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CD Release

第197回 Sincerely

はじめに

 今年はどうやら、気温が上がってくるのがだいぶ早くなっているらしくて、4月だというのにもう夏日というニュースも聞かれたりしました。その時期の早くなってきているのは少し問題だとしても、いろいろと活動的になる季節への予感が感じられるようになってきた今月だとも言えますか。
 今回は、そんな夏への気持ちを感じ始めた「Sincerely」から書いてみたいと思っています。

夏の風も爽やかに

 この曲は、夏を前にして出会った誰かとの予感を信じていきたいな、という気持ちを歌っているわけですが。なので、夏の気配を光や陽の中に感じてはいても、サウンド的には爽やかな風を感じられるものになっているのが特徴なんじゃないか、というように思います。で、それがどこから来るかっていったら、多分ストリングスの流れるようなメロディからなんでしょうね。それがさらっと通り抜けていくから、爽快感が後に残ると、そんなことだと思います。
 あるいは、そうした爽やかさはストリングスが自体として持っている特性なのかもしれないんですけどね。例えば、歌詞の中で明示してないとは言え、「恋の色」をまーちゃんの夏の歌の代表として挙げる人も多いんじゃないかと思いますが、これにしても、冒頭などでストリングスの刻みが暑くかつ爽やかな感じを与えていますし。サビ部分の対旋律ではなおのこと爽快にしてますしね。
 これが、ブラスセクションやサクソフォンということになると、また違った夏の雰囲気になってきます。まーちゃんにはこちらはあまりないんですが、「センチメンタル」でサクソフォンが夏の暑さを思い出させるように響いてきますが、より熱を伝える感じになってきます。まぁ、こちらはサザンオールスターズを探せば、枚挙に暇がないんですけどね(笑)。とりあえず、パッと浮かんだ「涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE〜」あたりを挙げておきましょうか。渡辺美里さんで言ったら「夏灼きたまご」とか。
 まーちゃんがストリングスを多用するのは単純にその響きが好きだからですが、それがまーちゃんの曲によく感じられる爽やかな雰囲気を演出しているのは事実でしょうね。それが、まーちゃんの求める、「明るい歌でもきゅんとするような部分も」というところとうまくマッチして、その双方で爽やかに気持ちが動く曲を作り上げていくんでしょう。

心から

 さて、タイトルの「Sincerely」は「心から」という意味の言葉になります。この曲においては、初めて出逢った気持ちを精一杯信じていこう、というような意味合いで使われているんだと思いますが、なにせ、これだけシンプルな言葉だと適用される範囲は多分広くて、いろんな曲にタイトルとしてつくんじゃないかと思いますし、それぞれにおいてその情景は違ってくるでしょうね。実際、私の手元にもこの曲を含めて3つありまして、それぞれにやっぱり違ってきています。
 こやまきみこさんの「sincerely」だと、まーちゃんのものよりは二人の関わる時間が過ぎていて、不安や戸惑いも覚えてしまった中でも、気持ちはしっかりと信じて、そうしたものを越えていこうとしてる、夜の暗さの中の光景になります。一方、渡辺美里さんの「シンシアリー[Sincerely]」は今まで生きてきた中で見たり聴いたりした全ての、いいことも悪いことも思い返しつつ、しっかりと受け止めてさらに歩いていこうとする、そんなたくさんの光景が映る気持ちの中のスクリーンでしょうか。
 そんなふうに、いろんな光景の中で、気持ちをしっかりと掴んでいこうとする曲が並んだわけですが、その中で、心から信じていこうとする想いは、大事な誰かへのものだということは一緒なんですよね。人が一番大事にしていかないといけないと感じるのは、結局は人に行き着くということなんでしょうね。
 「Sincerely」を形容詞化して「Sincere」にすると、「誠実な」という意味になりますが、そうした気持ちを抱いていると、相手に対しても誠実になれるでしょうし、自分に対してもそうなっていけるんじゃないでしょうか。どちらに向かう気持ちがより前面に出るかは、曲によって異なってきますが、どちらにせよ両方を含むのは確かでしょうね。あえて言えば、前者がより表に出たのがまーちゃんやこやまさんであり、後者をより感じさせるのが美里さんと言うことになるでしょうか。

最後に

 と、そんな感じで「Sincerely」から2点、連想を飛ばしてみました。爽やかでいつつ、気持ちは生真面目な…と言うのはまーちゃんのけっこう聴けるタイプでしょうけど、これなんかは代表例になるクラスじゃないかな、と思います。今後も夏を前にして、あるいは夏に、いろんな所で聴けるようになる曲なんでしょうね。


 さて、次は「アイのチカラ」から書いてみようかな、と思っています。いろんなところから引っ張ってこられればいいな、と。

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