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CD Release

第302回 センチメンタルCANDY

はじめに

 アルバム「センチメンタルCANDY」が発売されてから10日が経ちました。とは言うものの、今回は発売前の8月11日のライブを皮切りに、いろんなところでフルコーラスで聴いたりもしているので、普段の10日経過時点と比べて、曲との付き合いが深くなっているというのが素直な気持ちですね。もちろん、昨日のライブに向けて繰り返し聴いていたというのもあるんでしょうけど。
 今回は、そのアルバム「センチメンタルCANDY」について、今の時点でのことを何かしら書いてみようと思っています。

心の深いところから

 他のところでも書きましたが、今回、制作当初から「センチメンタル」というところにも目を向けていたからか、普段に比べて弾けていたり突き抜けていたりする元気さ、という点では今までよりも少しおとなしくなっているのかな、という感があります。それでは、どこにこのアルバムの特色があるか、といったらより心の深いところからゆっくりと溢れて、いつしか包み込んでくるような暖かさだったり、優しさなんだと思います。
 もちろん、皆で弾けていけるような元気さなら「Shining Shining」がありますし、あるいはどこまでも突き抜けて走っていきそうな感じなら「キミと逢いたい明日のために」があるわけですけど。そうしたものも含みつつ、それでもトータルの印象としては先ほど書いたようなものになるわけですね。おそらく、その度合いとしては今までで一番強いレベルで、その色が出たんじゃないかと思います。
 そうした部分は、一度自分の中で気持ちをじっくりと見つめなおす、あるいは認識しなおす、そんな感覚から来てるんでしょうね。実際、何か切なくなるようなことがあっても、それをあえて無視して進んでいく、あるいは走っていくこともできますし、それが必要な場面もあるとは思います。しかし、ここではそうしたことにもちゃんと向き合って、その上で自分の向く方向をしっかりと決めて進んでいこうとしているわけですね。それが、随所に感じられる「深さ」ということに繋がっていくんだと思います。
 それができるようになるには、きっと公私問わずにいろんな事と向き合ってきた経験というものが必要なんじゃないでしょうか。そして、その経験からしっかりと何かをつかんできたから、16枚目のアルバムで「切なさと甘さ」というものを一体化してより深い一体の感情として、表現できたんでしょうね。まーちゃんが一度このアルバムを「現段階での集大成」と表現したことがありましたが、それは多分、そうしたことを自分でも把握しているから出た言葉なんだと思います。

久しぶりのミディアムメイン

 DVD「B.B.B.」に収録されているインタビューで吉田ゐさお氏が「まーちゃんにはミディアムの曲が合うような気がする」というようなことを言っていました。それから7年経った2013年に発売になったアルバム「センチメンタルCANDY」は、そうしたナンバーの印象がより強いものとなっているというのは単純に事実でしょうね。やはり、自分の内側にある気持ちを見つめるためには、じっくりと落ち着いていないといけないんでしょうから、それが曲の表現にも現れたということなんだと思います。
 で、このぐらいに、どちらかといえば落ち着いたナンバーが揃ったのはいつ以来かな…とふと思い返してみました。そうすると、2005年のミニアルバム「プレゼント」、2004年のミニアルバム「23degrees。」あたりか、さもなければ1997年のデビューアルバム「かたおもい」から2001年の「ひまわり」ぐらいまでの感じなんじゃないか、と思いました。そう考えると、ある意味その頃に戻ったと言えば言えなくもないんでしょうか。
 ただ、今回はいろいろなものを模索している最中だった最初の頃と違って、元気なものも落ち着いたものも、切ないものも甘いものも表現できるようになってきた中で、より自分の内側に向き合うために自然と(あるいは無意識下で)そうしたものを選んだように感じます。だからこそ、16枚目となったここで、その頃と同じようにミディアムのナンバーを多く選びながらも、初期にはあまり感じることのなかった、深いところからの気持ちのわき上がりみたいなものを感じられるんじゃないか、と思います。そして、それはまーちゃんのアーティストとして、さらには人としての成長を示す、そうした差異になっているんだと思います。

新旧取り混ぜて

 そして、今回まーちゃんが度々言っていたのは、「新しいことへの挑戦」でした。それは曲で言えば「SENTIMELODY」であり、あるいは「キミと逢いたい明日のために」、そして「まゆみ」ということになります。その一方で、今までの色も大事に持ち続けていて、「キミとヒカリ」や「Shining Shining」、「Milky way」、「瞬き」は明らかにそちらでしょうね。「CANDY SKY」はどっちにとったらいいのか、ちょっと私の中で分からないところもあったりしますが(笑)。
 詳しくはそれぞれの曲の時に書きますが、「SENTIMELODY」の激情といえるレベルにさえ達しそうな想う気持ちの強さの表現、「キミと逢いたい明日のために」の爽快感と力強さの融合、「まゆみ」におけるもともとの曲へのオマージュと自分の中での昇華と、それぞれに確かに今までにはなかった面を見せているように思います。
 それでいて、今までの流れの上にある曲と同じアルバムの中で、しっかりと一体感をもって存在しているのは、根底に流れる人を想う温かな気持ちというのがそこにもしっかりと存在してるからでしょう。そうしたことを達成できるからこそ、「どんなものを歌っても飯塚雅弓」という、制作の初期段階にスタッフが言っていた言葉が生まれるんでしょうね。本当に、うまいこと新しいものもしっかりとその中に取り込めたアルバムになったんだと思います。

最後に

 アルバム「センチメンタルCANDY」について、今思っていることを書いてみました。まーちゃんと聞いて、まず元気さを浮かべる人も多いかと思いますが、それと同時に穏やかな温かさというところもしっかりと持っているんだと思います。そして、今回はそちらが非常に色濃く出た、そんなアルバムなんだと思います。そして、それだけに繰り返し聴くことで、次第次第に染み込んで、気持ちの奥底で大切になっていくようなものではないでしょうか。


 次回はそのアルバムの中から、まず「キミと逢いたい明日のために」でいってみたいと思います。実は、「いちご。」以前の曲はもう「DESTINY」しか残ってないんですね(笑)。まぁ、アルバムの冒頭に入っているストリングスのメロディなどを除きますが。なので、当分は今回のアルバムから、ということになります。

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