バドミントン選手におけるオンコートでの専門的フィジカルテストの信頼性と妥当性度

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研究の概略

●目的:バドミントン選手に必要な有酸素性作業能力(全身持久力)とトラベリング能力(フットワークの速さ)をオンコート(コート上)で測定評価するテストを作成する
●被検者:関西学生バドミントンリーグ2部に所属する男子学生21名,女子学生9名
●専門的フィジカルテスト:6方向フットワーク,コート内往復走
●妥当基準となるテスト:コート内縦往復ダッシュ,サイドステップ,垂直跳び,立ち幅跳び,2400m走,最大酸素摂取量

要約
 本研究では,オンコートを利用したバドミントン選手の移動能力と有酸素性作業能力を評価するテストの信頼性と妥当性を検証とした.得られた結果は以下のとおりである.
1. 6方向フットワークと20往復走の級内相関係数(データの一致度:0.7以上で良好なテスト)は0.73と0.75で,オンコートを利用したバドミントン選手の専門的フィジカルテストとして信頼性(何回やってもほぼ同じ結果となる)は高かった.
2. 6方向フットワークはコート内縦往復ダッシュ,サイドステップ,垂直跳び,立ち幅跳びと有意な相関関係を示し,敏捷性や下肢筋パワーと関係する能力を評価できるテストであった.
3. 30往復走は,2400 m走や最大酸素摂取量と有意な相関関係を示し,バドミントン選手の有酸素性作業能力を評価できるテストであった.
 以上のことから,バドミントン選手のコート内移動能力と有酸素性作業能力を評価する6往復フットワークと30往復走は,オンコートを利用した専門的フィジカルテストとして信頼性と妥当性が高く,有用な方法であることが示唆された.

専門用語の説明
●有酸素性作業能力:酸素を利用したエネルギー代謝能力で,長時間高強度な運動に耐えられる能力(全身持久力ともいう)
●最大酸素摂取量:1分間にどれだけたくさんの酸素をからだの中に取り込めるか,全身持久力の指標
●級内相関係数:同じテストを2回測定した時の相関係数(ICC:intraclass correlation coefficient)
●信頼性:同一検者が,同一被験者に,同一テストを複数回行った場合に,どの程度結果が一致している化を評価する概念
●妥当性:テストが目的とする対象(能力等)をどの程度捉えているかを評価する概念