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宮城弘岩『沖縄自由貿易論』を読む


<目次>一 はじめに
    二 何故FTZか
    三 FTZとは何か
    四 沖縄でのFTZ
    五 FTZ批判への反論
<資料>「全県自由貿易地域の展開に向けて(素案)」
     国際都市形成に向けた産業振興策の展開(県最終案)

一 はじめに

 1998年に琉球出版社から上梓された宮城弘岩『沖縄自由貿易論』は、97年、沖縄で大論争を巻き起こした全県FTZ(フリートレードゾーン)問題に対して、「全県FTZ推進」の立場からの「総括的文書」とも言える。

 宮城弘岩は、沖縄県物産公社−わしたショップでの成功も含め、産業人としての自負から、沖縄(自立)経済の展望を香港・シンガポールを「お手本」に全県FTZ構想を強く押し進め、「新自由主義」的傾向を鮮明にしている。
 もちろんその底流には、「日本という枠組みの見方からは、沖縄の自立化への方程式は生まれない。思想的、社会的、あるいは歴史的な特性から考えるならば、沖縄の自立化は『国境を越えたところ』にしか存在しないと思う。」(P10)「日本という社会システムの成り立ちそのものが沖縄には適用できない。個々の企業や産業の成り立ち、それを支える社会的価値観が異質のものだからである。」(P284)とする自立志向が脈々と波打っている。その上で、宮城は、「沖縄の経済発展は、日本の枠内の辺境という位置づけからは決して生まれないことを、私たちはこの復帰25年で学んだ。希求される経済の自立は、返還される基地の跡地利用も含めトータルとして、ボーダレスやグローバリゼーションといったキーワードを、沖縄独自の形で消化するしか道はないだろう。これは今日のアジア諸国なり地域なりが教えてくれているが、沖縄の過去の歴史にあって、何百年という大貿易時代に実現していた自立ある経済に、その原理を見い出せるだろう。これが自由貿易地域制度を核とした経済特別区構想における、自立した経済の再度の実現ということである。」(P18)と表明し、「沖縄問題の終着駅は、基地返還と産業振興を内容とする経済の自立化である。」(P32)と訴える。

 彼はまた、「根底にある問題を考える場合、時代の節目に目を向けるならば、1609年には領土と貿易を失い、1879年には政治と産業を失い、1972年には文化と自立の魂を失った。」(P26)とも語る。そして「歴史的に見て沖縄が最も豊かな時代とはいつだろうか。」と自問しつつ、「それは先進国日本の中の今日ではない。それはみずからの自由な意思と手段で海を渡り、独自の経済圏を構築していた15世紀から16世紀にかけての大航海時代であった。今日よりもはるかに低い技術力、少ない情報や商品知識で交渉し、それを可能にした時代が沖縄にあった。たんなる物理的な豊かさではなく、明確なアイデンティティを持って、みずからの責任で未知の世界と交流し、沖縄の文化性、社会性、考え方を手段として、決してカネでもなく軍事力でもなく、みずからの運命を自身で決めることで、ボーダレス社会を構築することができた時代である。」(P10)とも言う。その上で「沖縄は、1879年(明治12年)の琉球処分までの何百年もの間、公式に独立国体制で経済を成り立たせてきた。」(P14)そして「沖縄は復帰以前はみずからの自治権をもち、課税権、徴収権をもっていたのであり、今の日本よりは自由な制度や社会であったために、県官庁職の多くがその経験を有し、行革を実施していくには日本の中で最も適当な条件がそろっている。沖縄で規制緩和、経済特別区制を実験してもほとんど混乱なく、無理せずに行うことが可能である。」(P60)と、一国二制度(注1)に対する歴史と現実を見据え、「自立化によって沖縄の魅力が生まれ、自由化によって沖縄の比較優位性が生まれるのである。」(P32)と展望を語る。

 もちろん、こうした考えが「楽観的すぎる」ことは確かであろう。とりわけ一国二制度にせよ、全県FTZにせよ、それらは日本政府の承認という「手続き」が不可欠としており、単なる「駆け引き」だけではなく、沖縄を「実験台」にすることなども含め、新たな「差別」を生み出しかねない。ただ、重要なことは、こうした「全県FTZ」を創出し、例え関税問題などに限定されるのにすぎないとは言え「日本を外国と見倣す」ことによって、日本を相対化し、沖縄内部での矛盾・対立・相克を止揚する一定の方向を指し示すことが出来るかも知れない。
 しかし、日本と「分離」された沖縄は文字通り「国内植民地」としての「本国・日本」との従属的位置からするところの「低開発の開発」を強いられる危険がつきまとう。また、「基地と振興策とのバーター」や「基地作物論」から「基地人質論」にも似た基地迷惑料の活用も、基地関連収入が決して沖縄の自立経済にマイナスしかもたらさなかった現実をどれだけ・どのように打破しうるかは、まったく別の事柄に属する。もちろんこれらの問題はすべての領域・局面で問われることであり、宮城が言う「政治」問題であろう。故に、経済を極力、政治から切り離すという宮城の考えは大きな陥穽が待ち受けていると言わざるをえない。

 それ以上に、宮城プランとでも言うべき、全県FTZ−一国二制度への端緒は、あくまでも自立に向けた階梯として沖縄/沖縄人が主体として登場することヌキにあり得ないことも付け加えざるをえない。来間泰男が『沖縄経済の幻想と現実』(日本経済評論社1998)の中で語っている「かりに一国二制度的全県FTZが成立した場合、輸出(移出)先たる日本の製造業への打撃を考慮しないばかりか、全県FTZとなった沖縄へ日本資本が参入し、沖縄という地域は利用されるが、沖縄人は排除されることになる。」という批判に対する反批判も含め、沖縄の未来を日本との関係で問い返し、「自立−従属」「併合・統合−分離・独立」というすぐれて政治的な分岐をめぐる判断(決断?)が問われていると言えよう。

 この論争が全県を巻き込んだ最大の理由は、太田県政が打ち出した「国際都市形成構想」――これこそが「沖縄の21世紀グランドデザイン」としてイメージされた――を下敷きに、「復帰25年」という節目における、沖縄の未来像をめぐるものとして「一国二制度・FTZ」の可否が問われたからでもあったと言える。だが最終的に県が玉虫色の先送り案をまとめることで論争は終息し、太田県政敗退によって過去のものとなってしまった感がある。

 若干振り返ってみよう。
 「国際都市形成構想」そのものは、1995年少女性暴力事件を契機とした「復帰後最大の島ぐるみ闘争」を背景に、反戦平和・自立志向を強めた太田県政が打ち出した「基地返還アクションプログラム」(これは2015年までに米軍基地の全面撤去を目指す)ととも、跡地利用も含め提起されたものである。「全県FTZ問題」は、この「国際都市形成構想」を引き継ぐ形で、その産業振興策の具体化とされたものであるが、そもそも「国際都市形成構想」自体、「沖縄タイムス」に連載された牧野浩隆(当時琉球銀行・現稲嶺県政副知事)の「国際都市の陥穽」と題する批判(『再論・沖縄経済』沖縄タイムス96所収)をはじめとして、産業界からの批判が強く、96年4月、県経済8団体は独自の経済振興案を提言した。その提言内容である「中継加工貿易と国際物流拠点の形成を求め、必要に応じて関係法令の改廃、現行制度の枠を超えた制度の創設とし、それをFTZの整備拡充……を受ける形で、県は内容5項目からなる『規制緩和産業振興等特別措置』をまとめ、8月に国に要望した。」のである。(P191)
 日本政府は当初、この8月段階の県案の「自由貿易地域部分(独自の関税制度、関税の選択制、IQの撤廃)と観光部分(ノービザ制、空港のハブ化)」について「一国二制度である」と拒否した。ところが翌97年、米軍用地強制収用をめぐる闘いを押しつぶすために米駐留軍用地特別措置法改悪を国会で通す見返りとしてか、「沖縄振興策として『一国二制度的』なるものを打ち出し、それを経済特別区にまとめ上げる決意(97年4月10日)を示し、沖縄県に『一国二制度的』となるような県案の提出を求めてきた。」(P123)この日本政府の方向転換(?)に対し、県は「産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会」(田中直毅を委員長とする所謂「田中委員会」)の7.24報告書を受け、9月1日、正式に全県域を自由貿易地域とする「全県自由貿易地域の展開に向けて」(素案)を発表した。

 この田中委員会報告−県素案は、地元二紙をはじめとして全県を巻き込む形での大論争に発展し、そして3か月余を経た97年11月7日、沖縄県は経済特別区制構想を三本柱(@自由貿易地域の新たな展開 A情報・通信関連産業の集積促進 B国際観光保養地の形成)にまとめた「国際都市形成に向けた新たな産業振興策」を県最終案として決定した。来間泰男は前掲書の中で、「最終判断を先送りしたものとなったことによって、振り出しに戻った格好である。新聞が『大山鳴動ねずみ一匹』と評したように、県案が田中委員会以前に戻ったということである。」(同書P162)と述べている。ちなみに、この田中委員会に宮城弘岩は「株式会社沖縄県物産公社専務」の肩書で、稲嶺現知事(当時、株式会社りゅうせき会長)とともに沖縄側委員として参加していた。

 以下、可能な限り本書(宮城弘岩『沖縄自由貿易論』)を手がかりに全県FTZについて考えてみたい。
 ただ、論述方法の所為か、現在の施策・法制度(それも「復帰前」の沖縄の状況と、「後」の日本政府の制度的制約やその変遷)上の諸問題、と諸外国の例とか混在しており、かつ現状に対する批判・改善・妥協が判別しがたく述べられたりしている。加えて、県案・県素案の紹介と分析に対して、宮城自身の意見・希望とが錯綜して表明されている。そして、本書の構成も「何故FTZなのか・FTZとはそもそもどういったものなのか、それを沖縄に適用するに当たって何が問題なのか・どのようなFTZが可能なのか・沖縄で求められるFTZとはどのようなものなのか」などと言ったことが、未整理のまま断片的に投げ出されており、理解・判読に苦しむ箇所も散見される。故に評者の独断的整理になっていることを予めお断りしたい。

(注1)「一国二制度」についての、本書での言及
 「米軍駐留基地内は日米地位協定により、沖縄にありながら沖縄ではなくなっているのである。…/今日、沖縄本島の約20%は米軍基地であり、日本国憲法のおよばないところである。日本の安保は在日米軍基地の75%を沖縄に配置することで成り立っており、…沖縄を事実上の一国二制度にしておいて米軍基地を置いているに過ぎない。……」(P15)


二 何故FTZか

 宮城弘岩は、基地と公共事業の二つの依存からの脱却と、「復帰措置」から引きずる「保護・規制」の撤廃をまず立論の前提にする。
 反戦平和の希求や多発する事件・事故による基地被害という観点はさておき、基地依存経済の弊害を、軍用地料値上げによる産業用地の高騰や「基地に投入されている労働力の無駄使い」(P60)から、「基地をかかえる市町村はほとんど衰退している。街はゴーストタウン化し、人口は減少、商店街のスラム化も進んでいる。/……極端にイメージするならば、昼の間、人々はどこかへ働きに行っていたのではなく、家で寝ていたということにもなる。どこから主な収入を得ているかといえば、言うまでもなく基地からの収入である。街は死に体状態が続き、活力を失っている。」(p38)と嘆く。
 彼は、基地関連収入について、「衰退していく基地をかかえる市町村を活性化させ地元に産業をおこしていくために、日米政府に対し、さらに毎年1000億円の上乗せを要求すべきである。どこの基地かを指定せず、基地周辺に産業をおこし活性化していくための資金とする。この上乗せ資金は基地がすべてなくなるまで続けていくことが必要である。」(P38)軍用地料に関しても「基地収入は地主だけのものではなく、すべての県民が享受する権利があるはずだと認識がある。米軍基地は沖縄全体に迷惑をかけているのであり、したがって、沖縄県民全体が迷惑料として何分の1かの取得する権利がある」(P38)とも言う。そして公共事業に関しても、産業振興という目的もない単なる失業対策「程度の意味しか持ち合わせていなかった。」(P62)と総括し、「10分の10という高率補助(政治行為)による1000億円を排除し、衰退する基地周辺の街を活性化し、あるいは産業を振興する資金(経済行為)にまわす施策を実行すれば、国は腹も痛まずにすむ。」(P42)と指摘する。

 規制緩和についても「沖縄が世界に学ばなければならないのは、産業の『保護』ではなく、『育成』するということである。」(P211)という彼の産業家としての持論を踏まえて「企業の経済活動は自由な活動のたまものであって、政府行政の規制・保護で生まれるものではない。かつて歴史的に援助・補助を受けてきた企業や産業が、自立し独立していったという話はない。」(P198)「規制に守られて今日を迎えている産業群もあるが、いつの時代でもそうだが、もはや時代に対応できない企業は事業転換に挑むか、自滅の道を歩まざるをえない。これが資本主義の冷厳な原理である。」(P266)「規制で保護されている企業は弱い。どんなに規制・保護を延長しても、その枠を脱して企業努力をすることはない。守られていることが特権化し、当然化し、それを前提に企業経営がなされる。復帰特別措置は、いうところの脆弱な沖縄企業を保護するという趣旨の役割をすでに終えているのに、それに応える企業意識は育っていない。だから保護措置が切れると、いとも簡単に倒産に向かう。企業の脆弱性は少しも改善されていないのである。」(P268)と言い切る。そして、すでに規制緩和の流れは押しとどめようもなく「県内においても、規制緩和によって倒産、規模縮小に追い込まれた企業はここ10年でかなりの数だが、これから5年後はもっと厳しくなるだろう。さらに規制緩和がこれまで以上に進むことは避けられない。……そうであればこそ、逆に規制緩和していく中に多様な企業チャンスが生まれていることにこそ目を向けるべきだろう。あるいは規制緩和を要求してでも、みずからのチャンスをつくる方が賢明ではないだろうか。」(P200)

 こうした現状についての彼なりの対案を示しつつ、「復帰以前から言われていたことは、沖縄にはもともと世界と競争できる産業はないということであった。だから外国から安い品物が入ってきても、打撃を受ける産業はないのである。こんな沖縄が『基地経済から脱却し、その県民の所得水準を向上させる方策は、沖縄を国際交易の振興の場として位置づける以外に見当たらない』というのが復帰前の経済界の一致した見方であった。/この視点は基地経済といわれていた時代から今日に至るも少しも変わっていない。」(P198)「何もない沖縄が世界に参加していくためには、逆に世界の商品や製品あるいはそれにともなう技術が自由に出入りできるシステム・制度を法的に保障し、安心して東南アジアの製品や商品が本土市場に向けて展開できるアクセスの拠点を形成していくことである。これが『中継加工貿易』であり、技術や資金はなくても制度を充実させることによって産業をおこす方法である。それには日本本土という消費市場と東南アジアという生産市場を結びつける作業を沖縄が担い、そこに何らかの役割を見い出していくことである。」(P276)

 「沖縄を基点にこれから成長していく産業は、地域資源を活用した内発型産業の立地と、国境がなくなる時代の沖縄を拠点とした東アジアの中の中継加工基地型産業の二つである。とりわけ後者は沖縄を取り巻く国際環境の変化に対応して生まれる産業で、沖縄自身が独自の市場を持ちえないために、他地域や近隣諸国の地域レベルで産業を共有する『貿易取引活用型の産業』ということになる。」(P262)「二つに共通しているのは、いずれも市場は県外に求めなければならないということである。純粋な県産物の加工移出(本土向け)と加工貿易(国外向け)の双方を積極的に押し進める目的から、重点的にその整備をはかり、関税および貿易管理令などからも、国内の一般取り扱いとは区別された特別地域でなければならない。」(P263)

 他方、沖縄での産業振興にとって「原材料となる米、麦、肉、砂糖などは保護され、企業をおこす原材料は手に入らない、製品は狭い県内市場に向かって低価格で県外海外から流入してくる。県外市場へは世界一高い輸送コストという最大の課題をかかえている。つまり沖縄は、世界に通用しない高い原材料を使いながら、世界中にとって最も魅力ある日本(本土)市場に対しては、世界に通用しない高輸送コストで商品を提供しているのである。これではたして産業がおこるというのだろうか。」(P105)と自問しつつ、「その解決方法は沖縄に産しない農水産原材料の輸入税をゼロにし、みずから加工・製造する工夫をさせ、日本市場へは世界一高い輸送コストであっても市場展開させるべきである。あるいは県内に産する高い農水産原材料であっても、本土市場に対しては人為的に高コスト輸送費を低減化して市場競争させるべきであり、……/この打開方法は、国際的水準における市場原理にしたがうことである。つまり、沖縄から日本国内への輸送を外国並みに改善することであるが、これはかなり政治的な問題になる。/経験的にいうと、製品を沖縄でつくる余裕がないといっても可能性はある。沖縄−本土間を外国航路扱いにすれば、実は東南アジアの商品とも本土市場で競争できるのである。」(同上)という分析と彼なりの判断を行っている。

 その上で「すでに日本では、委託加工貿易契約による輸出承認業務は緩和(自由化)されているので、自由貿易地域においてもこれを一歩進めて、逆委託加工貿易(OEM)における輸出についても承認義務の緩和(自由化)をはかり、国際分業と中継加工基地の形成を促進するべきである。……関税法で『輸出』とは『国内貨物を外国に向けて送り出すことをいう』とされており、定義にしたがえば、自由貿易地域の外国貨物を加工・組み立てして外国に出荷することは『輸出』とはならないので、輸出検査は不要である。……輸出検査を省略するためにも関税法上の枠外にすべきである。」(P156)と提起し、「もし沖縄に産業をおこすのに何の資源もないというなら、あるいは21世紀に向けて沖縄に本土や海外企業と競争する力がないというなら、さらに政府には援助すべき資金がないというなら、唯一沖縄が生きていける道は全島(県)フリーゾーンしかない。」(P198)と結論づける。
 彼はこの「沖縄自由貿易地域制(FTZ)」を「内発型産業と中継加工基地型産業を、同時に一定の限定された地域に『産業として立地させ、かつ貿易を振興する』しくみとして想定」(P262)し、「海に囲まれているという点では、本土のどの県でも沖縄のような有利性は生み出せない。」(P152)だけでなく(「法的には、沖縄にだけFTZを認めるのが正義である」(P63)とも書いているが)、「戦略として沖縄に求められる産業振興策は、日本市場をターゲットに地場産品化した外国貨物を本土移出し、外国からの輸入規制を撤廃した全県フリーゾーン型の「生産−流通−消費」の一大基地を形成していくことである。」(P120)
 更に、宮城は「根底にあるのは、日本の中でも沖縄は、安い産業コストでの企業立地を可能にし、比較的自由な@サプライサイドの経済(中継加工貿易と関税免除の輸入品を加工、製造、組み立て、本土市場へ展開)、A生産性の高い社会(本土より安い人件費、暖房のいらない生活)、B生活を豊かにする消費経済(安い県内農産物、輸入してまでも安く良質な製品の供給)を同時に実現する産業構造システムをつくり出すことができるということである。/これらを実現する手立ては全県FTZの思想しか考えられないのである。」(P217)と付け加える。

 さらに「現行の輸人割当制(IQ:Import Quota)は正しいだろうか。/もともと商品を輸入あるいは加工・製造してきた沖縄企業が、日本復帰したからといって、沖縄には割当がないという理由で、輪入を制限されるのはおかしい。こんぶ、イカいずれも同様である。本来IQ制というのは産地の保護を目的とするものであり、復帰と同時に、沖縄がこれらのものの産地ではないという理由で輸入制限されるのではなく、自由であるべきである。…日本復帰したからといって、沖縄の歴史や現状を無視したこの法の適用はやはりおかしいと言わざるをえない。」(P15)「『原材料』では、沖縄側では当初15%だった関税率が本土並みといって70%に上がり、本土側では100%から70%に下がった。本土復帰調整によって原料高となったとなった沖縄製造業は立ちいかなくなった。一方の『製品』は自由化を迫られ、ガット対応などによる国際貿易体制維持から、毎年、低い関税率が設定され、安価な外国製品が大量に輸入されるようになった。このような規制緩和の中で製造業は生まれるだろうか。答はノーである。」(P230)とも語り、いわばFTZ導入は「復帰」によって強いられた経済的矛盾の解決策の一つでもあることを打ち出している。


三 FTZとは何か

 宮城は、FTZを「本来的には『外国とみなす』というのが自由であり、関税ゼロ=関税適用除外地域」と考え、これが「FTZ成立の第一の条件である。」(P182)とする。そして「輸出入管理令および関連法の経済規制のない状態、これがFTZ成立の第二の条件である。」(P182)「関税法のいう保税地域(保税倉庫)への強制的搬入制度の撤廃が必要である。これがFTZ成立の第三の条件になる。」(P185)
 宮城の考え・結論が判然としないので、理解に苦しむところだが、「本来的には『外国とみなす』というのが自由であり、関税ゼロということである。『保税地域』とするなら自由にはならないし、また関税を留保しているということである。世界FTZがいう『外国とみなす』というのは、『関税領域が変更した外国』とみなされることで関税自由としたのである。だからその地域への輸入割当などの規制はなく、関税貨物もFOB(輸出国価格)になり、かつ、日本のような強制搬入させる保税制度もなく、かなりコストが軽減され、スピーディに輸出入手続きがなされる。」(P182)ということが、彼の主旨と思われる。
 そもそも、「自由貿易地域には固定した概念はなく、それに密接な関連性を持つ自由港(Free Port)も一種の包括的な概念である。広くとらえたり、狭くとらえたり、その内包する範囲も、それぞれの地域によって異なる。」(P174)が故に、宮城自身のFTZ構想を直截に提起した方が読者にとっては理解しやすかった。


1 輸出入における「自由」

 宮城は、96年8月段階の県案において、「ノービザ」などを含むものとして混同された「自由」概念について、あくまで「関税問題」に限定されたものであること、さらに品目限定を始めとして無制限なものではないことを主張している。(もっともこれも「方便」としてのものかどうかは定かではない。)そして、輸出入(貿易)が基本でもあり、来間前掲書で紹介されているアメリカの例で言えば「FTZとは巨大な倉庫」の場合もあり、それに加工・製造(それも仕分けや詰め替えのレベルから)が付け加えられる場合も考えられている。
 「一般に、世界の自由貿易地域(自由地区、自由港区、自由貿易港市、輸出加工区、外国貿易地帯)は、一国内の関税法の枠外の自由を本旨とし、新たな関税領域の形成という点において強い共通性を持っている。」(P174)[関税行政における一国二制度]
 自由貿易地域制における「自由」とは、関税法および輸出入管理令など輸入規制を緩和する形で組み立てられるもので、関税法の目的が「貨物の輸出及び輸入の税関手続きの適正な処理」にあるように、その範囲を超えることのない特殊な「自由」なのである。……香港もシンガポールも「自由」ではあるが、必ず何らかの制限がある。地域によって限定するか、業種によって限定するか、品目によって限定するかは、後になって決めればいい問題である。……シンガポールのように道徳や自然景観を目的にチューインガムやパチンコなどを規制する。香港も自由とはいいながら5品目(アルコール飲料、タバコ、医薬品、化粧品、炭化水素油)を規制している。(P198・P224)

2 マーケッティング主導である

 FTZはどこでも三次産業や情報産業が一次産業、二次産業をリードするという発展モデル(市場がリードする産業振興モデル)である。それはFTZ単独の発展構想ではなく、総体としての経済特別区構想として進められるもので、三次産業(特に運輸、通信、貿易、金融、研究開発型産業)の発展が一次産業、二次産業をリードするという発想であり、考え方である。
 FTZ内は、一般にスタート段階では「製造」という概念ではなく、加工・組み立てという雇用中心の工業団地である。だからトレード(貿易)するゾーンとなっていて、生産=貿易という考え方が非常に強い。この場合でも先に貿易があって生産である。先に商売があって、それに合わせて調達し、組み合せ、供給していくという方式である。いわゆるマーケティング主導型の生産業おこしである。/正確にはOEM方式で、みずからは販売はしない。先に受注があって、部品などの中間段階の部材を調達し、加工・組み立てが主軸になっており、製造は最終工程を先行させて最小限度の範囲に止まっている。ここにFTZの応用性と適応性があるのである。決して先に物づくりがあるのではない。常に受注という販売が先行することで、リスクを極力避けるしくみである。(P288)

3 FTZ−諸外国の例(P169)

@自由地区(Free Transit Zone)ラオスとかネパールなどは外国貿易するにも自国に港がないための……通過目的(貨物の積み卸し、保管、改装、仕分、混合まで)

A自由港区(Free Port Area)ドイツのブレーメンやハンブルグなど、自国内の特定の港の一部を非関税地域としたもの。外国貨物の単なる通過にとどまらず、何らかの加工(・製造・組立。付加価値の増減)を自由に認めようとするものである。本国への搬入、小売りや消費は認められない。

B自由貿易港市(Free Port City)香港・シンガポールなど。関税が限りなくゼロの状態で輸出入を認め、中には小売りおよび人々の消費まで認めているところもある。

C輸出加工区(Export Proseccinng Zone)台湾など。先の自由港区(貨物の自由往来、加工・製造、加工・組立しか認めない)に工業団地をセット化したもの。そこではすべて輸出を義務づけている。

D外国貿易地帯(Foreign Trade Zone)米国で採用されている「外国貿易地帯」は輸入・輸出は例外を除き自由化され、かつ加工・製造され、製品化されて、この地帯から国内に正式に搬入される時に、原料課税か製品課税かの選択が認められている。


四 沖縄でのFTZ

 世界で成功したFTZの例「を沖縄にあてはめれば、FTZの沖縄に関税免除で輸入させ、製品にして本土に出荷させるシステムの構築である。もし、この沖縄─本土間を選択できる関税制にしておけば、米国並みの構想が可能である。さらに沖縄では生産していない(あるいはできない)原材料に限れば、県内産業に迷惑をかけずに事業は成り立つ。むしろ県内産業には新たな事業の波及効果をつくり出し、県産品と外国産品との組み合せ、混合、ユニット化し、競争できる製品をつくり出すこともできる。例えば縮小を続ける県内パイン産業の輸入品との抱き合わせ方式で、あるいは製糖業も自由化して原料輸入に切りかえることによって生き残ることができる。」(P230)「したがって沖縄に限定された輸出入を自由とする『関税特例地域法』(仮称)を制定し、貿易の自由を確保するとともに、自由の範囲と程度、開放の程度を定めておく必要がある。」(P152)

 しかし、「わが国の関税法には『外国とみなす』という概念はなく[ただしP190では「可能」という表現もある]、立法化するにしてもまた先の京都規約(注2)にもとづくにしても、かなりの時間を要して国会可決しなければならないという困難をともなう。」(P182)だけでなく、沖縄を「外国とみなす」というのであれば、沖縄−本土間に関税線を引くということになる。それではFTZ産品のみならず、「県産品の本土入域の段階で関税がかかる」という事態が生じる。これへの対応策を述べつつも、宮城は、「そこで、『免除』という概念を導入し、『輸入すれども関税免除地域』とすれば、現行法の改訂で済む[これとて国会での可決を要するのだが。]ことになる。この場合、関税線が沖縄への輸入時に設定されるため、県産品や輸入外国貨物が沖縄−本土間で課税されることはない。」(同上)と言いながら、すぐ続けて「しかし沖縄を『外国とみなす』というのであれば、沖縄−本土間に関税線を引くということになる。」(同上)と書き加えている。

 一方で、彼が本来のFTZとして想定する「外国とみなされた関税領域外」の場合、「輸入・搬入時に関税などがゼロなら問題はないが、有税品は域外(全県FTZの場合は日本本土)に出す場合には、依然として関税領域に入るのだから関税課税の対象になる。それではメリットがない。そこで関税領域内(FTZ以外の日本国内)に入る時にメリットがあるようにしたものが、原料課税にするか製品課税にするかという選択課税制である。」(P183-4)としつつも、「関税領域内のFTZを想定するとなると、関税線は輸入の段階になるので、これを自由貿易地域に切りかえるためには、関税法の中に『免除』という概念を入れなければならない。」(P184)と述べ、「免除」という事実上の関税適用除外を提起する。「つまり関税法適用除外地域ではなく、関税は適用するが沖縄に限って関税などを免除するという『一国二制度的』にもっていかねばならないということになる。これが関税定率法の第14条なのである。/そうすれば外国貨物はFTZへの輸入時点で関税免除扱いにされ、加工・製造後、本土出荷時(またはFTZ出荷時)に関税選択ができればメリットは生まれることになる。全県FTZの場合、この選択関税に相当する額を輸入時に支払っておけば、沖縄−本土間で関税が課されることはない。もちろん関税法内であるため、県産品が沖縄−本土間で関税の対象になることはありえない。」(P184)
 また別のところで「日本の現行の関税法下の考え方では、関税法内に新たに『関税特区』を設け、現行の保税制度とは別とする、という方式にしかならない。妥協策として『関税等の徴収や輸入規制のチェックを適正、かつ効率的に行う』目的で、特定の場所として自由貿易地域を示すことができる。」(P152)

1 FTZと先行する規制緩和

 どうも、様々な批判に対する反批判を意識しつつ、なおかつ彼なりに実現可能な方途を指し示したいという気持ちとが混在している。法制度的整備は最も重要かつ困難な問題を孕むとはいえ(新法制定にせよ、現行法の改訂にせよ)、問題はやはり「外国とみなす」「関税線をどこに引くのか」に関わっているのではないか。彼はFTZ推進を強調したいがために、文面としては、どのようなFTZも可能であり、どのような場合も沖縄にバラ色の未来を約束するものとしてFTZを描き出そうとしているように思われる。
 そもそも国内産業保護を目的とする関税法と、自由貿易地域(FTZ)は、根本的に相反する考え方になっており、復帰後、那覇港の一部で施行されている地域限定FTZ(沖縄振興開発特別措置法の適用)は「輸入はさせるが関税は留保する」という地域[保税地域=輸出入貨物を強制的に保税倉庫に搬出入]として取り扱っているにすぎない。

 日本における、こうした煩雑な輸出入に関する手続きや保税制度は「輸出促進を狙いとし、反対に輸入を規制することによって国内産業保護を狙いとするものであるから、輸入を促進しなければならない今の時代にはそぐわない」(P174)だけでなく、そもそも沖縄のような産業振興を輸出入(貿易)を基軸に立てるしかないところでは、致命的ですらある、というのが宮城の考えであろう。そこで彼は、先行的に緩和すべき項目を列挙する。(P111)

(1)先進12カ国並みに保税制度[日本だけにある保税地域への強制搬入制度]を廃止し、自由貿易地域としての新関税法の創設。関税法第30条の規制を撤廃し、保税地域への蔵置義務の免除。(輸出の場合でいえば荷主の支払い費用は米国の7倍になっている。P175)
(2)関税関係法規以外の他の法令[30種もの省庁規制の改善]/関税法第70条に「沖縄地域の輸入する他法令の規制につき、それを廃止し、経済的規制や一部安全確認の規制に限り税関にその許可、承認を一括委任する」を追記する。
(3)先進12カ国でも日本だけのCIF建て価格[輸出仕出価格に運賃と保険料を加えた合計]に対する課税から輸出仕出価格のFOB建てに切替。
(4)外為法を改革し、この二元行政[通産・大蔵]を通産省に一元化し、政策官庁と手続官庁を同一の命令下に置く。
(5)他法令による輸入規制……例えば、輸出入取引法、食糧管理法、薬事法など/内外価格の差をつくり出す法令になっている。安全性を口実に輸入規制しているのもある。

 宮城は本書P187で「沖縄自由貿易地域制の法的定義」と題して、以下の如くまとめている。
@関税定率法第14条(無条件免除項目)に、「沖縄自由貿易地域に輸入する貨物については関税を免除する」を追加記入する。これを関税免除貨物という。
A輸徴法(輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律)第13条の1に「沖縄自由貿易地域に輸入する関税免除貨物及び関税ゼロについては内国税を免除する」を追加記入する。内国消費税等の免除。
B「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」第61条8項と第65条2項および同法第70条と第67条にそれぞれ「沖縄輸入品に対する免除規定」を追加する。前者が米で、後者が麦等である。
C関税法第67条の2の保税制度を撤廃し、その適用を除外すること。
 a「沖縄自由貿易地域の輸出・輸入する貨物については、保税地域への搬入を免除する」、
 b「輸入・輸出申告を事前受理・入港前許可制」とする。
D関税法第70条に「沖縄自由貿易地域に輸入する貨物については税関に権限を委任し、税関の権限において輸入許可できるものとする」を追加記入する。
E外為法(第54条)等関連法における「輸出の許可、輸入の承認、税関長に対する指揮監督」の権限を沖縄県知事に移管する。税関長の権限の一元化。
F沖縄から本土に出荷される外国貨物の加工・製造製品は選択課税(原料課税を原則とするが、製品課税もありうる)を採用。関税法第59条の2に基づく関税基本通達56−14の撤廃。

(注2)京都規約
 わが国において国際レベルでFTZ関係が出てくるのは、通称「京都規約」(1976年6月10日、日本受諾)といわれる「税関手続きの簡易化及び調和に関する国際規約」(]V−20、自由地域に関する付属書ANNEX F−1)で定義された「フリーゾーンとは」である。「そこに搬入された物品が、輸入税に関する限り一般的に関税領域外にあるとみなされ、通常の税関管理を受けない、国の領土の一部をいう」という条文である。それにもとづいた沖縄の全県FTZの立法化への道はあり、世界に誇れる「外国とみなす」FTZをつくることができる。/その京都規約にもあるように、国際水準に合わせた輸入税(関税を含む)免除としなければならないだろう。規約にいう輸入税とは「関税及び物品の輸入に際し、又はそれに関連して徴収される他のすべての租税、手数料、その他の課徴金」のことで、日本の場合、輸入時にかかる課税として関税、内国消費税(一般消費税ではない)、課徴金および差額関税を輸入税と称している。……/現行法上、仮に2010年APEC会議の趣旨にもとづき日本が関税をゼロにしても意味がない。なぜなら、関税だけならわずかなものだが、それ以外に日本独自のものとして、輸入時にかかる税金の種類が前述のように関税以外に首をひねるようなものが多く、それでは関税以外の輸入税がぬけてしまうからだ。豚肉などはセーフ・ガードといって訳のわからぬ輸入税……(P180)


五 FTZ批判への反論

1可能性

 「国内市場では競争力を失う中小企業を沖縄FTZに進出させ、国内工場を閉鎖するか、海外進出するかと迷っている企業を思い止まらせることができる。かつ、軌道に乗れば部品の県内内製化を進めることによって、逆に部品工場を誘致可能にしてしまう(すなわち国内移転の実現である)。/そのシステムによって、沖縄石油の例にみられるようにOEM産業を本格的に立地可能としていくことができる。かつ、消滅しつつある県内精製糖業、パイン産業を、現状の輸入原料との抱き合わせ政策によって、あるいは原料輸入に切りかえることによって、生き残らせることができる。……そして、狙いとする地域の活性化と中小企業の振興を通じて、結果としての雇用機会の創出を企画するものである。」(P158)

 「アメリカの例からもわかるように背後地にすぐれた市場をもつFTZは必ず成功する。……シンガポールにはマレーシアが、香港には中国という一大マーケットがあるとするなら、沖縄には本土という背後地市場があ」(P193)る。


2 規制緩和との混同

 「『自由貿易地域になって農業が生き残ったためしがない。』(JA・比嘉正秀会長)、『全県FTZ化によって、一次産業、二次産業が壊滅的な打撃を受ける。』(沖国大・富川盛武氏)、『香港・シンガポールは保護育成すべき産業がなかったから全域的FTZ化した。』(琉球銀行・牧野浩隆氏)、これらの意見はいずれも誤認である。」(P211)「規制緩和とFTZ(を)……混同していると判断されるのは『全県FTZは一次産業、二次産業に壊滅的な打撃を与える。』(沖国大・富川盛武氏)、『県素案は産業保護放棄の立場である。』(沖国大・来間泰男氏)、『弱者企業や保護を必要としている産業を見捨てるような全県FTZ』(会計士・高嶺善包氏)の例が代表的だ。」(P216)

 ここでも、宮城の反論は持って回った言い方など明示的に語られることがないので、判りにくいが、一次産業に関しては、例えば食品・製造業にとっての原材料問題として考えなければならないこと、規制保護によって一次産業だけでなく、食品加工業自体も共倒れになる。さらに文化性を保持する県産品特化は規制緩和とは別の事柄であり、産業としての創意工夫を強調しているように見受けられる。

 「今、県内産業で本当に壊滅的といわれるくらい大きな打撃を受けているのは、県内流通業と畜産加工業界で、この10年間にすでに1000人近い失業者を出している。1985年のプラザ合意による円高・ドル安基調とその後の規制緩和で、10年前には年間50億円前後の売上を出していた中堅企業の流通・卸売業、食肉加工業の多くが倒産(すでに報道されているだけでも流通業12社、加工業5社)し、あるいは企業規模は半分になり、さらなる縮小に向かわざるをえない状況にある。……だから壊滅的な打撃が予想されるのは、むしろ日本政府の規制緩和政策によるもであって、3〜4年後に実施が予定される全県FTZによってではない。/全国ベースでは企業が生き残りをかけて戦っているのに、沖縄には「保護がある」では通らない。この規制緩和という大きな避け難い流れの中で、一刻も早く何らかの手を打たないと手遅れになる。予想される企業倒産や規模の縮小を余儀なくされる企業に対して、事業転換のチャンスをつくり出し、既存企業の競争力を強化・拡大し、本土まで進出させていくためには、何らかの措置策が必要である。/……具体的にいえば、規制緩和は法律などの改廃のことであり、FTZはつきつめていえば税金の問題であって、その本質がまったく違う。税金を上げたり下げたりするのは規制緩和とはいわず特別措置と呼ばれるものだ。/総じて規制緩和による産業振興は簡単ではない。……本土展開している企業はまだいいが、県内市場だけを対象とする企業の利益率はもっと厳しいといえるだろう。」(P214)

 「現実には、壊滅的現象はかなりの分野で浸透しており、このまま規制緩和の流れに身を任すことはできない。わかりやすいのはここ10年間の大規模小売店舗法の規制緩和による小売業、中小卸売業への影響である。特に大型店の出店や大型チェーン店(コンビニ)の本土からの進出は驚怖である。一大型店が進出してくるとその周辺地域の小売業(マチヤグヮー)の50〜60店舗は潰れる。そうするとその連鎖反応でおこるのは、そのマチヤグヮーに商品を納入していた中小卸売業の倒産か企業規模の縮小である。」(P216)

 「食肉加工業ではすでに壊滅的現象が始まっている。89年からの輸入自由化と規制緩和で県内加工業が立ちいかなくなり、かつては50〜70億円も売上計上していた企業群(アジアハムも含めて)5社が倒産、失業者600人を出した。生き残った2社に聞いてもこのままでは事業が成り立たないという。理由は明白である。復帰時、沖縄では15%だった関税率が70%に、反面、本土は100%から70%に、沖縄は上がり、本土は下がるという方程式を取ってきたことにある。」(P218)
 「自由化すると県内企業が淘汰されるという考え方は間違っていると思う。というのは、既存の県内製造業はほとんどが県内市場向けの装置企業であり、沖縄の文化性をもつ商品生産である。いわゆる一般的なナショナルブランドではない。そのため競争は輸送費の差で決まるが、外国産品が安いからといって県内市場に持ち込んでも、そう簡単には売れない。……実は、ビールでもコーラでも消費地の風土に合うように味・風味がつけられており、単純に安いから売れるというものではない。だから安い商品が県内に輸入されるからといって、県内製造業製品と競争するとはまず考えられない。」(P241)
 「このような地場産品は、たとえ原材料は海外から輸入しようが、沖縄の技術と文化性を持っている商品であり、かつ、非競合化・差別化商品であるため、アジアのどの国の商品とも本土市場で競争していけることは、これまでの経験で十分である。あるいは海外市場であっても、韓国、台湾、香港、シンガポールでは、沖縄の産品はむしろ外国や日本の有名ブランド商品との対比で競争しているのであり、原材料と輸送コストが国際価格で利用できれば、ほぼ問題はない。」(P265)

3 地域限定ではダメ

 全県FTZとは「地理的には沖縄全県エリアを包括して税関が管理しているが、FTZを構成する実体は、品目指定下で輸入された原材料を加工・製造し本土出荷することを目的とした、沖縄県内にある個々の指定工場の概念上の集合体であるということになる。……外国貨物を加工・製造し本土出荷する場合に、あらためて関税などが課せられることになる。[が]沖縄−本土間には企業の選択課税制度がある。/そのため、すべての品目は税関の管轄下により申告許可を要し、輸入申告の時に県内消費貨物か、原料貨物か、あるいは通過貨物になるのかをわけて申告することになる。そして、今の泡盛製造業が酒税を本土向けか国外向けかに分けて国税事務所に報告しているように、企業みずからが年に何度かに分けて報告することになるだろう。その確認のため、税関職員の「事後調査」がある。もし不正があれば輸入取り消しになる可能性もあるため、本土への筒抜けはないと税関「事後調査」の経験者は見ている。/……また法案の範囲が、関税法、輸入・輸出関連法規などの改訂・修正に止まるため、他の国内法にふれることはなく、例えば、国内建築基準や砂糖のような全国的な糖価安定法に抵触することはない。/したがって製造業や農業分野が全県自由貿易地域制によって被害を受けることは考えられず、逆に加工・製造分野の方向では事業は拡大し、既存産業にはOEM生産などが期待されるものとなるだろう。影響があるとすれば牛乳と豚肉ぐらいものだが、今のパイン加工のように県産ものと外国ものの抱き合わせ加工にすれば、これも問題はない。」(P238)

 FTZ導入は賛成でも、「全県ではなく、地域限定を」という意見も結構存在していた。それに対して宮城は、

@「地域限定FTZではめざす就業の場、雇用の創出が半減してしまう。なぜなら輸入税免税効果が加工・製造用品に限定されるからである。」(P191)
A「もはや地域限定のFTZでは東南アジアには勝てない。すでに東南アジアと日本市場の間には太いパイプができて」いる。(P193)
B「新たな地域間格差を生むだけである。そこで、全県的に企業活動は平等であるべき」(P193)「離島の企業がまず経営難に陥る。」「県内零細企業と本土大手企業が手を組んで進出すれば“鬼に金棒”だ。」(P207)
C「零細の一企業(県内製造業は62%が5人以下の零細、83%が10人以下の小規模企業)が借金して、限定された地域のFTZに進出するにはかなりの無理があると見なければならない。30人以上でも全体の8%しかない県内中小企業には荷が重い。」(P207)
D「輸入税が免税された外国貨物を安く加工・製造しても、地域限定FTZ工場から出荷すると同時にその輸入税が復活する。このケースでは今の県素案の特恵関税に当たるもので若干のメリットはあるかもしれないが、……ほとんどが投資コストで消えてしまうだろう。」(P207)
E「限定地域工場と県内間の関税線になり、そこの通過が輸入税(関税、内国税、課徴金)の復活時点になり、県内消費者へのメリットを失うことにもなる。」(P268)
F「農業は全県FTZで形成される農産品市場を失うことになる。また、県内最大の産業といわれる観光業はまったくメリットを受けない……FTZ自体も観光客を呼び込むほど魅力あるものにはならない。なぜなら地域限定では社会コストを低下させられないからだ。」(P207)

4 人件費問題

 FTZ成功についての立地条件のうち、日本(本土)を後背地として位置付けることとは別に「人件費」問題がクローズアップされたが宮城は「FTZの議論の中で『なぜ人件費が高い日本で、海外の原材料を加工して他国と競争できるのか』という質問を受ける。米国やヨーロッパの賃金は沖縄より高いが、FTZは成立している。」(P239)と答えている。

 「基本的認識として、沖縄のFTZのようなケースでは、人件費問題はあまり重要ではない。実際は『低賃金は高生産性には勝てない』のである。これは筆者が以前に勤めていた会社の企業哲学でもある。
 背後地にマーケットがあれば、市場対応能力の問題がすべてである。……人件費の高い低いよりも、むしろ生産性が問題であり、例えば付加価値の少ない食品工業の場合でも、成立するか否かの分岐点は輸送費の問題に限定されてしまう。それは装置産業という生産特質からくる。人手を要せず、常に世界のどこからでも安い原料は輸入できる。装置産業は地球上のどこでも工場そのもののコストにはあまり差はない。/競争力の有無は物流コストの多寡で決まる。」(P240)

 「沖縄の比較優位性は、地理的条件だけでなく円安時代の人件費の優位性もある。全体的にはほぼ平均化しているが、業種によっては沖縄のほうが東アジアよりも安い。しかも購買力平価でみても沖縄12,031のGNP(一人当り)は台湾13,235、香港、シンガポールより低い。シンガポールの購買力は沖縄の約2倍である。実際人件費を比較しても日本本土を100とすれば、台湾の人件費コストは本土と沖縄の中間に位置する。しかも台湾の経済は年率5〜6%伸びているが、沖縄はせいぜい1%前後でしか伸びていかない。台湾からみれば土地も台湾より安いという。台湾などが沖縄を基地化するメリットは、安定した高品質が期待されること、人件費は台湾と変わらないが生産性が期待できること、自社ブランドのOEM生産が可能で、本土市場だけでなく台湾本国の市場も狙える点などであろう。さらには市場のメンテナンスにも臨機応変に対応でき、好都合である点も考慮されよう。」(P264)

5 さとうきび問題

 宮城の立論の特徴的な事例として、「さとうきび−製糖業」問題を見てみる。
 彼は、「さとうきびを生活の糧として生産する農家はいずれ、いなくなるというべきであろう。」(P92)だが、産業としての製糖業(及び関連産業)はさとうきび生産額の4倍以上の700億円近くあり、「したがってさとうきびの生産はなくなっても、関連産業を残す意味はある。……農業としてのさとうきびは終わっても、逆に関連産業はさとうきびを輸入してでも生き残りを考えていかなければならない。」(P95)

 もっとも「離島はさとうきびしかできないという側面をもっており、もっと保護策(例えばヨーロッパのような所得保障制度)を打ち出し、需要に追いつかない含蜜糖の生産体制を強化していくべきであろう。」(P94)とも付け加えてはいるが。


 付 この他、@「関税特例地域法」(P152)とか、「沖縄船舶特例法」(P84)とか、「沖縄振興開発特別措置法第28条の特殊法人化を活用・強化」とか興味深い提起も、きちんと整理されないままアイデアに終始してしまっているのが残念であるが。

[2003.2.28未稿]


◆資料1◆

「全県自由貿易地域の展開に向けて(素案)」(1997年9月1日発表)



T 基本的な考え方
 
 本県の産業・経済を取り巻く厳しい現状とグローバル化の進展等内外の動向等を踏まえ、産業活動の活性化を通じた雇用の拡大と内外価格差の是正による県民生活の向上を図るため、県全域を自由貿易地域とする思い切った産業振興策を展開する。

 このため、関税法等輸出入を規制している関係法令の見直し、企業立地促進のための税制上の優遇措置など制度面の充実をはじめ、輸送コストの低減、航路網の拡充及び空港・港湾等インフラの整備など、関連施策を一体的に推進し、その実現を図るものとする。
 
U 具体的施策
                                                                      
1 全県を対象とした自由貿易地域制度の創設

 我が国唯一の沖縄自由貿易地域制度の運用実態を踏まえつつ、海外のフリートレードゾーンに準じた措置内容を参考としながら、関税方や輸出入を規制している関係法令などの一部適用除外を基本とした特例制度を創設する。

(1)関税等の免除
 県全域を関税免除地域とし、県内に輸入される外国貨物について一定品目を除き関税を免除する。また、関係法令の原則適用除外により一定品目を除き課徴金を免除する。

(2)特恵措置的関税制度の導入
 外国から輸入された原材料を使って県内で加工した製品を本土に移出する場合は、本県が本土から遠く離れた離島県であることと生産基盤の脆弱性等を考慮し、特恵措置的な関税制度を導入するものとする。

(3)IQ枠の撤廃等輸入の自由化
 輸入割当や関税割当制度で輸入が制限されている品目の輸入を自由化する。

(4) 輸入手続きの迅速化・簡素化
 輸出入許可・承認等の権限の一元化を図るとともに、到着即時輸入許可制度の拡充、及び輸出国審査の承認等輸出入手続きの迅速化・簡素化を引き続き推進するものとする。

2 税制及び金融等の特例措置

(1)投資税額控除制度の創設
 資本集約度の高い産業や設備更新期間の短い業種、市場の動向や技術展開の方向性が見通しにくい先端産業等の立地促進を図るため、投資税額控除制度を創設する。
 内容は、投資額の五〇/一〇〇を最長一〇年間にわたり法人税から控除する。但し、毎年度の控除限度額は当該年度の法人税額の四〇/一〇〇とする。

(2)法人税率の軽減
 先進諸外国と比較して高水準にある法人税率を、沖縄において全国に先駆け現行の三七.五%から三〇%に軽減することにより、国内外からの企業立地の促進と企業の活性化を図るものとする。

(3)自由貿易地域投資損失準備金の拡充
 現在、自由貿易地域内の認定法人に対し内国法人が出資等が行った場合、出資額の四〇/一〇〇については損金算入が認められているが、全県自由貿易地域制度の導入に当たっても引き続き拡充強化を図るものとする。

(4)地方税の課税免除等
 事業税、不動産取得税及び固定資産税の課税免除等については、現行制度の活用状況を踏まえ、その拡充強化に努めるとともに、地方交付税による減収補てんについて配慮するものとする。

(5)融資制度等の拡充強化
 沖縄振興開発金融公庫の「自由貿易地域等特定地域振興基金」の活用状況や立地企業の意向等を踏まえ拡充強化を図るものとする。

3 関連施策

(1)運輸関連の規制緩和
 離島県である本県にとって、運賃コストの低減が重要な課題となっていることから、本県の立地特性と国際物流の動向等を踏まえ、各種規制緩和の推進や空港・港湾使用料の軽減等により国内外とのネットワークの拡充と運賃の低減を図るものとする。

(2)関連インフラ整備の推進
 自由貿易地域の拡大展開に向け、港湾・空港・情報通信等基盤インフラの整備を推進する。

V 実現に向けて

@ 新しい通関システムの構築
 県全域が自由貿易地域となった場合、沖縄から本土への外国貨物の違法流出の問題が想定されることから、通関システムを新たに構築するものとする。

A 外国貨物の区分 外国から輸入する貨物を、県内のみで消費される「消費貨物」、県内の工場で加工し、本土へ移出又は県内向けに販売される製品の原材料となる「原材料貨物」、本県を経由して、本土を移出される「通過貨物」、本県を経由して外国に転送される「トランジット貨物」、に分類する。など、用途変更については、原則としてこれは認めないものとする。

B 関税等の取り扱い「消費貨物」は内国消費税を納付した上で、輸入通関する。「原材料貨物」は保税のまま工場等に搬入し、「原材料貨物」を使用・加工した製品を本土へ移出する場合は内国消費税のみを支払う。「通過貨物」は関税及び内国消費 ナを納付した上で輸入通関する。「トランジット貨物」は通関することなく保税のまま外国へ輸出できる。

C 県産品の本土への移出 県内で生産された農林水産物及び県内の原材料のみを使用・加工した工業製品等のの本土への移出にあたっては、現状のまま関税の納付なく自由に移出できるものとする。
  旅具通関 沖縄から旅行者が持ち出す外国産品については、原則、現行の携帯品免除規定を適用し、超過分については関税等を課すものとする。

2 スケジュール

 県全域を対象とする自由貿易地域制度については、二〇〇一年を期して導入するものとする。なお、導入に当たっては、税制上の特例措置等を先行実施するなど準備期間における産業振興策を推進し、既存産業の保護・育成についても十分配慮するものとする。

W 実施に向けた対応策

 全県自由貿易地域の導入による県内産業への影響等を考慮し、多角的視点から調査検討を行い、所要の対応策を講ずることとする。

1 関税の免除により影響を受ける産業への対応策

 県内の製造業や農林水産業と競合する関税免除の原料や製品・農林水産物の輸入により、県内産業に大きく影響を及ぼすと想定される品目については、関税免除等の対象外とする。

2 既存企業等に対する支援策

 県内の既存産業等において、全県自由貿易地域の導入により大きな影響を受け、体質強化を図ることが必要とされる場合、又は県が定める特定の事業へ転換を行った場合は、低利融資及び助成制度等を創設し、これらの企業を支援することとする。

X 当面実施する項目

 現那覇地区の活性化を図ることを中心に、当面、以下の項目を平成一〇年度から先行的に実施するものとする。加えて、現那覇地区の拡大、中城湾新港地区への展開、既存企業のサブゾーン指定等地域の拡大整備を図る。

・関税の課税の選択制の導入
・輸入割当及び関税割当制度の撤廃等輸入の自由化
・域内消費に係る内国消費税の免除
・沖縄開発庁の事業認定及び地区税関の保税許可を要する等の仕組みの簡素化
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆資料2◆

国際都市形成に向けた産業振興策の展開(県最終案)
全文(琉球新報1997-11-7 朝刊掲載)

はじめに
T 新たな産業振興策

1 基本認識

2 基本方向

(1)自由貿易地域の新たな展開
 「貿易・投資を拡大することにより、新規産業の創出や既存産業の振興及び県民生活の向上等を図るため、自由貿易地域を積極的に活用していくことが求められる。このため、思い切った制度の拡充と地域拡大等により、自由で活力ある事業活動が展開できる国際レベルの経済交流拠点の形成と豊かさを実感できる地域社会の実現を目指す。
 本県の製造業や物流業等が発展していくためには、県内の限られた市場にのみ依存するのではなく、本土や近隣アジア諸国の市場動向を視野に入れた事業展開が必要である。そのため、自由貿易地域の新たな展開により、移輸出型産業の振興や移輸入産品の代替産業の創出を通じて、製造業を中心とした物的生産部門の強化を図る。
 併せて、本県の地理的優位性を生かし、物流機能の向上や情報通信関連産業との連携により、国際的な物流拠点の形成を図る。さらに、自由貿易地域制度のメリットを活用し、国内外の観光客等を対象に観光拠点に免税店を設置し、観光関連産業の振興を図る」

(2)情報通信関連産業の集積促進
(3)国際観光・保養基地の新たな展開

U 具体的施策

1 自由貿易地域制度の拡充・強化
 「自由貿易地域の新たな展開に向けた拡充・強化については、当面、那覇地区の活性化や新たな地域への拡大展開など、物的生産部門の強化を重点に、以下の措置を実施するものとする。
 その中で、地域の拡大については、中城港湾新港地区や豊見城地先地区等に展開するほか、既存の工場等も指定により当該制度の適用ができるようにする。
 なお、全県自由貿易地域制度の導入については、二〇〇五年を目途とし、諸条件が整い次第、可及的速やかに実施する」

(1)関税等の免除 「沖縄に搬入される外国貨物のうち、自由貿易地域内及び指定工場等(以下、域内)で使用される加工・製造用原材料や部品、半製品等については、一定品目を除き関税(課徴金を含む。以下同じ)を免除する」
(2)域内における使用・消費等に係る関税等の免除「域内において使用又は消費する一定の外国貨物(工場内に設置する機械・設備、工場内で使用される消費燃料等)について、関税及び内国消費税を免除する」
(3)輸入割当枠の非適用等輸入の自由化「域内で加工又は製造に供される外国貨物のうち、輸入割当及びその他法規制されている物資については、一定品目を除き輸入を自由化する」
(4)域内から国内に搬入される製品に係る関税等の取り扱い「域内において外国貨物を用いて加工・製造した製品を、国内に搬入する場合、関税を免除するなどの特例措置を講ずる」
(5)免税店の設置「観光リゾート地としての魅力増進と観光関連産業の振興を図るため、国内観光客なども利用できる免税店(飲食施設を含む)を、空港、海港及び一定要件を備えた観光施設等に設置し、販売等に際しては関税及び内国消費税を免除する」
(6)特別法人の設置
(7)輸出入手続きの迅速化・簡素化

2 税制上の優遇措置
3 運輸関連の規制緩和等の推進
4 入国手続きの簡素・合理化
5 基盤インフラの整備
6 主要な施設等の整備
7 人材の育成・確保
8 その他の関連施策

V 期待される効果等
 1 交易型産業
 2 情報通信関連産業
 3 観光関連産業

W 自由貿易地域の新たな展開に向けての対応
 1 農林水産業対策
 2 中小企業等対策
 3 県民生活への配慮



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