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CD Release

第162回 月を見上げて

はじめに

 中秋の名月は10月の半ばですから、もうとっくに過ぎてしまっていますが、でも、夜の空に浮かぶ白い月は、季節に関係なしに気持ちをどこか神秘的なところに持っていくような気がします。月を語源とする英単語に「lunatic」という、狂気を意味する単語がありますが、そうした言葉が生まれるのも、見てるとなんか納得する部分がありますね。
 今回は、そんなふうにいろんな気持ちの動かし方をしてくる、「月」が出てくる歌を見ていこうかな、と思っています。

その高さで

 童話ラインなんかで多いのかもしれないんですが、月を「夜空に浮かぶ銀の船」という比喩をすることはけっこうありますね。読んでくれている方の中にも、こうした表現を聞いたことがある人は多いと思います。多用されている表現なので、こうした雰囲気を歌詞の中に取り入れている歌も、もちろん多くあって、まーちゃんにも「Magic!」や「そっと」というナンバーがあります。まーちゃんは多分、一番基本的な「船」のパターンで使ってますが、他の人だと堀江由衣さんは「月の気球」にしてたり、横山智佐さんは「銀のハープ」の中で「ベンチ」と言ってみたり、バリエーションもありますね。
 月は、夜空を渡って世界中を巡ってくわけで、そうしたところから、「その船はいろんなところに行ける」みたいな使い方をされることが多いんじゃないか、と思います。「Magic!」みたいに好きな人のところにも行けるでしょうし、「月の気球」だと、時間を飛び越えて新しい朝へと向かっていってますしね。あるいは、もう会えなくなっている人がそこに座っている…ってのは「銀のハープ」ですか。空間だけじゃなくて、時間や時限さえも飛び越えていきそうな捉え方をされているのは、やっぱり月の持つ神秘性がそうさせるんでしょうか?
 どんな形であれ、こういう表現をされている曲を聴くと、どこか気持ちがふわりとしてくるんですが、ベースになっている表現が想像力の中にあることだから、どこかに非現実感が漂っているんでしょうね。そして、それが心をそっとどこかへ飛び立たせてくれるような、そんな後押しになるんだと思います。

遥か高くから

 一方で、夜空を渡って世界中を巡ってく月は、すべてを照らしてすべてを見通す、そんな超越者としての顔もあるんじゃないか、と思います。もちろん、そうした超越者としての顔は太陽も持ち合わせているとは思いますし、実際「A Place in the Sun〜陽のあたる場所〜」では行き先を示してくれていますが、その一方でより厳しい面もあって、「小さな私から」だとそうしたところに怯まずに…というように、克服する対象としての表現をされてますからね。太陽と月では、やっぱり光り方や与える印象が違ってきてます。
 ひそやかで優しい感じのする月の光は、そっとどこかへ導いてくれたり、あるいは見守ってくれていたり、そんな守護者的な雰囲気を感じるんでしょうね。そうしたところが、例えば「月と帰り道」で誓いの言葉を聴いていたり、「LOOKING ON THE MOON」で月を見て涙をこぼしたり、Aice5の「白い月」で先への道を照らし出していたり、という表現に結びついていくんじゃないでしょうか。
 すべてを高みから見通している…というところからは、もうひとつ「同じ空の下にいる人にも見えている」という部分も導き出されてきます。「聴かせてよ君の声」は、星空のほうが目立つ曲ですが、その夜空には月も光っていて、同じ時間を離れた場所で共有する人たちを照らしています。あるいは坂本麗衣さんは「白い月」の中で月に離れてしまった相手のことを問いかけていますしね。
 どちらの見方をするにせよ共通しているのは、過酷なものとして描かれてはいない…というところでしょうか。その一方で、その存在がはっきりしているからこそ、いろんな思いを照らしたり託されたりしていて、より人の心にとって優しくしっかりとした守り手、ということになるんでしょうね。

最後に

 今回は、月が出てくる曲についてみてみました。見る度におぼろげに思うことですが、月にはどこか神秘性がありますからね。その辺はどの曲を見ても反映されているんじゃないでしょうか。私はそのあたりはけっこう好きなので、月が出てくる曲に私は惹かれやすいのかもしれません。


 さて、次回はアルバム「Crystal Days」に戻りまして、「まわりだす気持ち」から思うことをいくつか書いて見たいと思ってます。

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