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CD Release

第184回 Polaris

はじめに

 このところ、私のいる辺りでは夜の天気があまりよくなくて、ちょっと星の見えない夜が続いていますが、もう10月になって、秋の夜長という言葉がぴったりの季節にはなってきています。そうなると、時期的にはもうすぐ十五夜ですし、夜の空を見上げることも多くなってくるんじゃないでしょうか。
 今回は、星さえ見えれば夜の空にいつも輝いている北極星をモチーフにした「Polaris」について、ちょっと書いてみようと思っています。

その場所で

 この曲は、「北極星のように、私を照らして、導いてくれたあなた」への感謝やこれからへの想いを歌ったものです。「いつもそこで照らしていてくれたから、私は今ここにいる」というのが気持ちの根本にありますね。実際、光が見えない状態で闇雲に進めばどこに行くか分かったものじゃないですし、そもそもそれが怖くて進めない…というのが自然な気持ちの動き方ですから、一筋の光になってくれていた誰かには、特に感謝したいものでしょう。
 とは言え、周りの状況に比べて、光があまりにも細いと、足元が見えなくて時に倒れてしまい、その拍子にその光を見失う…ということもあるのかもしれません。そもそも、今回のアルバム「Stories」での物語が、一度その価値を見失ったものを自分の中でもう一度認識して、そちらへ向かって走り出す、というものですしね。
 もちろん、事前に自分から見失おうと思っている人は多分いなくて、堀江由衣さんの「Puzzle」にもあるように、その光を見失わなければ、自分がより輝ける、あるいはよりその光に照らされる場所に辿り着けるのは分かっているんでしょうけど、時にそうしたことになってしまうのも、人間のひとつの面なのかもしれません。
 そうしたことに直面しつつも、なおそこにいて、その行くべき先や目指すところを照らしてくれる人はきっと本当に想ってくれている人なんでしょうね。だからこそ、そこに辿り着いた時、感謝も込めて「一緒に…」と想うんでしょう。

いろいろと浮かぶのは

 作品紹介にも書いたことですが、この曲を最初に聴いた時に、パッと「remember」と「ひまわり」を連想していました。「remember」は、冒頭の場面の映像的イメージからですし、「ひまわり」は2コーラス目のBメロから出てきたものでしょうね。今、改めて詞を読み返してみると、他にも「A Place in the Sun〜陽のあたる場所〜」や「優しい約束〜TO MY FRIEND〜」といったあたりも導かれてきますし、多分、人によってはもっと別の曲も浮かんでくるんではないでしょうか。
 そんなふうに、まーちゃんが過去11枚のアルバム、3枚のミニアルバム、8枚のシングルで歌ってきた曲の中から、ここでいろいろと浮かんでくるものがあるのは、この曲がアルバム「Stories」の一連の物語の帰結点として作られたということが要因なんでしょうね。お話の終末は、それまでにあったことをそこはかとなく想い返しつつ、余韻を残して終わるものでしょうから、この曲もそんな雰囲気を持ったものになっている、というところでしょう。
 その、週末にいたるまでにあったことの中にあるものが、単にこのアルバムで描かれた場面だけでなく、そこに描かれなかったいくつもの場面――過去に発表された曲で時には置き換えられるような――も含んでいるからこそ、この曲を聴いて今までの曲がいくつも浮かんでくるんでしょうね。
 「DESTINY」はまーちゃんが伝えたいこと――出逢えたことは偶然じゃない――を直接的に言っているという意味で、まーちゃんの作品におけるひとつの帰結点ですが、この曲は別の意味――どんな場面の描写があっても、その内容は繋がりを大切にしたものではあり、そうしたいろんな場面を連想させるのになっている――でのまーちゃんの曲の帰結点と言ってもいいのかもしれません。

最後に

 「Polaris」から2つ、書いてみました。実はこの曲は今までまーちゃんが発表してきた曲の中で一番長い曲になっているんですが、壮大さや秘めやかさ、確かめた気持ちといった、いろんなものを感じさせるので、曲の長さ自体を感じないのが正直なところですよね。それだけ充実してる楽曲ということになるんでしょう。物語の最後にもふさわしいものだと思いますし、単体でもいいものに仕上がっていると思います。


 さて、次回は秋の夜長第2弾ということで、「あなたがいれば」から思ったことを書いてみたいな、と思います。実はけっこう芯の強い曲なんですよね。

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