縄文文化を巡る!  

 2019年「waiwai隊」 縄文遺跡を巡る旅(北海道・北東北)
北海道埋蔵文化財センター(2019年6月21日)

 今日は大麻まで電車で移動します。小樽を8時10分発の電車に乗って、札幌には9時6分に着きます。ただ午後の便で、札幌から函館へと向かいますので、札幌駅の構内のコインロッカーにスーツケースを預けます。そして、9時21分発の電車で大麻には9時43分に到着です。このタイムスケジュールは、札幌(15:39)スーパー北斗18号→函館(19:24)に間に合うように大麻の北海道埋蔵文化財センターへ往復するように組んでいます。

 大麻駅では、大学生らしい若者が降りてました。改札を抜け、駅前には案内板があるだろうと、キョロキョロしますが周辺の案内図さえありません。誰かに訊ねるしかありません。目に付いたのは、緑の窓口でした。駅員さんは直ぐさま応対してくれました。手元にあった地図をコピーして、言うには「その先にある陸橋を渡って、向こう側へ出て右の方へ行くと判ります」とプリントを貰ったのです。

 陸橋を渡ると、国道12号線を南下して、一路、案内板に表示のある『北翔大学』を目指します。プリントを手に大きな道を行きますが、さて、路地へと入る目印が判りません。暫く進むと、年配の男性が向こう側の歩道を歩いて来ましたので訊ねます。私達の問いには、直ぐに分かってもらい、道を教えて頂きましたが「先日、熊が出たというニュ-スがあった」ともおっしゃります。


 オジサンの言う道順で進み、埋蔵文化財センターには10時過ぎに到着しました。駅からは25分ほどでした。



【関連リンク先】
北海道埋蔵文化財交流センター 
 
 
・6月17日(月) 松山  ~岡山 ~東京 ~新函館北斗 ~函館(泊)
・6月18日(火) 函館  ~洞爺  ~有珠山トレッキング 洞爺湖温泉(泊)
・6月19日(水) 洞爺湖温泉 (撮影) ~入江・高砂貝塚~北小金貝塚~東室蘭(泊)
・6月20日(木) 東室蘭  ~札幌~小樽  ~小樽市総合博物館・手宮洞窟保存館
 ~小樽(泊)
・6月21日(金) 小樽  ~札幌~大麻(北海道埋蔵文化財センター) ~札幌 
 ~函館(泊)
・6月22日(土) 函館  ~新函館北斗  東京  ~佐倉(泊)
・6月23日(日)  (国立歴史民俗博物館)佐倉  ~東京  ~岡山 
 ~松山
 




 玄関を入ると、ホールとなっていて受付の女性が居ました。展示室へと向うと、こちらにも女性が居て、傍らで何かグッズのようなものを販売しているようでした。見物の人は私達だけのようでした。

 

 展示室の入口の横でビデオが映し出されていたので腰を下して見て、10分ほど休憩です。その後、展示室を見て回る事としました。さてどういう順序で・・、取り敢えず時計回りで見て回ります。尚、展示はそれぞれのコーナーに別れていて、≪遺跡調査と保護活動≫≪石の道具≫≪木の道具≫≪金属の道具、骨角の道具≫≪土の道具≫≪装いとこころ≫≪動物とひと≫≪キウスの縄文ムラ≫と続いています。
 尚、この全てについて事細かく紹介する事は不可能ですので、割愛しての紹介となるのをお許しください。





≪左、遺跡調査と保護・活用 右、遺物の分析と保存≫
 

≪下写真4枚は、90度づつ四方向から≫
 
 



 大きな展示ケースに飾られている土偶が変な展示の仕方でした。それは『千歳市キウス4遺跡(縄文時代後期後葉)』と表示されています。『何で鏡に乗せているのだろう』と、不可思議な展示です。すると、何処からか職員らしき方が「熱心にご覧のようですが、案内しましょうか?」との申し出です。勿論、断る理由などありません。

 その方は、このセンターの常務理事だと自己紹介され、私たちは四国・愛媛から訪れた旨を話したのでした。彼は愛媛の片田舎の久万高原町の学芸員の名まで知っていたのは驚きでした。(注:久万高原町の石偶=縄文のビーナスは、“線刻礫”としては日本列島では最も古いものとされています)

 また、同じく大きなケースに収められた土面は≪国指定重要文化財(千歳市ママチ遺跡)≫と表示されています。この土面の説明で、「以前、NHKで放送された際、女優さんに説明したのは私です」と言われます。それは、「NHK BSプレミアム(2016/12/9)≪超古代からの挑戦状!2~行き倒れ“縄文・仮面男”の謎~≫」という番組で放映されましたが、私達も「その番組は見ました」と話が広がっていきます。



≪キウス縄文ムラ≫
盛土遺構と出土遺物 常設展示



 ちなみに、この土偶(脚部)は“座産”を表現しているとおっしゃるではありませんか。これと同様の恰好をした土偶で、国宝指定されている土偶があります。青森県・八戸の是川石器時代遺跡の【合掌土偶】です。上の写真は土偶の底部に孔があいているだけですが、【合掌土偶】は腰の底部に女陰と思われる形状を表しています。




 さてセンターの方は、ぐるりと展示の遺物を廻りながら説明をしてくれます。ここでは、その全てを憶えている訳ではありません。しかし、後で確認すると、その説明は一時間を超えていました。
 続いて「資料室を見ますか?」と、遺跡から掘り出されて展示されていない遺物が置かれている部屋に案内されました。整理棚に置かれた遺物は果たして何点あるのでしょうか。

 これで説明が終わるかと思いきや、「時間はありますか?」と聞かれ「たっぷりとあります」と応えると、「コクゾウムシ圧痕土器」についての話なども窺いました。



コクゾウムシ圧痕土器【福島町 館崎遺跡出土土器】

 本土器は縄文時代後期初頭の桶元Ⅱ式土器の深鉢土器で、土器の表面を詳細に観察すると、コクゾウムシ Sitophiiuszeamaisの成虫の圧痕が多数認められます。圧痕総数は87点にも及びます。
 コクゾウムシは縄文時代の貯蔵堅果類の害虫と考えられ、圧痕は全国で60箇所ほどの遺跡から発見されています。しかし、これほど多数の圧痕を持つ土器は他にありません。
 本遺跡のコクゾウムシは体の大きさからクリを加害したもので、縄文時代前期末に津軽海峡をクリ果実に隠れて渡ってきたものの子孫たちであったと考えられます。


 帰宅後、この件を思い出した相棒がwab検索で『昆虫考古学(小畑弘己著)』の中に、以下の記述を見つけました、

「この復元土器には合計で417匹のコクゾウムシが入っていた。3Dのドット図を見ると、コクゾウムシの位置を表したドットだけで土器の形がわかるほどである。この復元土器は全体の16.8%の部分が欠落しているので、推定で501匹のコクゾウムシ成虫がこの土器の中にいたことになる。もはやこれは意図的混入という他ない。」と述べ、クリやドングリから出て来るコクゾウムシを土器に練り込んだという見解を解くものです。


 

≪各種装飾品類≫
 
 
 

 

≪続縄文文化の琥珀連珠≫


  

≪左、旧石器時代 右、縄文時代≫

 


≪土偶各種≫

  


  


≪土面≫
国指定重要文化財(千歳市ママチ遺跡)



≪土面≫
国指定重要文化材:昭和63年6月6日制定

昭和61 (1986) 年、道央自動車道千歳インターチェンジを出てすぐのママチ川のほとりにあるママチ遺跡から発見されました。約2300年前の縄文時代晩期のお墓から見つかりました。高さ17.9センチ、幅18.4センチで、お祭りの露店で売っているお面とほぼ同じ大きさです。口と目の部分がくり抜かれ、静かな死の表情をあらわしています。当時、この土面は墓標に付けられていたようです。昭和63 (1988) 年、国の重要文化財に指定されました。




 センター内の案内をして頂いた方は、“足形付土製品”については持論があります。と、展示の足形を前にして語ります。この足形付土板については、函館市の縄文文化交流センターに展示していて、『なぜ、限られた時期、限られた地域だけにこの風習が現れたのでしょう。謎は深まります。』と紹介されていました。
 この足形土製品は、お墓の副葬品として見つかっています。何故?幼子の足形だったのかが、一つのヒントと考えて良いでしょう。

 センターの方の持論は、「写し取った子どもの生命力によって、亡くなった人の再生を望んだものかもしれません」というようなことでしょうか。

 ちなみに、前述の縄文文化交流センターでの記述はコチラから 


土の道具
≪左から縄文時代草創期⇒縄文時代早期⇒縄文時代前期⇒縄文時代中期≫


 

≪左から縄文時代後期⇒縄文時代晩期⇒続縄文時代≫

 

≪左からオホーツク文化⇒擦文時代≫




≪―八雲町野田生1遺跡 赤彩注口土器―≫
12区B遺跡出土の異形環状土器

 


左、千歳市美々4遺跡 右、千歳市キウス7遺跡(下部単孔土器)


 
 ここまで、説明していただいたことを仔細に憶えている訳ではありません。案内された後で、私たちが展示室を見て回っていると、再び見えられて「これは、私どもで作っている冊子です。荷物になりますけど、良かったら見てもらえたら」と、『北の発掘物語』(テエタ【teeta】)を頂きました。その冊子には、センターに展示されている遺物について仔細に述べられていました。

 昨日、一昨日と何か消化不良気味の遺跡・博物館巡りでしたが、やっと充実の一日でした。

 さて満足の出来る見学は、あっという間に時は過ぎました。しかしこの間、私達の他には誰も訪れませんでした。“クマ”が出るので皆んな恐れをなしているのでしょうか。センターを出たのはもう12時を過ぎていました。大麻駅まで戻る途中に綺麗な建物のレストラン風の店に入りました。若い女性が利用するような雰囲気の店内でした。
 昼食を終え、大麻駅からは札幌まで10数分でした。ここで、2時間程の時間潰しです。と言っても、何分、地理不案内の二人です。駅周辺の地図を見て、大通り公園へと“ブラわいわい隊”と繰り出しました。そして、コインロッカーから荷物を取り出し、札幌発(15:39)のスーパー北斗18号 → 函館(19:24)着で、今日の予定は終了です。

 さて、明日の函館見物はどうなるのでしょうか?