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CD Release

第40回 秋の夜長に

はじめに

 秋はいろんなことをするのにいい季節です。いろいろな農作物が実るから、それを味わうために「食欲の秋」になりますし、涼しくなって体を動かしやすくなりますから、「運動の秋」にもなります。あるいは、木々が色づいて普段でも風光明媚なところがより美しくなり、それを見に「行楽の秋」に出発します。そして、花火や祭りの夏の夜の喧騒から解き放たれて、草の中からかすかに聞こえてくる虫の声が静けさをより際立たせる秋の夜は、「勉学の秋」だとか「読書の秋」にはぴったりでしょう。
 今回は、そんな静かな秋の夜に聞いてみたい曲を探してみようかな、と思っています。

秋の星空

 ベテルギウスやリゲル、カペラ、シリウス、プロキオン、カストル、ポルックス……。きらびやかな一等星たちが済んだ夜空に輝いてきらびやかな感じなのは冬の夜空。一方で、過ごしやすいといって遊んでいるうちに、牽牛織女の民話やさそりの心臓を狙う射手が見えてくる夏の夜空。それらに比べて、秋の夜空ってのは、今ひとつインパクトに欠ける節ってのはあるんですよね。確かに北の方を見れば勇士ペルセウスがアイティオピアー(エチオピア)の地で繰り広げた冒険が星空に綴られていますが、南側に至っては「秋のひとつ星」ことフォーマルハウトがぽつんと寂しげに光っているという状況。なんともちょっと見にはつまんない星空なんですよね。
 ところが、ちょっと待ってみてくださいませ。暇な夜(ほんとーに暇な夜)に暗いところで30分ぐらい、空を見上げてみてください。目が慣れてくるにつれて、ただの黒い布だった夜空に次第次第に星が見えるようになってくるのはちょっと感動ものです(高校2年の秋、そろそろ受験勉強しなさいよって時に、そんなことをけっこうやってました)。
 そんな、一つ一つ生まれてくる秋の星を見ながら聞いてみたら素敵なんじゃないかなってのは、「Smiling like children」という曲。ものすごく優しい曲で、聞いていると温かな何かに心が包まれて、静かに安らいでいくのを感じられます。周りの小さな温もりや喜びが集まってきて、自分の過去や現在を光らせて、純粋な生まれたままの笑顔で先を見られるようになるのを感じるんじゃないかな、と。
 あるいは今よりももう少し時期的には前だと思いますが、「星の夜」なんて曲もあって、想っている人にたっぷりの気持ちを込めて手紙を書いてみるっていう曲なんですけどね(「love letter」に似てるような気がしないでもないけど、シチュエーションは正反対ぐらいだから)。これなんかは暖かくてほのぼのとした気持ちになれるんじゃないかな。

夜空を見上げて

 この人、一人で夜の空を見上げて、好きな人のことを思うっていうのはけっこう歌ってますね。真っ先に浮かんでくるのはやっぱり「優しい約束〜TO MY FRIEND〜」で、上記の「星の夜」とちょっと似てるかもしれないなっていう状況ではあります。まあ、この曲の場合は気持ちの行き来がきっと双方向なんだろうとは思いますが。それにしても、直接見てはいない相手の涙がどうしてここに届いて自分まで悲しくなるのか…。前に会ったときの相手のかすかな変調を心が見逃さなかったのか、それとも見ていなくとも相手のことを感じ取れるぐらいに心の距離が近いのか、ともあれ、素敵なことだと思います。
 一方で「ひとりの夜」では好きな人と別れて膨れ上がる寂しさを星を見ることで紛らわせるって感じですね。そういう頃って、どうしてもぼっとしてると気持ちはひとつのところにいっちゃいますからね。星を見てるより自分の心の中を見てることのほうが多いかもしれませんね。この曲ねぇ、最後のフレーズは聞いていて共感できるものがあります。そういう気持ちを、夜空に飛ばして会えなくなった人に届けるってのもよく分かりますね。
 「星空にお祈り」の場合は、昼間会ったその続きで相手のことを思って空を見上げてるって感じがします。だから、曲を聞いて受ける感じはとても甘いものだし、幸せの真っ只中ってところにいるのが分かります。まあ、まーちゃんはけっこう電話も好きだってラジオなんかで言ってるけど、こんなふうに大事な人と朝まで話せたら素敵でしょうねぇ。
 あと、「Shooting Star」の場合、相手に気持ちを届けるってだけじゃなくって、実際に自分が飛んでいきそうな雰囲気があるな、と思います。歌詞の中では「君」って言葉を使って、好きな相手を思って、そこに飛んでいって、一緒に歩いていこうってことになってるけど、歌詞に秘められた強さとか、一途さを見るとこの「君」って言うのはもしかしたら人に限らないような気もしますね。「夢」って置き換えても、十分に意味が通るんじゃないかと。
 ともあれ、前回も書きましたが、こういうのって、地球上にいる限り空は繋がっているわけですし、日本にいる限りほとんど同じ夜空を共有できますから、そういうことを認識することによって起こる安心感とか連帯感ってのがベースになっているんでしょうね。だから、夜空を見上げているうちに大事な人へ思いを馳せて、好きな気持ちだったり相手への少しだけの(あるいはたくさんの)願いを空に送り出すんじゃないでしょうか。「同じところにいるんだから、きっと受け取ってくれる、感じてくれる」っていうふうに信じて。

最後に

 星空にまつわる曲を今回は集めてみました。やっぱり、夜っていうのは基本的に静かなものですから、そこで星空を見るって曲も静けさを感じる曲が多いように感じます。それと同時に、どこか大きな広がりをも感じもしますね。それでいて、サウンド的にはシンプルなことも多いような気もしますが(「優しい約束〜TO MY FRIEND〜」の冒頭なんかはそうでしょう)、どうしてそうなるのか、ちょっと不思議な気もします。


 さて、次は11月10日の更新になります。この間、FCイベントに行ってきたんですが、そこで私はとある質問をまーちゃんにしています。次回はそれについて書いてみようかな、と思います。

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