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第7回 トライアングルセッションズ
はじめに
「チャンス トライアングルセッション」が放映されてしばらく経ちます。人物の内面をじっくり描きこむという表現方法なので、他のアニメーションに比べるとゆったりしたテンポに感じるんですが、それでも物語は次第次第に佳境に入っています。
この番組、「ミュージカルアニメーション」を名乗るだけあって、音楽という要素が大きなウェイトをしめています。もともとの始まりは、アカリ、ユウキ、ノゾミの三人が、レイカのライヴ会場で何かを感じたことですしね。
今回は、この作品ですでにCDシングルとして発売されている2作品、「Pure Blue」と「Love Forever」について、簡単に書いていきます。
Pure Blue
作詞:矢島雅子・松井五郎 作曲:桑原英明 編曲:ケンちゃん コーラスアレンジ:Jin Nakamura
「チャンス」のオープニングテーマ。タイトルからは、このページの「Previous」や「Next」のボタンの色のようなものも想像できるんですけどね。でも、詞で詠われていることや曲調を考えると、もっと暗い感じの色のようです。だからといって、詞の通りにナイトブルーかっていうと、そうでもないですよね。たとえば、昼の青空は太陽の光が大気に散らされてできているわけですけど、それと同じことが星におきているのなら、そのあたりの色なんじゃないでしょうか。
色の講釈はこのあたりにしましょう。歌詞の方も、この「スターダムストーリー」をかなり意識して描かれています。地球に光を届けている星の中には、目に見えないほど暗いものもあります。自分がそうならないとは限らない不安をどこかに抱えながら、それでも目指すところに光を放っていこうっていう内容ですね。う〜ん、アカリたちの状況そのまんま。そうしたイメージを、曲の方も増幅するわけですね。明るくいきたいけれど、明るくなりきれない、でも最後には明るく、力強く奏でられるメロディになっています。
Love Forever
作詞:松井五郎 作曲・編曲:ケンちゃん コーラスアレンジ:Jin Nakamura
「チャンス」のエンディングテーマ。とにかく、ハーモニーで聞かせてくれる曲になっていますね。さすが、3人が3人ともCDを出しているだけあります。作中で、キサラギがアカリ(=雅弓さんでいいと思いますが)の声質を評して、「ガラスのような綺麗な声」というようなことを言っています。そういう声質だから、ユウキ(=榎本さん)やノゾミ(=山本さん)のハーモニーパートも綺麗に引き出されてくるんでしょうか。
スローテンポの曲な分、歌詞の意味がじんわりと胸に染み込んできます。綺麗なハーモニーは、胸の広い部分から同時に浸透させる効果がありますね。さて、その詞の方なんですが、けっこう大きい歌詞です。ためらいや戸惑いだってありますが、それを受け止めて、それでも前に、一緒に進んでいこうっていうところです。それにしても、本当にあたたかみのわかる歌い方をしているって、そう思います。このあたり、3人ともすごいですよね。
トライアングルセッション'99
さて、「チャンス」の前身は、99年に文化放送の「超機動放送アニゲマスター」内で放送されていた、「トライアングルセッション’99」です。こちらは、ラジオドラマということもあって、コメディ色(時にギャグ色?)を前面に押し出している内容です。そこでも、「全世界に通用するアイドルになる」夢を見る日野本アカリ、ユウキ、ノゾミの3姉妹のために、いくつかの曲が作られました。そうした曲たちについて、1、2行のレビューをして見ましょう。
シングル「めざめ」収録分
めざめ(作詞:室生あゆみ 作曲:岡佐智代 編曲:難波正司)
ラジオのオープニングテーマ。「Pure Blue」とは違って、ストレートに明るい曲です。
FLASH BACK(作詞・作曲:田中遊梦 編曲:田中遊梦・難波正司)
ラジオのエンディングテーマ。「めざめ」はアカリがメインですが、こちらは3人がそれぞれに目立つスローバラードです。
シングル「夢を見た」収録分
夢を見た(作詞:田中遊梦 作曲:広瀬允寿 編曲:田中遊梦・広瀬允寿・難波正司)
こちらの方の作品のカラーですが、とにかく元気がいいのが多いです。これもそんな1曲。
恋のチャンス3(作詞:ビーンズ豆田 作曲:小西真理 編曲:難波正司)
この辺から、3人が別の動きをすることが多くなります。それが聞いていて楽しい曲。
「セッション1」収録分
信じていいよね(作詞:室生あゆみ 作曲・編曲:小西真理)
アカリがメインの曲。リズムやらサウンドやらに、けっこう鋭さが見えてます。
なかなおりしましょ(作詞:田中遊梦・LINDEN 作曲:田中遊梦 編曲:田中遊梦・滝沢淑行)
ノゾミがメインボーカル。とにかく軽いノリが絶妙。
Looking for smile(作詞:伊藤なおこ 作曲:WANDAM 編曲:La Chichi 2000)
3姉妹のライバル、錦織レイカ(川澄綾子さん)の曲。どこか物憂げな感じもするけど前向きな曲。
「セッション2」収録分
mirage(作詞:室生あゆみ・田中遊梦 作曲・編曲:田中遊梦)
アカリがメインのスローバラード。後半、追いかけてもつかまらない蜃気楼の感じが出てます。
true light(作詞:LINDEN 作曲:田中遊梦 編曲:田中遊梦・滝沢淑行)
ユウキがリードのラップナンバー。アカリたちのコーラスに乗ってるユウキのラップ、聞き物です。
Looking for smile(作詞:伊藤なおこ 作曲:WANDAM 編曲:La Chichi 2000)
「セッション1」の同曲の別アレンジ。歌っているのはマダムQ(金月真美さん)。こちらはスローな弦に乗せて、語りかけてきています。
最後に
「トライアングルセッション」の曲を簡単にレビューしてみましたが、いかがでしょうか。いまさらですが、本当は9月頃にやればよかったかな、なんて思わないでもないですね。まだ発売されてない曲もありますし。まあ、そのあたりについてはアニメーションといっしょに後日ということにしておきましょう。
ところで、TS’99のCDの入手が、現在とても難しくなってきています。これは、もともと発売していた会社(…どこだか忘れてしまいました)が、レコードから撤退したためなんですね。だから、今レコード店に注文しても、絶版扱いになるはずです。
CDを今入手するのに一番確実と思われる方法は、Vital Musicの通信販売を利用することだと思います。ただ、2/3ぐらいのCDが売りきれているので、早くしないとやばそうです。なお、全曲集はまだ残っていますので、「歌を聴きたい」という方はご安心を。ここをクリックして、たどり着いたページでVital Musicの方へ入ってください。
いいかげん、悪くても次の締め切りのころには梅雨が明けているでしょう。となると、つぎは「夏が来た 日本中に 愛の歌聞こえてくる」って季節です(雅弓さんの曲じゃないな、これ)。
そういうことで、次回は「夏の歌」です。夏に聞きたい曲、いろいろと教えてください。
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