第99回　My best friend

はじめに

　前回の最後にも書いたとおり、もう3月も末になって、長いこと付き合っていた友人と遠く離れて、新しい暮らしを始めることになった、という人も多いんじゃないでしょうか。そこにはもちろん、新しい生活に対する期待や希望もあるんでしょうけれど、その一方で以前から自分の周りにあった光景がなくなったことへの一抹の寂しさというものがあって当然だと思います。
　だけど、きっと信じていたいのはこの曲に出てくる気持ちなのかもしれません。そういうことで、「My best friend」について、毎度のように雑感を記してみようかな、と思います。

Power to Power

　前回、｢この時期に合う曲かぁ…｣って考えていて、この曲がふっと浮かんできたわけですけどね。本当はもうちょっと先かもしれないですね。いや、これいきなり書いたら身も蓋もなくなるんですが(苦笑)。でも、どのみち、新しいことを始めるときっていうのは心にエネルギーが多く必要で、それが足りなくなったときに落ち込んだり悩んだりするものなんでしょう。そうした時に、自分に近しい誰かが元気でいてくれたり、励ましてくれるとそれが新しいエネルギーになっていくんだと思います。
　そうしたシーンが、この曲の冒頭では書いてあるんですが、読んだ手紙に返事を出しながら泣いてしまっているのは、ほっとしたっていうこともあるでしょうし、あるいは自分が新しい、あるいは繰り返しの日常に心が疲れてしまったっていうこともあるんでしょう。がんばってたって、ふと心に弾力がなくなる時ってのはあると思いますしね。そして、その友達が元気でいるただそれだけで自分の心が浄化されたのが涙になって出てきたような気がします。だから、「私も元気でがんばってるよ」って返事に書いているのは、どこかに「これからもそうしていこう」っていうところがどこかに含まれているんじゃないでしょうか。で、そうしてどこかで楽にしてもらったことをありがたく思うから、今度は自分が相手の力になりたいと思って、祈りをささげているんじゃないかと思います。
　…って、書いてて思ったけど、こうなると「Power to Power」の世界ですな(笑)。あるいは、キャラクターソングにいって「My Dear」もけっこう近いかな、と。曲調がそれぞれ違うこれらの曲で、同じテーマを表現できるっていうのもけっこう面白いものですね。それだけ、人にとって誰かとの繋がりを感じられるっていうのは、そのときの自分がどういう気持ちであるのかに関わらず、心を暖かく、強くしてくれるものだっていうことなんでしょうか。

友達といた記憶

　で、そうして力を互いに交換する一方で、昔に交わした会話も思い出してるんですよね。この曲の場合は、互いに夢を語り明かした時で、かなり真剣な場面だったと思いますが、そうでないシーンだって、大切な記憶になってるって事はあるんじゃないか、と。「Thank you for my friend」だと、本当に何気ない日常の一こまも大切な時として認識してますし。ただ、どちらにせよ、心から鎧をかなり外して、身軽につきあっていたっていうことでしょうね。そうできる時っていうのがなかなかないから、逆にそうできた時間は稀有なものとして覚えているんでしょう。
　そして、そうした気持ちが互いにとって変わらないものであれば、再会した時にもまた鎧は外せるわけで、だから、同窓会なんかに行くと、あるいは時々会った時には昔と変わらないままで話ができるんじゃないかな、と思います。それがまた元気になれるもとになりますしね。「いつもの帰り道」で、戻る場所としてそうしたところを認識しているのは、結局、そうした気持ちが自分にとって変わらないものであるからではないでしょうか。
　ひっくり返して言えば、「そこに戻れない」って感じるようになってしまったら、それは自分が変わってしまったということですよね。自分にとっていい方に変化して、それでどこか合わなくなってしまったなら、それはそれで仕方ないのかもしれませんけどね。そうじゃなくって、友達にどんな顔して会えばいいのか分からなくなるような変化だと嫌ですよね。そうならないようにしていかないと…。
　自分にとって、あるいは相手にとっての記憶をいいものとして留めておきたいなら、そして、それを汚したくないなら、それを持ち続けるのに相応しい自分でないと、と思います。

最後に

　ちょっと、話が最後は重くなったかも（苦笑）。
　ともあれ、いつものように脱線気味に（笑）いろいろ書いてみました。いかがだったでしょうか。でも、ほんと、自分が友達として考えている相手にはずっと元気であってほしいと思います。永遠に、は無理ですけど、せめて自分の生きてる間ぐらいは。それは、私が時々思っている、祈りごとだったりします。

　気がつけば100回ですよ（笑）。本当は101回目ですけどね。0回がありますから。次回は、ある種の総集編として、以前書いたことを自分で読み返して、もし変わったところが合ったらそれを書いてみようかな、と。もう最初から4年経ちますしね。そうしてみるのも面白いかも…多分、気恥ずかしいんですけど（笑）。