1.(4)連鎖する共感(Dさんの回答)


bccに入っていたDさんから回答がありました。

送信者: Dさん  日付: 2010/01/19 09:00 PM
宛先:  山田
cc:
bcc: 
件名:  Re: 当事者意識:補題1

 山田さん

 頂いたメールに回答させていただきます。

 1.この状況では、過剰投与が事実か否かはどうでもよく、とにかく母親の命を助けてもらうことを第一に考えると思います。

 過剰投与の可能性を担当医へ問い詰めれば適切な処置を受けられないのであれば、過剰投薬の件には触れず、とにかく適切な処置をお願いすると思います。

 過剰投薬については母親の容態が安定してからはっきりさせます。

 2.ただ、実際にそのような状況になって冷静にはいられず、まず医者に対して過剰投与を問いただしてしまい、真偽を確かめずに取り乱してしまうかもしれません。

 3.私に出来ることは、母親を助けてくれるよう担当へお願いすることしかないと思います。

 ※もしbccの人は本件回答する必要がないということでしたら、この返信メールはなかったことにしていただけると幸いです。



Dさんは、少し前に私とペアで仕事をしていました。

授業の時は、別の先輩について指導を受けていました。

私はその先輩の先輩でもありますから、私がDさんにいつまでも指導していたら、その先輩はやりにくいだろうな、と思い、Dさんへ何かアドバイスをするようなことは控えていました。

このEメールの授業はDさんにも参加してもらいたかったのですが、その先輩に遠慮してbccに入れる形ではじめてしまいました。

もう少しDさんの気持ちに心を配るべきだったと思います。

Dさんはとても優しく、一見、少しひ弱な感じのする人です。


送信者: 山田  日付: 2010/01/20 02:42 AM
宛先:  Dさん Aさん Bさん Cさん
cc:  
bcc: E先輩 F先輩 G先輩
件名:  Re: 当事者意識:補題1

 Dさんの回答です


 [省略 上記メールの通り]


 【解説】

 回答が三つに分かれています。

 一つ目でDさんらしくなく(ゴメン)はっきりしたトーンで力強い表現がされています。これは感情移入に成功して現場にいる感覚がでているからです。

 二つ目で敢えて自分を貶める表現をしているのは一つ目で強く言い過ぎているのでバランスをとっているのです(ここがDさんらしいですね)。

 三つ目は弱々しく感じる人もいるかもしれませんが母親への強い愛情からでている言葉であり感情移入が途絶えていないことが分かります。


 Dさんは子会社の住宅販売会社で17件契約をして当社に出向してきました。

 私もたくさん契約をしてきたから分かるのですが、偶然や他人の力だけでできる数字ではありません。

 また不動産契約の重みは金額や用途で測れないことも知って下さい。

 Dさんにはそれができた能力が備わっています。一緒に組んでいたときから分かっていましたが今日改めて確認できました。

 Dさんの強みは、共感することのできる力、共感力です。

 残念なことに、その力に自分が気付いていないので、自信が持てないのです。だからつい二つ目の答えのように言わなくて良いこと、思ってもいないことを言ってしまいます。

 自己評価が低いだけでなく、低いことをアピールしてしまうという悪い癖が抜けません。


 でも、うれしいのは、いつも背筋を伸ばして立っていることです。

 始めは猫背でした。

 心が姿勢にでて、逆に姿勢が心を更に悪い方に連れて行く、ということを言って、背筋を伸ばすように指示したことを守ってくれているのだなと思っています(錯覚ですか)。

 17件の契約と当社に来てからの経験が自信につながって、身も心もまっすぐ立って欲しいと思っています。


 2チームの若手の方。Dさんの立場に立って、彼のメールの※印以下の文章に感情移入してみて下さい。

 その上で、今まで見てきた彼の姿、行動を思い出して下さい。

 何が見えますか? 何を感じますか?

 答えなくて良いです。胸にしまって置いて下さい。


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アップロード日 2010.09.26