タイトルバー トップへ メールはこちらから
トップ>歌に願いを>第148回

CD Release

第148回 remember

はじめに

 4月に入り、新しい生活が始まった人も多いと思います。その中には、ずっと地元で生活してきて、これからもそれが続く人もいるでしょうし、都会に出たり、あるいはまったく知らない場所で、本当に0からいろいろと作らないといけない人もいるんでしょう。また、ある程度の期間、懐かしい場所を離れていて、今度そこに戻った…なんて人もいると思います。
 今回は、懐かしい場所で懐かしい人に会った「remember」からちょっと膨らませてみたいな、と思っています。

懐かしい景色だね

 この曲は、こういうフレーズで始まっています。前にその場所を訪れてから、どのくらいの時間が経っているのかは分かりませんが、まぁ、「懐かしさ」を感じるだけの時間ではあるわけで。それだけの時間が経っていると、自然の中のものにせよ、街の景色にせよ、あるいはそこに映し出される人の姿にせよ、変わってても不思議はないんですけどね。例えば、私が最初に銚子に行ったのは2003年、「ロマンチックだね」のPVを撮ってから6年ぐらい経った時ですが、橋がかかってる涸れた川の底には木が育ってたりもしてましたし。あるいは、「あの頃」では入った店の中の雰囲気が変わったことに戸惑って、かつての面影を探す心情が歌われています。その辺のことが分かるから、「鬼平犯科帳」の一編、「兇賊」では老盗賊が生まれ育った村を訪れながら、人とは言葉を交わすことなく、景色を見ただけで立ち去っていったんでしょうね。実際、人と話して変わってしまったことを思い知らされるのはダメージが大きいですから。
 そんなふうに、時間が経つ中で変わってしまうことが多い中で、「懐かしいね」と素直にその景色を受け止められるのは、横にいてくれている人の雰囲気が変わってないから…っていうのが大きいんでしょうね。多分、それが一番懐かしさを感じさせることで、「Still...〜ちぎれそうな同窓会〜」で、自分の中に渦巻く気持ちはともかく、前みたいに話せてること自体はどこか胸を懐かしさで暖かくさせてるようにも思いますし。
 結局、この曲の中で一番懐かしさを感じている対象は、周りの景色じゃなくて、隣にいる誰かと以前と同じように歩けてることなんでしょうね。それがあるから、風の感じ方も前と同じように感じられるんでしょうから。

再確認

 この曲では、以前に感じた「永遠」への想いを、また二人で歩いているうちに確かめた…っていうような状況になってます。やっぱり、本当の意味で何も変わらないものはないわけで、それは一緒にいる二人の気持ちにしたってそうなんでしょう。だからこそ、世の中には別れ話は尽きないんですし。
 「恋の色」みたいに始まったばかりの頃だったら、それこそわき目もふらずにそれしか見えない勢いで、その状態がずっと続いているって信じられるんでしょうけどね。まぁ、付き合っていくうちにはいろいろ問題がでてくるわけで、そこで諦めるかどうかは想いの深さの問題でもあり、見えてきたものへの印象や対処の問題でもあるんですが。多分、その段階で別れを選択することが多いから、「公園通り」みたいに諦めないで解決を探すっていう気持ちが素敵に思えるんでしょう。
 そうしたシーンを乗り越えて、また懐かしい場所で同じ気持ちを感じられれば、それがこの曲にあるような新しい「永遠」への誓いになるんでしょうし、また、その誓いは以前に交わしたものよりもなお深いものになっているんじゃないか、と思います。

最後に

 今回、書いているうちに曲の解釈が変わりまして、後半は全部書き直しました(笑)。曲中に「再び始まった」っていうフレーズがあるから、一度別れたように思ってたんですけどね。今日までは。歌詞を見ると、「日常一緒にいる中での再スタートの場面」っていう雰囲気なんでしょう。なんか、ひとつのフレーズの全体に対する支配力や、第一印象の持続力というものを感じましたね。なかなか、改めてじっくり見てると、受け取り方も変わることがあるんだな、と。


 次回は「Your Song」でいってみようかな…と思ってます。曲の中身にも触れつつ、もうちょっと別のところから書くのかな、と今は思ってますが。

Top | Past & Now | 作品紹介 | Data Files | 歌に願いを | Event Report
Photograph | まーちゃんラジオメモ | 管理人室 | 更新履歴 | Links | Contact
©2001-2025 by TyM