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ミュージカル「パナマ・ハッティー」
2002.03.29 at 東京都千代田区・帝国劇場
プロローグ 博品館劇場
JRの有楽町駅のホームから、まーちゃんが最初のライブをやった東京国際フォーラムが見える。なんか、感慨を覚えながら、国際フォーラム口から駅を出て、しばらくまっすぐ歩くと、帝国劇場の立派な建物が見える。場所を確認した後、しばらく新橋で時間をつぶし、4時半ごろに戻ってきて中に入る。
ホワイエ(ロビーっていったほうが分かりやすいかな?)に出ている店を眺めると、大地真央さんのグッズの量に驚かされる。ほんとにいろいろとありました。笑ったのは、なぜかあったお土産用の漬物。劇場でそんなもん買う人いるんかい(一瞬だけ買おうかと思ったけど)。それにしても、絨毯やらステンドグラスやら、雰囲気にあふれた劇場でした。
ホールの中は、さすがにどの席からでも舞台が見やすいように思われるつくりでした。で、舞台の前のオーケストラボックスから、楽隊のウォームアップが聞こえてくるのを、時々気にしつつ開演を待っていました。
第1部 ハッティーとニックとジェリー
「トロピカル・ショア」の大人気ショウ・ガール、ハッティー・マロニー(大地真央)は、愛するニック・バレット(今井清隆)と「新婚旅行出発準備OK」になり、仕事を惜しまれながらやめることに。
ところが折りも折り、フィラデルフィアにいたニックの先妻の娘ジェラルディーン(愛称ジェリー・飯塚雅弓)が、パナマにきて、ニックと暮らすことになる。ジェリーに気に入られようと大奮発した衣装を着て現れたハッティーを見て、思わずジェリーは大爆笑。傷ついて大荒れしたハッティーだったが、後日ジェリーと二人きりで話すうちに、互いの美点に気がつき、少しずつ打ち解けていくのだった。
そして、ニックの上司のランドルフ氏(林アキラ)に会うパーティーに向けて、ハッティーはジェリーからファッションや言葉についてのアドバイスを受ける。その甲斐あって、パーティーでのランドルフ氏への初対面は何とか切り抜ける。ところが、ここでニックに横恋慕する提督の娘リーラ(堀内敬子)の陰謀が発動、ランドルフ氏のハッティーに対する心象は0点どころかマイナスレベルに。
そこに居合わせたジェリーが怒ってリーラに詰め寄り、「私のママは素敵な人よ!」とリーラとの差を強調する(だけどジェリーちゃん、フィラデルフィア育ちのお嬢様が「ごろつき」なんて汚い言葉を使っちゃだめでしょ(笑))。そして、初めてママと呼んでもらったハッティーとジェリーは、背筋を伸ばしてパーティー会場を後にした。
第1部 Impression
いや、最初にジェリーが出てきたとき、なんか違和感あったんですよ。なにかなぁ…と思ったら、ニックの横に並んだときに気がつきました。靴が厚底じゃないから、まーちゃん本来の身長で見えるんですね。
まあ、それはともかくとして、今回は役が難しいからか、演技でもいろいろな感情を出すシーンが多かったですね。たとえば、ハッティーのてんこ盛りのドレスを見て大爆笑する(そして周りも巻き込んで笑わせる)シーン。で、その後ニックに諭されて、さすがに申し訳なく思って謝る場面(でも、謝れば謝るほど泥沼に…)。
今回、一番印象的だったのは、やっぱり1部の最後に、リーラに詰め寄るシーン。ハッティーがリーラに陥れられたのを見て、ジェリーは本気で頭に来てるんですが、語気やら仕草やらから、感情がこっちに伝わってきて、見ていて本気で怖かった(笑)。でも、それと同時に、「やっぱまーちゃんって凄い」ってのを認識したシーンでもあるんですけどね。
歌は、ジェリーがハッティーにファッションや言葉を教え込んだあとで出てきました。基本的には、ハッティーが歌って、ジェリーが台詞で返すって形ですが。仲良くなろうと懸命なハッティーに対して、ちょっとそっけないジェリーが好対照でした。
第2部 走れハッティー!
ランドルフ氏の心象を悪くしてしまったハッティーは、ニックが自分といられるように、フィラデルフィアへ引っ越す決心でいることを知り、ニックの生活を壊さないために、自分がパナマを離れることを決意、ジェリーに「離れていてもずっと一緒だから」と言い残し、旅立つ準備に入る。
その後、ジェリーはニックへのお弁当を届けに行く途中に、「お父さんに渡して」と何かの包みを渡される。「時計かしら?」
ジェリーがニックの職場である運河についたころ、水兵たち(今拓哉・吉野圭吾・尾藤イサオ)からフローリー(シルビア・グラブ)を通じて、ハッティーは運河爆破計画が実行されていること、そして、その爆弾がジェリーに渡されたことを知る。あわててニックの執務室に駆け込むハッティー。間一髪で、爆弾を投げ捨てることに成功するのだった。
後日、爆破計画阻止の最大の功労者であるハッティーを表彰する式場で、パナマを出て行くつもりのハッティーは出席者全員の引止めにあう。そして、ニックはその場でハッティーにプロポーズ。駆け寄ったジェリーと3人で抱き合い、その周りには祝福の大きな輪ができていた。
第2部 Impression
ジェリーって、しっかりしていそうに見えて、けっこう抜けてるところもあったりする。「食事のあとのお楽しみ」って言われたのに、「時計かしら?」って…(苦笑)。
まーちゃんの演技のほうでは、やっぱり、台詞回しがうまいなぁって感じた。ニックの執務室で、その仕事に感動しているシーンとか、ハッティーの表彰式の前に、ランドルフに詰め寄って、ハッティーとニックの間を壊さないようにという場面で、台詞からジェリーの感情がひしひしと伝わってくる。やっぱり、まーちゃんって、役者としての何かを持ってると思いましたね。
表彰式が終わったあと、一度幕が下りて、作中で使われた歌を、もう一度歌いながらのダンスシーンになったわけだけど、ジェリーは水兵3人衆、フローリー、リーラとともに登場、水兵の背中にぴょんと乗ったりして、身の軽さを見せていたりして。
最後のカーテンコールでは、この日が最後の出演になるまーちゃんが大地真央さんと一緒に真ん中に立って、手を振っていたのが嬉しかった。そこで幕が下りてきても、その隙間からずっと客席を覗き込むようにしてたのにはけっこう笑った(嬉しくて)。
ひょっとしたら、その後さらにまーちゃんのみのカーテンコールがあったのかもしれないけど、そこまで見てる時間的余裕がなかったので、それに関しては分かりません。どうもすいません。
翌日に思う
実際、今回の役って簡単じゃなかったと思うんだけど(父親が後妻を迎えようとしている女の子ってのはねぇ…)、年齢以上によくできた女の子を、しっかりとかわいく演じていたんじゃないかと思う。そういう子って、どこか小憎ったらしくなるところもあるんだけど、かわいさとか、しっかりさってところのほうが印象に残ってたしね。
あと、第1部の最後みたいに、本気で怒ってあれだけまくし立てるシーンって、あんまり(…ほとんど?)見たことがなかっただけに、新鮮だったし、それと同時に役者としての力も分かったり、まーちゃんの新しいところを見られた。
ふと気づいたのは、「ワンス アポン ア マットレス」の時もそうだったけど、ヒロイン(今回はハッティー、前はウィニフレッド)に対して、最初は失礼なことをしてるのね。そういう役のめぐり合わせかな?
「マットレス」との比較っていう意味だと、前回は役が役(妊婦さん)なだけに、ダンスはほとんどなかったわけだけど、今回はいくつか踊ってるシーンもあった。身が軽いところを、うまく見せてたんじゃないかな、と(それで思い出した。最初、ニックと会ったシーンで、ニックがジェリーを抱いてくるくる回ってるけど、なんと7回(←つい数えた)。まーちゃんが軽いって言っても、回るほうも回されるほうも、体力が要ることを、よくこなしてるって思う)。
それにしても、大地真央さんって、本当に凄いと思う。「マットレス」を見たときにも思ったけど、ああいう、舞台をたった一人とその雰囲気で満たせる役者さんって、そうはいないはず。それほどの役者さんを見られたって事を嬉しく思うのと同時に、いつかはまーちゃんもああいうふうになってほしいって思うのが、正直なところ。
ともあれ、いい芝居を見せてもらったな、って思います。もう少し回数見ておきたかったな、とも思いますが、もう終了してしまいましたので、また、そう遠くないうちに、まーちゃんも舞台に挑戦して、また生での芝居を見て、楽しむことができたらいいなってのが私の願いです(実際、まーちゃんって、将来的には舞台女優を主にするのかな、って思うことがけっこうあります。これってこっちの願望かなぁ)。
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