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CD Release

第39回 love letter

はじめに

 秋になると、夏に始まった恋が終わってしまう…なんていうことも多いようで、そんな歌も多いですねぇ(サザンは特にお得意のような気がする…。ぱっと思いつくのは「NEVER FALL IN LOVE AGAIN」)。まーちゃんの歌だと、思いつくのは「センチメンタル」ぐらいで、あまりそういうのってないかな、という気がしないでもないかな、と。まあ、それでも失恋の歌を歌ってないわけじゃなくって、単に季節的にここまでマッチしたものがないってぐらいだとは思いますが。
 今回は、まーちゃんの歌の中から、この人らしさが十二分ぐらいに出ている歌の「love letter」について、いろいろ書いてみたいと思います。

恋が終わる時、そしてそれから

 とにかく、まーちゃんの歌の場合、自分から別れを口にした(例「さよならの意味」)にせよ、口にされた(例「大好きな君だから」)にせよ、とにかく、その場ではすっと身を引いて、悲しさを表に見せないっての、多いですよね。なんで、相手からみれば「こいつ、本当にこっちのこと好きだったのか?」なんて思われかねないって気もします。まあ、曲を全部聞いていれば、決してそうじゃなくて、相手のためだから、無理してこらえてるっていうのはすぐに見えますけどね。例に出した2曲だって、「love letter」だって泣いてないわけじゃないんですから。
 なんていうのかな、他の曲で見せている引き際がきれいなだけに、相手のことをまだ思っているっていう気持ちが痛くって、でもどこかに甘い感じでもあって、それがきっとこうした曲の魅力なんでしょう。
 で、この「love letter」ではそうした時から少し時間が経って、胸をつく悲しさっていうのは薄れてきてはいるけど、穏やかな痛み、あるいは寂しさがまだあって、相手のことを思い出してしまうっていうぐらいの段階ですね。要するに、相手のことが思い出に昇華されはじめた頃ですか。だから、相手の存在の意味を冷静に考えた時に、自分がもらったものをしっかりと受け止められている、そして、それに対する感謝の気持ちが溢れてくる…っていうのがこの曲です。
 単に「別れた、悲しい」だけじゃなくって、相手にもらったものをしっかり認識して、前を向いていこうっていうのは、まーちゃんが得意なテーマだと思いますが、この曲や「My wish」なんかではそれが特に顕著なように思います。

手紙

 さて、自身が度々ラジオで言っているとおり、あるいは「Steal on Sunday」でも歌っているとおり、まーちゃんはけっこう手紙が好きな人です。もちろん、その一方で現代人らしく携帯やら何やらでメールを利用することも多いんですけどね(けっこう打つのは早いらしいし)。もちろん、メールはその即時性や簡便性もあって便利ですが、手紙には手紙の魅力っていうものがありますからね。だから、まーちゃんみたいに時間があるときにはなかなか会えない友達に手紙を出したり、っていうことをよくやる人もいるんでしょう。
 「メガスマ」なんかに手紙を出したことがある人は多いと思いますが、そうすると手紙の力が分かりますよね。なんて「手」紙っていうだけあって、自分の手で直接書くわけですから、本当に自分の気持ちが紙の上に刷り込まれるような気がしますし、相手が読みやすいようにと丁寧に書いていくことで、相手を思いやることもしますしね(おかげで一文字間違えたら新しい便箋にしていって、手紙1本書くのにレターセット1つ使い切った、なんてこともありますが)。そういう、自分の気持ちをしっかりと染みこませて送れるのが、手紙のひとつの長所だろうな、と思います。
 もうひとつの長所としては、相手の顔を見ないで話ができる、というところ(苦笑)。最近、別れ話をするのにメールを使うっていうカップルもいるって聞きますが、直接顔を見て、あるいは声を聞いて話をするとつい熱くなって喧嘩になりかねない(ああ、互いの存在自体が火に油)話でも、ある程度冷静にできるっていうのは、場合によっては利点にもなりえますね。あるいは、書き置きなんてのも、こうしたところを利用しているといえますか。
 もちろん、「love letter」では最初の方の長所に注目しているわけですが。

同じ空の下

 「love letter」の最後では、自分の想いを空に送って、相手のところに届いてほしい、と願っています。きっと、同じ空の下にいるんだから、その思いは相手に届いてくれるよね、ということでしょう。実際、以前にも書いたとおり、この曲の続編とまーちゃんが考えている「My wish」や、あるいは「優しい約束〜TO MY FRIEND〜」などで、こういう視点に拠った表現は出てきています。実際、まーちゃんに限らず、こうした表現はいろんなところでされているので、皆さんの方でもいくつかは楽に出てくると思います(私からは、渡辺美里さんの「シャララ」を例に出しておきましょう)。
 今年まーちゃんが「Shooting Star」を作っている頃、自宅のベランダに出て星を眺めているうちに、「私だけじゃないんだ」っていう気持ちになれたようですが、同じ時間を同じように過ごしている誰かの存在を感じることができるっていうのは、きっと、頼りを見失いかけた心を強くするのには十分なことなんだろうな、と思います。あるいは、気にはしているけどなかなか会えない人とも、実はどっかでつながっているんだという確信が、こういう視点からもたらされて、それが安心に変わるっていう経験は、きっとしたことがあると思います。
 ……ふと思ったけど、きっと、こういう表現って、SFに出てくるような宇宙時代になってもなくならないんだろうな、と思います。異次元にまでいけるようになってしまえば別ですが、全てがこの宇宙の中で起こっている限り、同じ空間を共有して、同じ時間を分け合っている誰かの存在は絶対にあるわけですからね。

最後に

 今回は、「love letter」に関して、その歌の中からいろいろと印象に残るところをピックアップしてみて見ましたが、いかがだったでしょうか。私の場合、ラジオに送ったりする場合でも、字がちょっとあれなんで、メールを使うことが多いんですが、手書きの時にはそれはそれでいいものだと感じます。字の練習をして、手紙を書けるようにしたほうがいいですかねぇ?


 次は10月27日(日)です。秋も次第に深まってきます(でも、今、私の横ではストーブが焚かれていたりしますけどね)。夜も長くなって、ものを思ったり、静かに時間を過ごすにはいい季節です。なので、今度はそうした、秋の夜長に聞いてみたい曲を集めてみましょうか、と思っています。

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