第71回　チョコレートコスモス

はじめに

　2月も半ばに入って、少し寒さが緩みだした日も出てきているような気がします。関東のほうでは、昨日(14日)にはもう春一番が吹きましたしね。これから、次第次第に春に近づいて、いろんなところでいろいろな花が咲いていくんでしょう。そして、よくよく探せば、その中にはこんな花もあるのかもしれません。
　今回は、春にチョコレートの香りを漂わせる花、｢チョコレートコスモス｣です。

遅すぎた出会い

　まーちゃんが度々、あるいは歌詞の中でも解説してますが、チョコレートコスモスはその名前の通りの色と香りを持っているのに、バレンタインの頃ではなく春に咲くから、タイミングを外してしまっている節は確かにあります。そして、それを昔の恋と重ね合わせて、切なさを感じてたりもするんですけど。
　で、その昔の恋なんですけど、どんな感じだったんでしょうね、ということがちょっと気になったりします。実際、あまり具体的には書いていないので、いろんなシチュエーションが想像できるんですけど。相手がずっと一人でいたからアタックしてみたら実は彼女がいたとか、それまでずっと友達みたいな感覚で接してたから、そうとしか見てもらえなかったとか、彼女がいるのは知ってても、好きになってどうにも止まらなくなったとか、他にも多分色々と。
　まぁ、相手に彼女がいた場合には、多分そう思うんでしょうけど、友達としか見てもらえなかった場合でも、けっこうそう思うことがあるのかな、っていうのが、｢もうちょっと早く…｣だと思います。｢もうちょっと早く出会えてたら、彼もフリーだったんじゃないか｣とか、｢もうちょっと早く自分の気持ちに気がついてたら、彼との接し方も違ったんじゃないか｣とか、そんな感じです。
　そんなことを考えていても仕方がないのは分かっているのに、ついついそうした気持ちになってしまうのは、(片思いの)失恋直後にはけっこうあることだと思います。辛さにとらわれてるこんな時には、先に幸せが待っているなんてことも忘れてしまうんでしょう。結局、そうした気持ちはたぶん時間が何とかしてくれるのを待つしかないんじゃないかと。人によっては、すぐ切り替えて新しい出会いを見つけにいけることもあるのかもしれませんけど、そういうのもなんか軽い感じがしてなんだかな、と思わないじゃないですね(笑)。ともあれ、そうして時間が解決した後に、あるいは新しい出会いがあってその辛さが消えると、｢春が来た｣っていうような気持ちになるわけですね。チョコレートコスモスだって、一冬を辛抱して越えたからこそ春には優しく咲いているわけですし。

あまり見えない一面

　さて、この曲(って言うか、ミニアルバム自体が)、まーちゃんの歌の中でもかなり暖かいものになっているんじゃないかな、と。サウンド面でもそうだし、歌っている気持ちもそうですしね。まーちゃんの場合、普段はこういうラブソングを歌ってても｢暖かい｣よりは｢爽やか｣な方が多いように思います。まぁ、いくつか例を挙げておくと｢ミントと口笛｣とか｢My happy day｣、｢remember｣や｢ドライブしようよ!｣なんてあたりですね。他にもたくさんあると思いますけど。
　だから、こういう暖かさを感じさせてくれるラブソングっていうのはあまりなくて、ぱっと思いつくのは｢そよ風とカフェオレ｣ぐらいしかないんですけど（だから、｢普段できないことを｣って言っているまーちゃんの狙いはこういうところにも見えてるのかもしれません)。考えるのに曲が2つしかないんでちょっと…なんですが、｢そよカフェ｣にせよ｢チョコス(Chocos)｣にせよ、隣にいる彼氏が頼れそうな感じがするんですけど、気のせいでしょうか?
　まーちゃん自身、時々言ってたりするんですけど、自分が引っ張っていかないとって思う相手のときはどんどん引っ張るけど、その半面相手が引っ張ってくれるときにはもう大人しくついていくだけでいい、というところはあるようです。で、普段の歌だと、活動的なところがどんどん前に出てくるから、｢爽やか｣なものが多くなってくるんじゃないかな、と。｢そよカフェ｣とか、この曲とかだとシチュエーション的にもゆったりしてるし、相手に動きを任せてるように見える分、心の動きもゆっくりしてるしで、だからその分暖かさをじっくり感じられるのかもしれません。そして、そうしたところはあまりこっちに見せる面ではないから、こうした暖かさが主に感じられる歌ってのが少ないのかな、と思います。

最後に

　チョコレートコスモス、という花の話をまーちゃんから最初に聞いた時(たぶんライブ)、実は最初に思ったのは｢ストロベリーキャンドルといい、チョコレートコスモスといい、どこからまーちゃんは見つけてくるんだろう｣ってことだったりするんですけどね(笑)。結局、まーちゃんのアンテナってけっこう受信範囲が広いってことなんだとは思いますが。ま、そんなことはともかく、心の底から温かくなれそうな、そんな歌をまーちゃんは送り出してきたと思います。