Cascading Style Sheetsを使ふ際には、スタイルの繼承と云ふ概念を理解しておく必要があります。「大雜把→詳細」或は、「一般」→「特殊」と云ふのがCascading Style Sheetsの基本ルールです。
但し、思考の論理的な構造を視覺・聽覺・その他のメディアに變換する爲には、常に機械的にトップダウンでやれば良い譯ではありません。思考は内容を持ちます。ですから、思考の内容に基いて、例外處理をしなければならない部分が當然、出て來ます。
さう云ふ譯で、Cascading Style Sheetsの繼承のルールには、細かいところで例外があります。
「大雜把な指定を詳細な指定が上書きする」と云ふ事は、「先行する指定を後からした指定が上書きする」と云ふ原則でもあります。色々ごちやごちやした決りがありますが、要はあらかじめ原則を決めておいて、例外が出現した時に例外處理をする、と云ふのがCascading Style Sheetsの發想です。
HTML自體で見榮えを處理し、HTMLで出來ない例外處理だけをスタイルシートにさせる、と云ふのは、スタイルシート自體の存在意義を否定する事なので、絶對にやつてはいけません。スタイルシートは「物理マークアップ」の尻拭ひをする爲にあるのではありません。
實際には、文書制作者の指定したスタイルシートが最優先となり、次に閲覽者の指定したスタイルシートをユーザエージェントは使用します。それらの指定が全く無い時、ユーザエージェントは自前のスタイルシートを使用して、HTML文書のレンダリングを行ひます。
Cascading Style Sheetsでは基本的に、HTML文書の特定の部分(セレクタ)を選擇し、その選擇された部分に對してスタイルを指定します。そして、或セレクタにスタイルを指定した場合、そのセレクタの中身にも同じスタイルが適用されます。
但し、文脈によつてスタイルが繼承されるかされないかは異ります。HTML文書では、HTML文書の論理構造を基に、Cascading Style Sheetsの繼承の仕組は決定されてゐます。
HTML文書の制作者は、Cascading Style Sheetsを利用しようとする時、HTMLの論理的な入れ子構造を豫め理會しておかないと、Cascading Style Sheetsの繼承の概念は理會が出來ません。