生時代から入社して現在に至るまで、私の周囲で人に対する気配りが上手だったり、仕事ができると言われていたりする人々は、概して物に対する態度が丁寧であり、物を大切に扱っている人が多い印象を持っています。

 例えば言動も荒々しく、ドサドサと走り回るような人が、書類を扱う手つきは案外ゆっくりと的確だったり。

 そういう人々の動作を見ていると、あたかも物に対して愛情や労りの気持ちを持っているように感じられます。

 以上から、物に感情移入することは、ある程度できると思います。

 以上よろしくお願いします。



送信者: 山田  日付: 2010/02/16 12:42 PM
宛先:  Aさん
cc:  Bさん Cさん Dさん 
bcc: E先輩 F先輩 G先輩 Qさん
件名:  Re: 当事者意識 Season2 episode:2【物に感情移入できますか?】クイズ付き


 Aさんのメールを転送します。

 返事はその下です。返事は長いので、お暇なときにどうぞ。

 [Aさんのメールは上の通り 省略]


 Aさんへのお返事 


 いろいろな視点で考えることはとっても良いことですね。

 1.自分の経験

 なんか、痛い話ばかりですね。

 娘のお人形さん(メルちゃんとシーちゃん)は、娘と一緒に、お風呂に入っているとき、とても気持ちよさそうですよ。

 せっかく、自由な発想OKの場なんですから明るくいきましょう。


 2.リアクションのあるもの

 パソコンの形容詞は「頭のいい」なんですね。

 新鮮です。

 頭は悪そうですが、リアクションのあるものを思い浮かべました。

 テニスの壁打ちってありますよね。男の子の場合は壁に向かって投げる一人キャッチボールの方がリアルですが。

 どちらにしても、なかなかちゃんと思い通りにボールが帰ってこないときがあります。

 心の乱れが帰ってくるボールの方向に反映しています。

 平らな壁は自分の精神の鏡ですよね。

 パソコンもいっしょです。テンパっているのは自分だったりしませんか?


 3.まわり

 そうじゃないかと思っていましたが、やはり物に労りの気持ちを持てない私は、気配りもできず、仕事もできないダメ人間でした。


 検証不可能等ということが書かれています。

 私の琴線に思いっきり触れていますよ。

 さあ、暴走が始まります。

 誰もついて来れないと思いますので適当なところで読むのを止めて下さい。


 物事を徹底的に考えるというのは、いつか経験しなければならないことです。

 忙しいのでしょっちゅうできることではありませんが。


 検証って何でしょう。

 科学的に検証されるというのは、ある理論が実験結果や観察結果と整合性が高いということです。

 相対性理論や量子力学で簡単に説明できることを、古典力学、ニュートン力学の枠組みで記述することは、できます。

 但し、膨大な例外規定や場合分けが必要となるため、煩雑で使い物にはなりませんが。

 少ない前提で多くの事象を説明できるのが「正しい」理論ということになります。

 そう、経済的な理論が正しい理論です。

 エコです。エコノミーです。

 エルンスト・マッハが提唱した、思惟経済という重要な思想です。

 20世紀の科学理論や、科学哲学に巨大な影響を与えた思想です。

 アインシュタインもマッハの影響を強く受けています(マッハは相対性理論を評価していませんが)。

 マッハゴーゴーのマッハです(音速の単位)。

 「マッハ原理」、感動しました。

 『感覚の分析』、名著です。

 あまりの影響の大きさにレーニンが危険思想として批判しています『唯物論と経験批判論』。


 「ひも理論」も、単に多くのことを簡単に説明できるから、有力な理論とされているだけです。

 13次元の世界を想像する必要はありません。

 そんな風に世界はできていません。


 マッハの功績を受け、「マッハ協会」が設立され、論理実証主義(ウィーン学団)が始まります。

 論理実証主義がアメリカに渡り、今のアメリカの科学界を支える理論的支柱になりました。


 論理実証主義の中心人物である、カルナップは、正しい理論を検証可能な理論として、そうでない理論を批判しました。

 『世界の論理的構築』、あまり面白い本ではありませんでした。


 ところが、何をもって、検証可能とするかというところで躓いてしまいます。

 検証ということがそんなに自明なことではないということが分かってきました。


 ポパーは、検証可能性は言えないが、反証可能性は言えるという、トリッキーな解決策を提唱します。(ポパーは社会思想家として有名です。『開かれた社会とその敵』は面白いです。反共産主義の本です。)


 私はカルナップの弟子のクワインが好きです。

 検証は、社会全体の言語使用の実践の全体のなかで規定されるものというホーリズムを提唱しています。

 『ことばと対象』、一生懸命読みました。


 検証できるって言っても、そう簡単にはいきそうもありませんね。


 検証しなくても、十分、解っていることがあります。

 目の前のコップは、絶対に夢ではないし、Aさんはロボットでも宇宙人でもないことは、よく分かっています。

 それを検証しろ、というのは「為にする」議論です。

 明晰判明に分かっていること、疑い得ないことというものがあります。


 明晰判明な疑い得ないものがあり、そこから始めましょうという考え方は正しいと思います。

 手垢が付いていて、あまり好きな言葉ではありませんが実存主義という考え方があります。

 サルトルがフッサールの現象学に出会う場面は感動的にボーヴォワールが描いています(『女ざかり』)。


 数学でも、直観主義数学というものがあります(創始者ブラウワーは重要な人物です)。

 私が、サルトルよりずっと好きなフランス人はアンリ・ポアンカレです。

 彼も数学的理論の基礎は、数えるという動作の数学的な直感と、充足理由律だといっています。

 位相幾何学を作った人です。

 『科学と仮説』、名著です。


 明晰判明な事柄から始めようということは、何が明晰判明か分からないといけません。

 答えは、心の中にあります。

 いくら本を読んでも答えは出てきません。

 心の中の自分に向き合う勇気が必要です。


 勇気を出して自分に向き合いましょう。



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アップロード日 2010.10.03