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CD Release

第34回 アルバム「虹の咲く場所」

はじめに

 去年の10月末〜11月上旬までのファンクラブイベントで、「そろそろ新しい曲と出会って…」という形で紹介され始めた2002年のまーちゃんの音楽シーンは、4月にシングル「やさしい右手」、6月にシングル「恋の色」をリリースし、6月29日から「Strawberry Rainbow Tour 2002」をスタート、7月にアルバム「虹の咲く場所」をリリース、そして、そのすべてを大きく締めくくるSHIBUYA AXでのライブで大団円という流れできました(まあ、まだアルバムのイベントが残ってるけど、それはエピローグみたいなもののような気が…)。
 今回は、その流れの中でも特に大事な位置を占めるアルバム「虹の咲く場所」について、いろいろと見てみようかな、と思います。

見えていた色、見えてきた色

 もちろん、今までのアルバムでもたくさん歌ってきた、いわば「飯塚節」とでも言うべき曲だって、入ってきてます。「とびたつ季節」はいわば「ロマンチックだね」の意識がさらにしっかりしてきたものですし、「虹の咲く場所」は「小さな私から」をより自分の内面から描いたもののように感じます。
 一方でラブ・ソングの方の場合、「Pastel」の甘い気持ちは「デュエットでラララ」と共通するものがありますし、「かたおもい」と「大好きな君だから」を融合させると「さよならの意味」が生れるんじゃないかな、なんていうように思いました。まあ、それに「love letter」も入ってきてるかもしれませんけどね。
 そうした、これまでいろいろな形で見せてきた色がある一方、逆にほとんど、あるいはまったく見せてはこなかった、だけどずっと存在はしてきたはずの色も見えてきました。
 そうしたものの最たるものはたぶん「恋の色」で、これまでいろんなところで言っているとおり、堂島氏の曲に触発されて、自分の中の一番のときめき、一番エネルギッシュな部分が引き出されてきた曲ですね。おかげで、「こんなにストレートに思いをぶつけてくるラブソングってあったっけ?」と思うものができてきました。  そのカップリングになる「かさぶたの恋」は、別れた直後の悲痛さを歌っていますが、ここまで曲中に「悲嘆の色(涙の色…って言ってもいいのかな?)」が溢れている曲って、「初秋」と「青い夕暮れ」ぐらいだったんじゃないかな、と思います。大体「悲しいけど、でも前に」っていうことが多かったですからね。
 まーちゃんのラブソングには、別れてしまった後も相手のことを思い続けるっていうのもけっこう多いんですが、そうした曲の場合でも、あるいは現在進行形の歌の場合でも、曲中で歌われている気持ちはけっこう明白なものが多かったように思うんですよね。だから、「お・し・え・て」を聞いたとき、「こんなに複雑に移り変わる色を表現するなんて…」と驚いたり、それができるようになったのは、歌手としての成長の賜物なのかな、と思ったりもしてました(ま、この曲でも言いたいことははっきりしてるんですけどね)。

描かれた虹

 …とまあ、10曲でいろんな色を見せているこのアルバム「虹の咲く場所」(未収録のシングルのナンバーを加えて12曲って言ったほうがいいのかな?)でどんな虹が描かれたんだろうって、聞いてちょっと考えてみたんですよね。
 一番最初に通して聞いたときは、ふわふわの綿に水性スプレーを軽く吹き付けて描いた淡い虹のようにも感じました。それが、繰り返して聞いているうちにだんだんいろんな曲の個性がはっきりしてきて、虹がくっきりとしてきたんですよね。一方で、いろんな気持ちを乗せるメロディや伴奏は今回はとても爽やかな感じのものが多くて、「AERIS以上のAERIS」を肌で受け取っていました。
 だから、アルバムを聞いて思うのは、「雨上がりの虹じゃないよな」ってことですね。なんて言うのかな…青い空にいろんなところからいろんな色の光が射してきて、最終的に虹になっているんじゃないかな、と思います。
 で、そうした色をよりはっきりと感じさせた原因はなんだろう…と考えた時、やっぱり、まーちゃんの詞に対する意識の変化っていうものが大きいんだろうな、と思います。実は、5月〜6月ぐらいには「やさしい右手」のシングルを聞いて感じていたんですが、「ひまわり」(アルバムね)と比べてみても、詞の色の鮮明さが違うな、ってのは思っていました。
 「やさしい右手」の製作を通して、「自分の気持ちをより鮮明に伝えられるのは自分だし、そうしたものはよほど自分の中を覗き込まないと出てこない」ということを知ったんじゃないでしょうか。だから、自分でどんどん(…って言うと語弊がありそうだけど)詞を書いていくわけだし、自分の気持ちを忠実に表現する言葉を必死に探してきているんだと思います。そうした過程を経てきた言葉たちだから、素直に聞いている側の心の中に入ってくるし、共感を呼び起こすことができるんだと思います。
 こんな過程を通して、まーちゃんの心の中から導き出された純度の高い言葉が、いろんな音に乗っかってこちらの耳から心に伝わって、恋する気持ちやその甘さ、夢へと向かう気持ちや、あるいは聞いている自分の至らなささえも思い起こさせる…そんな、聞く側の心の動き…それこそをまーちゃんは「虹」と言いたいんだろうな、と思いますし、それがこちらにも「虹のいろいろな色」として端的にとらえられるんじゃないかな、と思います。

最後に

 と、まあ、こんなふうに「虹の咲く場所」について見てきたわけですが、いかがだったでしょうか? なんだかんだ言っていますが、最初に聞いた感想は、「いいものを作ったなぁ」ってことなんですね。アルバム「ひまわり」の時に、「歌手・飯塚雅弓を知らない人にお勧めできる1枚」と作品紹介で言いましたが、このアルバムはさらにお勧めの1枚になったな、と思っています。このページを見ていただけている方で、「まだ聞いてないよぉ」と言う方は、ぜひぜひ一度聞いてみてください。きっと、何かをこのアルバムから感じ取れると思います。


 次は8月18日ですね。暦の上では秋が近くなっても、まだまだ暑い日は続いていそうです。次回は、そんな時に聞くとつい暑さも忘れそうな「おしゃれな曲」を見てみようかな…なんて思っています。

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