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CD Release

第27回 やさしい右手

はじめに

 日本全国で、桜もそろそろ葉桜に変わったころではないでしょうか。まあ、時々寒さが戻ってきたりもしているんですが、それでも毎日少しずつ、「暖かい」から「爽やか」を経由して「暑い」に変わっていくのが感じられるような気がします。で、こういう爽やかな季節になると、本当によくはまるようになるのが、まーちゃんの曲なんですが、4月24日に、久しぶりとなるシングル「やさしい右手」が発売されました。今日は28日なので、皆さんの手元にも届いているかと思います。
 今回は、このシングルの中から、タイトル曲になっている「やさしい右手」について、軽く見てみようと思います。

優しさと強さ、そして絆

 この曲で、まーちゃんが伝えたいことを一言(?)で言うなら、「全部分け合って一緒にいようね」ってことなんでしょう。それって、言うのは簡単だけど、実際にやるのって難しいですよね。
 笑顔を共有するのは、それが自分の中からもごく自然に出てくるのなら、別に心が痛くなることもないでしょう。それどころか、本当に積極的に分け合いたいって思うぐらい、心が満たされることでもありますしね(そうするのが辛くなるような間柄なら、一緒にいようなんて思いませんし)。
 逆に、傷を共有しようって言えるってのは、本当に相手のことを思うことができて、さらに、自分の中にその痛みを感じられるような感受性とか、それに耐えられるだけの強さが必要になるんでしょう。相手の痛みを自分の心に感じられないと、どんな言葉をかけても相手の心には届かないでしょうし、自分が十分に強くないと、ついつい相手のことを突き放してしまいそうですしね(あえてそうすることが必要なときもあるとは思いますが)。
 それらをごく自然に分け合ってきたし、これからもそうしていこうって言っているこの曲を聞いていて、優しさも強さも伝わってくるのは、それがいかに大変なことかがごく自然に分かるからだし、そして、まーちゃんがそういう人であろうとしているってことが、歌い方や歌詞からにじみ出てくるからでしょうね。
 まーちゃんは、曲の中で、それができるのは「絆があるから」だと言っています。この曲を聞いていて、胸に伝わってくるもう一つのものは、その「絆」の暖かさなんですよね。自分が感じている痛みさえ共有しようって言ってくれるほどに、自分に親身になってくれている相手の気持ちは、本当に暖かい波になって、聞いている側の胸に押し寄せてきます。そして、それは日常生活で埋没してしまっている、人と人とのつながりの暖かさを再び思い起こさせて、傷を癒し、新しい日へ向かっていく力になっていく、大事な暖かさでしょうね。

吉田ゐさおとウルフ・トレッソン

 さて、まーちゃんが何度もラジオやらインタビュー記事やらで言っていますが、とにかく、この曲を製作する上では苦労が多くて、「歌いたくない」って思ったほどだったようです。吉田氏と曲を詰めていく上で、氏は「まーちゃん自身がどうしたいのか」と言うことを常に考えさせています。今まで、まーちゃんはそうした部分をフィーリングとか、あるいはアドバイスとかに乗ってやってきていた部分もあったんでしょう、それを自分の中から全部具体的に引き出してくるのが大変だったってことでしょうね。また、まーちゃんが作詞する上においても、自分の中に曖昧な部分を残させないように、「より具体的に、飾らずに」ということを言っています。
 こうした部分を見ていると、氏は曲を作るうえで、ものすごく真摯になる方だと思うんですが、一方で、まーちゃんが作詞するときに、「話すような感じで」とも言っています。話し言葉ってのは、ラフで飾り気のないことが多いんですが、その反面、自分の気持ちがすっと自然に出る言葉でもあるでしょう。そうした言葉を使わせることで、より気持ちが伝わるものを作り上げたんじゃないでしょうか。
 結局、吉田氏からまーちゃんが受け取ったものは、、「気持ちを伝えるのには妥協せず、でも技や過剰な表現にはこだわらないでいいんだ」ということなんだと思います。
 で、これを考えているうちに思い出したのは、「caress」の製作のときのことです。スウェーデンのスタジオで録音したわけですが、そのとき、たったの3回歌っただけでもうOKという製作過程。まーちゃんは、このときの体験を通して、「いい意味でのラフさを教わった」と言っています。表面だけ見てると、かなり対極に見えなくもないんですが、トレッソン氏が3回で録音を終わらせたのは、きっといろいろなことを気にかけすぎることで、気持ちが伝わらないものになることを避けたんじゃないでしょうか。
 だから、この両氏からまーちゃんが教わったのは、「まず気持ちを伝える」ことの大切さなんだと思います。まーちゃんも、分かっていることなんですが、改めて認識させられた、とファンクラブの会報で言っていました。

最後に

 本当に、この曲は聞いていて暖かくて、その音の波に包まれていたいって思わせてくれる曲です。だから、曲を聞いていて、「ライブのときは何もしたくないな、目を閉じて、ただ聞いていたいな」と思いました。夏のライブのときは、まーちゃんは、この曲をどんな風に聞かせてくれるんでしょうか? それが今から楽しみになっています。


 次は、5月12日の更新で、「My wish」について見てみようと思っています。例によって、曲の感想なんかを待っていますので、よろしくお願いします。

おまけ

 自然に出る言葉がいかに強いかってのは、名アナウンサーの一人、杉本清アナの著書「三冠へ向かって視界よし」でも分かります。立ち読みででも、64、5ページを読んでみてください。

第25回補足

 あはは…「Steal on Sunday」を忘れてた。あれが一番春っぽいのに…(苦笑)。のんきに柔らかい感じで、いかにもって気がしません?

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