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第73回 「またね。」
はじめに
春、3月。暖かくなってきて、心も体も軽くなってきそうな一方で、この時期は別れの季節でもあります。学校を卒業したとか、年度末で配属が変わったとか、色々なことがあるでしょうね。そんなとき、仕事だけで付き合ってる人であるならば、それが永の別れってこともあるかもしれませんけど、友達同士なら、きっと再会することを願うんじゃないでしょうか。
今回は、そんな願いを込めた別れの曲、「またね。」について、思ったことを書いてみようかな、と思っています。
再会の願い
「またね」って言葉には、「また会おうね」って願いが込められてるんじゃないか、そういう約束をしてるんじゃないかってことは、今年に入って、この曲を紹介しだしたまーちゃんが常に言っていることです。実は、まーちゃんにこの話を聞いた時、「同じことを考えてる」って思いました。
大学に通ってた頃(もう10年ぐらい前)から、高校のクラスの同窓会ってのがあったんですけど、私の場合は高校の頃に「ユニフォーム」状態だったので、そこに行くとけっこうその相手の人が来るんですね。で、気持ちが昔に戻っちゃうものですから、大体終わって帰るときには「また次ね」って言ってました。そのことに気がついて、「何でかな?」ってちょっと考えた時に、出てきたのは、「やっぱりまた会いたいんだよな」ってことでした。
そういうことを自分の中に重ねてたので、このまーちゃんの言葉にはとても共感が持てました。持てすぎてライブで最初に聞いた時にはタオルで顔を押さえるぐらい(苦笑)。ともあれ、親しい人とはきっと、ずっと一緒に歩いていきたいっていう、そういう願いが、「またね。」っていう別れの挨拶に集約されるのかもしれませんし、そうした気持ちは多くの人に共通するから、それを意識するかどうかは別として、普段の別れの挨拶は「さよなら」ではなく「またね」になるんでしょうね。
約束
この曲についてのまーちゃんの話を、そしてこの曲自体を聞いた時に、もうひとつ思い出したのが、一昨年のライブのことでした。
以前にも書いたんですが、野音のライブのあとで「やさしいチカラ」にメールを送ったら、大阪に行く前の日の夜の放送でそれが読まれてました。で、まーちゃんの反応「あと2回も来てくれるんですか?」(ほとんど確信口調だったんじゃ?)。本当に、まーちゃんのこの言葉を聞いた時に「全国的に約束しちまった…」って思ったし、同時に「どうあっても行かないと」っていうようにも思いました。そして、翌日に大阪に行って最初の曲、「恋の色」の2コーラス目を聞いた時に、胸が熱くなってきたのを覚えてます。それは、「約束を果たした」っていう達成感からきたものでした。
こうしたことがあってから、「約束」っていうことに対して、気持ちの入り方が違ってきたような気がします。それを果たしたときの胸の熱さを知ってますし、そういう気持ちを得られるように歩いていけるのも(たとえそれがちょっとしたことでも)知ってますしね。だから、約束が人を強くするってのも、この曲を聞いてすんなりと自分の中に入ってきました。自分の中にあったけど、言葉になってなかったことを、この点についてはまーちゃんが明確に言葉にしてくれたって気がします。
この曲を、そしてこの曲についての話を聞いてからしばらくして、自分が何で死ぬのを怖く思うのか…っていう理由のひとつにも思い当たりました。例えば、このHPは週に一度更新してるわけですけど、明確に言葉を交わして約束をしているわけではないにせよ、その周期を期待して見に来てくれている方もいらっしゃいます。それも、たぶん相互の信頼による、言葉にはなってない約束でしょう。だから、そうしたことが止まってしまうことで見に来てくれる方に、あるいは、上に書いたような気持ちを込めて別れを告げた相手に会えなくなってしまうことで、不安や心配を与えてしまうんじゃないかってのが怖いんですね。
こうした気持ちを「約束」って言葉に対して持つようになってるから、この曲を聞いた時に胸がいっぱいになってるんでしょうし、久しぶりに見た「ラブひな」で景太郎や成瀬川に対して共感できるんでしょうね。で、堀江由衣さんの「約束〜eternal promise〜」をCDを聞きながら歌ってると、目頭が熱くなってくるんですよね。
最後に
普段、何気なく「またね」って言ってるわけですけど、こんな短い言葉なのに、突き詰めて考えると胸を十分に熱くするものを含んでいるんですね。これほどに素敵な言葉っていうのも、もしかしたら世の中にそう数はないのかもしれません。だからこそ、笑顔で「またね」っていって交わした約束を、またひとつ果たして、笑って「おはよう」なり「こんにちは」なり、言えるようにしていかないといけないんじゃないでしょうか。ちょっとしたことかもしれませんけど、大切なんでしょうね。
ところで、この間久しぶりにオムニバスのCDを作ったんですけどね、そうしたちょっとした積み重ねが幸せに繋がるじゃないかって思ったもので、つけたタイトルは「幸せは小さなつみかさね」。入れる曲を眺めて、この曲に目が留まったときにふっと浮かんできました(ちなみに、林原めぐみさんのこの曲は入ってません)。
次は、いよいよ本当に春になってくるころになるでしょう(3月28日)。今年はまた桜が早いみたいですしね。そういうことなんで、「桜に寄せて」色々考えてみたいな…なんて思ってます。
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