
第38回 アクセル
はじめに
さて、暑かった夏も(あっさりと?)終わり、朝晩もかなり冷えるようになってきました。もう、木々が色づいているところもあるのではないでしょうか? こういう季節になると、そろそろ始まってくるのが、それぞれの学校の学園祭ってところでしょう(ま、春にやるところとか、文化・体育に分けて、春秋両方にやるところもあるかと思いますが)。このイベントを心待ちにしている方、多いと思います。
今回の曲は、こうした時期になってくると聴きたくなってくるって向きもあるんでしょうか。学園祭に向けて、わき目もあまり振らずっていうところが目に浮かぶような気もします。それでは、「アクセル」について、適当に書いてみましょうか。
少しずつ変わっていく
実のところ、97年の冬にこのシングルを買ったとき、アルバム「かたおもい」に入っている曲と色が違うように思えたから、とりたてて「好き」っていうところには入ってこなかったんだけど、今改めて考えると、実はけっこう「らしい」曲なんじゃないかなぁ、っていう気がします。
去年の目標に、「日進月歩〜くもりのちはれ〜」って持っていっていたり、ラジオでライブに関して「どんどんいろんなことに挑戦していきたい」なんて喋っていたり、まーちゃんって、歩くスピードを落とすことはあっても、立ち止まることってそうないように見えます。だから、変わっていく自分を意識しながら、それでも歩くことを止めないこの曲を歌うことができるのかな、なんていうようにも思うようになってますね。
普通、新しいものに触れたり、自分を変えたりすることって、そのさなかにどこか戸惑ったり不安になったりするものだけど(それが嫌になって、結局変わらないことも…)、そうした変化を恐れないで、新しい自分に出会えることをある意味楽しみにしているんだろう、と。後に、「あこがれ」で歌っているように、変わっていく先にどんなことが待っているか、しっかり分かっているから自分を変えていけるんじゃないか、と思います。
この曲を書くときに、まーちゃんと作詞の枯堂先生でどのくらい話をしたのかは分からないけど、こうした「まーちゃんらしさ」をやっぱり感じることができるのは、「歌詞はモノローグだから、その人の特長を最大限に活かして書かないと面白くない」っていう姿勢が表面に出てきているから、なんでしょう。きっと。
「変化」と「不変」
曲中の女の子は、新しい生活、広い世界に日々触れることで自分が変わっていくことを認識していく一方、フリーターのままの相手はおそらく変わってはいないんだろうな、だから、昔のままの恋を持ち続けることが女の子にとって重荷になるし、二人の毎日が別々のものに感じられるようになってきているんでしょうね。
そんなことを考えているうちに、暇な時にはかなり頻繁に引っ張り出して読んでいる、デイヴィッド・エディングスのファンタジー5部作「マロリオン物語」を思い出しました。そこでは「変わるもの」の象徴として光が、「変わらないもの」の象徴として闇が使われています。ま、確かにね、光と闇じゃ同じところにはいられませんな。主人公が道中で「闇=光の欠如」っていうことに気づきますが、もっと言っちゃえば、「闇=変わる度胸の欠如」なんでしょうね。本来、知性体なら(神様を人間って言葉で代表するわけにはいかんしなぁ)より完全になりたいと願う=光に惹かれるものだと思うけど、実際に一歩を踏み出す度胸がないから、今まで見えているところにとどまるんだろうな、と思います。(ちなみに、この物語、最後には女予言者による光と闇の間の選択で光が選ばれて、世界は動き続けることになります)
で、「アクセル」の世界を振り返ってみると、女の子は動き続けて、変わり続けていくのに、相手の方は何も変わらない。それじゃあ女の子ととしては一緒にいられないと思うのは当然だろうし、女の子のほうが多少狭量に見えたとしても相手を置き去りにして進み続けていくだろうという気がします。
こうした世界をさらに極端に描いた曲に、やっぱり枯堂夏子先生の作詞で、「再放送」っていうものがあります。「わたし」の「はじめての親友」である「十二歳年上」である「自転車屋のシンちゃん」とは、私立の中学に通う頃に遊ばなくなってしまった、という曲なんですが、まあ、誰しもこういう経験はあるでしょう。自分の周りは、みんなも成長するし、自分も成長するからどんどん変わっていくけど、シンちゃんの変わりは仕事の毎日で変化のスピードは遅い、となれば変化が早い方に惹かれるんでしょうね。
まあ、槙原敬之氏が「遠く遠く」で言っているように、変わらないことだって大事な部分はきっとある、とも思うんですが。
最後に
とまあ、「アクセル」からいろんなところに考えを飛ばしながら、「変わること」についてみていきましたが、どうだったでしょうか? 書きながら、自分が痛くなってたりもするんですが、そうしたことを感じられるうちは、自分もまだ変われるんでしょうかね。変わり続けるまーちゃんに負けないようにしてないといけませんね。
次は10月12日(土)です。「秋は恋の終わる季節」なんていうふうにも言いますが、それでは終わった恋はどうなるんでしょうねぇ? ということで、「love letter」をやってみますか。自分のこと、いろんな曲のこと、織り交ぜて書けたらいいと思います。
|