2011年「waiwai隊」 秋の山歩きの記録(撮影山行)  
     2011年10月5日(水)〜10月10日(月)  
       
  ・10月8日(土)南岳小屋〜中岳〜大喰岳〜槍ヶ岳(槍沢)〜槍沢ロッジ    
   相棒は3時には、星の撮影に出掛けた。カメラのシャッターを押せば、何十分かは待つだけなので、私は小屋に引き返した。小屋の受付の前にあるまだ火の入っていないストーブの前で時間潰しである。  
       
  夜明け前の南岳小屋   
     
   朝陽の常念岳   そういえば、昨晩、小屋のスタッフが「明日、キレットを予定している人で、腕に自信のない人にはお勧めしません。岩には、雪じゃなくて氷が付いています。アイスアックスの世界です。特にキレットが初めての人は止めて下さい」と強い口調だったのだ。夕食時、隣りに同席した若いペア(彼氏(?)に連れて来られて「八ヶ岳には行ってます」という北アルプスデビューの彼女)はどうしたのだろうか?  
       
    昨日の横尾尾根の登りから、今日の槍ヶ岳まで前後して歩く事となった方の話では・・「昨夜夕食前に小屋に着いた四人組は『横尾右股から小屋に向けて縦走路へ上がった。途中、どちらも絶壁でどうなるものかと思った』と言っていた。クライミング装備も無しで、そういうルートを歩く人もいるんですね。」と、そう言えば私の“お知り合い”にも思い当たる人がいたっけ。小屋のスタッフが朝食の準備を終え、ストーブの火を付けに顔を出したのは、4時半頃だった。  
       
   
   waiwaiの写真は、こちらから・・・・・      
       
   南岳にて   5時からの朝食を終え、朝陽の撮影にそれぞれがスタンバイである。相棒は、夜中と同じ場所で三脚を据えた。5時半には、東の空が明るくなりかけたが、私のコンデジでは数分待たないと、シャッターは下りない。結局、6時半頃までの一時間ほどで撮影会で幕が下りた。昨日の様子では、6:4から7:3位の割合で槍ヶ岳へと向かう人が多いみたいだった。7時過ぎに準備完了だが、私達は皆より遅れての出発だった。  
       
   横尾尾根を俯瞰   南岳の頂上は朝陽に照らされていた。また、昨日辿った横尾尾根にも朝陽が射しているのだが、横尾の谷底までは日差しは届いていない。私も相棒もフリースの上からカッパを着こんでいるが、今は汗にまみれる程では無い。南岳では、ここ数日最高気温も0℃前後らしい。昨日降った雪は、来春までこのまま融ける事が無く根雪となるのだろう。  
       
   ギザギザの前穂   歩き始めて30分ほどでコーヒータイムである。初めて来た路だが、なんだか辺りは、見覚えのある風景に包まれている。前穂高からギザギザの尾根が屏風岩へと続く様は圧巻であるし、また、朝陽が差し込み始めた横尾右股や横尾本谷あたりまで姿を現した。そして、背後に控える蝶ヶ岳から長塀山への稜線がシルエットのようである。  
  横尾右股  
     
   先程から、槍ヶ岳方面からの縦走者と入れ違う。普通に歩けば槍〜南岳間は、どちらも3時間程度と踏んでいる。北アルプスの縦走路では迷う事もないだろうし、整備が十分されていると考える。昨晩同宿した人は南岳西尾根ルートを使ったそうだが、「登りはまだ良かったが、下りは自信が無いので氷河公園経由で降りる」と、言っていた。さて、どんな路なんだろう。   
       
   中岳〜大喰岳〜槍ヶ岳  危ない岩  
       
   氷河公園を俯瞰   今日は土曜日、三連休の始まりだが、やはり、北アルプスである。登山者は絶えない。四国の山々だったら、この時間では(有人小屋から、一時間余の歩行)めったに人とは出会えない。それにしても、なんて雄大な光景が拡がっているものなの〜。  
       
   槍が近くなった   槍ヶ岳からの縦走者を避けようとすると「あら、又会いました」との声である。一昨日槍沢ロッジで言葉を交わした中年カップルだった。昨日は槍ヶ岳山荘へ泊まって、「二回も穂先へ登ったし、夜中に星を撮った」と嬉しそうに言っていた。暫しの挨拶で「お気をつけて」と、逆回りコースへとお互いに出発である。暫くで、氷河公園を見下ろす箇所に着いた。昨日辿ったコースと眼の前に広がる景色が重なり合うと本当に愉快である。  
       
  振り返って 中岳にて  
       
    中岳へは、9時過ぎに到着。記念撮影でコンデジにアラームが出てしまった。メモリーがフルになってしまったようだ。次の休憩でメモリーを替えることとして、応急措置はいつものように相棒の携帯である。  
       
   中岳の鎖場   中岳からは、鎖と鉄バシゴを降りるようになる。随分楽に高度が稼げるものだ。暫くでテン泊装備らしいザックに、メットを吊り下げた女性と行き違った。「キレットをやるんですか?」との声には「えぇ、駄目なようなら南岳西尾根から降りようと思ってます」との返事が返ってきた。山では、見知らぬ人との会話でもこんな事は日常の事なんだが、街で無精ひげのおっさんが若い女性に話しかけてごらん〜。すぐに110番へ通報されてもおかしくはな〜い。  
  鉄バシゴ  
   槍沢上部   中岳から降って行くと、右下方に槍沢が広がる。また、左下方は蒲田川の上流である飛騨沢へと落ちている。大喰岳の頂上で昨日から前後して歩いている方と会う。この方は、随所でデジカメを構えながらゆったりと歩いている。静岡の方で、「息子を山へ連れて行った際、カメラを始めたのだが今はデジタルからフィルムに乗り換えた」との話に、相棒は嬉しそうに相槌を打った。大喰岳を出たのは10時20分頃だった。  
  槍ヶ岳山荘が見えてきた  
   飛騨乗越   飛騨乗越を過ぎ、岩の間に仕切られたテン場を越えると山荘が見えて来た。そこへヘリが飛来して来たのだが、小屋のベンチで手を振っているオバサンがいた。理由はなんなんだろう・・手を振る。まぁ〜そんなことはどうでもいぃ。山荘には11時に到着。早速の昼食はカレーである。すると、昨日から前後していた件のオジサンも同席して、カレーである。  
  ヘリコプター  
    カレーを食べながら「穂先までどのくらい掛かるんかなぁ〜」に相棒は「私は行かんヨ、あんた行っといで」のつれない返答。すると、私の後ろに座っていた客のジィサン(失礼)は「今は渋滞は無いみたいだから、往復一時間ぐらいだろう」との事。この会話から結論は・・・。  
       
  穂先のアップ  穂先U  
   大喰岳〜中岳   槍沢を降りる。岩だらけの路である。九十九折れに付けられた路を次々と上がって来る人の群れ・・・今日は三連休の初日だった。暫く降った場所で相棒が三脚を要求した。登山者の邪魔にならないよう、石ころの中へ三脚を立て撮影。「やっぱり穂先へは、止めたのじゃね」との通りがかりの声の主は、先程のジィサンだった。私が穂先に行かなかったのは、南岳小屋を出発時には槍ヶ岳山荘へ宿泊予定だったのだが「この天候で、夜空の槍を撮っても作品にはならんし」と、写欲の失せた状況では、少しでも降りていた方が得策・・と考えての事である。  
       
   槍沢上部より  槍沢を見下ろす  
    相棒は、小屋を去る際、ビデオ班の人や昨日から前後したオジサンに「槍沢ロッジの予約が出来たので、降ります」と、挨拶してきた・・との事である。  
       
   坊主岩小屋   撮影の間にも次々と登山者は、行き交う。少し降ったところで坊主岩小屋(播隆窟)があった。皆、中を覗きこんだりしている。勿論、播隆上人が槍ヶ岳開山の祖であることぐらいは知ってるとは思うが、別に知らなくても登れるものである。江戸後期(槍ヶ岳:1828年開山)から180年余、幾多の人々がこの槍の姿を見た事か。別に歴史を知っていたってなーんにもなんない。そう、マッターホルンの姿から石鎚(天狗岳)の姿まで、どの山でも山は眺めるだけで良い。先程のジイサンじゃないが「別に登らなくても、眺めるだけで良い」私もそういう価値観を持ちたいものだ。  
       
    ふと気が付くと、登山者の中には随分とテント装備の人達がいた。槍ヶ岳のテン場はあまり広くはなかったように記憶している。コーヒータイム休憩をし、昨日通った分岐に着いたのは13時40分だった。  
       
  氷河公園への路  氷河公園分岐あたり  
       
   ばば平のテント風景   ずーっと登って来る人が絶えない。それでも、上の小屋は大きいから大丈夫だろうが・・。ばば平の手前の河原を見てビックリ。河原中テントの花が咲いているじゃないか。そして、テント軍団は、まだまだ上がってきていたのだった。15時30分に槍沢ロッジに着くまでである。  
    そして、喧騒は小屋の中まで続いていたのだった。一昨日にはあった生ビールが売り切れていたことが始まりだった.。一昨日の夕食は一班で終わっていたのだが、5時、5時45分、6時半、7時15分と続いていた。そして、2階・3階の各部屋は勿論のこと、廊下、談話室まで布団が並べられていたのだった。先日の様子から、横尾あたりは想像を絶する登山客(その殆どが、涸沢行だろう)が三連休を利用してのものと思われる。私達の食事は3班だったので、私は1班が食事中に風呂を利用した。  
       
  槍沢ロッジ前  
     
   
     
     
    全くもって情けない話を・・

 実は、ここ一年程前から少し右膝に違和感を感じていた。近隣の山を歩く際(特に降りの際に)感じていたのだ。それは、山でだけじゃなく家にいる際にも、右足を使う時(折りたたんでいた足を延ばしたおりなど)に何か膝にしびれみたいな感覚があるのである。しかし、今回の山行では殆ど違和感は無かった。その代わり、南岳小屋へ着いたあたりで腹の調子が変なのである。変?としか言いようのない表現なのだが、お腹に力が入らない感じ。カンジ。還暦を過ぎ、少々の体調の不調は仕方ないのかもしれない。いつまで山へ登れるのか?確実に、登れなくなる歳はやってくる。それが、近い将来なのか暫くは大丈夫なのかは判らない。

 神のみぞ知ることなのか?生き急いでもしょうがないことだ。騙し騙し、ゆっくりと、楽しめば良い。我々には、時間だけは余裕がある。欲張れば、ふところにも余裕があればもっといいのに・・。
 
     
     
    南岳小屋で二泊する予定だったんだけど、雪付きの横尾尾根を降りるのは気が進まなかったし、横尾尾根を降りれば天狗池に映る槍が岳を撮る事が出来るけど、紅葉が全然だったのであっさり止めたんじょ。南岳から槍が岳の縦走路は思ったほどきつくはなく、登山者も少なくて良かったんだけど、横尾までの下山路は高みに登ろうとする老若男女が入り乱れ、人生模様を見るようだった。こちらは降りるだけなので気楽なものだったし〜。(^。^)

 横尾ロッジでお風呂に入れたのは気持ち良かった〜!!