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Strawberry Summer Fight!! Tour 2009
2009.08.15 @東京都渋谷区・渋谷O-East
熱気と穏やかさと
前回のHop Step Jump Tourの時と同様、開演を待っていると舞台裏からまーちゃんをはじめとする出演者一同が気合を入れている声が聴こえる。今回、舞台に上がる人数が普段よりだいぶ多いので、その分よりにぎやかになっているような気がしないでもなかった。その後もしばらく待っていると、いよいよ舞台が暗転してライブのスタート。今回はどこか格闘技の入場シーン、あるいはクラブを思わせる雰囲気の中、バンドメンバーが、そして白のミニドレス姿のまーちゃんがステージに上がってくる。まず、ダンサー4人と一緒に「プリズム」で夏のステージの始まりを熱く、それでどこか爽やかに告げてくると、「ファイト!!」でより会場の熱を上げてきてくれた。2曲終わったところで、簡単な挨拶とメンバー紹介を挟んでから、「僕のパートナー」へ。コーラス部分は客席も一緒になって皆でひとつの曲を作り上げた。……夜の時に、衣装が解けかけたのは、それまでの全ての公演で動き方が激しかったからなんだろうかね?
ここで、一度落ち着くためにMC。挨拶から始まって、ツアー最終日への想い、その日の朝の様子などを話したあと、なぜか恒例になったらしいあいうえお作文。こういうときに、たま〜に会場が静まってたりするのは、まぁまーちゃんらしいって言えばそうなのか? でも、最終公演のときは皆が拍手してくれるぐらいのいいできになってたんだけどね。
MCの後には、おそらく、今回のライブ中、MC以外で唯一落ち着く場面がやってくる。「君は君のままで」で安心感と心地よさを演出してから、虹色の光に照らされた空間の中、「虹と素足のストーリー」。追憶的な場面をそっと作っていた。そして、キーボードからストリングスのロングトーンが流れ、照明が青に変わると、もしかしたら今回のステージのある意味焦点のひとつでもあったのかもしれない「Babyblue」。いろいろな人たちへの想い、過ごしてきた時間への想いをたくさん乗せて、穏やかな、それでいて確かな言葉を紡いでいた。
ダンスと盛り上がりと
「Babyblue」の静かな余韻の中、まーちゃんが衣装を換えに下がると、「Yeah! Yeah! Yeah!」をベースにしたメロディをバンドが奏でる。時に皆で声をかけつつ、今回加わったキーボードの川田瑠夏氏にスポットをより当てて、軽やかに、それでいてどこか落ち着いた雰囲気の中でまーちゃんを待つ。
やがてピンクのラメが入ったビキニとホットパンツ姿のまーちゃんが、はるかに数の増えた、そして男性も含めたダンサーと一緒に戻ってくる。そこからは一気に賑やかになって「Yeah! Yeah! Yeah!」で盛り上がる。フリがあるところは皆で一緒に、そうでないところは思い思いに動いて、ちょっとラフだけど共有感もあるような、そんなステージ上だった。ここは1曲でMC。今ステージ上にいた人達を紹介したり、「Babyblue」から想ういろいろなことを話していた。前の曲で動いた分の体力が少し回復しただろう頃を見計らって(?)、「ロマンチックだね」から「月と帰り道」へとステージが進行していく。今までに回数を重ねて会場も動きやすくなっている曲だけに、皆が気持ちよさそうにやっていた。
ちょっとMCを挟んだ後、ここで、ここまで使っていたヘッドセットのマイクから、普通の手持ちマイクに持ち替える間、まーちゃんご指名のメンバーが場を繋ぐ…はずなんだけど、みんな普段喋る人じゃないから、けっこうここで苦労してたり。しかも、時にまーちゃんが無茶をいうからなおさら。漫才って何よ、漫才って(笑)。そんなこんなのMCの後、「My happy day」から「虹の咲く場所」と、けっこう久しぶりになる2曲。それぞれにいろんなことを思い返しながら聴いていた。
ここでまーちゃんは2度目の衣装換え。今度は今まで良くやっていたような、みんなで会場の熱を落とさないように…といった感じでまーちゃんを待つ。やがて、音が一度切れるとバンドのメンバーも退場。一度誰もいなくなった舞台上に、銀と黒の制服というか、航宙服というかといった雰囲気の衣装で、ダンサーも引き連れてまーちゃんが戻ってくる。そして、ここからはクラブ調にアレンジされたおなじみの曲でのメドレー。いつも聴きなれている曲を大胆にアレンジして、そして、ほとんど初めてなんじゃなかろうかという、ハードなダンス。まーちゃんのステージでは見たことがない、それでいてどこか見ている人をひきつけるようなステージングだった。
メドレーが終わると、MCで今までのステージやリハーサルなんかでの、その場面の話。やっぱり、やってる回数が少ないからの苦労はあるようで。まぁ、この日はもう何度もやってきていたから、けっこうしっかりと踊れているように見えたんだけどね。そして、下がっていたバンドメンバーが再び入場。爽やかな「オモイデゾラ」から「とぼうよ!」、「君といたmemory」という流れで、ステージの最後の場面を作り上げていく。そして、一緒に作った空気の熱さの中、ここでまーちゃんからメンバーの紹介があった後、メインステージでは最後の曲になる「とびたつ季節」。皆で盛り上がってから、名残を惜しむように最後の部分をちょっとだけ伸ばして、一度ライブの区切りをつけた。
帰る場所と笑顔と
アンコールに呼ばれて、ツアーTシャツ姿に、珍しく踵の低い靴で戻ってきたまーちゃんが、お礼がてらのMC。今までの曲を歌うたびに想うことなどを話してから、「remember」へと入っていく。ちょっと懐かしい雰囲気に会場を包み、さらにMCを挟んでから、もうひとつ、この場所に帰れた喜びを噛みしめるように「ただいま。おかえり。」を歌う。会場と一緒に、この場所が続いてくれることを願いつつ乃2曲が終わると、ここでまーちゃんは一度退場。
再びのアンコールでは、その靴に合わせるかのように(…逆か)、「befriend♥」をいきなり歌う。テンポの速い曲で腕を振るのはお互い大変な中、サビの最後はどっかのライダーみたいなポーズも入れて遊んでたり。そして、最後のMCでこれからの話(夜の時は、冬のアルバムに使うための音源もここで録音してたり)や、ここまで楽しんでくれたことへのお礼を言った後に「Smile!」。舞台上の皆や、夜の公演ではスタッフもちょっとだけステージに上がってもらって、皆で笑顔の交換会。会場内を楽しく明るい空気に包んで、全てのプログラムが終了した。
そして、舞台中央にこのステージで一緒にやってきた皆が並んで、最後に挨拶をして、舞台から下がっていくことで、ライブが終わることを合図…したんだけど、夜の時はね。もう一度アンコールがあったんだけど、とりあえず用意してなかったらしくって、まーちゃんだけ舞台に戻ってきてもう一度挨拶。これでライブが本当に全て終了となった。
感想
事前にまーちゃんが話していたとおり、動くところはけっこう動くし、皆で一緒に盛り上げていけるところは普段よりも多かったのかもしれない。もちろん、新曲についてはまーちゃんが曲を製作していた頃に意図していたことが全部客席との共同作業でできてるかっていったら、まだまだなんだろうけど、それでも最初の取っ掛かりとしてはある程度のところになったのかな、と。そんなふうに、普段よくやるような盛り上がりの場面もありつつ、普段は見られないハードなダンスだったり、賑やかな舞台上だったり、あるいは「Lala〜」で皆で歌えるようなところも取り入れて、新鮮に感じられるところはけっこう多かったんじゃないか、と思う。
また、まーちゃんの話から想像していたのとは違って、ちゃんと途中にはじっくりと聴ける場面を用意してくれてたのが良かったな、と。やっぱり、一本調子になっちゃうとつまらないし、まーちゃんの声のクリアさはそっちの方がより感じられるわけだから、そうしたところはまーちゃんのライブに関する限り、絶対に必要なんだと思う。
そんなふうに、新鮮な感じだったり、気持ちを見つめているような場面だったりを含めつつ、最後には「Smile!」で締めてるあたりに、まーちゃんのライブについての願い、つまりは、来てくれた人たちが笑顔で帰れるように…って言うところが現れているんだと思う。多分、その辺の気持ちはもうずっと変わってないから、いろんなことがあったステージでも、最後にはまーちゃんのライブらしさってところになってたんじゃないかな。
まとめると、いろいろと新しいことを試しつつも、ライブで大事にしてる根本のところは変わってないから、終わった後に新鮮さと安心感が同居する、そんなライブだったんじゃないかと。まーちゃんのらしさをちゃんと感じて帰ってきたって言っていいんだと思う。
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