1.(7)補題2の正解と解説(当事者意識:最終定理の証明)


送信者: 山田  日付: 2010/01/20 10:49 PM
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件名:  当事者意識:補題2正解

 いよいよクライマックスです。

 補題というのは、最終定理を証明するために必要ないくつかの補助定理のことです。

 それでは最終定理の証明に入ります。


【補題2 正解】


 何もできませんでした。

 病院に対する不信を抱えながら、でも頼るしかないという言い訳を胸に、何もできず泣いているだけでした。

 面会謝絶の病室の前の廊下にパイプ椅子をおいて何日も何日もずっと座っていました。一日に一度か二度着替えと簡単な食事のために家にもどるだけで、すぐに病院へ向かいます。

 「この間に死んじゃったらどうしよう」

 居ても立ってもいられないという言葉がありますが、まさにそんな言葉がその時のココロを良く表しています。

 病院に向かう運転中の車の中で、(悲しみで)胸が痛むという言葉が比喩ではなく本当に胸が痛い、苦しいという状況を表すことも知りました。

 病室の前でただ座っていることに意味はありません。面会謝絶で看病ができる訳でもなく、病院や医者を追求して真実を露わにする訳でもなく、


 ただそこにいる。いないではいられない。


 という状況と気持ちでした。

 以上です。


  以上は想像力と感情移入(共感力)のテストです。いろいろ突っ込みたくなる点もあるでしょうがここでは批評家精神は捨てて下さい(感情だけでなく理性の働きも自由にコントロールできるのが次のステップでの重要なスキルです)。

 居ても立ってもいられない気持ち、

 ただそこにいる、いないではいられない気持ち。

 少しでも共感できましたか(ちょっとくらい胸が痛くなりましたか)?


 当事者意識について考えます。

 問題が見えていながら何も打つ手がない、何をしたら良いか分からない若い山田さんは当事者意識がないのでしょうか?

 何となく問題点が見えているのに、何をしたらいいか分からない、という状況は毎日あなた方が経験しているものです。

 あなた方と当時の山田さんを分けるものは何でしょう?


 それは、

 「居ても立ってもいられない気持ち」

 「ただそこにいる、いないではいられない気持ち」

 です。


 当事者意識とはこの気持ちのことです。

 理性で分かるものではありません。

 感性と経験で培うものです。


 問題の大きさが違うと思いますか?

 人の生き死にと仕事を同列に扱うのに違和感を感じますか?


 当事者意識が何か分からないあなた方がそう思うことは、やむをえないかもしれませんが、当事者意識に種類や濃淡はありません。


 あなた方は今、踏み絵の前にいます。

 母親の生死に関わる時と同じ気持ちで仕事に向かえますか?

 敢えて答えは聞きません。



 課外授業をします。

 ただそこにいる、ということの重要性を、最近、仕事を通じて、身を持って経験した先輩がいます。

 始めは私に言われて、訳も分からず、問題になっている現場に足止めされ、売り主の管理担当者と、やることもないので、これからどうなるかをぐだぐだ話していたはずです。彼にとっても売り主にとっても忘れられない素晴らしい経験でした。本人たちは嫌な経験と表現するかもしれませんが、同じことです。

 その先輩に今までのメールを見せ、趣旨をよく説明して講師をしてもらって下さい。必ず1時間以上しらふな時間をとってもらうこと。

 私からは何も言いませんので3人で交渉して下さい。

 彼はあなた方に教える義務は無いことを十分理解した上で、いかに気持ちよく講師をしてもらえるか、よく考えて依頼して下さい。

 交渉術の訓練です。


 依頼する講義の内容は以下の通りです。

 1 N社とO社とのP町案件の経緯
 (稟議書、物件案内、その他入手可能な資料くらいは事前に目を通しておいて下さい。教わる側の最低限のマナーです。)

 2 ただそこに居たことが案件の問題解決にどのようにつながったか。(もし現場を離れていたら何が起こっていたか。)

 3 彼がこの案件から得たものはなにか。

 実施期限は2月16日です。ノートを取ること。

 理解が薄まるので、できるだけ早く実施してください。

 講義内容と感想を各人私に報告して下さい。報告期限は2月19日です。


 彼にも準備の期間を2日間くらいあげて下さい。

 念の為、その先輩というのはQさんです。

 あと、母は存命です(悲しい障害が残りました)。



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アップロード日 2010.09.26