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CD Release

第272回 虹と素足のストーリー

はじめに

 だんだんと雨の降る日が増えてきました。それでも実際に梅雨に入るのはもう少し先なので、6月は梅雨という一般的なイメージと気候そのものとは若干のずれがありますね。とはいうものの、雨が降ったり蒸し暑かったする日があると、しだい次第に雨の季節が近づいてくるのを感じます。そんな季節は、若干気持ちも湿りがちになる一方で、だからこそ時々見える晴れ間や虹が鮮やかに見えたりするのも本当でしょうね。
 今回は、「虹と素足のストーリー」を聴きながら、何か書いてみようと思っています。

広がりの話

 この曲を聴いていると、穏やかな中に大きな広がりを感じさせるものがあって、それがどこか心地よさをもたらしてくれます。もちろん、サウンドもそうしたイメージをより生み出しやすくするために選ばれているわけですけど、やっぱりまずは詞の世界から来るものでしょうね。空や海などの自然の光景をその中に取り入れることで、広がりが生まれてくることもありますか。「ミルフィーユ」の夕暮れは、街の中にいてビルの間から見ているわけですけど、それでも大きさを感じるわけですしね。
 そして、ここではその中でも虹を描写することで、より大きく広がる感じを見せているように思えます。虹はどこから発生してどこへ消えているのか、見えていても定かではないので、ある意味「ここではないどこか」を連想させやすいんじゃないでしょうか。だから、「虹の咲く場所」をどこか理想の場所として描けるわけですし。
 そのようにして虹による大きさを感じさせた上で、この曲で歌われているのは基本的には追憶と将来への希望なので、それによる時間的な広がりとの相乗効果で、伸びやかに大きく広がる、そんな雰囲気になってきているんだと思います。言い換えると、いい意味での四次元的広がりを持った曲、ということになるでしょうね。風や自分の動きによるx、y軸的な広がり、虹によるx、z軸のもの、そして時間軸ですね。
 そうした広がりの中で、自分の意思や心の動きも大きく広がっていって、それが全体的を包む大きな暖かさと少しの切なさという気持ちに繋がっていると思います。

飾らなさの度合い

 その一方で、そうしたものを感じているのは自分自身なわけで、大きな広がりを持つ何かと身近な何かの対比もそれとなくされてくるわけですね。そんな中、詞の中ではそうした描写があるわけではないんですが、タイトルにある「素足」というのがどこか率直な感じをかもし出しているように思います。大きな何かを意識して感じようとしているわけではなくて、自然に素直に感じているという雰囲気ですね。
 各自の家での過ごし方やスタイルはもちろん人それぞれですが、普段外に出て行くときに裸足でいる人はいませんから、それが日常感だったり飾らない雰囲気だったりを生み出す元になるんでしょう。とは言え、飾らなさすぎるというわけでもないんですけどね。自分の部屋の窓から心地よく空を眺めているというような、そんな感じの自然さじゃないでしょうか。
 もうひとつ飾らない感じを出す表現に「裸の心」という感じのものがありますが。ここでそうした表現になってないのは、今までの想いやこれからへの気持ちを抱きつつ見ているからなのかな、という気もします。そうしたものを気持ちに纏って、でもどこかまっさらで素直に感じられる部分も残しながら、という意味の「素足」なんじゃないでしょうか。

最後に

 というように、「虹と素足のストーリー」から思ったことを書きました。この曲の穏やかでかつ大きな広がりというのは、ポップで元気な曲が多いアルバム「ファイト!!」において、最後に向けての清涼剤みたいな雰囲気はありますね。この曲や「オモイデゾラ」、「君は君のままで」があるからこそ、「僕のパートナー」や「Smile!」と言ったあたりの元気さも活きるんでしょう。


 さて、次回になる頃には入梅しているはずですね。降り出した雨を感じながら…の「すきです。」で何か書いてみようと思います。

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