藪漕ぎの楽しみ

かいなぎ山は何処?・・【2012年6月9日(土)】

 先日、笠取り山へ寄った際、『かいなぎ山』への路が刈り払われていたので、帰宅後、ネットで検索すると、内子町で路を整備したとの情報(お山へ行こうプログ)で新たな情報を入手したのだった。その情報によると、内子町側の『かいなぎ林道』に登山口があり、かいなぎ山から笠取山まで稜線沿いに路が整備されたようだ。

 25,000図を別画面で開く  

 

 先週(6月1日)は、笠取山のツツジを見に来たのだったが、以前は笹の中に僅かに踏み跡を認める程度だった稜線の路が刈り払われていたのだった。そして、下から戻ってきた登山者から『ブナの森がある』との事。そこで私は、相棒の目が『キラリ』と光ったのを見逃さなかったのだ。その日は、すぐ先の森を見に行ったのだが、前述の情報によると、かいなぎ林道から『かいなぎ山』への途中にある森に興味津々なのである。今日は、その森を見に行くこととなった。今日は笠取山からの明瞭な尾根を降りて、森を目指す。

駐車場 11:20 笠取山 11:28

 R33号線から県道を辿り、美川スキー場を過ぎる頃には、霧で前方の見通しが悪くなって来た。先週とは違って、対向車にも出遭わないし、美川峰辺りの道路工事もしていなかった。標高1300mあたりから、ずっと、雲の中を走っているようだ。しかし、笠取山の直下にある駐車場所(多分、牧場の牛舎跡だろう)には、高知と愛媛ナンバーの車が停まっていたのだった。車のドアは開けっぱなしで、何か大きな音量で音楽が聞こえていて、車外で食事中の人がいた。出発準備の前に、挨拶を交わしたのだが、どういう目的でここにいるのか判断しかねる・・怪しげな(?)グループだった。一方我々は、軽い昼食を終え準備を終えれば霧の中へと出発だ。直ぐに笠取山へ着く。もう11時28分だった。

刈り払われた道 

 以前(2000年、5月)に笹の中へ踏み入れた折は、兎に角、『町界(郡界)尾根』を辿ろう・・と、所々に建つ柵(牧場だったの?)と有刺鉄線を右へ左へと辿った。それに比べ、刈り払われた路は歩き良い。そして、新しく付けられた路は稜線から外れ、森の中へと導かれた。稜線の路に戻ると、所々で、“裸足で歩くと危険です・・”と警告を発しているように、有刺鉄線が地面に這っている。

路はブナ林の中へ ブナ-1

 笠取山から降りて直ぐの森は、先週も訪れていたが、今日の目的の森は“かいなぎ山”の下方にある森だ。しかし、相棒はこの森のブナを撮る。先日とはシチュエーションが違うからなのだ。ここでは、少々の撮影タイムで切り上げだった。その森を抜けると、すぐ先に小ピークがある。しかし今日は、辺りは何も見えないのだ。12年前に引き返したのは、このピーク辺りだったのかも?しかし、この視界ではなにも確認出来ない。

靄の中を行く 12:10 小ピーク

 地図によると、大川嶺〜笠取山〜水なし山への町界(郡界)尾根は、ず〜っと南へと一旦高度を落とし、黒川を越えて再び高度を上げ、丸石山へと向かっている。

 『愛媛の山と渓谷・中予編【愛媛大学山岳会編】(初版:山内 浩著)』には『笠取山からかいなぎ山(1,422m)までは約1.3`。かいなぎ山からは西の尾根から、かいなぎ谷を降る道がある。かいなぎ山から水なし山(1,408)まで約1.3`、ここから東の名荷に降る道がある。さらに尾根伝いの道を約1.2`進むと、送電線の鉄塔があり、送電線伝いに水なし谷に降り、小田深山渓谷に出られる。』との記述がある。この本は、初版が昭和48年でその後の改版はあるものの、地域によっては原文そのままの自然が残されている場所もある。ちなみに、この項が紹介されている大川嶺と笠取山の概略図には、美川スキー場から茗荷までの道路(現在は、県道328号線が貫通)も記載が無い。今回、復活した路は、かいなぎ山の西尾根をかいなぎ谷へ降り、かいなぎ林道を辿る路のようだ。ここで、私の興味を引いた文言があった。それは、“水なし谷”である。いつの日かこの水なし山の周遊コースを辿る事が出来るのだろうか?

12:22 かいなぎ山のピーク 一面の靄の中にブナ林が

 前方に何個目かのピークが確認出来た。そのピークの先に同様のピークがあるが、刈り払いの路は、右(西)へと降りていた。12時22分、ここがかいなぎ山だった。つまり、水なし山方面へは刈り払われた路は無い。今回の目的は、かいなぎ山から林道へ降りる西尾根に広がる森なのだ。濃いガスは、相変わらずだが、相棒は嬉々として三脚を構えている。一方、小生はデジカメなのでパチパチ・カシャカシャとシャッターを押しながら、辺りの様子を窺うのである。

林の中のギンリョウソウ ブナブナ

 森の中では、笹が疎らになった場所にはギンリョウソウが生えている。濃いガスに覆われた暗い森にポッと浮かぶ真っ白い彼らの正体は一体何なのだろうか?

本日の最終地点 ブナブナブナ

 この界隈へは、徳島や香川の人たちは随分とアクセスが悪いし、また、県道や林道を奥深くまで乗り入れる必要がある。一方、高知や松山からだと案外容易に入れるし、私の場合は渓流釣り(面河川水域)でよく利用していたので案外有利なのだ。

 ブナの森を覆うガスは、薄くなったり濃くなったりするものの晴れてしまう事はなかった。四国の山々はどの山域も同様なのだが、とりわけ林業の盛んだった旧小田町は、稜線まで植林された山域が多い。また、旧柳谷村も同様に稜線まで植林の手が入っている。しかし、僅かに残された広葉樹林が拡がる場所には、ブナの森が残っているのだ。相棒は最近、とみにそのブナの森に執心している。

ギンリョウソウの一家 靄・靄 帰路に着く 14:31

 この森に入って、もう二時間を経過する。一時間もあれば、車まで戻れるだろうからゆっくり出来るのだが、相棒は時間の経過など関係ないかのようで、私が『そろそろ帰ろうか?』と、言うまで腰を上げないのだ。

 納得行くシチュエーションを撮り終えた(出来上がりは兎も角として)相棒が三脚を仕舞い、再びの“かいなぎ山”を後にしたのは14時半を回っていた。ガスの中では、後は戻るのみである。

 

 

                      

つぶやき

 このページは“waiwai”が担当しているので、山行日からは随分日が経ってからのアップとなる。

脱原発ポスター展より

 この山行から何日か経過した後、当記録を書いているのだが、中々完成しなかった。この間、にわかに『原発再稼働』問題が世論を二分するかの勢いである。そこで敢えて小生の意見をここに載せることとした。昨年の3・11東日本大震災による東京電力・福島原発の事故による被害は、放射能汚染という人類の未来を左右しかねない危険性を白日の下に晒したのだった。日本は、チェルノブイリ(旧ソ連)やスリーマイル島(米国)の経験を活かすことなく、福島の事故を生んでしまった。事故からこの一年余り、原発の危険性や放射能汚染の問題などを身近な問題として考える機会を得た。そしてこの5月、国内の全原発が停止する事態に至り、各電力会社の『このままでは、今夏の電力供給が危ない』のキャンペーンを受け、野田首相が8日夕の記者会見で、関西電力・大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について「国民生活を守るため、再稼働すべきだというのが私の判断だ」と述べ、そのうえで「今、原発を止めてしまっては日本の社会は立ち行かない」とも述べ、国民に理解を求めた。ここでいう“日本の社会”とは、誰の事を指しているのだろうか? 経済界? 企業? それとも電力会社か? “日本の社会”は日本国民で成り立っているんじゃないのかな!

 

 この大飯原発の再稼働については、嘉田滋賀県知事が原発再稼働問題で先日「再稼働、止む無し」と、態度を一変させた。また、「(夏場の)電力不足で“停電になったらどうする?” “お前は責任取れるのか?”と関電、国、企業から脅された。」との発言をしたが、その後、取り消さざるを得なかったのだ。知事は県民から選ばれたもので、県民の信託こそ受け、国や企業からの信託などは必要ないと考える。ましてや、一企業である関電の顔色を窺う必要など無いのである。電力会社は電力が供給出来るように努力する事が勤めである。その結果、電力不足が想定されるのならば、利用者に『電力不足となるから』と、節電の要請をする・・それが、順序である。そのような企業努力をしても、必要な電力を供給出来なかった時には然るべき責任をとれば良い。この一年余り、国民には「このままでは、供給電力量が足りない」と、国民に節電努力をするようとのキャンペーンをして来た。そして国民は、何らかの形で節電の努力をしてきたのだ。そして、これからも節電を務めるだろう。それにも関わらず電力供給量が不足するなら、日本国民は停電も敢えて受け入れるだろう。そう、昨年の3・12以降の東京電力管内がそうだった。今、福島の悲劇が終焉しないまま、その事(事故による放射能汚染)を忘れ去っていいのだろうか?

 

 

 脱原発ポスター展より

 国を初め、各級行政機関は窺う顔を間違ってはならない。国民の声を無視し、マスコミを利用して世論を誘導する。こんな手法は、いつまでもは通じない事を知るべきだ。マスコミはこの間、嘘で固めた報道を垂れ流し、再稼働に反対する人たちの行動の報道などには見向きもしない。しかし、私たちは昨春来の『アラブの春』を見聞きしたのだ。そして今、私たちの国では『さよなら原発1000万人アクション』を始め、愛媛でも『伊方原発をとめる会』『原発さよならネットワーク』などの各種運動がある事を認識すべきだ。

 

 小生は相棒とともに、6月10日の『伊方原発稼働阻止!!愛媛県庁包囲行動』に参加した。いくらネットでガヤガヤと議論しても問題の解決にはならないし、進展もしない。ましてや、この国のお偉方は判ってくれない。たとえ、少数の参加でしかなくても何かを始めなくては・・。そして、新聞報道によれば『中村時広知事は18日、県庁で定例記者会見。関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働について「関西は数字を見る限り突出して電力不足が深刻で、福井県知事が同意されたということは、愛媛と違う地理的条件を踏まえた安全を判断した結果」とコメントした。四国電力伊方原発3号機(伊方町)の再稼働には「安全性を何よりも優先させる。経済情勢なども加味しながら総合的に判断する」と述べた。 知事は原発について「国のエネルギー実態や経済情勢などを考えると、今すぐになくすのは現実的でない」と指摘。伊方3号機再稼働には、現段階では白紙としつつ「条件を整えた上での再稼働は必要。自然エネルギーではカバーできないとの背景もある」とした。また四国の電力需給について「廃炉が決まった火力のフル稼働でキープしており、綱渡りの状態」と予備率の低さを問題視。停電になれば広範囲にわたって影響が出るとし「再稼働についての議論はすべきだ」との考えを示した。』と報じている。結局のところ、この一連の問題で橋下市長(今や、ハシズムとも呼ばれている)や中村知事らの『XXの会』の素性を露呈した形になってしまったのだった。

 

 

               

【帰路】

 相変わらず、ガスが流れているものの午前中より薄くなっている。いつもの山行だと、帰路は降りとなるのが常なのだが、今回は登りである。登山口から、ずーっと降りて山頂を踏む山行は希少である。しかし、少々のアップダウンがあるものの高度差は200m余りなので、ど〜っということはない。

  

 かいなぎ山から笠取山への尾根というより稜線沿いの路は、笹原が拡がる快適な路だ。その笹も丈が短く辺りが見渡せる。しかし今日は、ガスのせいでその景観は望めない。今日は、霧のせいか風のせいか虫も纏わりつく事もなく、汗もかかない。

カマツカの花 コツクバネウツギ? 時々靄が薄くなる  

 背の低い木に、花が咲いていた。どうも、白い花と黄色い花は、違う木のようだ。白は“カマツカ”で黄色は“コツクバネウツギ”だろう。

   

 後日、調べて見ると『カマツカは北海道・本州・四国・九州、朝鮮・中国に分布する落葉低木。各地の二次林、特にアカマツ林などに普通な落葉低木であったが、森林の発達によって次第に少なくなりつつある。高さ5m、直径10cmほどになるというが、普通はこれほど大きくはならない。伐採されると根際から萌芽し、シュートを形成して立ち上がって回復する。材は粘り強いので鎌や鎚の柄にされるけれどもあまり長い材を得ることができず、長くても1m程ではないかと思う。このようなことから、鎌程度の柄には良い材料であるとの意味で、カマツカ(鎌柄)と呼ばれているものと思う。この名前の他、ウシコロシという和名がある。これは、牛の鼻ぐり(鼻環)に使うことから付いた名前であり、これも材が粘り強いことから付いたものである。』とある。一方、『コツクバネウツギは静岡・福井以西の本州・四国・九州に分布する落葉低木。林縁や明るい二次林に生育し、適潤地を好む。樹皮は当年枝はほとんど無毛で赤褐色。二年枝は灰色となる。葉は長さ1.5-5cm。勢いのある枝の葉は鋸歯があり、時に全縁。表面は光沢があり、ほぼ無毛。葉縁や裏面の脈腋には毛があるが、ツクバネウツギよりも少ない。花は5〜6月に開き、果実には2〜3枚のがく片が残る。岡山県ではがく片が5枚のツクバネウツギと混在して生育している。和名は「小衝羽空木」である。』とある。両者に共通しているのは、どちらも“二次林に生育する落葉低木”だった。

  再びの笠取山 15:21 駐車場へ帰着  

 左手(西側)にツツジ類が表れ始めると、急こう配の路を少しで笠取山に着く。15時21分だった。頂上から少し降ると愛車の駐車場所の広場だ。朝方の二台の車も、ガスの中に停まったままだった。

   

 

 


 かいなぎ山のブナ林、巨木があるんだけど、なかなか思うように撮れないのよねぇ〜。ギンリョウソウがたくさん生えとったんやけど、マクロレンズは持ってなかったし・・・。これに懲りずまた行くんじょ。

 おっちゃんと参加した
『伊方原発稼働阻止!!愛媛県庁包囲行動』では、福島の女性の挨拶≪福島では、病院で放射線の影響以外考えられないと言われた子供の症状や、子供たちや大人にも甲状腺に異常がある人が多いのに検診の結果を公表してないし、マスコミも報道しない。広島で受診した結果も、子供に明らかな放射線による甲状腺の異常があるのに、取材にきたマスコミは乳児には異常が無かったとしか報道しなかった≫との訴えがあり心に残ったんじょ。今頃になって次々に真実が明らかになってきとるけど、隠されずリアルタイムで本当の事を知りたいものだわ。