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CD Release

第194回 大好きな君だから

はじめに

 すでに暦は3月には入り、高校や大学の中には卒業式を迎えたところも多いでしょう。あるいは、小中学校ももう少ししたら…という時期ですね。一般社会においても、年度末のこの時期が一番異動が多くなるでしょうか。そうなると、当然今までいたところからはなれたりすることも多くなるわけです。
 まぁ、そういうきっかけかどうかは分かりませんが、好きな人と別れて別の道を歩き出すその瞬間を描いた「大好きな君だから」から、今回は書いてみようと思います。

その気持ちがあれば

 繰り返しになりますが、この曲は好きな人とは別の道を歩くその一歩目までの場面です。そのことはお互いに分かってて、多分納得した上で、最後の時間を共有しているわけで、そのことが切なさをより感じさせるんですが。涙を見せずにいたいとか、変わらないで夢を叶えてほしいとか、もうちょっとだけ強くありたいとか、その時に願ったいろんなことが、この曲を彩っています。結局、相手のことを大事に思うから、こうした願いが最後の時に出てくるんでしょう。
 その願いが成就するかどうかは、もちろん先の話になってくるので分からないところではあるんですが、その気持ちを大事に思っていれば多分…っていうふうに想像するところはあって、たとえ直後には「さよならの意味」のようにひとりで涙を流すことがあっても、その時に願った「乗り越えていかないと」っていう想いがあれば、いつかは「love letter」やさらに後の「あの日のlove letter」のように、穏やかな気持ちでそのことを思い出せるようになるんじゃないか、と思います。
 まぁ、もしかしたらその過程や先で会ったり何やかや…ということもあるのかもしれませんけどね。それでも、そうした気持ちを持っていればあるいはそこで見た何かをまた力に変えてっていうこともできるんじゃないか、と。別れた相手を見るのは、特にそこからまだあまり時間がたってない場合には辛い側面はあるでしょうけどね。

改行における表現

 さて、この曲の歌詞をアルバムのライナーで見ると、最後の1行だけ行間を空けてあります。同じメロディーの他の部分は前の行から直結しているので、ここだけがそうした形ですね。それがそこに込められた意思をより強烈に伝える役割をして、切なさや愛しさといったものを感じさせてくれます。
 この曲の作詞は大津美紀さんですが、こうした表現でより強い印象を与えるのがかなり上手なんじゃないだろうか、と思います。「love letter」においても、同様に改行の仕方などで気持ちを強く刻み込む場所がありますし。あるいは、彼女の詩集、「生まれたばかりの子ねこを抱きしめるように」を読んでいると、いろんな所でそうした行の分け方の巧みさが見て取れます。それはもちろん、意図的にやっているはずのことなんですよね。そうしたところを見て取るには、ちゃんとライナーを見て曲を聴かないとだめなんでしょう。
 今、大津さんは岡崎律子さんの楽譜集の編集作業をしていますが、そこで岡崎さんの歌詞を最大限に忠実に収録しようとしているのは、自分自身が言葉を大切に使っているから、つまりは岡崎さんがどれだけ言葉を大切につむいだか、それをちゃんと理解しうるからでしょうね。ホント、全角スペースと半角スペースの違いにまで、ちゃんとこだわっているんですから。最近、まーちゃんは自分で作詞をすることも多いので、ここで大津さんの詞を見ることも少ないですが、またまーちゃんにもそうしたのを書いてほしいな、とそのことに気がつくと改めて思ったりもします。

最後に

 曲の物語のことと、詞の表現についてのことと、書いてみました。ひとつの曲をちゃんと全部感じ取るには、聴くだけでもだめで、その一方で詞だけでもだめで、結局は両方をちゃんと意識して見ていかないといけないんでしょうね。そうすることで初めて、この曲の愛しさや切なさ、あるいは願いを全部感じ取れるんでしょう。それを改めて気がついた今回でした。


 さて、次回ですが別れの曲をもうひとつ、「HONEY BEE」で行ってみたいと思います。やっぱ冒頭かなぁ…ってところですね。

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