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CD Release

第246回 かさぶたの恋

はじめに

 5月に入り、多くの地域では桜も葉桜に変わった頃でしょうか。おかげで、いろんなところの光景も緑がより目に入ってくるようになりましたし、街路樹などのイメージもより色濃くなってきたのではないでしょうか。そのため、華やかさというよりはもう少し落ち着きつつも力を秘めたような雰囲気なのかもしれません。
 とはいえ、今回は緑の溢れる中で傷みを抱えたまま過ごしている「かさぶたの恋」から何かしら書いてみようと思っているわけですけどね。ともあれ、いってみましょうか。

緑の中にいても

 虹の7色をイメージしていろんな曲を書いていった02年のまーちゃんですが、その中でこの曲は「緑」というところに当てはめています。曲の中では最後に出てくる緑溢れる街路のイメージですね。その中でふと心の痛みに立ち止まってしまうという、そんな失恋のナンバーになっています。
 実際、普通に緑がイメージされている曲といったら、「Babyblue」や「まわりだす気持ち」のような爽やかでどこか温かみを感じるようなものが出てきます。また、草原で撮影されている部分も多いアルバム「ミントと口笛」のライナーはやっぱり爽快感にあふれていますしね。やっぱり、普通の日本人にとっては緑はそうした色だということでしょう。
 そんな中で、痛みを抱えている状況のこの曲はかなり特異なものという気がします。詞を改めて見てみると、最後以外は心理描写に終始しているので、多分周りの光景が見えていないんだと思います。それでふと何かを思い出したのか、周りで光が揺らいだのか、その拍子にまたひとつのことを思い出して立ち止まり、周りを見回してみるわけですけどね。そうした気持ちの動きがより切なさを際立たせるんだと思います。
 そうした、緑のもたらす爽やかさに溶け込めない、あるいは見えてもいないような、周りの状況と自分の気持ちのミスマッチが曲の焦点であり、聴いていて魅力を感じる部分ではないでしょうか。

珍しいのかな?

 さて、05年9月に書いた「ごめんね」のときにもほんのちょっと触れましたけど、この曲はまーちゃんにしては珍しいことに、失恋した直後の切なさというところにスポットが当たってる曲ですね。その時に他に挙げたのが「さよならの意味」や「初秋」と言ったあたりですか。それからアルバムが6本出ていますが、そういうのは「忘れない。」ぐらいしか増えていないんじゃないでしょうか。やっぱり、まーちゃんとしては珍しい部類の曲なんですよね。
 まーちゃんの歌うスタンスとしては、ずっと「日常のことを歌っていきたい」ということでやってきてますし、それと同時に「みんなが聴いて元気になれるような」ということもけっこう意識してやっているので、傾向としては元気さだったり暖かさだったりということが表に出てくるんだと思います。その一方で、失恋というのはそう日常にあることでもないし、逆に元気を失うことでもあるので、そうした曲はあまり増えないのかな、と。もう少し時間が経って、暖かい追憶になってたり、あるいは通じなくても思うことで力や暖かさになるというのはけっこうあるんですけどね。
 ただ、まーちゃんは今だとキャラクターソング抜きで176曲歌っていますが、その中でそうした曲の数が二桁に届くかどうかっていうのは珍しいのかな…と思います。まーちゃん自身が、そうした痛みの中にあるのがらしくないと思っているのかも…なんて、歌詞を見ながら思ったりもしたんですが、どうでしょうね。

最後に

 とまぁ、新緑の季節なので「かさぶたの恋」をとりあげてみました。本当にまーちゃんには珍しいタイプの曲なので、耳にするといろんな意味で新鮮に聴こえるタイプの曲なんだと思います。もうそろそろこうした曲がまたひとつ増えてもいいのかもしれないですけどね。どうなるでしょうか、というところです。


 さて、今度は季節にふさわしく、「ロマンチックだね」から書いてみようと思っています。どこから書くことをもってきましょうか、と。いろいろとありそうなんですけどね。

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