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第41回 バラードの範囲
はじめに
最近、あまりやってないのでどうしたものかと思ってはいるんですが、私はけっこうカセットテープやMDを作るのが好きで、いろいろ作っています。オムニバスのものとか、あるアーティストのベスト盤、以前にも書いたような、あるテーマに沿ったものなど、「どの曲を入れようかな」って考えるのはけっこう楽しくもあり、苦しくもあります。そうしてできたものを聞いて、「あ、面白いものに仕上がった」って感じられたときは、嬉しいものです。
そういう風に作る時、自分の好きな曲を放り込むだけなら、特に悩むこともないんですが、テーマを決めて作るとなると、それぞれの曲を思い出し、ライナーノートで歌詞を確認し、それでもだめなら聞きなおしてみて…っていう、そんなある意味煩雑な手順が待っています。
で、今回は、そういったテーマの中で、私がポップスやロックを聴くようになってから、ずっとたまに考えていることを、ちょっと書いてみようかな、と思います。
そもそもの始まりは…
小学校6年ごろから、高校3年の夏まで、そうした音楽に興味をなくしていた(ブラスバンドをやっていたので、音楽に対する興味がなかったわけではないですが)私が、またそうしたものを聴くようになったのは、サザンオールスターズの「真夏の果実」をふと耳にしたからでした。ちょうど、誰でも経験するような、「初めての(失)恋の色」を大いに見ていた頃だったんで、うまく曲と気分が合っていたんでしょうね。
それ以降、サザンのCDを借りたり買ったりして片っ端から聴き倒した(そして、今でも聴いている)わけですが、ある時、「バラッド 2」というバラード集のアルバムを聴いた時に、けっこう驚いたんですね。「Melody(メロディ)」や「NEVER FALL IN LOVE AGAIN」、「Dear John」は立派にバラードだし、「鎌倉物語」や「EMANON」もまあ入ってても納得はできるんですが…。「あっという間の夢のTonight」や「Please!」はどうだかなって思うし、…さらに、何で「Japaneggae(ジャパネゲエ)」が入ってくるの(余談ですが、一昨年出た「バラッド 3〜the album of LOVE〜」でも「女神達への情歌(報道されないY型の彼方へ)」とか「HAIR」で驚いた記憶が…)?
…ってな感じで、ある意味カルチャーショックを受けてしまったのか、それっから、私はどうもバラードっていう言葉をかなり広く取るようになってしまったようです。Starryの掲示板を見ていた人の記憶にはあるかもしれませんが、一昨年、まーちゃんのバラードのMDを作る時に「センチメンタル」や「天使のパラダイス」を入れたって書いたら、「それはちょっと違うんじゃ?」っていうような反応が返ってきたりもしてましたしね(でも、これって時期的なものもあって、「caress」までで作ってたから)。
でも、そうした他人から見れば拡大解釈に見えるようなことを何の疑問もなくやってるってわけじゃなくって、いつも「これってバラードかなぁ? 違うかなぁ?」って考えながらやっているんですけどね。まだ作っていないんですが、そろそろまーちゃんのバラード集の2本目に取り掛かろうとは思っていて、そのために「remember」や「虹の咲く場所」、「ひまわり」なんてあたりも候補に挙がってたりはします。ほんと、拡大解釈しすぎてないかい…って自分でも思わないでもないんですが。
そして私は考えた
10月14日午後4時20分ごろ。浜松駅の近くの鉄道高架下の歩道。
TyM「(話がひとつ終わって)で、まじめな質問していいですか?」
(●_●)(傍のスタッフともども、構えた表情になってこっちの顔を見るまーちゃん)
TyM「まーちゃんって、どっからバラードだと思います?」
(●_●)「(ちょっと考えて)難しいね。曲によって変わるからね」
TyM「そうですね。(以下、伝言など〜)」
っていう会話を、この間のFCイベントの一番最後にまーちゃんと交わしてきたわけです。こういう抽象的なことに関する概念ってのは、個人個人で違うものだと思う一方、どこかで誰かに確かめたいってこともあって、今回の機会を捉えてまーちゃんに訊いてみました。まあ、かなり時間が押してきていたこともあって、一般論でかわされてしまったような気もしたので、まーちゃんにはメールで「また機会があればこのことを話したいです」って言っておいたんですけどね。
ただ、このときにはこういう答えで、「ケースバイケースで考えないと」って考えのまーちゃんですが、ライブを改めて考えるとけっこうこのことに関する答えが見えてくるような気がします。「バラードの曲たちから自分の胸の中に残るものって言うか、教わることって…」とMCで話した、Very Strawberry 2002の時にはその周辺(要するにアコースティック)で使ったのは「あなたが生まれた日」、「love letter」、「ひとりの夜」。また、今年、メドレーを全部バラードにしたわけですが、ここでは「青い夕暮れ」、「Babyblue」、「星空にお祈り」、「everyday」、「大好きな君だから」というようになっています。
まあ、普通、「バラード」っていった場合、おそらくは「悲恋、失恋の歌」を漠然と指していることが多いと思うんですが、どうも、まーちゃんの考えるバラードってのはそこにとどまってないんですね(例えば「あなたが生まれた日」や「everyday」)。本人がどのくらい意識しているのかは知りませんが、「心や周りを静めてくれる歌」ってあたりは少なくともこの人が考える「バラード」の範疇に入るんだろうな、というように思います。「優しい約束〜TO MY FRIEND〜」や「やさしい右手」をどう考えるか、あるいは例えば「DESTINY」をスローテンポにして、アコースティックにした場合、まーちゃんの頭の中ではどうなるのか、ということが分かれば、もっとまーちゃんの「バラード」が見えるんですけどね。
で、私も先に書いた会話の後で、自分なりの答えを出そうと、考えをさ迷わせてみました。まず「everyday」は、ごく普通のイメージでの「バラード」(言葉を加えれば「ラブバラード」)には入ってこないわけです。が、でも、人に聞けば「バラードでしょ?」っていうことになるんでしょう。だから、「ラブバラードだけがバラードじゃない」ってことですね。これでこの曲みたいな「静かだけど力をくれる、熱くなれる曲」については解決。
一方で、実は今、背中で「For you」を聴いているんですが、「やっぱこれだってバラードじゃないの?」って私としては思うわけです。あるいは、さっきも書いたとおり、「天使のパラダイス」や「センチメンタル」だって、けっこうバラードに入るんじゃないかって思いますしね。こうした曲や、例えば「かたおもい」みたいなラブバラード、それに「everyday」みたいな曲をトータルで考えた時に、共通しているのは「詞が心に沁みこむような雰囲気」じゃないかっていう気がします。
だから、私にとってのバラードっていうのは、きっと「言葉や歌い方、曲の雰囲気で、詞の内容が心に沁みてくる曲」ってことになるんだと思います。だから、伴奏が多少派手な「センチメンタル」(これは歌い方)や「天使のパラダイス」(こっちは言葉)でもバラードに入れたくなってくるのかな、と。
最後に
っていうのが、とりあえず私の出した「バラード」というものに対する答えです。ま、この先また変わっていくかもしれませんけどね。今回、書きながらまたまーちゃんに訊きたいことも出てきたんで、またいずれイベントのときに尋ねてみようと思ってます。今度はちゃんとした答えを引き出したいもんだ(苦笑)。
そろそろ冬です。もう、夜になるとあったかい飲み物が恋しくなってきていませんか? ということで、次回は「そよ風とカフェオレ」にいってみたいと思います。アップする頃(11月24日)には「木枯らしとカフェオレ」ってぐらいになってるかもしれませんけどね。例によって、何かあれば掲示板もしくは投書箱もしくはメールでどうぞ。
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