いのまた和雄の視察研修報告 | 2008年3月以前はこちらです。 |
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【教育環境委員会】 静岡市は、旧静岡市が1万食規模の大規模給食センター4か所、他に5か所の小規模給食センター(100~1000食まで)、旧清水市が小学校は基本的に自校調理方式(20校)、中学校(11校)は民間委託の弁当配送で実施されています。 全体としては、教育委員会はセンター化の基本方針を決めていますが、当面はまず清水区の中学校給食のセンター化をめざしています。 しかし実際に市内全域でセンター方式で統一しようとすれば、特に自校調理方式で実施している旧清水市の地区からは大きな疑問が出されることは確実と言えるでしょう。 西島給食センターはPFI方式で建設され、設計、建設、施設の維持管理、運営(調理)、配送まで一括して、「南部学校給食センター株式会社」に、 平成21年3月から37年3月まで総額77億7500万円で委託されています。 建設完成は平成22年で、その年の9月から、駿河区17の小中学校、約1万食(最大調理能力は12000食)を調理、配送しています。 約3000食ずつ3献立で、配送時間は、最大25分くらい、調理室はドライ方式、食材の搬入・洗浄などの部門と、調理部門を完全に分離するなど、当然ながら衛生管理面には最大の注意が払われています。 センターには、市の職員の所長、事務職員、栄養士2名、県の栄養士2名、学校職員である県の栄養教諭2名、他に民間からは調理員70名と配送運転手8名が配置されています。 私たちがセンターに着いたのは10時半くらいでしたので、ほとんど調理は終わっており、最後の仕上げ(味見)、食缶への盛り込みが行われているところでした。 いつもながらセンター給食を視察して感じるのですが、これから配送して子どもたちが食べるのはこの2時間後ですから、食缶で温度を保っているにしても、かなり冷めてしまっていることでしょう。 センター方式では、熱いものを熱いうちに食べるのが困難(不可能)というのは、致命的な欠陥だと思わざるを得ません。 センターの所長さんのお話の中でも、センター方式のメリット、デメリット、自校調理方式のメリット、デメリットが説明されていましたが、結局は、学校給食に対する考え方(実は「食」に対する考え方)と財政の問題になってしまいます。 各自治体で学校給食の調理方式には違いがあり、合併して当面は別方式が混在せざるをえません。 静岡市も久喜市も同様の状態にあるわけですが、今回の視察で簡単に答えは出せないことを改めて感じました。 久喜市では、栗橋地区の小学校の自校調理方式をいかにして守っていくか、中学校の民間委託給食をどうするか、鷲宮地区の老朽化した中規模センターの建て替えをどうするのか、答えを出さなければなりません。 久喜地区の全農食品への全面委託・大規模センター方式も、早期に直営化・自校調理方式に転換するべきで、私はこれらを含めて久喜市の学校給食全体を、段階的に自校調理方式に移行させるよう提案していますが、久喜市(教育委員会と久喜市長)の政治判断が問われていると言えます。 アレルギー対応食の調理 この西島給食センターでは、アレルギー対応食にも取り組んでいて、最大50食が調理可能ですが、現在は40食を調理し、個別弁当方式で配送しています。事前に詳細献立を配布し、保護者からの個別対応の申し出を受けて協議した上で、アレルゲンを除去した給食を、特別調理室で選任の調理員が調理しています。 久喜市でもアレルギー対応食は、早急に実現しなければならない課題です。 ただし、アレルギー対応食の調理・配食は、大規模給食センターでなければできないわけではありません。 現に、静岡市の西島給食センターでも(数年前に視察した松本市の給食センターでも)そうでしたが、1人1人に対応したアレルギー除去食を、栄養士が作成した献立にもとづいて、他の数千食の調理とはまったく別の小さい一室で、専任の調理員さんがほとんど1人で調理しているのですから、給食センターとは別のアレルギー対応調理室を市がどこかに設置すればいいわけです。 久喜では現在のところ、保護者が献立を確認して、アレルゲンの入っている食は食べさせないという対応をしているのですが、アレルゲン除去食を調理できる調理室を設置するよう求めていく必要があると考えています。 |
【教育環境委員会】 27日は神奈川県平塚市、小学校と公民館の複合施設です。 少子化で、全国的に小学校の児童数が減り続けています。 久喜市でも、各学年とも1クラス、全学年で6クラスしかない小学校が増えていて、ある小学校は1学年に6人しか児童がいない学年もあり、通常であれば2学年を合わせた複式学級になるのですが、市で特別に教師を増員して何とか学年ごとのクラス編成を維持しています。 例外的に、東鷲宮地区ではマンション建設などで人口が増えていて、東鷲宮小学校ではプレハブ教室を増築しましたが、局地的・一時的な増加であり、近い将来には減少に転じると予測されています。 そうした中で、地域住民に子どもたちに関心を持ってもらい、見守ってもらうなどの観点から、空き教室活用の取り組みも進められていて、久喜市でも高齢者のミニデイサービスを行っている学校もあります。 これをさらに広げて、地域住民の集会施設などに開放していってもいいのではないかという考えもあります。 平塚市立大原小学校では平成10年に、地区の大原公民館を学校敷地内に建設しました。 3階建ての1・3階部分を公民館として使って、2階部分は校舎と渡り廊下でつないで音楽室を設置しています。 公民館は、学校の入り口とは別に裏の道路から直接に入れる門を設置、フェンスを設置して校庭には行けないようになっています。 2階部分も、校舎側から渡り廊下を通らないと入れないようになっていて、エレベーターも2階には止まりません。 外部の人が学校施設内に立ち入れないようにセキュリティもしっかりしていました。 ということは、学校と公民館はそれぞれまったく隔絶された独立の施設になっていて、普段は相互の交流はないということになります。 それでは複合施設にした意味は何だったのかというと、地域に公民館を建設してほしいという要望が強かったのに対して、用地の確保ができず、苦肉の策として小学校敷地内の一角に建てたということのようです。 計画当時、学校のPTAなどからは子どもたちの安全を考えて、公民館の併設に反対の運動もあったそうで、なおさら、1・3階の公民館と2階の学校施設部分とを切り離すことになったようです。 私たちは、地域に開かれた学校という観点を期待して視察に行ったのでしたが、残念ながら全くの期待はずれの視察で、失敗でした。
私は以前、近隣の議員さんたちといっしょに、吉川市の美南(みなみ)小学校に併設された公民館を視察したことがあります。 ここは新駅設置に伴う人口急増地域に新設された小学校ですが、公共施設を集約して公民館を併設し、建物を一体的に相互に利用しながら、地域住民と学校の交流もできる、同時に児童の安全(セキュリティ)対策もしっかり配慮されていました。 またいずれは児童数が急減していった時に、学校施設部分を地域の公共施設として転用することも考慮されているようでした。 こうした施設を視察地に選ぶべきでした。 |
【視察報告 2014/10/28】 野田市では生物多様性、コウノトリと共生する地域作りを進めています。 その第1の柱は、減化学肥料・減農薬・環境保全型農業の推進です。 10年以上前から剪定枝や落ち葉、籾殻や牛糞、稲わらを混ぜて堆肥化して農家に供給、さらに農薬散布をやめて玄米黒酢による米作りを実現してきました。 これは「玄米黒酢米」としてブランド化して高収益を実現、エコファーマー、黒酢農法の取り組みは市内の水稲栽培面積の半分以上に広がっています。 第2には冬期湛水の取り組みで、農家に井戸の掘削と汲み上げ、水の管理のための補助金を交付して「ふゆみずたんぼ」を拡大してきました。 その結果、市内の田んぼや水路にドジョウや小魚が戻ってきて、周辺樹林地の保全とあいまって生物多様性を復活させてきました。 特にこれらの取り組みの中心で、昔ながらの自然再生を進めている江川地区などでは、オオタカをはじめサシバ、ハヤブサ、アオバズクなどの猛禽類の繁殖が確認され、ニホンアカガエルやトウキョウダルマガエル、ホタルも戻ってきました。 絶命したと思われていた生き物も復活し、自然破壊が進む首都圏で生物多様性が維持できる環境づくりが進んでいます。 野田市では自然再生のシンボルとして2年前から「コウノトリ」の繁殖にも取り組んでいます。 コウノトリは生態系ピラミッドの頂点に立つ大型鳥類で、いったんは日本から絶滅してしまいました。 現在は6羽にまで殖えていて、数年内の放鳥をめざしています。 2010年には野田市長が中心になって《コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム》を設立、鴻巣市などの荒川エリア、渡良瀬遊水池エリア、霞ヶ浦周辺エリアなどで自然再生の取り組みを進めています。 これは新潟県のトキ、兵庫県豊岡市のコウノトリ繁殖などとも連携した、日本における自然再生、生態系保護の取り組みの一環でもあります。 野田市の担当者は『豊かな自然再生が地域再生のシンボルとなります』『豊かな自然環境を残すことは子どもたちに夢を残すことでもあります』と語っていました。 久喜市もこのフォーラムに加入していますが、昨年度に予定していた“ふゆみずたんぼ”はまだ実現できていません。 議会でも今後、久喜市での積極的な取り組みを議論していきたいと思います。
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【視察報告】 10月9日、会派/市民の政治を進める会および地方政治改革ネットの有志による視察を兼ねて、埼玉県庁の障害者就労促進のための取り組み「チームぴかぴか」を視察してきました。 1.「チームぴかぴか」をスタートした背景
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【地方政治改革ネット】 「チャレンジドオフィスかしわ」の視察 埼玉東部地区地方政治改革ネットのメンバー9人で、久喜から、市民の政治を進める会の猪股と川辺の2人で参加しました。 障害者を市の臨時職員として雇用して就労につなげる (1)チャレンジドオフィスとは「チャレンジドオフィスかしわ」は、障害者で働きたい意欲があってもなかなか就労できない方を、臨時職員として短期雇用し、 実際の業務に携わって、就労スキルの向上や意欲を高め、一般企業への就労に結びつけていく取り組みです。 千葉県(県庁)が2007(平成19)年頃から取り組みを開始し、県内で千葉県の他、松戸市、市川市、柏市、佐倉市などに広 がっています。 障害者施設(事業所)による就労支援事業ではなく、授産施設や障害者の作業所でもなく、身体障害者、知的障害者、精神障害者 を、自治体の臨時職員として雇用し、実際に自治体の業務を行います。 (2)障害者の実際の勤務と業務内容 「チャレンジドオフィスかしわ」では、障害者スタッフを、3名ずつ週4日間、1日の就労時間は9時半~15時半まで、休憩1時間を除いて6時間勤務、6か月間雇用 します。賃金は千葉県の最低賃金の「時給777円」で、通勤手当は実費を支給、雇用保険などは市の他の臨時職員と同じです。 障害者スタッフの募集は、書類審査、基本的な事務作業やコミュニケーション能力などの実技試験、面接試験も行って選考しますが、毎回、募集人数3名に対して10数名の応募があります。 日常の仕事は、市役所の各課から、たとえば印刷物や製本、大量の発送物があるので封筒詰め、パンフレットの折込作業、印刷物 や刊行物の訂正作業、キャンペーンのティッシュなどの配布物の袋詰め、宛名書き、帳簿の整理、図書館の図書整理、公用車の洗車 、児童センターのおもちゃの洗浄消毒、等々、実に多岐にわたります。 今までだったら職員が通常の事務の間にやっていたいわば“雑用”的な仕事、また繁忙期の事務作業を「チャレンジドオフィス」に出します。 昨年度は市役所内の23課から業務委託があり、図書館、高齢者支援課、保育課、障害福祉課、児童センターなどからの仕事が多 かったそうです。 (3)就労支援 チャレンジドオフィスでは、臨時職員1名と再任用職員2名(週3日勤務)が業務の調整や時間配分を決め、障害者スタッフをサポートします。 障害者スタッフは6か月の間に、勤務日以外の日にハローワーク等での就職活動の他、チャレンジドオフィスの職員が職場開拓や紹介なども行って就職につなげます。 就労した障害者には、別にジョブコーチを委託していて、定着支援のために企業訪問や相談などのフォローも行っています。 2013年度は前後期合わせて5名の障害者を臨時職員として雇用し、その内3名が企業就労しました。14年度は前期3名の内の1名がすでに企業に就職し、追加で1人を採用しています。 (4)市役所各課からの評価 仕事を出した各課もは事後のアンケートを取っていますが、おおむね「良かった」「(納期は)早かった」「今後も依頼したい」と高評価を得ています。 また、「担当課で印刷と折る作業に要していた時間を、他の時間に充てることができた」「繁忙期に重なる事務処理を円滑に進めることができて、良いサポートとなった」「(外部職場なので本庁に行って印刷作業する必要がなくなり)2~3日分の業務が削減された」との回答が、どの課でも共通しています。 特に繁忙期などは従来は職員が時間外で(時間外手当を支給して)作業していたものを、チャレンジドオフィスに“委託”で出すことにより、超過勤務の削減、人件費そのものの削減(障害者スタッフは最低賃金)につながっているそうです。 (5)「チャレンジドオフィス」事業の意義 「チャレンジドオフィスかしわ」の取り組みは、障害者の自立支援・就労支援を、市職員の業務軽減と組み合わせることによって、障害者が従来のような、「実習」や「職場体験」でなく、実際に行政の業務の一部を担ってもらうことに大きな意味があると感じました。障害者は臨時職員として正規に雇用されるわけですから、毎日の出勤、あいさつ、業務の確認、清掃、職場内のコミュニケーションなどを学びます。 チャレンジドオフィスに雇用される前までは、自立支援事業所に通ったり、自宅にいたり、場合によっては“引きこもり”的な状態に置かれたり、実際に雇用されて労働した経験がない障害者が多かったのですが、ここに半年間通うことによって、働くとはどういうことかを学び、労働への意欲とスキルを得て、就職活動を行うことができます。 一方、行政にとっては、障害者雇用と言っても、これまでは多くは比較的軽度の身体障害者の雇用にとどまっています。 障害者にどのような作業業務ができるかわかりませんでしたから、それ以上の拡大は考えられなかったのですが、市の業務の中にも障害者が携わることのできる作業、あるいは障害者に適した作業があって、その分野で「チャレンジドオフィス」という形で障害者の社会参加を進めることができるようにもなりました。 それが障害者の一般企業への就労促進と、市職員の残業の削減など業務軽減にもつながるという、一石二鳥、三鳥の取り組みと言えます。
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【議会運営委員会の視察】 議会改革活性化の取り組み (2) 議会運営委員会で、議会改革の視察研修を実施しました。 高山市議会の議会改革・活性化の取り組み 8月1日には、岐阜県高山市議会を視察しました。(1)高山市議会は、久喜市議会と同様に1996年頃から議会活性化=議会改革に取り組んできましたが、2005年、周辺9町村を吸収合併したのを機に改めて議会改革に取り組み、2009年から議員全員で議会改革特別委員会を設置、2011年には「議会基本条例」を制定しました。 (2)これまでの議会改革・活性化の取り組みは全国的にも高く評価されています。 日本経済新聞社による議会改革度ランキング 総合評価全国3位、情報公開度は全国1位、住民参加度13位、議会運営化以前度16位 早稲田大学マニフェスト研究所の議会改革度調査 総合評価全国7位、情報公開度全国2位、住民参加度8位、議会機能強化度23位 ちなみに久喜市議会の議会改革・活性化の取り組みは遅れていると言わざるを得ません。 早稲田大学マニフェスト研究所の議会改革度調査によると、久喜市議会は、 総合評価全国103位、情報公開度全国64位、住民参加度118位、議会機能強化度287位 久喜市議会が、議会改革で高山市議会に学ぶべき点は多いと考えます。 (3)高山市議会の議会改革の取り組みの柱は、「議論する議会をめざして」にあります。 「よりよい市政をつくるには、市民と議会、行政と議会、議員同士が積極的に対話し、議論を深めることが欠かせない。 市民との意見交換会、議員同士で行う政策討論会、議員間の自由討議、市長等への反問権の付与等によって、議会での議論を深める」取り組みを進めています。 (4)そのために具体的に取り組んでいるのは、 議員同士で議論して、政策提言を積極的に行っています。 高山市では26年度に「高山次第8次総合計画」を策定を進めていますが、25年度に全議員で「総合計画に関する特別委員会」を設置しました。 全議員が各分科会に分かれて、総合計画に盛り込むべき政策課題を抽出し、議会独自に調査研究活動、さらには市民と議会の意見交換会を開催し、議員同士の議論を通じて、今年4月に議会からの「第8次総合計画に対する政策提言書」をまとめました。 久喜市議会では一昨年12月議会で「久喜市総合振興計画」が提案されて可決しましたが、行政が策定した計画案を議会で審議し、実質的に原案をそのまま追認してしまっています。 委員会の審議で若干の要望が出たり、私も本会議の討論で要望を付けたりはしましたが、行政主導、行政の後追いとなっています。 高山市議会のように、行政が計画策定作業を進めている段階で、それと併行して議会でも調査研究・議論を行って、計画に盛り込むべき政策課題についての政策提言を行っていく活動は、久喜市議会でも取り入れていくべきではないでしょうか。 (5)議会の政策提言の質を高めるために、委員会の所管事務調査を充実させることが大切で、そのために委員会を議会閉会中も含めて毎月定例開催しています。 さらに委員会では年間の調査事項・政策課題のテーマを定め、委員会での研修の強化や委員同士の議論、課題別の市民との意見交換会、さらに議員全員での政策討論会で議会としての合意形成をはかっています。 特に興味深かったのは、委員会の議案審査の中で、執行部に対する質疑を終えた後に、委員長の判断で委員同士の「議員間討議」を行っていることです。 久喜市議会でも合併前に、委員会での「議論の機会」を設けたことがありましたが、実質的に機能しませんでした。 議案に対して、執行部に質疑した後に機械的に賛成か反対かを採決するだけでなく、議員同士が議論することは大切だと思います。 (6)議会として、市民との意見交換会を開いています。 地域別意見交換会は年1回開催し、そこで出された意見を議会の政策提言に反映しています。 昨年は11月中に市内20か所で開催し、議員が6人ずつ4チームに分かれて、各地区の意見交換会を担当します。昨年は全部で630人の市民が参加しました。 市長の市民懇談会が毎年春ごろに開かれているのですが、議会としても市民からの直接の声を取り入れる必要があると考えて開いています。 これも政策提言に向けた活動の一環として位置づけています。 (7)高山市議会に学ぶべき課題は何か。 久喜市議会でも議員による政策提言などは行っていますが、議員個々人の努力にまかされています。 高山市議会の先進性は、議員間討議、市民との意見交換会、政策討論会、政策提言などを、議員同士の議論を充実させる中で、議会としての意思形成をはかり議会全体の政策形成能力を高めているところにあります。 特に行政の総合計画策定に対して、議会としての政策提言案をまとめて、市長と市民の前に明らかにしていった活動は、市民自治を高めていく上で大きな意義があると言えます。 本来、地方自治は、議会と市長とは市民から別々の選挙で選ばれていて、それぞれに市民の声を代表する「二元代表制」を取っているのですから、議会は単なる市長の追認機関ではありません。 市民の意見を、議会がもっともっと行政に反映する努力をすることが、議会改革の課題と言えます。 |
【議会運営委員会の視察】 議会改革活性化の取り組み (1) 岐阜県・関市議会 タブレットでペーパーレスを推進 1.7月31日は、岐阜県関市議会で、タブレット端末の導入の推進経過と成果について研修しました。関市議会では、議員にタブレット端末を導入する第一段階として、2013年2月にiPadを12台購入しました。 まず議会運営委員会の委員・正副議長と事務局で試験的に使用し、2013年6月に11台を追加購入し、個人所有のiPadと合わせて全議員がタブレットを使うことになりました。 9月議会から、議員は、個人所有8台、議会費により購入して貸与16台、議会事務局で7台(事務局職員6人に1台ずつ)で、31台が稼働しています。 個人での購入が増えてきて 順次置き換わっています。 議員ができるだけタブレットを使いこなすために、この間、議員対象に5回の研修を実施しました(通算8回)。 2013年9月議会から、全議員と事務局に全面導入し、議会資料等は全面的にデータでの提供を実施しました。 当初は招集通知等は完全ペーパーレス化したものの、議案等はペーパーも併用していました。 12月議会から「完全ペーパーレス化」して、議案等を含めてペーパーでの配布は無し、データでの配布のみとしました。 この間、6月、9月、12月の各定例議会前に、タブレットの使用法について、議員研修会を実施しています。 2.議会費で購入したタブレットはiPad WiFiモデルで、WiFiルータ(無線機、タブレット10台まで接続可能)を2台購入しました。 2014年9月議会までに議会棟全体を WiFiスポットとする工事を完了する予定です。 データのアップは、事務局のパソコンからメールで送信し、クラウドサーバに保存されたデータを各議員のタブレットで閲覧することができます。 クラウドは、DropBox(無料アプリ)を使用し、フォルダーに分けられたデータを各議員のタブレットで活用します。 3.タブレット導入にかかった経費は、2年間の合計で127万2490円でした。 (1)iPad本体 42800円×23台 98万4400円 (2)WiFiルータ 33600円×2台 6万7200円 (3)ルータ月額使用料 4966円(月)×2台 …2年間 (4)その他、契約事務手数料、タブレットカバーなどの消耗品、議席に設置するための置き台 4.各議員は実際に、iPadを、次のように活用しています。 (1)データ通信機能 クラウドサーバを通して、最新の情報を共有することができる。議案の修正などもいっぺんに行うことができる。 (2)カレンダー機能 議会スケジュールをクラウドサーバを通して一括して管理、議員に一括して周知することができる。 (3)カメラ機能 議員が現場写真(GPSによる位置情報付き)などを行政に送信し、道路の破損や事故などを通報することができる。 (4)メール機能 議会からの連絡や通知を、従来の電話やFAXに代えて、議員にメールで行うことができる。 5.「関市議会タブレット端末機使用規定」を、2013年10月 各派代表者会議で決定しました。 その中で、禁止事項を次のように定めています。 ・本会議中に外部との通信 ・会議中の音声や操作音 ・会議中にSNSや掲示板への投稿 ・個人情報、市議会で公開していない情報の開示 ・会議の撮影、録音、録画(議長の許可) 6.タブレットの導入による、ペーパーレスの促進の実績は次の通りです。 (1)定例会の前…議会運営委員会招集通知、予定議案資料、会期日程案…ペーパーレス 告示後…招集通知、会期日程、議案、条例の新旧対照表…ペーパーレス 本会議開会後、会期中…会期日程、議事日程、一般質問通告書、議案質疑通告書、追加議案…ペーパーレス、 最終日…議事日程、委員長報告、追加議案、議員提出議案、報告…ペーパーレス (2)損害賠償の報告(個人情報)…ペーパーで配布 (3)紙の削減枚数(議員24人、事務局職員6人) 3月定例会 1人1060枚…31760枚 5月定例会 100枚…3000枚 6月定例会 268枚…8040枚 9月定例会 900枚…27000枚 12月定例会 500枚…15000枚 合計 約84,800枚 紙代/印刷代で計算すると 約30万円 ・紙の枚数の削減にとどまらず、印刷製本に関わる人件費・委託費の削減効果が大きいと考えられます。 7.その他、各議員は以下のような活用を進めています。 (1)各会派でも、これらの機能を使って、会派の連絡や通知、情報共有、スケジュール管理等を、タブレットを活用しています。 (2)実際にタブレットをどれくらい活用できているかは、議員によって差があるのは事実です。 (議案を印刷している議員、議案のすべてをタブレットだけで閲覧している議員もいる) (3)使いこなしてくれば、ノートを持たずに、タブレットの資料に手書き機能でメモを書き込んでいる議員もいます。 |
【教育環境委員会】 「吉川市立図書館の指定管理」視察研修報告 久喜市議会 教育環境委員会 2014/7/30 7月30日、教育環境常任委員会の閉会中の所管事務調査として、吉川市立図書館の視察研修を行いました。久喜市でも市立図書館の「指定管理者制度」への移行が課題となっています。 県内では吉川市、宮代町が図書館の管理運営を指定管理者に委託していますが、指定管理にしたことによって単に経費節減ではなくて、図書館サービスの充実が進んでいると評価されています。 実際に指定管理の現場がどうなっているのか、研修してきました。 1.吉川市では、市民交流センターオアシス、センター内の市立図書館と分室、視聴覚ライブラリーなどの施設を一括して、2010(平成22)年から「指定管理者制度」によって運営管理しています。 中心施設である「市民交流センターオアシス」は、市立図書館、メディアプラザ、共生プラザ、市民活動サポートセンターの複合施設で、指定管理業者は、TRC(株)図書館流通センターなど3社で構成する共同企業体です。 吉川市は、2008年から市立図書館への指定管理者導入について検討し、2009年3月議会で条例改正、指定管理者選定委員会を立ち上げ、7月以降、指定管理者を募集して、3団体によるプレゼンテーションを経て、現在の指定管理者であるOITグループに決定、9月議会で議決しました。 指定管理の期間は2010(平成22)年から5年間、22年度の指定管理料(基準額)は1億8055万円で、市民活動サポートセンターなどの使用料についての高齢者や障害者割引分や、光熱水費、図書館資料の法規追録代やブックスタートの図書題意などは、見込額と実績額との差額を精算する契約になっています。 2.今年度は5年間の指定期間の最終年度であり、2015年度から新たに指定管理者を指定することになります。 5月に指定管理者選定委員を公募、選定委員会を立ち上げて、6月に募集しましたが、現在のOITグループの1団体のみの応募で、8月に決定し、9月議会に議案を上程する予定です。 3.吉川市立図書館の指定管理者としての事業は、次の通りです。
(1)きめこまかな図書館サービスの提供 情報や知識の拠点としての図書館機能の充実につとめる。 ・館内で、資料の展示コーナーを充実させて、積極的な情報発信を図る。 ・ブックスタート、お話し会、ブックトークなど、子ども読書活動の支援推進を図る。 ・健康医療コーナーなど、魅力ある書架づくり ・国立国会図書館のデジタル資料の利用(閲覧)など、時代に対応する図書館の専門性を高める。 (2)市民の生涯学習の支援推進 ・大人向けの読書会や歴史講座を継続的に開催する。 ・食育や健康など生活課題の解決に役立つ事業を実施する。 ・音楽講座や落語会などをとおして、図書館利用者の拡大を図る。 特に指定管理者としては、展示コーナー(たとえば6月のテーマは「男女共同参画」、8月は「戦争」など)、健康医療コーナーの書物の充実などに工夫や力を入れていて、“滞在型の図書館”をめざしているとのことでした。
4.ただし、図書館の年間の利用者数等は、漸減傾向にあります。 2008(平成20)年度を100として、2013(平成25)年度 ・入館者数 92 ・新規登録謝す 90 ・利用者数(市立とショア間のみ)92 ・貸し出し状況 94 ・蔵書札数 111 市の生涯学習課や市立図書館(指定管理者)では、この原因を人口減少傾向にあるためとしているのですが…。 5.指定管理者の契約で、資料費は「購入下限額を規定していて、図書購入費1150万円、視聴覚備品費30万円、新聞雑誌150万円などとなっています。 毎年の資料購入費はこれを下限として、実際にはこれより10万から20万円を増額しているとのことでした。 市直営の時は毎年の資料購入費は600万円程度で減額されていましたが、図書購入費を倍増し、特に雑誌を充実させてきています。 図書資料の購入については、指定管理者が「案」を示し、教育委員会が決定しています。 職員は、指定管理以前は常勤9人、非常勤43人だったのが、現在は常勤7人、非常勤29人となっています。 もっとも勤務する職員数が減ったわけではなく、以前は週2~3日の非常勤が、週3~4日、5日など、就業日数が増えているので、単純に比較はできません。 司書の人数は、指定管理以前は3~4人でしたが、現在は司書が職員の半分くらいを占めるまで増やしてきており、レファレンスが充実してきているとのことでした。 6.事業の評価のために、業務の執行状況に対する監視監督(モニタリング)を行っています。 (1)指定管理者が行うもの ・おあしす利用懇談会の開催(年1回) ・アンケートボックスの設置と回答掲示(通年) ・第3者機関による利用者満足度調査(年1回) ・業務自己評価(3か月毎) ・施設運営状況・日常業務・安全管理・提案事業の進捗・管理経費等を生涯学習課に報告。 (2)市が行うもの ・毎月報告のある利用報告書や利用料金収入報告書等により、管理・経理の状況確認 ・改善が必要と認めた場合は、実地に調査し、又は必要な支持を行う ・市独自アンケート調査 上 (3)両者が協力して行うもの ・おあしす、図書館、市民活動サポートセンター、それぞれ毎月1回連絡調整会議を開催。 ・市が行うおあしす運営協議会、図書館協議会を協力して運営する 7.開館日と開館時間 休館日は毎週水曜日だけで、月末の特別整理期間は取っていません。⇒週1回の休館日に行っている 開館時間は午前10時~午後7時、土曜日は午後9時まで開館しています。 市民からは、開館日の増、開館時間の延長の希望が多いそうです。 ちなみに、久喜市立中央図書館は、毎週月曜日と特別整理期間を合わせて毎月6日程度を休館、開館時間は10時~19時まで、土日祝日は9時~17時までとなっています。
久喜市はおもな公共施設の管理運営を指定管理者に移行する方針ですが、市立図書館の管理運営について諮問された図書館協議会は、今年3月に「久喜市立図書館への指定管理者制度導入は、見送ることが望ましい」との答申を出しています。 |
【地方政治改革ネット】 「こしがやソーラーシティ構想」の視察研修 当日は、久喜の猪股、川辺の他、宮代、蓮田など10市町から12名が参加しました。
「こしがやソーラーシティ構想」は、地球温暖化対策実行計画の推進、地域からの温室効果ガス排出抑制、都市部における太陽光発電普及促進モデルの確立、などを目的として、昨年度から実施しています。 具体的な事業の取り組みは、 1.ソーラーパークプロジェクト 越谷流通団地などに、民間資本による大規模ソーラー発電施設の設置 越谷卸売市場の屋根(6000㎡)に、420キロワットの太陽光発電システムを設置 市の役割は、屋根貸しをする株式会社東部流通センターと、設備を設置する東彩設備株式会社を結びつけたこと 2.ソーラーハウスプロジェクト 住宅への太陽光発電設備設置費補助事業 1kWあたり3万円、上限は、戸建て住宅の場合、3.5kW 10.5万円、マンションは10kW 30万円 補助件数は、21年度33件(314万円)、22年度72件(704万円)、23年度129件(1247万円)。24年度184件(1818万円)、25年度192件(1916万円)で、今後も年間2000万円の予算で補助していく計画 1kWあたりの設置工事費は、21年度66万円 ⇒ 25年度44万円に下がってきている。 1件あたりの平均工事費は、21年度237万円 ⇒ 25年度188万円に下がってきている。 1件あたりの最大出力平均は、21年度3.60kW ⇒ 25年度4.30kWへ、増加している。 25年度は192件で、発電容量の合計は825kW 補助金により設置された太陽光パネルの発電容量の累計は、21年度118.80kW ⇒ 25年度2506.76へと拡大してきており、目標を4100kWとしています。 3.ソーラーコミュニティプロジェクト…公共施設への太陽光パネル設置 A.公共施設16か所の屋根に太陽光パネルを設置 16施設の発電容量の合計 182.86kW(24年度発電量 148,000kWh) B.民間事業者に公共施設の屋根貸し事業 25年度に、小中学校10校の校舎、体育館(設置可能面積の合計4835㎡)を選定 昨年度に事業者(3社が応募)の選定を行い、イハシライフ株式会社に決定、今年度に設置工事を行う。 7校9棟の屋根、使用面積1773㎡、太陽光発電設備容量235.62kW、使用料(屋根貸し料)は99万円(年間予定売電額の11.4%)、事業機関は20年とし、その後、市に移管する。 C.市民共同発電事業(NPO法人 環境ネットワーク埼玉…埼玉お日さまクラブとの協働事業) 市民の出資によって、大袋幼稚園(学校法人)の屋根に太陽光パネルを設置 設備容量4.4kW(200W×22枚) 市民の寄付200名から120万円 5年間の売電収入と寄付金で設置費用を償却し、5年後に幼稚園に無償譲渡される予定 全国各地の自治体が、太陽光発電の促進に取り組んでいます。 越谷市ではそれらを総合化して「ソーラーシティ構想」として進め、さらに屋根貸しによる民間事業者との協働事業、市民との協働事業として進めていることに、大きな特徴があります。 久喜市でも積極的に推進するべきです 久喜市でもこれまで、住宅用太陽光発電パネル設置に対する補助事業、公共施設の屋根への太陽光パネル設置を行ってきましたが、個別の事業にとどまっています。2月の久喜市議会で、久喜市も屋根貸しによる太陽光発電の促進を提案したのですが、残念ながら久喜市はきわめて消極的でした。 久喜市がやりたくない理由は「将来の撤去費用がかかるから」と答弁したのですから、これにはちょっとビックリしました。 -----------《参考:久喜市の太陽光発電の取り組み》----------- 久喜市の太陽光発電システム補助事業1kWあたり2万円(上限4kW、8万円)、年間予算額1250万円 24年度は130件(発電容量555.63kW)に補助、12年度以降の累積で459件(1757.92kW) 久喜市の公共施設等への太陽光パネル設置 13年度以降12か所、1年間の発電容量の合計は154.90kW |
久喜宮代衛生組合の研修視察 16日は、銚子市にある「ガラスリソーシング株式会社/ガラス・陶磁器再資源化工場」、17日は午前中に「成田富里いずみ清掃工場/ガス化溶融炉」、午後に成田空港に隣接する「株式会社ナリコー/次世代ストーカ式焼却炉」を視察しました。 |
ガラスリソーシング株式会社/ガラス・陶磁器再資源化工場 これらの収集はウィズウェイストに委託、清久工業団地にあるウィズウェイストの工場で選別して、それぞれ資源として売却・再商品化のルートに乗せています。 この内、ビンは生きビンとして再利用(リユース)や、ガラスとして再生できるものを選別・分別して売却していますが、汚れたものやガラスだけを分別できないなど再生ルートに乗せられない「ガラス残渣」が残ります。 以前はこれらはやむをえずウィズウェイストの最終処分場(群馬県草津町)に埋め立てていたのですが、2013年度からはこのガラスリソーシングの再資源化工場に運んで「路盤材」として再生利用しています。 これは、最終処分場をできるだけ長期間利用するために延命させることと、分別を徹底して利用できるものは少しでも再資源化してリサイクル率を上げることが目的です。 2012年度までは、ビンとして回収したものの内、17%は採取処分(埋め立て)に回さざるをえませんでしたが、その中から7%を路盤材に再資源化することができました。 久喜宮代清掃センターからは151トンを搬入し、その内の100トンを再資源化、菖蒲センターからは26トンを搬入して9トンを再資源化しています。 この工場でのガラス再資源化は、ガラスを0~5mm、5~10mmなどの砂状に砕き(商品名サンドウエーブG(リサイクルガラス造粒砂)、土木工事の砂の代替に活用しています。 浸透性に優れていることから雨水貯留浸透施設での利用、路盤の下に敷くことによってヒートアイランド効果、雑草が生えにくくする防草効果などのメリットがあるとされています。 久喜市の公共施設や公共工事に、活用を検討してみる価値はありそうに感じたので、このサンドウエーブを久喜の公共施設などに使うことができないか質問してみました。 会社の担当者のお話では、路盤材としては山砂と同程度の価格なので、千葉から久喜への運搬費用が問題になるが、久喜からガラス残渣を運んでいるので、その帰りのトラックを活用すれば実質的に運搬費はゼロになるので、採算が合うのではないかと考えられます。
成田富里いずみ清掃工場/ガス化溶融炉 着工は2009年で、竣工は2012年9月、稼働して1年半の施設です。 ごみを「焼却」するのではなく、「溶融」して処理することによって、ごみはスラグとメタルとなって排出され、スラグは路盤材として活用でき、メタルは金属ですから有価物として売却できます。 いわゆる焼却灰は出ないので、基本的には最終処分(埋め立て)は必要なく、集塵機で集められた飛灰は無害化してセメント原料などに利用できます。 またこの施設では余熱で発電していて、場内の電気を基本的にすべてこのごみ発電でまかなっています。 余った電気を東電に売電していて、売電価格は1ヶ月570万円、昨年1年間で6885万円でした。 処理能力は1日24時間運転で212トン(106トン炉が2機)、建設費は約99億円で、1トンあたり5000万円の計算です。 実際の処理量は昨年度1年間で6万2113トン(1日平均170トン)で、計画よりも少し増えているとのことでした。 成田市と富里市の共同事業として建設が行われ、建設費99億円(国庫支出金26億、地方債34億、富里市負担金13億、成田市一般会計24億円)、運営は成田市単独で行い、富里市からのごみ処理委託を受け、ごみ処理量に応じて委託料を支払っています。 運転は、建設の主軸であった川崎技研が設立した特別会社「成田富里環境マネジメント株式会社」に、20年間97億円で運転維持管理契約を結んで委託しています。 成田市におけるごみ処理施設の建設は、1989年頃にいったん場所を決めたものの住民の反対運動もあって迷走を続け、2004年に、旧焼却施設のあった現在地に建設する計画を策定、地域住民と40回もの話し合いを重ね、ようやく2009年に着工にこぎ着けたそうです。 久喜宮代清掃センターの焼却炉建て替えも、すでに20年前から計画されているものの、住民との話し合いが進まずに先延ばしにされてきています。 焼却炉も老朽化が甚だしく、一刻も早く建て替えなくてはなりませんが、市長の決断など、成田市に学ぶべき点が多いと感じました。
株式会社ナリコー/次世代ストーカ式焼却炉 ナリコーは元々は成田空港から排出されるすべての一般ごみを処理してきた会社ですが、千葉県や東京都、埼玉県内などの自治体の一般廃棄物や作業廃棄物なども受け入れて焼却処理をしています。合併前からの久喜宮代衛生組合では、焼却炉が老朽化し、ダイオキシンの発生もあったので、ごみの焼却量をできるだけ少なくするために、プラスチック・ビニルをすべて分別し、「できるだけ燃やさないごみ処理行政」を実践してきました。 当初はプラスチック・ビニルは固形燃料として販売していましたが、現在は容器包装法に基づいて容器包装のビニルを、ウィズウェイストの工場で選別して、再商品化のルートに乗せています。 容器包装以外のプラスチック・ビニルは久喜宮代センターの焼却炉では燃やさないで、ナリコーに委託して焼却処理してもらっています。 ナリコーの焼却炉は久喜宮代センターと同じストーカ式焼却炉ですが、「次世代」と名の付いているように、有害物質発生の抑制、ごみ発電施設も備えています。 それにしても、久喜のごみをわざわざ成田まで運んで処理してもらっていること自体が異常なことであって、本来は自区内処理が原則です。 早期に久喜宮代の焼却炉の立て替えを進めなければならないと、改めて実感しました。 |
【虹と緑】 全国政策研究集会の報告 (2) |
8月23日 Ⅰ、講演「法律と現場から見た教育のあり方」講師 共栄大学の藤田英典教授 藤田さんはこれまで教育改革国民会議や中央教育審議会の委員として、また日本教育学会会長として教育の現場に根ざして発言してきた経験から、日本の教育システムと子どもたちの学力レベルはけっして低くないことを実証的に説明してくれた。 労働者の週休2日制を機械的に学校現場に適用して、教師の数を増やさないために導入された学校週5日制が、かつて無座していたはずの「子どもたちに“生きる力”と“ゆとり”を」という理念から遠ざかり、結果的に学力を低下させていることも指摘された。 Ⅱ.講演「原発事故と防災計画」 講師 三沢毅氏(京都大学原子炉実験所・原子力基礎工学研究部門教授、京都府防災専門委員) 氏は、原発の安全設計の考え方を次のように整理された。 (1)異常の発生防止 (2)異常が発生しても事故への発展の防止…緊急停止装置、緊急炉心冷却システム (3)事故が発生しても、事故の影響の緩和…放射性物質の閉じこめ、放射性物質を放出する際のフィルターなど (4)設計時に考慮した事故を超えて、過酷事故になった場合でも事故の影響の緩和…海水を注入した消火系ラインの設置、ベント機能 (5)過酷事故が発生しても防災により周辺への影響の緩和 しかし福島第1原発事故は、そうした安全設計の考え方自体が機能していなかったということになるのだろうか。 Ⅲ.分科会1「地域の質を高め、小さくする」 問題提起してくれたのは、元我孫子市長の福島浩彦氏と尼崎市理事の福島慶三氏である。 人口減少社会を迎えた今日、いかに行政をサービスの質を高めながら小さくしていくかが問われている。 以前の「行政改革」で強調されていたような経費の削減を目的にしてではなく、行政が効率性を主観的に判断して民間にまかせるのではなく、民間の側がよりよいサービスの質を達成するために民間が主体となって判断し、民間が仕事を行うという発想である。 判断の主体は行政でなく、民間が決定するという住民自治が問われている。 上のような基本的考え方から、さまざまな新しい発想、示唆を受けた。 たとえば… 我孫子市の市民協働事業、事業の大胆な指定管理、ママパパ教室の民間委託、公共施設の包括管理とパブリックマネジメント、 尼崎市の事業棚卸しの実践と成果 保育園は民間の方が創意工夫にあふれたノウハウを持っているのではないか 健康診査事業は保健センターで全部やるべきか、民間による一元化が図れないか 役所の携帯電話は各課ごとに契約してきたが、一元的契約と管理ができないか 尼崎市の「提案型事業委託制度」 公共事業とか公共サービスは、以前から行政が直接になってきたものはむしろ少なくて、民間がやってきているのだ 行政がやってきた事業を、より高い質で実施できる事業者にやらせるのはむしろ行政の責任であって、民間がやった方がよりよくできるのか、行政がやった方が質が高くできるのかを判断しなければならない 税の使い方は行政が上から決めるのでなくて、市民の意思で決めるべきである 8月24日 Ⅳ.分科会2「市民の視点からの議会のあり方」 全国市民オンブズマン連絡会(愛知県市民オンブズ)、明石市や尼崎市の市民オンブズの方々から、市民の目線から見た議会改革と議会基本条例の実際、議員通信簿などについて報告や問題的を受けた。 参加していた各自治体議員からも発言を行いながら、一定の問題意識の共有をはかることができたのだが、一方では微妙なずれも感じられた。 Ⅴ.京都まちなみ景観保全の視察に参加 研究集会は24日の午前中に閉会した後、オプション企画の「京都まちなみ景観保全」の現地視察に参加した。 京都の古い街並みの中に、近年、多くのマンションが建設されてきていて、古都・京都の景観をどう保存していくかは、観光都市としての京都の生命線であるとも言える。 それはまた代々京都に生きてきた人々にとって、単に古い街並みを保全するだけではなくて、否応なく進んでいく現代化、近代化といかに調和を図っていくかの問題をもはらんでいる。 私自身、23日の午前中は一人で四条烏丸や河原町あたりを歩いたのだったが、錦市場、寺町通り、木屋町通り、先斗町通りなどなどの景観は、古い街並みを保全しながら現代の暮らしに対応し、なおかつ観光客が京都に求めるものにも応えているように見えた。 この日の京都街並み探索行は、四条町、姉小路界隈の町家、路地と三条西洞院リクルートマンションを契機とした建築協定の締結と地区計画に基づいた街並み保全等々、そのほんの一部ではあったが肌で感じながら歩くことができた気がする。
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【虹と緑】 自治体議員 全国政策研究集会に参加してきました 自治体議員政策情報センターが主催して毎年各地域の持ち回りで開いていて、100名近くが参加し、いろいろなテーマに分かれて、研究者の講演や他の自治体議会の実践発表報告を聞き、意見交換や情報交換を行なっています。 1日目は、オプションのフィールドワークで、おおい原発ツアーに参加しました。 |
おおい原発~小浜市、おおい町ツアー~ おおい町は小浜市の隣だが、おおい原発は、若狭湾に付き出した大島半島の突端にある。 今は原発建設に伴って橋が架けられたが、以前はその半島にある6つの集落は離島同様だったという。 そういう所を狙って原発は建設された。 今、若狭湾を囲んで、敦賀原発(1970年~、2機)、美浜原発(1970~、3機)、高浜原発(1974~、4機)、おおい原発(1979~、4機)と、もんじゅ(1990)の13機の原発が設置された。 私たちが最初に立ち寄ったのは、おおい町の「未来体感ミュージアム エルガイアおおい」である。 ここは関西電力の原発宣伝施設であり、施設内の展示やアトラクションは松本零士が全面的に後押し・監修して作られたことで有名だ。 確かに、宇宙戦艦ヤマトの登場人物をイメージさせるキャラクターや、未来都市の体験映像、地球温暖化防止のために太陽光発電や風力発電の拡大を強調しながら、その中でさりげなく原子力発電を不可欠な未来の発電システムとして紛れこませる宣伝・教育の手法には、感心させられた。 もちろんそれは、宣伝のためなら金に糸目をつけずに電力料金の中からいくらでも宣伝費を使うことができるから可能になったことである。 施設の中には、原発で働く技術者のための訓練設備「原子力運転サポートセンター」が設置されていて、おおい原発などのいくつかの施設のコントロール室と同じ設備を再現している。 各地の原発の作業チームが交代でここに来て、あらゆる事故を想定したシミュレーションに基づいて、事故対応訓練をしているのだという。 もっとも、そのような訓練を重ねてきていながら、福島第一原発事故では「想定外」の事象に対応できなかった。 自然界では常に「想定外」の事態が起こり得るのだが、想定外の事態をも想定して致命的な事故への拡大を阻止しなければならないというのは、はたして可能なのか。 それが絶対的に保障され得ないとしたら、やっぱりそういう原発という技術は未成熟と言わざるをえないのだろう。 ミュージアムを出ると、すぐその前にはおおい町の子育てセンターがあって、人口数千人のおおい町の、超豪華なその施設に、これも原発マネーかと思わざるをえなかった。 その後に、私たちのバスは、原発の恩恵そのものである巨大な橋と道路、トンネルを抜けて、風光明媚な大島半島の突端にあるおおい原発に向かったのだったが、発電所へ続く道は数㎞も手前の関西電力の敷地境界線で、通行止めのバリケードと警備員によって封鎖されていて、外側から写真撮影だけして引き返さざるを得なかった。 これまで私が行ったことのある、たとえば浜岡原発や福島第二原発は発電所の門前まで行って施設そのものを臨むことができたが、おおい原発は山の向こうに巨大な煙突が見えただけであった。 1980年代には大飯原発の3・4号機増設に反対する大きな運動が起こったが、その経過について、現地を案内してくれた小浜市の方から聞かせてもらうことができた。 細かい経過についてはここでは書かないが、住民にとって、原発増設拒否を決意させたものは何だったか。 それは、大飯原発が1年間運転すると広島型原爆4000発分の「死の灰」が炉内にたまり、それは今の日本では、原発施設内に保管するか、青森県六ヶ所村に運び込んで「再処理」したり「中間貯蔵」していて、今の日本(世界)では安全に処理する技術が存在しないという事実を知ったことであったという。 その結果、1984年当時、小浜市民全世帯へのはがきアンケート(回答者2596世帯、27.6%)で、増設反対が6703人(86.4%)にのぼった そうした市民の意識が、現在も「大飯原発再稼働反対」の圧倒的な市民の声としてあらわれていることは間違いない。
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藤沢市と大和市、ごみの戸別収集と有料化で減量資源化を推進 私たちにとっては、ごみ収集は地域に設けられたごみ集積所(ステーション)に出してまとめて収集してもらうのがあたりまえになっているが、藤沢市も大和市も、ごみ収集を「戸別」収集方式で実施しています。 藤沢市の戸別収集とごみ有料化で、分別・ごみ源得要を推進 戸別収集しているごみは、「可燃ごみ」「不燃ごみ」と、「プラスチック(ビニル)容器包装」「その他のプラスチック(ビニル)製品」などの資源ごみです。 各家庭はこれらのごみの収集日に、自宅の門前など(道路に面した敷地内)にそれぞれごみを出して、ごみ収集車は道路を徐行しながら1軒1軒のごみを集めていきます。 アパートなどの集合住宅は敷地内に専用のごみ集積所を設けてそこに出します。 戸別収集に変更した理由は、(1)ごみ分別の徹底、ごみの排出者責任の明確化、(2)集積所の維持管理などの問題を解消すること、(3)以前は道路や舗道上にごみが山積みされて通行の支障などになっていたのを解消すること、(4)事業系廃棄物は自己処理が原則ですが、それらが集積所に出されることがあったのを防止すること、(5)集積所を地域に設置するのが困難だったり、住民同士のトラブルになったりしていたのを解消することなどです。 実際、戸別収集に変更したことによって、基本的にはみんなが自分の家のごみを家の前に出すのですから、分別がきちんと守られるようになり、不適正な排出は減ってきています。 カラス対策には、ごみの上にネットやポリバケツをかぶせておくことでカラスの被害も回避でき、ごみの袋をフェンスなどに引っかけて空中に浮かせておくと、カラスが袋を破ったりいたずらできないらしいこともわかりました。 藤沢市では 2007年4月から戸別収集に切り替えて、その半年後の10月からは可燃ごみと不燃ごみについて、有料の指定ごみ袋の使用を義務づける「ごみの有料化」も実施しました。 有料の指定ごみ袋の価格(10枚1組)は、5リットル100円、10リットル200円、20リットル400円、40リットル800円です(事業系は約4倍)。 ただし有料の指定袋を使うのは可燃ごみと不燃ごみだけで、プラスチックやビン、カン、ペットボトルなどの資源ごみは当然無料です。 さらに紙おむつは福祉の観点から、枝木や草は緑化や剪定枝の資源化の促進という政策的観点から有料化の対象外、ボランティアの清掃ごみや、乾電池や蛍光管、ライターなどの危険物も指定袋に入れないで、普通の透明袋で回収しています。 有料化によるごみ減量効果は、戸別収集・有料化前の2006年に比べて、可燃ごみは13%減、不燃ごみは28%減で、市民1人1日当たりのごみ排出量も823gから667g(09年度)まで減少してきていて、減量効果ははっきり現れています。 以前は可燃ごみの中に資源物が20%近くも含まれていましたが、現在は10%以下になっています。 1世帯あたりの1年間の負担は、有料化前の予測では500円程度と見込んでいましたが、実際には300円程度ですんでいて、各家庭でごみ排出量が少くなってきたため10、20リットルの小さい袋の使用が多いそうです。 1年間の家庭系ごみの指定袋の販売金額は約6億2000万円に上りますが、市はこの有料化による市民負担の全額をごみ処理費用にあてるのではなく、環境基金や緑基金に積み立てて、地球温暖化対策や緑化対策事業などにも活用しています。 ステーション方式のときにはごみ収集年間委託料は約6億円でしたが、戸別収集にしてから委託料が6億8000万円になりました。 戸別収集にしたことによって収集委託料が増加したことになりますが、驚くほどの増額とも言えず、市としては、収集委託料の増よりも、ごみ減量効果の方が大きいと判断しています。 藤沢市では市内に焼却灰などのごみ最終処分場をもっていて、当初計画では2008年には埋立を完了する予定でしたが、有料化や分別の徹底などによるごみ減量が進み、焼却灰を溶融処理して建設資材などにリサイクルすることなどによって、最終処分場の埋め立て期間を2043年度まで、約30年間延命させることができるそうです。
大和市も2007年から戸別収集と有料化を実施 現在の有料・指定袋の価格(10枚1組)は、藤沢市よりもやや安くて、5リットル80円、10リットル150円、20リットル320円、30リットル480円、40リットル640円です(事業系ごみの指定袋は仮定形の4倍となっています)。 年間の有料ごみ袋の売り上げ収入(大和市の歳入)は約3億5000万円で、ごみ処理費用の45%をカバーしています。 有料化を実施した2007~08年は、可燃ごみは25%減、不燃ごみは約50%減と大幅に減少し、資源ごみは反対に24%増となっていて、以前はごみの中に混入していた資源物の分別が徹底されてきていることがわかります。 一般的に、「有料化するとごみは一時的に減少するが、その後はまた増えていく」と言われていますが、大和市の場合、09年度以降の可燃ごみと不燃ごみの排出量は微増なしは横ばいとなっていて、特にリバウンドしているようなことはないようです。 |
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【政治改革ネットの視察研修】 水戸市の中学校耐震補強工事の研修レポート |
水戸市の「減築」方式による中学校校舎耐震補強工事 水戸市では2012年における小中学校の耐震化率は84%で、2014年度までにすべての耐震補強工事を完了する計画です。市立双葉台中学校は双葉台団地の宅地造成に伴う生徒数急増に対応して1978(昭和53)年に建設されましたが、老朽化が進んでいたことから、2005年に“大規模改造事業”として耐震補強工事を実施しましたが、限られた財源でより効果的な工事手法を検討した結果、「減築」という方法を採用しました。 「減築」というのは文字通り、「増築」の反対で、建物を一部削減し規模を縮小するということで、元のままの規模で耐震補強を行おうとすると工事規模が大きくなるので、建物規模を縮小して耐震補強の規模も縮小すれば工事費を削減できるという考え方です。 双葉台中学校の校舎は4階建てで、耐震補強工事は校舎に「ブレース」というX字型の筋交いを入れていくのですが、当初の補修設計では、32か所のブレースが必要という計画でした。 しかしそれほど多数のブレースを入れると、コスト面ばかりでなく、通風や採光の障害になる、圧迫感が増すことが心配されたので、4階建ての校舎の最上階を撤去して3階建てにすれば、ブレースを大幅に減らすことができるのではないかと考えたのだそうです。 実際に設計してみたところ、3階建てなら4階建てに比べて建物自体の安定性も増すわけで、ブレースも10か所ですむことがわかりました。 4階部分を撤去した場合、教室数も減少して普通教室は14室になるのですが、双葉台中学校が1991年には19学級だったのが、2006年には10学級に減少、今後も最大12学級と予想されたので、十分に対応できると考えられました。 工事費の比較では、当初の設計で鉄骨ブレース32本の補強工事費2億8000万円と見積もられていましたが、4階部分を撤去してブレースを減らした場合は1億900万円(ブレース10か所7000万円、4階の撤去と新たな屋根設置工事費3900万)ですむ、差し引き1億7000万円も安くすむことがわかったので、減築方式を採用することに決まりました。 事業化の過程でいちばん大変だったのは、文部科学省で「財産処分の承認」を取り付けることだったそうです。 最初に校舎を建設したときには当然、文科省の補助金を受けているので、「減築」はその財産価値を削減することになる、文科省としてはいったん補助金を出した財産の価値の減少を認めるわけにはいかない、という理屈ですが、これも何とかクリアして、事業化を決定することができました。 工事は7月から翌年2月までかかり、屋根のない校舎で授業はできませんから、期間中は校庭に仮設校舎(4200万円のリース)を建てて工事を実施しました。 実際にかかった工事費は、5860万円(10か所のブレース3730万、4階の撤去費用2130万)でした。 普通は現在の建物規模を維持することを前提にして、改修したり耐震補強工事を行うのはあたりまえと考えられていますが、少子化で教室数が少なくてすむのだから減らしてもいいという、いわば当時の常識とは逆の発想をして、財政的にも有利と考えた水戸市の担当者の政策判断こそが評価されるべきでしょう。
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【久喜市議会議員全体研修】 取手市議会と越谷市議会の視察研修レポート |
取手市議会、電子表決システム 久喜市議会の議案採決は、その議案に賛成する場合に「起立」するという方法で行っています。これだと1人1人の議員が「起立」しているのかどうかよくわからないこともありますし、だれが賛成し、だれが反対したのかの正式な記録は残りません。 そこで取手市議会では、本会議場の議員1人1人の机の上に設置された「賛成」ボタンを押すことによって採決します。 採決結果は即時に議場内の大画面に、議員1人1人の名前と個々人の賛否が表示されます。 議会のインターネット実況中継も実施しているので、その画面にも表示されますから、中継を見ている市民もすぐに、だれが賛成し、だれが反対したかを知ることができます。 これにより、議案の賛否に対する議員の責任をより自覚するとともに、市民への公開性も高めることがでるようになりました。 町田市議会、我孫子市議会、柏市議会、立川市議会、福井県小浜市議会など、全国でも導入が増えているほか、流山市議会では新たな機器の設置はしないでスマートホンを使った電子表決を実施しています。
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越谷市議会、請願者が議会で直接説明する機会を保障する取り組み 越谷市議会では、請願者が議会の場で直接説明する機会の保障の制度について、説明を受けました。地方自治法では、委員会の参考人制度が認められています。 この参考人制度や公聴会制度を活用することによって、議員がだけで審議するのでなく、議会の場で専門家や市民に意見表明してもらって、それを議会審議に生かすことができます。 議員が議員だけで私議するより最寄り幅広い知識や経験を生かすことができるので、最近では議会活性化の一環として、各地の議会でこの制度の活用が進んでいます。 残念ながら久喜市議会は、これまで公聴会や参考人制度はほとんど使われたことがありません。 越谷市議会では、市民から提出された請願や陳情を審議するに際して、請願者が議会で直接に説明をして、意見を表明する機会を保障しています。 請願が提出された場合に、請願者が「委員会の場で趣旨説明を行いたい」という意向があれば、委員会に参考人として招致して説明と意見表明をしてもらい、それを議員同士の審議に生かしています。 過去5年間では、2008年度に1件、2009年度に2件、2010年度に2件、2011年度に9件、2012年度に3件の請願で請願者を招致しています。 久喜市議会では委員会で、請願の紹介議員が請願内容の説明をしていますが、実際に請願を提出した市民が説明をした方が、より詳しく、また切実感を持って説明できるはずですから、この制度を積極的に活用していくべきです。 |
【視察レポート】 2012年10月30日、野田市「コウノトリ・トキの舞うまちづくり」を視察してきました |
野田市の自然と共生する地域づくり~自然再生の取り組み 野田市の根本市長はみずからが提唱して2010年に設立した「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」の会長を努めている。
このフォーラムは、野田市を中心とした利根川流域エリア、霞ヶ浦周辺エリア、渡良瀬遊水池を中心としたエリア、荒川流域の鴻巣市・北本市エリアなど関東周辺7つのエリアで29自治体が参加し、埼玉では久喜市も含む7市町が加盟している。 コウノトリ、トキは猛禽類とともに生態系ピラミッドの頂点に立つ高次消費生物で、生物多様性のシンボルとされていて、かつて日本の農山村部にはコウノトリやトキが普通に生息していたが、直接的には乱獲、水田の減少、農薬や殺虫剤による捕食生物の減少、化学物質による繁殖能力の低下などで、いったんは絶滅に追いやられた。 トキは佐渡や新潟県において、コウノトリは日本での絶滅の地である兵庫県豊岡市において、再生への取り組みが続けられている。 一昨年、政策会議の視察研修で豊岡市に行って、放鳥されたコウノトリが上空を舞い、水田に降りたって餌をあさる姿に感動したのであったが、そのコウノトリが遠く宮城県まで渡っていったことが確認されているという。 関東地域でもコウノトリの野生復帰と、年間を通して生息し繁殖できる環境を作るということは、多様な生き物が生息できる環境を作ることでもある。 そしてその地域に微生物、水生生物、鳥類や小動物までの地域の自然生態系の循環を作り出すことは、地域の自然を取り戻す取り組みであり、人間にとっても安全な環境を生み出すことにもなる。 野田市では、市南部の江川地区90ヘクタールの内の約3分の1の土地を市が中心になって設立した農業生産法人(株式会社・自然共生ファーム)で取得し、周辺の民間所有農地、農業者とも協力して、自然と共生する土地利用を進めている。 それらの土地では、耕作放棄地の復田を進めるとともに、農業生産法人、市民参加、NPOとの協働で、水田の耕作や管理を行っている。 湿地帯の環境を確保し、冬期も水田に水を張る取り組み、農薬を使わないで、殺菌効果のある玄米黒酢の散布への補助金など、市が積極的に働きかけながら、多くの生き物が生息できる地域環境を生みだし、拡大してきている。 それは江川地区だけではなくて、野田市全域で、水田への農薬散布の中止、殺菌効果のある玄米黒酢農法を推進し、化学肥料や農薬自体の縮減を進めているのである。 こうした取り組みの結果、ホタルやニホンアカガエル、トウキョウダルマガエル、メダカ、タナゴ、ナマズ、ドジョウなどの多くの小魚、二枚貝が増え、カワセミやサシバ、ツミ、オオタカなどの猛禽類、トンボなどの昆虫類が見られるようになっているという。 この日の私たちの視察には、根本・野田市長がみずから説明にあたってくれた。 それは、市長自身の自然生態系の破壊に対する危機感と強い意志に基づいて、自然環境を取り戻す大きな政策課題を掲げて取り組みを進めてきた。 それは自然と共生する地域作り、自然再生の取り組みを、野田市から関東全域へ広げていこうという、市長の熱意の表れでもある。 「コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム」には久喜市も加入しているが、久喜市は年間会費を支出しているだけで、市内で自然環境を再現するという政策目的を掲げての具体的な事業はいまだ取り組まれていない。 しかし久喜市は、荒川中流エリアから渡良瀬遊水池エリアをつなぐ中間地点にあり、鳥たちがそれぞれの地域を行き交う経路となる可能性を持っているのであって、市内のどの地域に、たとえば自然林を保全し、水田の冬期湛水を奨励し、自然生態系の循環を実現していくのか、具体的な取り組み方針が必要であると考える。 なお、野田市では江川地区の一角に「コウノトリの里」を建設しコウノトリを飼育・繁殖して、いずれは放鳥、野生復帰を果たすことをめざしているが、12月4日に多摩自然動物園からコウノトリのつがいを譲り受けて、飼育を開始した。
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2012/10/18 久喜市議会 福祉健康委員会行政視察レポート 2日目の18日に研修した「加古川地域保健医療情報システム」についてのレポートです。 久喜市を含む蓮田、幸手、加須、羽生、行田などの6市3町の利根保険医療圏では、「とねっと」という医療情報ネットワークが作られていますが、すでに20年前から実施している全国的にも先進的なシステムです。 |
「加古川地域保健医療情報システム」 加古川地域保健医療情報システムは、コンピュータネットワークやICカード(カインドカード)を使って、住民の健診情報や医療情報を、医療機関や住民が共有していくシステムです。 加古川地域では、加古川医師会と加古川市、稲美町、播磨町の1市2町で、財団法人「加古川総合保健センター」を設立し、検診や健康教育などを実施してきました。 1988年に、検査・検診データのオンラインによる活用や個人医療情報のカード化をめざして、システム構築を開始しました。 その後、モデル医療機関での実施を経て、1994年に総合保健センターに「加古川地域総合保険医療情報センター」を設置して、システムを本格稼働しました。 地域内の医療機関は193か所で、その内、現在までに参加した医療機関は124か所(参画比率65%)、システム同意者数は約67000人、カード発行枚数は約50000枚に達しています。 (2) 加古川地域では総合保健センターや総合病院を始め、医療機関での検診・検査データは、保健医療情報センターに蓄積されており、地域の人口33万人の内、その登録者数は16万人におよびます。 その内、検査機関に対して「同意書」を提出した約67000人の検診・検査データがオンラインで各医療機関に提供され、診療に活用されます。 さらに住民が、かかりつけ診療所や総合病院などの医療機関に対して「同意書」を提出すると、検診・検査データの他、既往歴、病名や診療状況と経過、処方された薬など、診療に必要な情報も蓄積され、同意書を提出した医療機関が相互にそれらの情報を活用できることになります。 同意書を提出する際に、カードの発行を申し込むことによって、それらの情報はICカード(カインドカード)にも記録され、事故等の際にはオフラインでの活用もできます。 (3) 実際の医療機関での活用は、診療時に検診・検査データを取り出して時系列で比較したり、数値をグラフ化して、直接に患者に見せながら説明することもできます。問診や病歴データなどを記入して、患者指導に活用することも可能です。 さらに、このシステムには、患者の情報だけでなく、医療機関案内システム、紹介先医療機関の医師ごとの診療スケジュールや、地域内の感染症情報提供システムも組み込まれており、医療機関にとって活用の幅が広いことも、普及した要因と言えます。 (4) このシステムの設置、運営費用は行政が負担しています。1市2兆から保健センターへの委託料は、1988~93年までの導入経費として約2億3000万円、運営経費として年間約1億円で、システム構築から25年間で約30数億円を支出してきています。 医療機関に対しては、システムに参加するのに必要なパソコンその他のハード機材(約30万円程度)は、保健センターから無償貸与され、各医療機関はインターネット経費を負担しています。 (5) 最初のシステム構築は行政主導の側面があって、当初は医師会は「反対」が強かったそうです。 しかしモデル医療機関での実施後、「実際のユーザーである医師や医療スタッフがみずから利用するシステムをみずからが設計する」ことを基本テーマとし、「地域保健医療情報システム協議会」や「運営委員会」などで、医療関係者や行政、メーカーなどでのコンセンサスを得るための検討、会議を重ね、システムの中身をボトムアップで構築していったことが、広く採用されることにつながったと語られていました。 (6) 2010年からは「住民健康情報活用システム」の供用を開始して、登録した住民はインターネットを通じて自宅のパソコンで自分の健康管理に活用することができるようになりました。 しかし実際には、カードのリーダーライターがないと読み取ることができず、当初は無償配布したものの、その後は有償としたため、登録者は1500人程度にとどまっています。 (7) さて、私たちの久喜市ではどうか。 2010年に、久喜、蓮田、幸手、加須、羽生、行田などの6市3町の利根保険医療圏で、「とねっと」という医療情報ネットワークがスタートしましたが、これまでに参加しているのは全体で108医療機関で、参加者は3920人にすぎません。 久喜市内では19医療機関、市民は1262人で、久喜総合病院と済生会栗橋病院を除くと17の診療所だけで、私たち市民が普段かかっているかかりつけ医がほとんど入っていませんから、「とねっと」の情報が活用される機会はあまりないのが現状です。 加古川地域の保険医療情報システムとの大きな違いは、「とねっと」では、登録される情報が、総合病院において検診・診療した医療情報に限られていて、市の検診などの結果が記録されない、かかりつけ医での診療情報が記録されないなど、システムに記録される情報が少ないことです。 また診療所の診療情報は「とねっと」には記録されませんから、いわゆるかかりつけ医で「とねっと」を活用できる余地が小さいこと、また医療機関が「とねっと」のシステムを使うためにはパソコン設置などの費用負担は医療機関の負担となりますから、ますます医療機関の加入は増えていかないということになります。 費用負担の問題をどうしていくのかということと、医療機関、特にかかりつけ医・診療所にとっての加入のメリットがなければ、「とねっと」がこれ以上拡大していくことはむずかしいのではないでしょうか。 |
加須市の新しいコミュニティバスを視察・研修してきました 加須市は久喜市と同じ2010年3月に1市3町(加須市、騎西町、大利根町、北川辺町)で合併しました。 合併前から、加須市で循環バス(4路線)と騎西町でデマンドバスを運行していましたが、恩こりの2町ではそうした公共交通システムはありませんでした。 合併協定項目では、加須市と騎西町のコミュニティバスの運行事業の経緯をふまえ、合併後、新たな実施方法を検討した上で、速やかに新市全域において実施することで合意しました。 合併後の2010年11月には「加須地域公共交通会議」を設置して、2012年3月までの1年半で「加須市地域公共交通総合連携計画」を策定、今年の10月から加須市全域に新たなコミュニティバスシステムを実現しました。 久喜市も2010年3月に合併して以降、その年の11月に公共交通検討委員会を設置して、2012年1月に「報告書」が策定され、今年の6月議会に公共交通会議条例が制定されて、10月にようやく「久喜市公共交通会議」が設置されたわけで、加須市に比べると2年遅れということになります。 久喜市は、加須市と合併も、公共交通システム検討のスタートは同じだったのに、なぜ2年間も遅れていまだに新しいシステムが実現できない、いや、新システムの具体的な形も見えてこない、これからという段階なのはなぜでしょうか。 久喜市ではこれまで、生活安全課が担当課となって、公共交通システムが必要かどうかの検討に費やしてきて、やっと久喜地域では循環バスの継続、3町地域ではデマンドバスで実施するという基本的な枠組みが合意され、ここまでに2年間を費やしてしまいました。 交通弱者体策と公共交通の確保を目的に、「実現」を前提として検討 それに対して加須市では、新たな公共交通システムが必要かどうかの検討をするのではなくて、それを実現することを前提として、合併して半年後には公共交通会議を設置して、具体的にどのようなシステムがふさわしいかの検討を行ってきました。また加須市では、新たな公共交通システムの実現は合併後の重要課題と位置付けて、市の政策中枢部である「総合政策部政策調整課」において直接検討作業と各方面との調整、実施を担ってきました。 残念ながら久喜市と加須市では、公共交通システムの位置付けも検討・調整の体制も、出発点からして違っていたことを感じさせられました。 また公共交通総合計画では、今回のコミュニティバスの実現で完成ではなく、利用実態等について1年ごとに検討し適宜改善を行い、5年をメドとして再評価を行い、事業全般の改善をはまると位置付け、事業者との協定と債務負担行為を設定して財政的な裏付けも図っています。 加須市におけるコミュニティバス政策の目的は、高齢者など交通弱者対策が主で、さらに公共交通不便地域への対策、合併によって市の核が4か所に分かれ、住宅地や公共施設が分散した状況下で、病院や公共施設へのアクセス利便性の確保をあげています。 3つの運行システムの組み合わせ 加須市の新たな公共交通システム=コミュニティバスは、3つのシステムの複合で成り立っています。(1)加須地区の循環バス…以前の4路線の循環バスを廃止して、加須駅と花崎駅周辺の中心市街地と病院、公共施設を結ぶ1路線だけにし、35人乗りのバス1台で、1時間に1本の運行としました。〔運賃一律100円〕 (2)北川辺地区から騎西地区まで市域を約1時間で縦断するシャトルバスを、10人乗り1台で5往復(10本)運行した。〔運賃一律200円〕 (3)デマンド型乗り合いタクシー(定員10人)を、市域全域を3地区に分けて、北エリアが1台、中エリアが2台、南エリアが2台で、地区ごとに運行する。 停留所は設けないで、ドアツードアで自宅など指定の乗車場所から目的地まで行くことができます。 随時電話で運行依頼が入って、他の乗客もいっしょに利用するので、経路はその都度変更になりますが、1階の運行が1時間以内で終了することが条件です。別のエリアに行く場合にはあらかじめ申し込みによって乗り継ぎ地点で乗り換えることになります。料金は乗り継ぎも含めて1回300円です。 利用するには事前登録が必要で、これまでの登録者は約8000人、毎日平均60人くらいの利用者があります。病院や公共施設に行くなど、高齢者の朝早くから午前中の利用者が多いそうです。 3方式のコミュニティバスとも、事業主体は加須市で、事業者で構成する加須市コミュニティバス円滑運行協議会に委託し、実際のバスの運行は運行協議会から市内交通事業者に委託しています。 市からはデマンドバスの予約センターの管理・運営費用として、委託料約1800万円、3方式の運行費用として約4200万円の補助金を支出します。 なお、運賃・利用料金収入は年間1500万円くらいと見込んでいるそうです。 市が新たなコミュニティバスを実現しようとすると、タクシー業界などの反発を受けることが多いのですが、加須市の担当者の説明によると、実際にはすべての運行を市内の事業者に委託しており、デマンドタクシーも希望者がすべて利用できるわけではない、時間などの条件が合わなければタクシーの利用に切り替える人も多いそうです。 必ずしもタクシー業者の利害と正面から対立するわけでもなく、どこまで受け入れてもらえるかの見極めと協議が大切とも言われていました。 基本理念は「加須市にふさわしい持続可能な公共交通の実現」 担当者の説明の中で、「他の自治体の公共交通システムの視察とかはあまりしませんでした。“加須市にふさわしい”システムの実現が必要だと思ったからです」「市民、事業者、市が三位一体となった“持続可能な”システムとして実現しました」と語られたのも、加須市における地域自治の実現や政策形成に対する基本的姿勢として、たいへん印象的でした。一見しただけでは3システムのシステムの組み合わせが複雑で理解しにくいように見えたのですが、むしろ市民がより便利に利用できるためによく考えられたシステムです。 今年度に入ってシステムが固まってから、区長会や敬老会などのいろいろな会議、自治会単位などに1日に2~3回、全部で200か所くらいの説明会を行ったそうで、これも加須市の新コミュニティバスと市民への思い入れを感じました。
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【政策会議の視察報告】 徳島県 小松島市議会・上勝町 目的地と視察目的は、10日が小松島市議会の議会活性化の取り組み、11日は上勝町の「いろどり」の取り組みでした。 |
《10月10日》 小松島市議会の議会改革の取り組み 19年6月に、議員全員による議会基本条例勉強会を設置して、1年間で8回の勉強会を開催して調査・研究を重ね、20年6月からは「議会改革特別委員会」を設置して、21年3月までに15回の特別委員会を開いて、議会内の合意形成を進めました。 その過程で、決算審査のあり方について検討を行って、予算決算特別委員会を設置、本会議のインターネット中継を開始などを実現し、それらの集大成として21年2月議会で議会基本条例と議会倫理条例を可決しました。 2.議会のあり方の中で、久喜市議会と比べて大きく進んでいる事項は次の通りです。 (1)市長から提案された議案を審議するだけの議会ではなくて、常任委員会において政策についての議員間の自由討議を通じて、会派にとらわれない議員の合意形成・議員による政策形成をはかり、議会からの政策提案を行う。 (2)重要政策や課題に対して政策討論会を行い、行政側からの議案の上程を待っているのでなくて、議会からの政策提案を行う。 (3)議員定数や議員報酬について、市民からの圧力によってではなく、議会みずから継続的に検討し、提案していくことにしている(議会基本条例で規定) (5)行政当局が重要な政策を提案する場合、政策の発生源、提案までの経緯、政策決定までの市民参加の有無、総合計画との整合性、財源と将来にわたるコスト計算を説明義務を負わせています。 それをふまえて、その政策の正当性(必要性)、実施方法の詳細や財政の裏付けについても、議会で十分に審議しています。 (6)議員倫理条例では、『議員本人とその配偶者、2親等以内の親族、同居の親族が役員をしている企業、議員が実質的に経営に関わる企業は、市の工事等の請負契約、業務委託契約、物品納入契約をしない』という、かなりきびしい倫理基準を定めています。 3.小松島市議会が最も重要視しているのは、決算審査の進め方です。 議員全員で、市の全事業の中から、議会として決算審査の中で特に調査対象とすべき24の事業を選定 →それらの事業について、執行部の事務事業評価シートを精査して、議員1人ひとりが事務事業評価を行う →各議員の意見をもとに予算決算常任委員会の審議を行って、議会としての事務事業評価書を作成する →議会としての事務事業評価書を、次年度の予算作成にあたって考慮すべき事項として、執行部に提出する こうした流れによって、前年度核会計の決算審査を、次年度以降の予算編成に生かすために、事務事業を評価し見直す場として位置付けています。 議会として特に評価の対象とした24の事業のそれぞれについて、今後の事業の方向性を「拡充」「継続」「改善」「縮小」「終了(すべき)」などの結論を出して、執行部に提言しています。 多くの市議会では、決算審査というと、事業の内容や数字の内訳について聞いたりすることになりがちです。 小松島市議会ではそうした事業の内容や数字の内訳については事前に調査した上で、事業そのものの評価という観点から審査しているわけで、本来の議会における決算審査のあり方だろうと思いました。 4. 実は久喜市でも、執行部はすでに全部の事業について事務事業評価(内部の自己評価)を実施していて、その評価シートも公表されています。 その評価シートは公表されていて、そのシートを見れば事業内容や数字の内訳などはほとんど書かれています。 私は9月議会の中の決算委員会ではそのシートを見ながら、一つ一つの事務事業の改善点や当局の自己評価が適正に行われているかどうかという観点から質疑しました。 残念ながら久喜市議会でもまだまだ、事務事業評価や政策審議という観点からの決算審議が進んでいるとは言えませんが、今後、決算審議のあり方や、議案審議を通じて議会の政策形成能力を高めていくことが必要だと感じました。 |
《10月11日》 上勝町ーー「葉っぱの町 いろどり」 料理を彩るつまもの、葉っぱを売っている町、と言えば、テレビなどでも何度も取り上げられているので、多くの人が見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。 人口1900人、徳島県中央の山の中の小さな過疎の町で、高齢化率49%ですから、人口の半分の900人以上が65歳以上ということになります。 普通は、お年寄りばかりの町で暮らしていけるのか、町の将来があるのかと思われますが、“葉っぱ”を売ってこれほど全国に有名になるとは、町の目の付けどころが違ったということでしょう。 約30年前、農協の一職員が“葉っぱを売る”ことを思いつき、4人から始めて、現在では194軒、約400人のお年寄りが携わって、全国シェア80%、年商2億6000万円とも3億円とも言われる町の一大産業に発展しました。 つまり65歳以上のお年寄り900数十人の内、400人が“葉っぱ産業”に従事していて、その平均年令は70歳、最高齢は89歳(2年前は98歳)、葉っぱの売り上げトップの方の売り上げは1000万円だそうです。 葉っぱを売るといっても、ただ山の中に自然に生えている木の葉を採ってくるのではないのです。 売り物にしている葉っぱは約320種類で、それらの木の苗を植えることから始めて、農薬などは使わずに丹誠込めて栽培し、そこから売り物になる葉っぱを厳選して採ってきて、ていねいにパック詰めして、全国40か所の市場に出荷しているのです。 この町をいちばん有名にしたのは、194軒の内、140軒あまりがパソコンを使っていて、インターネットでJAの葉っぱの出荷目標と市況を確認し、メールで受けた注文に「私が○パック出すよ」と返事をする、…こう言っては悪いけれど、70、80のおばあちゃんたちがパソコン、インターネットを自由に使いこなしていることです。 当初こそ、パソコンの購入の補助金を出したけれど、今はそれぞれのカセギの中から自分たちで80軒がタブレットに更新していて、おばあちゃんたちが葉っぱを採りに裏の山に行くにも畑に行くにも、タブレットを持っていくんだそうです。 今は町は、苗木の購入に50~80%の補助金を出すだけです。 こうして元気なお年寄りたちが増えてきて、年金生活者のお年寄りは納税者になった、町の老人医療費は徳島県内最下位で、全国平均よりも20万円も低いというのも有名な話です。 こうした取り組みが功を奏して、最近はIターン、Uターンで、町への流入人口が増えてきていて、都会へ出て行った息子夫婦や孫夫婦が子どもを連れて町に帰ってきているんだそうです。 この事業の視察が全国、いや海外からも含めて年間300~400団体、3000~4000人だそうで、毎日2~5件は視察が訪れています。 実は視察するのは有料で、1人1000円の視察手数料を徴収しますから、年間ではこれだけで400万円の収入になり、しかも視察団体には町内の「月ヶ谷温泉」に宿泊するよう推奨し、泊まらない場合でも旅館に併設された交流センターでレストランで昼食を食べていってもらう、ということで、視察が町の“地場産業”になっていると言えるのかもしれません。 このまちの30年間の取り組みは、行政や政治が、いかに“とらわれない発想”が大切かということを、私たちに教えてくれています。
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【衛生組合議会の視察レポート】
2012/8/7
久喜宮代衛生組合議会の今年度の研修は、7月9日に、彩の国資源循環工場オリックス資源循環(株)の処理工場を、10日に草津町の最終処分施設「草津ウェイストパーク」の視察を実施しました。 久喜宮代衛生組合の焼却灰等の、最終処分先・処分量の推移を掲載しました。 これまでの衛生組合議会での調査と、質問・答弁をまとめて表にしました。 ⇒ こちらを参照 |
容器包装プラスチックを溶融・ガス化して、発電原料に“リサイクル” 【11月8日 一部訂正しました】 (1)寄居町にある埼玉県環境整備センターは、県営の廃棄物最終処分場(埋め立て施設)で、1989年から県内の市町村や中小企業の廃棄物を受け入れて埋め立てを開始、久喜宮代衛生組合からも焼却灰と不燃残渣の一部を搬入して埋め立て処理しています。 彩の国資源循環工場は、環境整備センターの敷地の一部に設置されています。 埼玉県が事業主体となって、オリックス資源循環が中心に2001年から事業を開始、生ごみ・食品残渣リサイクル、廃プラスチックリサイクル、廃蛍光管リサイクル、建設廃棄物、屎尿汚泥リサイクルなど8つのリサイクル工場が稼働しています。 久喜宮代衛生組合では、容器包装リサイクルでプラスチック・ビニルの分別収集を行っていて、回収されたプラスチックはさらに容器包装プラスチックだけを分別した後、“資源”として業界団体に引き取られます。 引き取られたプラスチックは、以前は“マテリアルリサイクル”として再生プラスチック製品として利用していましたが、現在はここのオリックス資源循環工場に引き取られます。 この工場では、このプラスチック類やその他の廃棄物を溶融して、発生した精製ガスを燃料として利用して発電するという形で、“リサイクル”に活用しているわけです。 久喜宮代衛生組合では、久喜宮代センターで収集したプラスチックゴミは、ウィズウェイストの清久工場で、(A)容器包装のプラスチックと、(B)そうでないものに再分別されて、(A)の容器包装プラスチックの方は“資源”として容リ協会を通じてこのオリックス工場に引き取られています。 八甫センターや菖蒲センターでは昨年10月から、容器包装プラスチックだけの分別収集が開始されましたから、これも容リ協会を通じてオリックスに引き取られています。 久喜宮代センターで収集したプラスチック製品の内の、(B)の容器包装以外の“資源”に適合しないものは、千葉県にある廃プラスチック焼却施設に委託して、焼却処理しています。 したがって久喜宮代衛生組合で回収したプラスチックは、資源としての容器包装プラスチックに適合したものは“溶融”されて発電に利用し、資源にならない廃プラスチックは焼却していることになります。 ◆久喜宮代清掃センター プラスチック分別収集 → (A)容器包装(資源) → オリックス資源循環に引き取られて、原料として“ケミカルリサイクル”(溶融) → (B)容器包装以外の廃プラスチック → 千葉県の企業に委託して焼却 ◆八甫と菖蒲清掃センター 容器包装プラスチックの分別収集 → オリックス資源循環に引き取られて、原料として“ケミカルリサイクル”(溶融)
◆右の写真で、右の投入口の外に、久喜宮代衛生組合のプラスチック資源が積まれているのが見えました。 最終処分場に衛生組合の焼却灰と煤塵 (2)草津町の“ウェイストパーク”は、ウィズウェイストジャパン(本社は大宮、久喜市の清久工業団地に工場がある)が造成した最終処分場で、草津温泉の近く、国道292号線の草津町と長野原町の境界付近に位置しています。 久喜宮代衛生組合の焼却灰と不燃残渣などを、1990年頃から埋め立てています。 当初の第一期の埋め立て地はすでにいっぱいになって埋め立てを終了、2009年から隣接地に作られた2番目の最終処分場(新草津ウェイストオパーク)の埋め立てをしています。 今年までに20%を埋め立て、2020年まで埋め立てできる計画です。 ここで受け入れる焼却灰などは、自治体の焼却灰などの“一般廃棄物”ですが、福島第1原発事故以降は、埼玉県を含む10都県地域からの埋め立てごみは“放射性物質を含む特定一般廃棄物”と位置づけられており、処分場の中でもこの2つを区分して埋め立てています。 なお、草津町や住民との協定があるため、被災地域からのガレキ(放射性廃棄物)やそれらの焼却灰や残渣は、ここに埋め立てることはできません。 |
文教委員会で、四条畷市を視察してきました
2011/11/6
四条畷市は「2学期制の試行」をやめて、全面的に3学期制に復帰した 2011年10月20日 10月20日に、文教委員会の研修視察で、大阪府四条畷(しじょうなわて)市に行ってきました。今回の視察テーマは「学校の2学期制について」です。 四条畷市は小学校7校、中学校4校があり、17年度から一部で2学期制を試行実施しましたが、21年度には全面的に「3学期制」に復帰しています。 平成17年度 中学校1校で「2学期制」を“試行実施” 18年度 全校で「2学期制検討委員会」を設置 19年度 小学校1校で2学期制を試行実施 20年度 4中学校全部で2学期制を試行実施 21年度 全校で3学期制に復帰 この間、18年度には全部の小中学校で、2学期制への移行を展望した「2学期制検討委員会」を立ち上げ、順次実施していく方向でしたが、20年度に教育委員会、教職員、保護者からなる「2学期制検証委員会」を立ち上げて、これまでの試行実施を踏まえて状況を分析した結果、12月に教育委員会として「2学期制の見直し、21年度からの3学期制復帰」の結論を出して、2学期制は全面的に廃止されました。 当初2学期制を導入した目的は、そのメリットとして、次のようなことがあげられていました。 (1)終業式や始業式、長期休業前の半日授業などの回数を減らして、授業時間数を増やすことができる。 前期、後期の期間が長くなるので学習プランが立てやすくなる。 (2)特に3学期制における7月、12月の“過密スケジュール”が解消され、ゆとりを持って授業が進められる。 3学期制では年3回の評価に負われていたが、子どもたちの評価や懇談もゆとりを持ってできるようになる。 (3)学期が長くなることで、子どもの学習のようすを多面的に評価できるようになる。 保護者らから指摘された心配については、通知表の回数が減ることについては、従来通りの個人成績カードを作成し、従来通りに夏休み前には懇談を持ち、さらに必要に応じて10月、3月にも懇談を行うことでよりきめ細かい指導ができると説明されていました。 「2学期制」は、子どもたちや保護者、現場の理解を得られなかった 計画では、21年度には全面的に2学期制に移行して本格実施する方向でしたが、しかし現実的には、(1)保護者に理解してもらうだけの客観的なデータが整わなかったこと (2)試行実施した中学校において、当初に期待したほどの授業時数の確保ができなかった (3)保護者の間からは、「1学期末試験や長期休業前の通知表がなくなって、学力の把握についての不安や疑問」「10月の前期末試験が、部活動の公式試合日程と重なり、テスト前の勉強についての不安」の声が増加した。 (4)古くから2学期制を採用している大学でさえ、9月の前期試験を7月に終了させ、後期の開始を10月から9月中旬にはやめ、後期の終了を2月下旬に変更する大学が多くなっている。 これは、2学期制のメリットとして「長期の休みを学期の途中に位置付けて活かすことができる」とされているが、実際には困難であり、機能していないのではないか。 などの問題点が生じてきていました。 また、2学期制の導入のそもそもの目的の一つに、年3回の評価と通知表の作成が2回に減ることによって、教師の負担軽減が図られるということがありましたが、現実には、保護者らの不安に答えるために、夏休み前にやっぱり一定の評価をせざるを得なくて、結局負担感はは同じで、むしろ夏休み前に試験をしないで評価しなければならないので、かえってたいへんだということもあったようです。 これらの経過から、2学期制について、現場や、保護者・児童生徒の理解も得られたとは言えず、現場の声も「2学期制を積極的に推進していく」方向にはならなかったため、21年度から、2学期制を廃止し、全面的に3学期制に復帰するという結論になりました。 2学期制は子どもたちの生活実感に合っていない 私たちの視察の際に、四条畷市教育長さんがあいさつを兼ねて説明をしてくださいましたが、その中で、次のような現場の実態をあげていました。・日本の気候風土や生活習慣の中で、夏休み、冬休み、春休みと、子どもたちの1年間は生活実感として3つに分かれているが、2学期制はその生活実感に合っていない。 2学期制では、体育の日の前後の3連休で学期が変わることになるが、その区切り目は実感しにくい。 ・(中学校では)試験が年4回、通知表が2回となって、夏休み前には通知表を渡さないことになる。休み前の懇談はどうしても生活指導が中心にならざるを得ないで、成績についての指標が示されないことについて、保護者の不安や不満が大きくならざるを得ない。 3学期制の時の1回の試験の範囲に比べて、2学期制ではどうしても定期テストの範囲が広くなって、子どもたちにとっても勉強しにくいことにならざるを得ない。 最後に、3学期制で学校の授業期間が3回のかたまりになっているのは、日本の風土からしても、これで区切るのがいちばん自然ではないのか、と言われていました。 私たちにはこれはいちばんしっくりする説明だったように思います。 久喜地区の2学期制も、同じ問題を抱えている 久喜市では久喜地区(旧久喜市)の4中学校・10小学校だけが「2学期制」で、菖蒲、鷲宮、栗橋は「3学期制のままです。早期に“統一”する必要があり、今、「学期制検討委員会」が設置されて検討作業が行われています。 しかし統一といっても、久喜地区以外では合併前から「3学期制」を守ってほしいという声が圧倒的で、旧久喜市の「2学期制」に統合されることに対して反対の声や警戒感が強いのが現実です。 久喜地区でも「2学期制はやめて3学期制に戻してほしい」という声が根強くあります。 旧久喜市において、2学期制が導入されたのは、議会や保護者の間での議論もなく、教育委員会で突然決定されて、「来年度から2学期制に移行します」という結論だけが唐突に押し付けられました。 夏休みで子どもたちの学習が途切れてしまうのではないかという疑問に対しては、『7月までの学習を夏休み中に継続して、弱点を補い、夏休み明けの学習につなげていくことができる』と説明されていました。 しかし現実には、結局はほとんどの子どもたちにとっては夏休みで学習が途切れて、いわば“リセット”されてしまい、夏休み明けに7月までの到達点を取り戻すのがたいへんだという指摘もあります。 また『サマースクールで夏休み中にも学習指導をするからだいじょうぶ』とも言われていましたが、実際にはサマースクールに通う子どもはほんの一部に過ぎませんでした。 “2学期制のメリット”とされていたものが、子どもたちや保護者には実感されていない現実は、四条畷市とまったく同じだと言わざるをえません。 久喜市(久喜地区)においても、早期に3学期制に復帰すべきだと考えます。 |
浜岡原発見学ツアーに参加してきました
2011/7/21
7月16、17日、静岡県の浜岡原発見学ツアーに参加してきました。
今回のツアーは、反原発自治体議員・市民連盟とたんぽぽ舎の共催で約80名が参加しました。
「反原発自治体議員・市民連盟」は5月に結成されたばかりの全国の自治体議員と市民の「反原発」の共闘組織です。
16日の朝9時ごろに品川駅前からバスで出発し、当日の午後に静岡市内で開催された浜岡原発の廃炉をめざす集会(講演会)に参加スル予定でしたが、中央高速の事故で大幅に遅れて静岡市に到着したのは午後3時半ごろで、講演会の最後の1時間くらいを聞くことができました。
講師は最近あちこちに引っぱりだこの石橋克彦氏、1997年に初めて「原発震災」の可能性と危険性をしてきた歴史地震学者です。
石橋克彦氏の講演で印象に残ったお話し 3.11の福島原発の大事校は自然災害ではなく、原発震災の警告を無視し続けてきた東電と政府による人災であり、事故の原因も「津波による電源喪失」ではなくて、地震動そのものによる原子炉破壊と冷却材喪失であること原発の安全性は「止める、冷やす、閉じこめる」機能によって確保されるが、福島原発事故は、そのいずれの機能も破綻したのであるから、これまでの安全基準そのものを問い直さなければならないこと 1964年の原発立地指針では「大きな事故の原因となるような事象が過去になかったこと、将来においても考えられないこと」としていたのであるが、三陸沖で(日本中で)今回のマグニチュード9に匹敵する大規模な地震が過去においてあったことが明らかなのだから、福島原発ばかりか、日本中の原発がその立地指針に反していること (1)原発の安全性は、莫大な放射能故に、他の施設より格段に高くなければならない、(2)ところが原発は完成された技術ではない、(3)一方、地震は本気を出すと本当に恐ろしい、(4)しかし人間の地震現象に関する理解はまだ不十分で、予測できないことがたくさんある、したがって、地震列島に54基もの原発を並べるのはきわめて危険であり、すぐにやめるべきだ 浜岡原発は活断層の上に立っていると指摘されているが、それ以上に、太平洋プレートとユーラシアプレートとフィリピン海プレートの3つのプレートの境界線上に位置しているから、近い将来に確実に予想されている東海地震、東南海地震の震源域のあるので、最も危険な原発である |
17日の朝に静岡市内のホテルを出発して御前崎市の浜岡原発現地へ向かいました。
2時間くらいで到着して、浜岡原発の隣接地にある「原子力館」を見学しました。
原子炉の実物大模型の前には、「5重の壁に守られた原子力発電所の安全性」を強調する説明がありましたが、これがまさに原発の安全神話そのものであり、いまでにそれをそのまま掲げ続けていることに、驚きを禁じ得ませんでした。
6階の展望台から浜岡原発の全景を見ましたが、海岸線がすぐそこで、地震…津波の被害の可能性をこれまで「想定」さえしてこなかった、はっきり言えば無視してきたことがうかがい知れました。
その後、海岸線に出て、海側から原発を臨みました。
これまで高さ8mの防波堤と砂丘があるから津波や高波の被害を防止できると言ってきたのですが、それがいかに頼りないものであるかを実感しました。
沖合100mには冷却水の取水口があるのですが、津波でその取水口自体が破壊されたらどうなるのでしょう。
原子力館の前にあった浜岡原発のの沿革 | 展望台から浜岡原発の全景 手前から1号機、…、5号機と並ぶ |
海岸線から5号機を臨む。すぐ左は遠州灘 |
浜岡原発は、1号機(76年運転開始)と5号機(78年同)が、老朽化を理由として2年目に運転を終了し、廃炉が決定しています。 3号機、4号機、5号機は、管首相の決断によって運転を中止して、これから海側に防波堤を建設して2~3年後の運転再開を予定していますが、東海地震の震源域の真ん中に位置することを考えれば、直ちに廃炉を決定して、そのための準備を開始するべきだと考えます。 |
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右の写真は原子炉の実物大模型。 原発は核燃料を「五重の壁」で囲んで、安全性を守っているという説明が、今は白々しい 第1の壁:ウラン燃料を焼き固めたペレット 第2の壁:丈夫な金属(ジルコニウム)の被覆管 第3の壁:厚さ約15センチの金属製の原子炉圧力容器 第4の壁:厚さ約3センチの鋼鉄製の原子炉格納容器 第5の壁:厚さ1メートル以上の鉄筋コンクリート製の原子炉建屋(たてや) 福島原発では、そのすべてが役に立たなかったわけだ |
久喜宮代衛生議会の視察研修、上田市のごみ減量化の取り組み
2011/7/9
7月4日、5日に久喜宮代衛生組合議会の研修視察が行われました。
【長野県上田市のごみ処理行政「エコハウス」 7月4日】 上田市は2006年に1市2町1村で合併、現在の人口約16万人で、ごみ処理手数料やごみ処理方式については2008年に旧上田市の方式で統一されました。 |
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特にエコハウスの独自の取り組みである「わくわくボックス・ぱっくん(堆肥化基材)」はたいへん興味深いものでした。 ピートモス、もみ殻くん炭を混ぜたもので、これをダンボール箱に入れておいて、生ごみを投入し、毎日よく撹拌していると、微生物の働きで分解発酵して3か月くらいで堆肥(土壌改良材)ができあがるといいます。 全国で(久喜でも)家庭などでEM菌などを使っての生ごみ堆肥化、また電気式の生ごみ処理機におる堆肥化も取り組まれており、久喜宮代衛生組合ではモデル地区でHDM菌を使った大規模な生ごみ消滅・堆肥化施設が稼働していますが、上田市の「ぱっくん」は外部から菌を加えないで生ごみだけから堆肥化するというものです。 ぱっくんは20リットル400円で販売していて、市民には市から半額補助があります。 私も1袋を買ってきて、さっそく自宅で実験を開始しましたが、さてうまくいくかどうか…。 |
市役所のシュレッダーごみをトイレットペーパーに再生
政策会議で、桐生市役所の視察(1月17日)
2011/1/23
1月17日、政策会議の会派研修視察で桐生市へ行ってきました。
視察目的は「全自動パーパーマシン・ホワイトゴート」と名付けられた、廃棄紙ごみからトイレットペーパーを作る機械です。
ちなみにホワイトゴートというのは“白やぎ”さんのことです。
桐生市内の企業が開発して、平成21年9月に市役所玄関ロビーに第1号が設置されました。
今どき、雑紙をリサイクルするというのはあたりまえになっています。
しかしこちらは、市役所の中に設置した機械でトイレットペーパーが次々と生産されて、それを市民が自由に持っていっていいという仕組みで、これは全国でもここだけです。
本体価格は900万円、他に専用シュレッダーや電源工事に100万円ほどがかかっています。
メンテナンス費用が月額33000円、光熱水費月額15万円(ほとんど電気代)です。
市役所の職員が毎朝、1日分のシュレッダーごみ約7㎏と水を投入するだけで、あとは全自動運転で30分に1この割でトイレットペーパーが下の穴から転がり出てきます。
仕組みは至って簡単で、要するに不要になったコピー用紙をシュレッダーにかけて細かくしたくずを水に溶かして薄くのばしてトイレットペーパーにして出てくるというものです。
この機械のわきには、シュレッダーごみが紙袋にいっぱい詰め込まれて10袋くらいも積まれていて、処理を待っていました。
紙を水に溶かしてトイレットペーパーにする過程で、薬品を使うわけでもなく、漂白もしていませんから、下の写真にあるとおり、出てきたロールは、原料の紙のインクの色が残って、青みがかっていたり、赤みがかっていたり、それがかえって新鮮でもあり、環境に害を与えない安全性すら感じさせます。
行政では毎日毎日、個人情報の書かれた紙ごみがシュレッダーにかけられて廃棄(ほとんどは焼却)されていますが、桐生市役所では今のところ、その内8分の1くらいをこの「ホワイトゴート」で処理しているそうです。
残りは焼却されているということで、それらがすべてトイレットペーパーに再生されることになれば、それだけ環境負荷を減らすことができることになります。
私たちが見ている前で、ホワイトゴートの横に開けられた穴からトイレットペーパーが1つころんと転がり出てきて、そばで待っていた市民の方がすぐに持って帰っていました。
その方のお話では、「この紙はとっても評判がよくて、すぐになくなってしまうんです」と言われていました。
30分に1こで24時間自動運転ですから、1日48箇、朝には20こ以上のトイレットペーパーが箱の中にたまっていて、市民が持ち帰っていくそうです。
久喜市役所から排出される紙ごみ、特に個人情報の入ったコピー用紙は、すべてシュレッダーにかけられて焼却か溶融処理されてしまっています。
桐生市と同じように、久喜市役所のロビーにこのホワイトゴートを設置して、トイレットペーパーに再生して、市民のみなさんに還元したらいいと思うのですが、いかがでしょうか。
埼玉県の「生活保護受給者チャレンジ支援事業」を視察してきました
2010/11/22
11月15日、近隣の地方議員や市民で作っている「地方政治改革ネット」の仲間たち11人で、「アスポート越谷」を視察してきました。
【アスポート越谷】 生活保護受給者に対する就労・住宅支援を一体的に推進 「アスポート」は、埼玉県が実施している「生活保護受給者チャレンジ支援事業」で、生活保護受給者に対する就労支援、住宅支援、子どもの教育支援を行っています。県東部地区では、今年9月から、越谷駅西口から徒歩5分くらい、越谷市役所手前のビル2階に開設されていて、ここの他、川口、所沢、上尾の県内4か所に設置されています。 実際に事業を進めているのは、就労支援部門はワーカーズコープ、住宅支援、教育支援はNPOなどが受託し、それぞれの事業の“支援員”は緊急雇用対策補助金を活用して、失業者から募集して採用し、これ自体が雇用対策にもなっています。 就労支援の支援員は全部で49人、その内40名が失業者からの新規採用者、住宅支援の“住宅ソーシャルワーカー”が支援員43名、東部地区では就労支援の支援員は11名、住宅支援は10名です。 就労支援は~~1人1人に寄り添って、「就職率100%近い」成果 埼玉県の生活保護世帯は5万世帯を超えていますが、その内、就労可能世帯といわれるものが1割近く、20~40代の離職者が世帯主である世帯が約3000世帯です。何度も面接に行っても断られ続け、失業が長期化していくと、自分で仕事を探して採用にまでこぎつけることがむずかしく、意欲も衰えていくと言われます。 自力では新たな就労が困難であり、行政などからのより強力な支援が必要ですが、そのために、生活保護世帯に対して、アスポートの支援員が面接を続けながら個々に指導・支援して1人1人の希望や適正に応じた職業訓練の受講を勧め、その後も就職活動をいっしょに行っていって企業選びや面接の指導なども行います。 県全体では、福祉事務所のケースワーカーなどから400世帯が紹介され、面接相談1197件、生活保護世帯への訪問相談209件で、支援員がそれぞれ1日平均3件の相談を受けていることになります。(9、10月の2か月間の実績) さらにハローワークへの同行101件を経て、職業訓練校への入校指導、採用面接指導、就労決定待ちなど30人が就労へ向けてサポートを受けています。 久喜市にも“ふるさとハローワーク”の相談窓口が開設されていますが、相談に来た人の中で就職決定までこぎ着けた人は5%に過ぎません。 それに対して、アスポートが9月に開設してからわずか2か月間で、地域の福祉事務所から紹介されて就労支援を受けている400人の内、すでに30人が職業訓練や就労決定に至っているそうです。 特徴的なのは、アスポートの“支援員”の方々も、つい2か月前まで同じ失業者であって、体験者であるからこそ生活保護受給者の立場に立って、より実践的なきめ細かい支援ができると言えそうです。 住宅支援~~無料低額宿泊所からアパートへの移行 路上生活社や住居がなくて生活保護を受給すると、多くが無料低額宿泊所に入ることになり、県内で36か所、2000人余りが暮らしていますが、食事代などを含めて1人あたり月に平均13万円弱もかかっています。そうした生活を続けている内に、社会性も失われ、就労などにも結びつかないで長期化する傾向にあります。 そこで、本人の同意を得て、民間アパートに入居させ、地域で安定した生活が送れるように支援しています。 久喜市ではケースワーカーが9名で、生活保護世帯が800世帯を超えていますから、1人が90件くらいを担当している計算です。 1人のケースワーカーが月に30世帯くらいを訪問していますが、お年寄りや長期入院の人などは年に1~2回の訪問、就労可能世帯へは毎月訪問しているそうですが、生活保護を受けている人がその状態から抜け出して就労していけるまでの、きめ細かな指導はむずかしいのが現状です。 また、行政の生活保護者対策はどうしてもタテワリになりがちですが、アスポートの活動は、就労可能な人に対しては1人1人に寄り添った形での就労支援を行いながら、同時に住宅支援を結びつけて一体になって、その人の生活全体への支援を進めていくことで、成果をあげていけるのではないでしょうか。 ⇒久喜市の生活保護受給者、ハローワークの現状はどうなっているか |
【視察報告】 駒ヶ根市の市立図書館、市文化財団に指定管理
2010/11/4
文教委員会の研修視察、11月2日は駒ヶ根市の市立図書館を訪れました。
2010年11月2日 駒ヶ根市の市立図書館に学ぶところは多い ⇒写真はこちら 駒ヶ根市総合文化センターの中に、文化会館、勤労青少年ホーム、女性館、市立図書館、博物館が併設されていて、昭和61年から文化会館、勤労青少年ホーム、女性館の管理運営とセンター全体の施設管理を文化財団に委託、その後、図書館と博物館の運営を文化財団に委託してきており、平成18年度から文化センター全体の管理運営を文化財団に指定管理としました。したがって、市立図書館の指定管理といっても、平成15年の地方自治法の改正後によって指定管理の検討を始めたというわけではなく、それまでのセンターの施設管理委託、図書館の運営委託を自然に引き継ぐ形で、それまでの委託先である文化財団に“非公募・随意指定”で指定管理に移行してきたといえます。 財団法人駒ヶ根市文化財団は市の100%出資法人です。 文化財団の事務局長である市の文化係長がおもに説明してくれましたが、その中では、指定管理に求められるものは競争原理と経済効率性であるが、こうした教育施設・文化施設においては市民サービスの達成向上が大前提であり、経費削減は追求しにくい、ましてや「無料の原則」に貫かれた公共図書館については指定管理になじまないのではないかという問題意識が示されました。 駒ヶ根市の場合は、文化センターが市の100%出資の公益法人であり、理事会や事務局についても市と事実上一体となった運営をしているため、長期的な施策展開、運営方針の安定、事業の継続性が保障されている、随意契約とすることによって職員の安定的雇用が保障されていることなどが、“文化財団への指定管理”のメリットとして強調されました。 駒ヶ根市立図書館の指定管理についてはいくつかの特徴があります。
これらからして、駒ヶ根市の場合、指定管理という形をとってはいるものの、「市直営と実質的に変わらない」と言えます。 7人の職員の内の6人が司書 図書館事業はたいへん先進的なものでした。(1)図書館職員は8人は全員が常勤職員で、その内6人が司書で、専門職としての司書の安定的雇用を保障して、高いモチベーションを維持しています。 他に、合併前の旧村にある2つの分館に1人ずつの非常勤職員(会館は平日の午後だけ)、小中学校図書館の司書7名も図書館職員の位置付け(常勤5名、非常勤2名)となっており、小中学校7校に派遣しています。 図書購入費、蔵書冊数、貸出し冊数、どれをとってもすごい! (2)図書貸出し冊数は平成15年度の16万冊(1人あたり4.83冊)から、21年度20万冊超(1人あたり5.91冊)と年々増加し続けています。←→久喜は1人あたり《3.61冊》この基礎になっているものは何と言っても図書購入費の水準です。 図書購入費は平成15年度の1460万円から、21年度は1280万円まで漸減傾向にありますが、それでもなお市民1人あたり360円の高い水準を維持しています。←→久喜は1人あたり《56円》 その結果として当然のことながら蔵書冊数も増え続けており、14万冊から21年度は16万冊超、1人あたりでは21年度4.83冊となっています。←→久喜は1人あたり《2.80冊》 いずれの数値をとっても、久喜市に比べて、図書館行政にかける力と財政の大きさがわかります。 図書館は貸本屋さんとは違いますから、貸し出し冊数が多いというのは、町の最近の書店のように単に市民や子どもに喜ばれる本を多く買っているということではありません。 たとえば受け入れ雑誌の一覧を見ても、一般の雑誌が80誌の他、郷土雑誌が6誌、児童雑誌が17誌、さらに新聞では全国紙7紙の他、地方紙6紙、専門紙3紙(週刊読書人、『不登校新聞』)など、市民の知的欲求に応えるという思想に基づいての図書館方針が見て取れます。 図書館事業推進の基本的思想と子どもの読書推進の取り組み 図書館の運営基本方針では、
学校図書館に司書を派遣して、その連携を強め、人事交流も実施しています。 こうした活動の結果として、貸し出し冊数の多さ、しかもそれが増え続けているということができます。 また駒ヶ根市では平成19年に「駒ヶ根子ども読書活動推進計画」を策定し、“こまがねっこ 読育(よみいく)ぷらん”として実施しています。 その中に、「子どもたちが幼いときから本に親しむ習慣が身につくように、日常生活の中で子どもが本を好きになる…」という一節があり、心惹かれました。 |
【視察報告】 松本市の学校給食センターにおける、地産地消と食育、アレルギー対応給食
2010/11/4
文教委員会で研修視察を行い、11月1日に長野県松本市、2日には駒ヶ根市へ行ってきました。
2010年11月1日 松本市の学校給食センター、地産地消と食育、アレルギー対応給食の取り組み ⇒こちらもどうぞ 松本市は周辺町村との合併で大きくなってきた市で、旧松本市で2つの給食センター、合併した町や村にあった給食センター、他に10の小中学校が自校調理方式で給食を実施していて、自校調理方式の中の1か所だけが調理を民間委託している他は、すべて市の直営で、当然、栄養士や調理員も市の職員です。合併前から給食センター、自校調理方式の学校ごとに給食費も給食実施日数も異なっていますが、今のところ統一の予定はないとのことでした。 合併して同じ市内の子どもたちの給食は、せめて給食費や献立は統一の方向をめざすのが自然ではないかと思って聞いてみたところ、現場の栄養士さんは、 「それぞれの合併前の市町村で、献立も工夫したり地元産の食材を使うなどして特徴ある給食を実施してきたので、それを引き継いでいこうという意識が強いのではないか。 給食費も地元の安全なおいしいものを提供しているのだから高くてもいいという意見もある」 と説明してくれました。 実際、センター給食では副食は3品が基本ですが、自校調理方式の学校ではもっと多い学校もあるということで、これをむりに統一するよりも、地域の特徴を行かした方がいいというのも納得できました。 直営、大規模の給食センター 私たちが視察したのは、東部学校給食センターです。ここは小学校11校、中学校6校、合わせて8000食の給食を調理している大規模センターで、ここに栄養士5人、調理員57人(常勤20、嘱託22、臨時15)が働いています。 これほどの大規模なセンターにもかかわらず、食材搬入が7時半、調理スタートが8時半、「味見スタート」が10時40分、それから最後の味の調整をして、コンテナに積み込んで搬送開始が11時半、それぞれの学校へは10~25分で配送できるとのことでした。 調理開始も搬送開始も、久喜の給食センターよりも1時間は遅く組まれているわけで、これは子どもたちに“できたて”を届けるためにぎりぎりの調理時間となっています。 ひるがえって見てみれば、久喜の場合は、配送トラックは給食センターを10時半には出発していますから、せっかくの給食がそれだけ冷めてしまうことになります。 基本はできるだけ地元産の食材を使って、地産地消を推進
加工品などを使用する場合にも、加工業者に対して材料や製造方法を指定して給食センターの特別仕様での製品を作ってもらう、たとえばハンバーグを発注する場合、乳製品を使わない、県内産の肉を使ってもらっているということでした。 野菜の一部については、ニンジンや「松本一本ネギ」などをJAとの契約栽培で仕入れており、その中でできるだけ農薬を減らしてもらう取り組みもしていますが、全体的には特に“無農薬・減農薬”を指定しているわけではありません。 こうした取り組みによって、地場産食材の使用率は米なども入れた重量換算で70%くらいではないかと言っていました。 なお、久喜の場合、地元産の野菜は無(減)農薬・特別栽培野菜を使用していて、私たちはそれ以外の野菜についても久喜産や県内産を優先するように求めているのですが、それ以外のものについては地産地消に関係なく全農食品を通じて仕入れているのが現実です。 「食育」は、子どもたちに知らせることから 学校での食育指導は、学校からの要請に応じて年に1回(学校によっては何時間もかけている)、栄養士と調理員が4人1組になって学校を訪問して子どもたちいっしょに食べていて、その前後の時間や授業を使って子どもたちとの話しをしているそうです。また献立表と別に、写真入りのニュースを作って配布しています。 栄養士さんは、 「食材や調理の工夫について、何も知らせないでいると、出てきた給食を食べてそれで終わってしまう。たとえば郷土食の「松本丼」だったら、材料は何と何が入っているとしっかりと伝えないといけない」 「センターで煮干しの頭とはらわたを取る作業のことや、あく取りのことなどをちゃんと知らせていくことを大切に考えたい」 と話していらっしゃいました。 きめ細かな「アレルギー対応給食」を提供 「松本市学校給食アレルギー対応食提供事業実施要綱」に基づいて、きめ細かいていねいな対応をしていて、これは全国的にも最も“先進的”と言えるかもしれません。4つのセンター、10の自校調理方式の学校給食で、全部で2万食を提供していますが、市内でアレルギーを持つ児童・生徒は約600人と推計されていますが、その内、、保護者の意向調査や申請に基づいて140人の子どもたちに「アレルギー対応給食」を実施しています。 対応している食品は、卵、乳製品、肉類、魚介類、そばを除く穀類、大豆製品、野菜、果物、意盛る時、油、食品添加物など、多くの食材に対応しています。 一般の献立作成と同時にアレルギーを除去した献立(個人別メニューカード)を作成して、学校、保護者、給食センターで協議・共通認識を持ち、個人別に一つ一つの食品の代替食を作っています。
8000食もの学校給食を提供する大規模センターですが、5人の栄養士さんを中心に、献立作成、調理体制、地産地消と食育の取り組み、アレルギー対応給食と、1人1人の子どもたちを大切にした給食を作っていることを、感じさせられました。 |
研修報告
2010/9/6
8月28日、29日の2日間、静岡市で開催された「みんなで創る、私たちの自治 全国政策研究会」に参加してきました。
主催は自治体議員政策情報センター・虹とみどりです。
かかった費用は、研修会参加費5000円、宿泊費8500円、交通費12600円で、合計26100円で、政務調査費から支出しました。
【8月28日】
1.講演会「新しい公共は未来を開けるか? ~地域から考える新しい公共とは~」 その矛盾を解決するために、“新しい公共”は、公民連携(PPP=パブリック・プライベート・パートナーシップ)の手法によって、個々のケースごとに、官・民・市民の役割分担を通じて社会的な費用対効果を最大化する方法と位置づけられる。 新しい公共を、ペストフの三角形(公共のトライアングル)によって、政府、市場、地域のセクターの連携と位置づけるが、特に、市民の立場から考えるとき、政府と市場のセクターが、「地域」セクターとの連携パートナーシップを以下に作っていくかという問題が重要である。 (1)地域セクターが公式のハードルを越えるケース にしすがも創造社、千葉市少年自然の家 (2)政府が公式のハードルを下げて、地域セクターを呼び込むケース 道路里親制度、ボランティアの活用←ボランティア保険を負担 (3)市場が公式のハードルを下げて、地域セクターを活用するケース 神戸コミュニティクレジット (4)市場のセクターが非営利活動を行うケース 非営利型株式会社、千代田区で区有財産をNPOベンチャーに賃貸して産業振興 こうしたケースを拡大していく際、民営化自体がいけないというイデオロギーにしばられる必要はない、民営化しても契約で制約できるという立場である。 ただし、以下のようなケースは似て非なるものであり、排除する。 不透明な癒着・談合、単なる仲良しクラブ 守られなくても仕方ない口約束 無償のボランティアの強要 行政責任を果たさない民間へのマル投げ 民間の安さだけを目的とした単なる下請け 民間の知恵を発揮しようがない仕様の押し付け 民間は儲かってはいけないという意識の押し付け 特定の官・民・市民に対する利益誘導 そもそも不必要な事業や過剰投資 |
2.分科会「市民自治と新しい公共」 報告者 福島浩彦(中央学院大学社会システム研究所教授・消費者町長官) 福島氏の公共のトライアングルは、「地域セクター」がいかに政府・市場セクターをコントロールするかという視点から考える。公共は「市民の公共」でなくてはならない。政府・行政は市民の公共を創るための道具である。 従来の公共は、市民の意思と乖離した官が、一方的な決定権を持って公共を支配し、みずからの都合で民間に下請けに出してきたのに対して、「新しい公共」=市民の公共を実現するためには、市民・地域コミュニティを強化し、市民の政府を創ることが前提となる。 新しい公共とは、市民と行政の対等なパートナーシップではなくて、市民の僕=パブリック・サーバントとしての行政を市民がコントロールすることである。 我孫子市「提案型公共サービス民営化制度」…「コスト」でなくて「質」で民間へ移す。 行政が出したいものではなくて、民間がやりたいものを民間へ移す、発想の転換が必要である。 しかし実際には、職員の人件費と民間の人件費の差額で安上がりになるから指定管理に移しているだけであって、あるサービスをだれがやればいちばんいいサービスができるかという判断の基準でなければならない。 たとえば音楽ホールの運営は専門性、能力、ノウハウ、どの点を考えても民間がやった方がいいサービスになる。 公共だから非効率でも仕方がないではなくて、公共性と効率性は同時に実現すべきである。 学校の空き教室を他の行政目的に使おうとすると制約があるが、民間の視点からは、逆の発想が出てくるのではないか。 ⇒コミュニティセンターがあって、その中に小学校、高齢者デイケア、学童保育、…、それぞれが間借りして使うという方法 |
3.分科会「新しい公共」と市民自治 報告者 日詰幸一(静岡大学人文学部法学科教授) 平成22年6月4日に発表された「新しい公共宣言」を実現していくためには、市民が民主主義と自治を学場としての地域社会の成熟が必要である。行政には調整者ないしコーディネーターとしての力量形成が求められる。 市民みずからが自治力を高める、サービスの権限、財源を含む環境整備が必要である。 討議民主主義の取り組みを活用して、広範な市民の参加…無作為抽出による市民協議会の設置して、行政からの一方的な選任や公募型審議会に参加しない市民の意見を求める。 千代田区「市民討議会」(2005年) 三鷹市「基本計画改定に向けたまちづくりディスカッション」(2007年) 静岡市「Voice of しずおか市民討議会」(2008年) 埼玉県内では、川口市、飯能市で実施 |
【8月29日】
4.分科会「ゼロ・ウェイストへの道」 報告者 広瀬立成(町田市ゼロ・ウェイストの会) 「ごみを作らない、燃やさない、埋め立てない」を理念として、2006年から「ごみゼロ市民会議」を組織した。町田市民134名の市民委員が参加して、13の部会、チームに分かれて、1年間で280回の会議を重ねて、町田市のごみ減量運動に取り組んでいる。 2009年にはNPO法人「町田発・ゼロ・ウェイストの会」へ発展した。 《主な事業》 戸建て住宅と集合住宅における生ごみ処理機の設置…公団住宅、都営住宅にも設置 家庭生ごみ堆肥を利用したレタス栽培委託(長野県川上村) リサイクル広場・町田 町田市内の耕作放棄地で、田んぼ再生プロジェクト お祭りやイベントでごみ分別・減量、リユース食器の導入 リサイクル広場の開催 町田市廃棄物減量等推進審議会で、「ごみをごみを作らない、燃やさない、埋め立てない」を確認、「生ごみの全量資源化、生ごみは自家処理を優先させる」方針を決定、「町田市ゼロ・ウェイスト宣言」をめざす。 《ゼロ・ウェイスト宣言》 徳島県上勝町 2003年 福岡県大木町 2008年 熊本県水俣市 2009年 神奈川県葉山町 2011~2012年に予定 東京都町田市 2012~2014年に予定 久喜宮代衛生組合も町田市に劣らない取り組みをしてきている。 げんりょう(減量・原料)化大作戦、できるだけ燃やさない、生ごみ全量堆肥化の基本方針を、これからどう実現させていくか、大いに参考になる取り組みである。 |
会派・政策会議の視察研修の報告
2010/8/9
8月2日と3日、久喜市議会・政策会議の7名で長野県・小諸市と群馬県前橋市に視察研修に行ってきました。
前橋市の視察目的は公共交通政策で、市街地の中を走っている「コミュニティバス」(循環バス)と、農村部を走る「デマンドバス」の運行を視察しました。
久喜市では7路線69便の循環バスが運行していて、平成20年度決算では、7路線で年間利用者数14万人、運賃収入は約1400万円、それを差し引いて市の支出は5500万円の運行委託料を支払っています。(22年度予算では運行委託料6700万です)。
合併協議の中では、「公共交通機関をどのように新市において取り扱うか検討期間を設置して、廃止を含めた上で、合併後1年以内に検討します。」とされ、6月議会で公共交通検討委員会条例が可決されて、今後検討が進められることになっています。
しかしこの「廃止を含めて」検討するという方針には、市民からは大きな反対の声が出ているのが現実であってむしろ運行本数の増を望む意見が強く出されていますし、旧3町地区にも循環バスを運行して欲しいという希望も寄せられています。
鉄道を別にすれば、久喜地区でバス路線が東西の2路線だけという現状では、市民の移動手段は車に頼らざるを得ず、特にいわゆる“交通弱者”とされる人々にとって、公共交通の充実は緊急の課題と行って過言ではありません。
前橋市では公共交通政策として、中心市街地における「コミュニティバス」(マイバス)と、過疎地域における「ふるさとバス」(デマンドバス)という2通りのバス運行を行っています。 【1】過疎地域における、前橋市ふるさとバス(デマンドバス)
背景としては、全国有数の自家用車保有率 ←→ 公共交通の利用者の減少 ←→ バスの路線と本数の減少という悪循環、一方で高齢社会の進展の中で、『地域における需要に応じた住民の生活に必要な旅客輸送の確保…を図り』(前橋市地域公共交通会議設置要綱第1条)、地域に応じた公共交通サービスを提供することを、行政の責任として果たしてきたといえます。 従来の1時間に1本しか運行しない定期運行の路線バスに補助金を支出するという選択肢もありましたが、実際の利用者は限られていることなどから、費用対効果はきわめて低いと考えれます。 それに対して、デマンド方式は、需要がなければ走らない、1人1人のその都度の需要に合わせてルートを決定することから、定期路線バスに比べてはるかに“効率的”です。 またデマンドバスは、利用者にとっては、定期運行のバスよりもはるかに便利で、タクシーよりもはるかに安価な“出前バス”であり、公共交通の潜在需要を喚起することにつながっています。 約80K㎡の地域に停留所が240か所、運行時間は8時30分~19時まで、運賃は大人200円、中学生以下100円、未就学児無料、普通割引と敬老割引の回数券もあります。 利用の流れは、 (1)利用者は電話で、乗車バス停と目的地のバス停、乗車人数を申し込む。 (2)受け付けのオペレーターがパソコンに入力すると、即座に4台のバスの運行状況を検索して新条件でのルートを設定して、「Aバス停に何時何分にX車が到着、次は30分後にY車が到着」と表示します。 (3)利用者の都合のよい時間のバスを予約します。 (4)バスにもパソコンが設置されていて、その都度、予約状況に応じたルートと運行計画が表示され、運転手はその運行計画に従って走行しながら各バス停で利用者を乗降させます。
車両は10人乗りワゴン車4台、1日当たりの利用者数は平日で平均112人、土日休日で87人で、年間利用者数は4万人に達し、4台の車両は1日中ほとんどフル稼働しています。 最も多く利用しているのは高齢の女性で、目的は買い物や通院が50%を超えていて、地域住民へのヒアリングによると、デマンドバスを利用して以前よりも外出機会が増えたという方が65%にものぼり、デマンドバスが地域住民の生活や行動に変化をもたらしていることも明らかになってきています。
ただしこれは、車両購入費(1台380万円)、予約・運行管理システムのリース料420万円などは含んでいません。 また、運行開始前はタクシー業界への影響が懸念されましたが、タクシー利用者数は減っていないということです。 合併後の久喜市で、菖蒲・栗橋・鷲宮地域などからコミュニティバス運行の要望が強く出されていますが、前橋ふるさとバスのデマンド方式での運行が大いに参考になるのではないでしょうか。 【2】市街地におけるコミュニティバス(マイバス)の運行 運賃はいずれも大人100円、こども50円、未就学児童は無料、1日券300円
特に、北循環・南循環は比較的短距離区間を20分間隔で運行していることからたいへん利便性が高く、それが収支率の高さに反映していると言えます。 |
鷲宮、栗橋の公共施設を視察研修しました
2010/7/7
合併して、旧3町に、私たちの知らない施設がたくさんあるので、会派・政策会議で、新久喜市内のさまざまな施設の視察・見学を行っています。
これまでに、5月24日には、鷲宮総合支所(旧鷲宮町庁舎)、鷲宮町に開設された「認定こども園」、栗橋総合支所(旧栗橋町役場)、「栗橋B&G海洋センター」、公立の栗橋幼稚園を視察しました。
7月5日には、栗橋地区に2月に開設された「ボートピア栗橋」、栗橋まちづくり協議会事務所、鷲宮地区の「花と香りのふれあいセンター」などを視察・見学してきました。
鷲宮総合支所 久喜市役所よりも建物も新しく、ほとんどの職員は本庁舎(久喜市役所)に移動して、今は職員が100人くらいしかいません。事務室としては1階と2階しか使用していなくて、本庁舎のゴチャゴチャした狭苦しい事務室に比べると、職員の働く環境としては最高と言えそうです。 3階以上は会議室や物置として使われていますが、本庁の会議室が取れないために、鷲宮総合支所で会議を行うことが多くなっているそうです。 空きフロアには、まだ使えそうな机やいす、応接セットやロッカー、使われなくなったパソコンやプリンタなどがたくさん残されていて、廃棄するのはもったいない、本庁舎に運ぶか、市民に無償か格安で譲渡したらいいのではないかと思いました。 3階から5階の使われなくなったフロア、町議会の議場や町長室なども含めて、市民にどのように使ってもらうのかを考えるべきです。 なぜ市民に貸し出しをしないのか、質問してみました。 市では“貸し出せない理由”として、 「3階以上に職員がいないので、管理ができない」 「カギがかけられないので、市民が勝手に入り込んでいっては困る」 などと言っていますが、これらは単に行政側の都合ばかりを考えた管理上の問題であって、公民館などと同じように市民に貸し出して使ってもらうことはできるはずです。 市民の財産である庁舎の有効利用を積極的に進めるべきです。 地域団体や、ボランティア団体、福祉団体などの事務室や活動スペースとして利用できるように、市民団体党と協議していくべきではないでしょうか。 鷲宮の観光資源として、「らき☆すた」、鷲宮神社についても説明を受けました。 行政主導でなく、市民の創意とパワーで盛り上げて全国的に有名になったことは特筆すべきでしょう。 |
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【写真 左】 明るくて広々とした、鷲宮総合支所のフロア。 本庁舎の一部の部・課を持ってきたらどうだろう。 【写真 中】 久喜市議会よりも立派(?)な旧・町議会の議場。 ちょっと改造すれば、 講演会やミニコンサートの会場に使えるんじゃないか? 【写真 右】 旧・町長応接室に、“お宝”らしい絵の屏風が無造作にあった。 「棟方志功の弟子」だと言うが、置き忘れられてしまったらしい。 このまま、陽にさらされてほこりまみれにしておくつもりだろうか。 |
栗橋総合支所 こちらは建物が老朽化していますが、残っている職員数はやはり82名です。栗橋総合支所には第1庁舎と第2庁舎があって、職員が少なくてがらがらなのに、2つの建物を使い続けているのは、セキュリティや光熱水費などの管理費用がムダではないか、なぜ一つの庁舎に集約しないのか、疑問に感じました。 こちらも多くの部屋が物置替わりになっていましたが、あまり再利用できる備品はないようでした。 ただしやっぱり、空いている部屋があるのですから、市民活動の場として大いに利用してもらう方が有効利用になるのではないかと思いました。 栗橋地区の観光資源としては、くりはし夏祭りやサンバ・サマーフェスタ、くりはし八福神、赤花そば、靜御前の墓、靜桜、「鉄道むすめ」(まだあまり知られていない)、ハクレン(いつジャンプするかわからない)などがあると教えてもらいましたが、残念ながら今のところあまりメジャーな存在とは言えません。 |
栗橋B&G海洋センター もともと船舶振興会が母体のB&G財団が建てて平成3年に栗橋町に無償譲渡された施設です。設置は昭和63年とかなり古いのですが、アリーナやトレーニング室の利用は市民にたいへん利用されています。 アリーナは特に卓球サークルの利用がさかんで、6月などは、アリーナを2つに区切ってのべ180件の利用、ということは、ほとんどいつでも利用されているということになります。 プールの期間は6月末から8月いっぱいですが、久喜総合運動公園の市民プールと違って屋根が付いているので、天候に関係なく利用できます。 |
久喜市立栗橋幼稚園 平成18年に、町民の運動によって新設された公立幼稚園です。4歳児と5歳児がそれぞれ2クラス、全部で116人の園児が生活しています。 職員は15人(内、10人は非常勤職員)、その内の2人は通園バスの運転手です。 園舎は扇形に配置され、天井が高くてきれいで明るい、子どもたちには居心地がよさそうに感じました。 ここでは、幼稚園が終わった後に、ニーズに応じて“お預かり保育”も行っていて、1日5~10人くらいの児童が夕方までを過ごしています。 入園料10000円、保育料2か月分16000円、バス代2か月分4000円です。 |
学校法人 青木学園、さくらだ保育園、認定こども園 「認定こども園」は、平成18年から制度化された新しい幼児施設で、幼稚園と保育園を一体化させたいわゆる「幼保一元化」の一形態です。幼保連携型、幼稚園型、保育園型などの携帯がありますが、保護者が就労しているか否かに関わりなく、児童に保育を提供するとともに、幼稚園のような就学前(幼児)教育を行う施設で、久喜市内では、この青木学園が唯一開設されています。 現在は、0歳児3人、1歳児21人、3歳児35人など、5歳児まで全部で約130人の児童が在籍していて、保育時間は、延長保育も含めて朝7時から午後7時までとなっています。 10名くらいはバス送迎で通園していますが、ほとんど保護者が送迎しているそうです。 昨年度まで鷲宮町では公立保育園があって60名くらいの児童が通っていましたが、その中央保育園が今年から閉園となってしまったため、保育園に通っていた児童の受け皿として開設されたという経過もあります。 中央保育園の児童の内の半数弱を、さくらだ認定こども園で受け入れたそうです。 なお、学校法人・青木学園は、道を挟んだ隣接地に桜田幼稚園も経営していて、そちらには200名の児童が通っています。 |
(左) 外観は 宇都宮線の電車 (右) 屋内の通路は 道路と横断歩道 |
飯田市議会の研修視察報告
【長野県飯田市議会における行政評価を活用した決算審査】 1.飯田市議会では20年度から、議会の決算認定において、行政評価の手法を導入していて、21年度(20年度決算認定)は2年目となる。議会における決算認定は9月議会で実施し、議会による行政評価の結論として「決算認定に関わる施策及び事務事業に対する提言書」を作成し、9月議会最終日に市長に提出して、次年度の予算編成に生かすよう求めている。 なお、飯田市議会では4常任委員会が設置され、議員は正副議長と監査委員を除いて全員が2つの委員会に所属、副議長と監査委員は1委員会に所属しています。 予算審査も決算審査も、この4常任委員会への分割付託しています。また、決算審査は、久喜市議会のように12月議会までの継続審査ではなく、9月議会中に各委員会で実施します。このようないくつかの違いを踏まえてお聞きください。 2.飯田市では平成19年に自治基本条例を施行、この飯田市自治基本条例は議会が策定したものですが、その22条2項に「市議会は、市の執行機関の活動を監視、評価することにより、適正な行政運営の確保に努めます」と明記しました。 また、飯田市基本構想を議会の議決事項とし、議会は予算審査や決算審査を通して基本計画の進行管理を行うと位置付けています。 議会における進行管理とは、基本計画の推進における《Plan、Do、See》の流れの中で、執行の内部評価に対して、外部評価としての市民評価とともに、議会としても独自の評価を行い、チェックし、意見・提案をだすという関係にあります。 この実践として、19年度決算審査を20年度の議会において実施しました。 3.飯田市議会における施策及び事務事業評価、および決算審査の進め方について、報告します。 まず、「ステップ1」は7月に開始します。 まず行政内部では6月末に行政評価が実施されるわけですが、その評価結果を、7月上旬に議会に説明します。 各常任委員会で1日ないし2日間をかけて、「施策及び事務事業の成果説明会」を開催し、基本計画に基づいて施策と事務事業の20年度の実績とそれに対する執行機関側の評価結果等を説明します。これらの評価はすべて基本計画の政策をいかに進め、以下に成果をあげたかという観点から行われ、議員は所管する施策と事務事業の成果について質疑します。 この説明会は、6月議会において「閉会中の継続審査・所管事務調査」として各委員会に付託されており、いわば実質的には7月から決算審査の勉強会が始まっているということになります。 「ステップ2」は、個々の議員による評価です。 その説明会を踏まえて、委員長会において各委員会15項目、4委員会全体ではの重点施策・重点事業を抽出して個々の議員がチェックします。 「ステップ3」は、各委員の評価結果を基にして、8月に4委員会を2日間ずつ開催して、行政評価の勉強会を行います。 委員会で、委員同士の意見交換を行い、課題や問題点の共有化をはかるとともに、この段階で、後でまとめる提言内容をある程度集約していきます。また9月議会での決算審査で、執行機関に対して質疑、あるいは確認すべき内容を評価項目ごとに整理し、決算審査に結びつけていきます。 4.「ステップ4」は、9月議会における決算審査です。 まず初日に閉会中の所管事務調査として行った政策・事務事業評価の審査経過について、本会議で報告します。 したがって9月議会の委員会における決算審査は、ステップ3で明らかになった課題や問題点について質疑し答弁を求めて評価の論点を深めることと、各委員会15項目の重点施策・重点事業以外の事務事業に対する評価、および総括的な審査を行い、「政策および事務事業に対する提言書」のとりまとめ作業となります。 9月議会最終日、所管事務調査結果として、「決算認定に関わる施策及び事務事業に対する提言書」を、決算認定に係わる付帯決議として本会議において議決し、後日、市長に提出します。 5.施策予備事務事業評価を生かした決算審査を基本計画の進行管理と結びつけるため、平成22年度2月議会の冒頭(3月1日)において、「提言書」を22年度予算編成にどのように反映したかを説明する機会をもつことになっています。これは、この「提言書」が出しっぱなし、市長は受け取りっぱなしでなく、これを次年度の予算編成に生かしていくことによって、《P・D・S》のサイクルが完成することになります。 6.各委員会において施策及び事務事業評価を行うにあたって、議会としての評価基準を決めておきます。施策の評価基準は、協働のまちづくりという視点、責任の主体はどこにあるのか、事務事業の拡大か・維持か・縮小か・廃止かという今後の方向性、その施策が目標達成にどれだけ資するのか、個々の事務事業が当該年度の目標に対して実績がどうだったのかなどです。 7.飯田市議会では、従来の決算審査がどちらかといえば、決算書や成果説明書の数字の内訳や事業内容の説明に陥りがちであったのに対して、決算審査を施策及び事務事業評価と結びつけることによって、施策及び事務事業が事業の目標に対してどれくらいの成果をあげたか、それによって基本計画の推進にいかに役立ったかという意味での議論を行っています。 またそれは、執行部内部での事務事業評価を、議会の視点からさらに深めていわば再評価する取り組みであり、執行部からすれば市民の視点による外部評価の一つの機会でもあります。議員同士が視点や問題意識を共有して議論を通じて評価を進めると同時に、決算審査を通じて執行部との間であらたな政策論議を行うことにもなっています。二元代表制の下での議会のチェック機能というにとどまらず、執行部と議会がいっしょに評価を進めることにもなっています。 決算審査の新たな進め方として、大いに参考になるものであります。 8.捕捉しておきます。 (1)飯田市議会においては、以上のように議会の委員会が施策及び事務事業評価を積極的に進め、所管事務調査としても取り組んでいるわけです。したがって、6月議会~9月議会までの間で、各委員会でそれぞれのべ4~5日間くらいは事務事業評価の説明会、勉強会、決算審査、そのまとめの作業を行っていることになります。 (2)そのため、飯田市議会の定例会は非常に長くて、久喜市議会よりも長い議会を始めて知りました。21年度の9月議会は8月31日から10月6日までの37日間、11月議会は11月25日から12月22日までの28日間でした。 (3)飯田市議会の基本的考え方として、施策及び事務事業評価はできるだけ早く市民に対して明らかにするべきである、それは行政の責任である。それと同時に、議会側も議会としての視点からの評価を早く出して、次年度の予算編成に反映できるようにすべきである。 決算は決算、予算は予算、切り離して進めるのでは《P・D・S》サイクルにならない、何のために決算審査や評価を行うのかというきわめて重要な問題提起もありました。 【議会活動報告会】 飯田市議会は議会改革・活性化の取り組みでは、全国的な先進議会の一つです。その一つが議会報告会です。 1.飯田市議会の議会報告会の取り組みは、自治基本条例23条「議会活動について市民に説明することにより、市民との情報の共有に努めます。」、第2項「市議会は、市民の意見を聞くため議会活動への市民参加を推進し、市民に開かれた議会運営に努めます。」に基づいています。 2.20年度は、7月から11月にかけて、市内20地区で開かれた行政による市政懇談会に引き続く形で開催し、参加早く480人、議会の報告は概ね30分間の報告で、その後に参加した市民から議会に対する質問や意見を聞くという形で行っています。 3.21年度は11月に、市内6ブロックで開催しました。主催は議会とし、各地区まちづくり委員会が共催の形で開きました。参加者は6会場で457人です。 各会場とも、全体会(15分)と分科会(65分)の2部構成とし、最後に締めくくりの全体会を含めて1時間半です。 全体会は議長のあいさつを兼ねて、議会の責務と議会改革の取り組み経過、リニア中央新幹線の実現などについて、副議長から議会の行政評価の取り組みについての報告、分科会では各常任委員会に分かれて、定例会の議会経過と議案審査状況、委員会における行政評価を説明・報告し、市民から質疑、意見を受けます。 議会からの報告・説明は客観的に行うのが当然ですが、市民の質疑や意見については、議員個人の見解を含めて話してもよいことにしています。質問に対する回答は、議会全体に対するものは後で議会運営委員会で協議して返す、市への意見などは市へ伝達して市から回答することとしています。 各ブロックの報告会には、正副議長と委員会の正副委員長は全部出席、議会運営委員会は正副委員長の内どちらかが出席、地元議員は出席、議員は2回は義務参加で、それ以外にも出てよいこととし、全部で各会場に12~13名の議員が出席しました。 会場設営と片付け、記録はすべて議員が行いました。また市の関係団体に対して、各委員会が分担して参加の呼びかけを行いました。 |
学校給食用の特別栽培野菜の生産者の畑を訪問しました この日に訪問したのは、所久喜の杉田さんの畑で、ずっと学校給食用に減農薬、無化学肥料の野菜を生産してきていて、埼玉県の有機特別栽培野菜の認証も取っています。 今は路地でニンジン、ハウスでコマツナ、ホウレンソウ、みぶなを作っているのを見せてもらいました。 ハウスといっても燃料をたいて熱を加えたりする温室ではなくて、雨や虫、鳥を除けるためで、土づくりは、稲わらを堆肥化して入れ、春先には稲を植えて水を入れ、穂がつく前に刈り取ることで、虫を殺し、病気にも強い、健康な土ができるといいます。無農薬でも虫はほとんど付きません。 実際にまもなく出荷するというコマツナの葉を見ても、ほとんど虫喰いはないきれいなもので、たまに虫食いの葉があっても収穫の時に手でちぎればいいというくらいでした。 畑から抜いたばかりのニンジンを洗って土を落としただけで生でかじってとても甘く、ホウレンソウやコマツナも農薬がかかっていませんから、ちぎってそのまま食べてもしゃっきりしておいしく感じました。 市内で学校給食用に生産されている有機認証野菜は、この他に、ダイコン、ジャガイモ、タマネギ、チンゲンサイ、カボチャ、ブロッコリー、長ネギ、サツマイモ、ハクサイ、果物では梨や巨峰なども作っています。 みなさん、堆肥を使った土づくりから始めて、安心安全な野菜作りにいっしょうけんめい取り組んでいます。 学校給食の食材として提供するには、小さいものはダメ、曲がったものや虫食いがあったらダメなど規格が厳しいけれど、地産地消、食の安心安全、子どもたちの給食の食材を提供することに誇りを持って続けています。 今は学校給食用に認証野菜を生産しているのは市内で14名の生産者ですが、JAの野菜直売所に出している生産者は80名ほどもいるので、規格の問題などを工夫していけばもっと多くの生産者がもっと多くの野菜を出すことができるのではないかとお話ししていらっしゃいました。 杉田さんたちは市立保育園の給食用や、JAの直売所にも出していますが、有機無農薬の認証野菜は消費者にも喜ばれてすぐに売れてしまうそうです。 また次のようなお話しも印象に残りました。 「もっと広く市民の皆さんに知ってもらえれば販路が広がるはずだし、さらに生産者も拡大すると思う」 「今は必ずしも特別栽培でなくても、農薬のトレーサビリティもしっかりしていて安全な野菜はあるのだから、そういう地元産の野菜も給食にもっと使ってほしい」。
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さいたま市見沼区役所の「ワンストップサービス」を視察 今回いっしょに行ったのは、「埼玉東部地区地方政治改革ネット」のメンバー20名で、久喜市議会からは猪股、矢野、川辺の3名が参加しました。 「ワンストップサービス」というのは、市役所などで一度の手続きで、必要とする手続きをすべて行えるようにしたサービスのことです。 |
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たとえば市外から転入してきた市民が市役所に手続きに行くと、住所変更、住民票の受け付け、印鑑登録、国民健康保険、児童手当、子ども医療費の手続きなどなど、さまざまな手続きをいっぺんに行わなくてはなりません。 市民課から始まって、次は児童課、次は保険年金課などと回っていって、そのつど「転入してきた」ことを説明して、申請書類に住所・氏名・必要事項を記入して…、場合によっては全部の手続きを終えるのに1時間以上もかかったりします。 見沼区役所では平成19年から、「区民課」の窓口に行けば、1か所ですべてすんでしまう、「ワンストップ・サービス」を実施しています。 区民課の窓口の前に2~3人いる「フロアマネジャー」さんと相談しながら、今日は何と何と何の手続きをするか、どんな証明が必要かという「オーダーシート」に記入して窓口に持っていくと、そこで話を聞きながら、「申請書印刷システム」を使っていくつもの申請書類をいっぺんに作成してくれます。 住所や生年月日などの必要事項はほとんど自動的に入力されてくるので、申請に来た人は自分の名前を自筆で記入すればよくて、あとは待っていればすべての必要な手続きが進められていきます。 住民票や納税証明書などの証明も同時に取ってくれるので、あとは「受取窓口」で手数料を支払って証明を受け取け取るだけですみます。 申請書類は窓口職員がパソコンで作成してくれますから、何枚も何枚も別々の申請書類に、住所や氏名を何回も何回も書く手間もいらないし、小さな子どもを連れて何か所も回る必要もありません。 いわば、市民が各課を回るのでなくて、書類と職員が回ってくれる仕組みで、しかも申請された手続きは関係する課が同時並行で進めてくれるますから、たとえば以前だったら1時間以上かかったたくさんの手続きが1か所で、30分で済んでしまうわけです。 手続きがすべて終了すると、まどぐちで、「今日は何と何の手続きをしました」というチェック表を交付してくれて、もしも書類が足りなかったりして必要な手続きが残ってしまった場合には「この次はどんな書類を持って、どこの窓口へ行ってください」ということを記入した紙もくれます。 すべての必要な手続きを「パッケージ」でやってくれるので、見沼区役所ではこの窓口を「パッケージ工房」と名付けていて、平成20年度からはさいたま市のすべての区役所で「このワンストップサービス」を実施しています。 見沼区役所の職員のお話によると、見沼区の「ワンストップサービス」は、新たな財政負担をかけないで実現されたそうです。 「申請書印刷システム」にしても、職員が自分たちでエクセルのシステムを使って作成したものであり、職員が研究し工夫を重ねて生み出したというところに、ある意味では最も注目すべきかもしれません。 さてひるがえって、久喜市役所でもいちおう、「ワンストップサービス」と称して、市民課や保険年金課、税務関係、児童福祉課を市役所1階ホールにまとめていて、市民課と税務関係など一部の手続きや証明などは同時に進めてくれるようになっています。 以前よりは改善されていますが、それでも基本的には市民が各課を回って、手続きごとに別々の書類に記入しなければならないのは残念ながら変わりません。 久喜市役所でも、さいたま市の「パッケージ工房」のような、文字通りの「ワンストップサービス」を実現してほしいと思いました。 |
福島町議会(北海道)の視察報告 全国の議会活性化の最先端を行く「福島町議会基本条例」 2009/8/15 7月22日、北海道の福島町議会の議会改革と活性化の取り組みについて視察に行きました。 【写真】右から、春山、石川、園部、猪股 |
1.福島町議会における議会活性化の取り組みは、10年くらい前の久喜市議会とほぼ同時期、平成11年より始まっています。
それは、議会が二元代表制の一方の機関である以上、議会は執行部や市長の諮問機関ではなく、その追認機関でもない、議会の主体は議員であり、議員は住民からの選挙で選ばれた代表として自立した活動をしていこうという自覚であったといいます。
また地方分権の推進の中で、討議する議会、政策を提案できる議会へ議会機能を高めていくことが必要であり、町議会と町行政の実情を住民に知ってもらい情報を共有することは自治の基礎になるという認識に基づくものでもありました。
この10年間で取り組まれた議会活性化の主な項目だけをあげてみます。
(1)平成11~14年度 | ・傍聴者への閲覧資料の配付を本会議及び委員会で実施 ・一問一答制の実施とともに質問時間を30分から45分に延長 ・会議録検索システム ・本会議のテレビ放映 ・議会だより速報版の発行 ・議員協議会(全協)の公開 ・一般質問答弁書の配布、 |
(2)15年~18年度 | ・長期欠席者への報酬と手当の減額措置の実施 ・委員会資料等をホームページで事前公開 ・委員会の原則公開 ・傍聴規則の改正 ・議員の付属機関の委員兼務の辞退 ・議会評価および議員の自己評価の実施と公開(いずれも任意) ・毎回の定例議会後に議会運営に関する検討会を開催 ・町民懇談会の開催 |
(3)平成19年度~ | ・委員間討議の実施 ・正副議長選挙の所信表明の実施 ・討論交互の原則を廃止 ・一般質問の回数・時間制限の廃止 ・委員会における委員外議員の発言制限の廃止 |
(4)21年度から本格実施 昨年1年間は試行 |
・通年議会制 ・文書質問制 ・反問制度 ・委員会において傍聴者の討議への参加 |
2.「議会基本条例」を、10年間の議会改革の集大成として、20年12月議会で可決して、21年4月から施行しました。
ただし、議員全員(14年まで定数16名、15年からは14名に削減)が必ずしも完全に一致して進めてきたわけではなくて、2年前の改選後の初議会における議長選挙の所信表明でも議会改革に対する賛否は分かれていて、議会基本条例も一定の反対はあったといいます。また議会評価や議員評価についても賛否は分かれています。
議会基本条例の策定にあたっては、前文に「議会の主役は議員」、「住民が参画(協働)する議会」、「変化を怖れない議会」を明記して、これまでに開かれた議会づくり、都議会改革を後退させない決意が述べられています。また独任制の町長(行政)と合議制の議会とが緊張関係を維持しながら、「福島町の善政について競い合い、協力し合う」という規定も、福島町の議会基本条例を特徴付けています。
3.福島町議会の開催は従来の年4回から「通年議会」とし、会期は会計年度、つまり4月1日から3月31日までとなりました。
首長による議案の提案、議案に対する質疑と討論・採決、一般質問は、これまでの定例会の日程とほぼ同じで6月、9月、12月、3月の年4回のサイクルで行いますが、1回の定例の会議が終わったら閉会ではなくて「休会」となります。
ということは急いで審議しなければならない議案が生じたときや、議会として協議の必要が生じたときは、いつでも議長が本会議の再開を決めて招集できるということであり、議会の機動的に対応が可能となります。
久喜市議会も含めてほとんどの議会は年4回の定例会制度で実施していますが、その場合、招集権は市長にあって、議会が主体的に会議を開くことができない仕組みになっています。法律上、委員会も自由には開けないことになっています。
また、定例会と定例会の間に急ぎの議案が出てきた場合、市長は臨時議会を招集することができますが、実際には「議会を開く時間的余裕がない」ことを理由にして、議会に諮らずに市長の「専決処分」で決めてしまい、議会には後で報告して追認を求めるだけという例がたいへん多いのが実態です。
通年議会になれば、市長が専決処分で決めて、議会には後で報告して追認を求めるということはなくなります。またたとえば新型インフルエンザが発生したとかの際に、通年議会になっていれば、委員長の判断ですぐに委員会を開いて調査活動を開始することができることになります。
「通年議会」は議会にとっても市民にとっても、行政にとってもたいへんメリットの大きい制度といえそうです。
4.福島町議会には2つの常任委員会が設置され、委員数はそれぞれ6人ですが、議員は自分の所属する委員会以外にも自由に出席でき、発言することができます。さらに傍聴者が発言することもできます。
久喜市議会でも「委員外議員」の発言を認めていますが、他の市議会では認めていない議会も多いそうです。ましてや傍聴者の発言を認めているところはないと思います。
福島町議会では「委員だけ」とか、「議員だけ」で形式的に議会審議を終えるよりは、もしも関心のある傍聴者がいるのなら、傍聴者の意見も聞いて審議をより深めていこう、その方が議会にとっても有益だという判断に立っているということでしょう。
5.「文書質問制」を取っていて、議員はいつでも文書による質問をすることができ、行政はそれに答弁書を出さなければなりません。
これも、質問は本会議で演壇でやるものという常識にとらわれないで、議員が行政についていつでも質問し、問題を指摘したり提案したりすることができる権利を保障して、議会と行政の質を高めようということが目的です。
6.一般質問は時間制限も回数制限もありませんが、それによってだらだら延々と質問が続いて収拾がつかなくなるということはないそうです。
議員は文書質問制で事前に課題を煮詰めてきていて、しかも1回目の答弁書がもらえるので、質問内容を整理しておくので、質問時間はかえって短くてすんでいるということでした。
久喜市議会では一般質問の時間制限が、最初は試行で60分だったのが50分となり、現在は40分となっていて、次第に短くされる傾向にありますが、議員の発言を制限していくのが本当にいいことなのかどうか、考えてみるべきでしょう。
7.議会は合議制機関ですから、単に賛成、反対の意見をぶつけ合ってすぐに多数決で決めてしまうよりも、話し合いで結論を出すべきといわれています。
福島町議会でも議員間討議を重視して、委員会で議案質疑が終わった段階で、議員同士が討議する時間を設けていますが、実をあげていくのは今後の課題だそうです。
京丹後市の視察報告(3)
「京丹後市議会基本条例」で、議会報告会、議員間討論を実践
2009/8/13
8月3日、京丹後市の視察、3つ目の課題は「議会基本条例」です。
1.京丹後市議会は平成18年9月に「議会改革特別委員会」を設置し、次の7項目について検討しました。
(1)議員の役割と任務について
(2)議会基本条例の検討
(3)議員定数の検討
(4)議員報酬の検討
(5)政務調査費の検討
(6)議会の活性化の検討
(7)市民へのわかりやすさと市民参加の検討
2.これらの検討課題については、19年12月議会に最終報告を行い、「議会基本条例」を提案、可決しました。
議会基本条例に盛り込まれた議会改革の諸課題は、
・市の基本計画など、議会議決事項の追加
・本会議のインターネット中継
・傍聴規則の見直し
・一般質問の一問一答制
・反問権の採用
など、久喜市議会基本条例や、久喜市議会における活性化の取り組みとも重なるところが多いのですが、久喜市議会で取り組めていないものがいくつかあります。
3.その一つが、議会への市民参加、市民との連携です。
【京丹後市議会基本条例】 第2章 市民と議会の関係 第5条(市民参加及び市民との連携) 議会は、市民に対し議会の活動に関する情報を積極的に公表し透明性を高めるとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。 2 議会は、本会議のほか、すべての会議を原則公開するとともに、会期中又は閉会中を問わず、市民が議会の活動に参加できるような懇談会、議会報告会等を開催するよう努めるものとする。 3 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)における参考人制度及び公聴会制度を活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。 4 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けなければならない。 5 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議会及び議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。 |
第5条に基づいて、年4回の定例議会終了後に必ず「議会報告会」を開催しています。
1日に3会場ずつ、2日間にわたり市内6か所で開催していて、24人の議員が3班に分かれてそれぞれ2会場を担当します。
開催地区の地元の議員は他の地区にまわり、3つの常任委員会の委員長がそれぞれの班の司会を務め、報告内容は議員の宣伝にならないように客観的に議会であったことを報告するように統一しています。
開催時間は夜間の2時間で、30分間が報告、残りの1時間半で質問に答えたり、意見交換を行い、会場で出された質問や意見でその場で答えられなかった課題に対しては、必ず後日に回答をしているそうです。
第5条第4項に基づいて、「請願・陳情」については、基本的に請願者・陳情者の代表に議会で直接に意見を述べてもらっているということです。
久喜市議会ではこれまで過去に、陳情者に委員会で意見を述べてもらったことは1回だけありましたが、その他には請願者や陳情者の意見を述べてもらう機会を設けていません。
他の市議会でもこうした取り組みは広がってきており、久喜市議会でも積極的に検討すべきです。
4.第7条で、市長が提案する政策について、内容や財政、将来的な財源についてなど、十分な説明資料の提出を求め、それに基づいて議会審議を深めています。
【京丹後市議会基本条例】 第7条(市長による政策等の形成過程の説明) 議会は、市長が提案する計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)について、政策等の水準を高めるため及び市民への公開のため、市長に対して、次の各号に掲げる事項の説明に努めるよう求める。 (1)政策等を必要とする背景 (2)提案に至るまでの経緯 (3)市民参加の実施の有無及びその内容 (4)京丹後市総合計画との整合性 (5)財源措置 (6)将来にわたる効果及び費用 2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。 |
これも久喜市議会では特に行っていないで、議員それぞれの調査活動や議会での質疑にまかされていますが、議会審議を深めるために必要ということで、他の市議会でも広がっています。
5.議会における議員同士の討論も重要な取り組みです。
【京丹後市議会基本条例】 第4章 討論の拡大 第10条(討論による合意形成) 議会は、議員による討論の場であることを認識し、議長は、議員相互間の討議を中心とした運営に努めるものとする。 2 議会は、本会議及び委員会において議員提出、委員会提出及び市長提出の議案並びに市民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互間において十分な討論、議論を尽くして合意形成に努めるとともに、その結果について市民に対して説明責任を十分に果たさなければならない。 3 議員は、前2項による議員相互間の討議を拡大するため、政策、条例、意見書等の議案を積極的に提出するよう努めるものとする。 |
京丹後市議会では委員会で議案の質疑が終わった段階で、執行部に退席してもらい、議員同士が意見交換し討論して、議案の修正や付帯決議の提案について協議したり、さらに審議が必要と判断されれば継続審査にするなど、議案の扱いについて議会の主体性を発揮しています。
多くの議会でも、市長が提案した議案では、問題があるものでも賛成か反対の二者択一で、結局は「賛成多数でそのまま通す」のがほとんどで、議員同士が討論することはできていないのが実情です。
最近、いくつかの自治体議会で「議員同士の討論」が広がってきています。
久喜市議会基本条例にも、「第12条(議員間の議論による合意形成)
議会は、議会が合議制機関であることを踏まえ、議員相互間の議論を中心に運営し、この機会を保障するものとする。」という規定を盛り込みましたが、この規定を実際に活かしていくのは今後の課題です。
京丹後市の視察報告(2)
予算編成過程の公開により、「市民総監視・総参加」の予算編成
2009/8/12
8月3日、京丹後市の視察、2つ目の課題は「予算編成過程の公開について」です。
1.「予算編成過程の公開」は、予算編成をすべてガラス張りの中で市民の見える形で進めていく取り組みで、鳥取県、国立市、取手市などでも実行されています。
京丹後市では平成16年度中から、その取り組みが始まっており、17年度当初予算の編成にあたって、予算編成方針、各部局からの要求事業内容、その査定状況、これは財政課による査定、総務部長査定、市長査定の各段階で、事業の採択の可否、予算額等のすべてを公開しています。
2.当初予算編成においては、各部局が予算要求する前に市内各地区(231の行政区)から要望事項を出してもらい、それに基づいて地域住民と合併前の旧町ごとの「市民局」、各部局が意見交換して調整した事業について予算要求しているので、特にそうした要求事項について財政部、総務部長段階で査定しています。
地域から出される要求事項はおもに道路の維持補修や新設改良事業の他、地域が抱えている生活に直結した課題が多くなっています。
予算の査定各段階での結果を公表し各地区に通知することによって、地区からは必要があれば再要望がなされ、それを受けての一部見直しなども行われ、「市民総監視・総参加」の中で予算編成を進めているということができます。
3.予算編成過程の透明化をはかるとともに、市民要望に対する査定結果の開示や意見交換を通じて、市民の声が予算編成に反映されやすくなることにより市民の関心を高め、「市民との協働による市政構築のための情報提供ができた」としています。
4.予算編成の経過は次の通りです。
(1)7月下旬 地区要望事業の受け付け
(2)10月下旬 「予算編成方針について」を公表
(3)11月上旬 事業担当部局による要望事業の内容精査
(4)11月下旬 予算要求
(5)1月上旬 財政課ヒアリング・財政部長査定
(6)1月下旬 市長1次査定
(7)2月上旬 各地区へ回答書を送付、意見聴取及び復活要望の集計
(8)2月上旬 市長2次査定
補正予算については地区要望はありませんが、予算要求、査定経過については同様に公開しています。
この経過の中で、(4)予算要求、(5)部長査定、(6)市長1次査定、(8)市長2次査定の結果を即時ホームページに公開し、(7)各地区への回答書で、各地区の要望に対する採択の可否を説明を付けて公表しています。
特に、(6)~(8)の期間は1週間くらいですが、その間に各地区へ回答書を送付して意見を出してもらい、なおかつ財政課でホームページへの公開作業も行っています。
5.実際に公開されているのを見てみると、各査定段階ごとに事業の採択の可否、予算額、採択内容もきちんと記載されており、また地区からの要望事項に対しては、事業の採択の可否だけでなく、不採択になった場合はその理由、事業が必要であれば後年度に行うかどうかなども記載されているので、市民にとっても理解しやすいものになっています。
6.平成17年度の予算編成過程から公開することになったわけですが、これは一に市長の決断によるものです。財政担当部署にとっては作業量からも日程的にもたいへんきついものでしたが、「市民総監視・総参加」「市民との協働」による予算編成をめざして、いわば市長のトップダウンで決定したとのことでした。それでも最初は「できる範囲で」ということだったそうです。
7.他市で同様の予算編成過程の公開について視察したときに、議会側から、議会に提案もされていないものを決定前に市民に知らせるのはおかしいという意見が出たときいたことがありましたが、その場に同席していた京丹後市議会の議長さんに聞いてみたところ、議員の中からそんな意見はなくて、むしろ公開されている情報を議員もよく調べていて、予算審議にあたって活用しているという答が返ってきました。
また、「予算編成過程で途中の段階で公開することによって、外部からの圧力がかかったりすることはないか」と率直に聞いてみたのですが、市民にも地区に対しても完全に公開しているのだから、そんな圧力などはありえないということでした。
これは、市民を信頼するかどうか、あるいは万が一「圧力」がかかったとしても毅然と対応する政治姿勢をもちうるかどうかの問題であるようです。
8.京丹後市では市議会で予算が可決されると、4月に「わかりやすい今年の予算」という50ページあまりのパンフレットを全戸配布しています。
これはその年度に実施する主な事業の具体的内容を、わかりやすく図表や写真も使って説明したものです。
一般の予算書は数字だけが並んでいて、説明を聞かないと事業内容も年度内の事業予定もわかりませんが、この冊子により予算が身近なものになり、市民生活に関わる行政サービスがどのように予算にのっているのかよくわかると評価されています。
9.京丹後市では今後の課題として、
(1)さらにわかりやすい公表方法の研究を進めていく
(2)不採択事業や復活基準について検討し、市民へのよりていねいな説明が必要
などとしています。
また今後取り組む自治体に対しては、行政からの一方的な開示にならぬよう、市民への有益な情報となるようわかりやすい内容で開示していくことが必要ではないかとのアドバイスもいただきました。
10.さて、久喜市では…。
京丹後市の視察報告(1)
合併・「分庁舎方式」で、周辺地域の旧町役場はどうなったか
2009/8/10
8月3日に総務文教委員会で、京都府の京丹後市を視察してきました。
「京丹後市」は平成16年に6町が合併してできた、日本海に面する市で、天橋立のある宮津町は隣町です。
人口62,000人ですが、面積は500平方キロメートルで現在の久喜市の20倍もあります。
京丹後市の視察項目は3つで、第1は「合併の経緯と分庁舎システムについて」です。
京丹後市の「分庁舎」方式は、合併後の新市役所と旧3町の町役場に本庁機能を分散配置するとともに、旧6町の町役場に「市民局」を設置して、住民生活に必要な諸手続や相談窓口の機能をすべて残すというものです。
6か所の分庁舎の市民局にはそれぞれ、地域総務課(地域振興係、税務収納係、市民生活係)、地域福祉課(福祉係、保健係)、地域事業課(農林業務係、商工観光係、建設業務係、上下水道係)が置かれて、職員は旧町役場の時の半数を残しました。
市民局長には部長級の職員を配置して、これは地元町出身の職員として、地域の事業の意志決定権限をある程度は地域に残して、合併後の当初は旧町の住民の利便などを配慮しなければならないという事情によるものでした。
住民にとっては、地域の要求、たとえば道路補修などについてであれば地元の市民局の「地域事業課」に行けば聞いてもらえたし、そこである程度は判断してもらえる権限があったわけですが、しかし一方で、役所の論理としてはいわば事業の判断・決定の権限が本庁と市民局長の二重になってしまうことになります。
これは逆に判断・決定の過程や権限があいまいになって、二重行政とか「風通しが悪い」という批判もあったようです。
その後、合併後3回の機構改革を経て、今年度からは市民局長は課長級職員とし、各種申請手続きの窓口を一本化した総合窓口を設置して窓口機能だけを残し、建設業務などの事業担当はすべて廃止して本庁に一元化しました。
各「市民局」の職員数は、合併した平成16年は6つの市民局の合計で216人でしたが、21年度は64人と3分の1以下に減らしてきたそうです。
さて、久喜市の合併では、現在の久喜市役所を本庁舎としてすべての役所の機能を集中し、現在の菖蒲町、栗橋町、鷲宮町の現在の町役場をそれぞれ「総合支所」として残して、それぞれに総務市民課・税務課・環境経済課・福祉課・建設課の5課を置いて旧町の住民の諸手続が今まで通りに近くの窓口でできるようにする方針でまとまっています。
新・久喜市の「総合支所」のイメージは、京丹後市の旧町役場に置かれた「市民局」に近いと思われますが、地域の住民の要求などを聞いてある程度はそれに応えられる権限や事業予算を付けるのかどうか、それとも単に申請手続きを受け付けるだけの機能なのか、どちらでしょう。
事業執行の権限や仕事を残すとすると、権限と意志決定の過程があいまいになる恐れが出てきますから、決定権限を相当に厳密に定めないと、京丹後市と同じように「二重行政」「風通しが悪い」という批判が出てくることは免れないでしょう。
また、合併後の新・久喜市において、旧3町の総合支所には手続き受け付けに必要な最低限の職員だけを残して、あとはすべて現在の久喜市役所に集中させるのだとすると、旧町役場やその職員を対象にしていた周辺の商店は、商売が成り立たなくなってしまうおそれがありますが、どのように配慮するのでしょうか。
京丹後市では旧町役場周辺への影響も考慮して、最初は分庁舎方式とし、全部に「市民局」を置いて職員を半数は残したのですが、それでも影響はあったといいますし、ましてや4年間で市民局の職員を大幅に減員してきたわけですから、今後の地域経済への影響がどうなるのかも心配せざるをえません。
合併は効率だけで進められるものではなくて、町役場がなくなったり、なくならないまでもその機能と職員が大幅に減らされることになる周辺地域では、人の流れや経済も大きく変わってくるわけで、新・久喜市の場合にはどうなるのか、どのように配慮していかなければならないのか、合併後に向けての大きな課題であるといえるでしょう。
泉大津市立上條小学校の校庭芝生化を、視察してきました
2009/8/9
総務文教委員会で8月3日と4日に研修視察を実施しました。
以前は各常任委員会とも2泊3日で3箇所くらいを回ってくることが多かったのですが、昨年、建設文教委員会は1泊2日で3か所ずつの視察を2回実施し、かえって柔軟に機動的に研修の実を深めることができました。
そして今年、常任委員会の構成と所属が変更になって、私の所属する総務文教委員会は今回も1泊で視察研修を実施しました。
今年は8月3日に京都府の京丹後市、4日に大阪府の泉大津市に行きました。
まず泉大津市の学校校庭芝生化事業を報告します。
泉大津市は面積は久喜市の半分の約13平方㎞に、久喜市とほぼ同じ7万8000人が住んでいて、ほとんど農地が残っていない、全域が市街化区域です。
市内に小学校は8校、中学校が3校あって、校庭の芝生化事業を取り組んだのは市立上條小学校で、現在は児童数600人くらいですが、数年前までは1000人を超えていたそうです。
大阪府では平成21年度、「地域の芝生化シンボル校助成事業」で府内2つの小学校の校庭芝生化に予算を付け、泉大津市の上條小学校はその一つとして取り組まれました。
まず平成21年度「大阪府みどりづくり推進事業」で4月に校庭の一部、約1000平方メートルを芝生化し、さらに7月に、「地域の芝生化シンボル校助成事業」により残りの約3000平方メートルを芝生化、これにより運動場のほぼ全面を芝生化することができました。
芝生は根付きがよいといわれる西洋芝のティフトン芝(松伏町の金杉小学校と同じ)ですが、こちらはポット苗方式ではなく、校庭の表層面の土を全部入れ替えて張り芝方式で行い、写真で見てわかるとおり、校庭一面が目にも鮮やかな緑一色で壮観でした。
4月に植えた部分はすでに芝が根付いているようですが、7月の部分はまだ植えてから1週間しかたっていないので、児童は今のところ立ち入り禁止…。
校長先生は、秋の運動会までには根付いて、運動会は芝生の上でやりたいと話されていました。
校庭を歩きながら校長や教頭先生のお話を聞きましたが、問題は今後のメンテナンスということでした。
芝張りと同時に土壌改良も行いましたが、その時に校庭の排水対策として地面の下に排水のための管を入れ、校庭全体に傾斜も付けて端にU字溝も設置、さらに散水のために40ミリの水道管を入れて半自動の散水機も購入しました。
それでも毎日毎日の散水に3~4時間もかかっているそうで、これは養生期間が終わって芝が根付けばそれほど頻繁にやらなくてもいいのではないかということでしたが、その後の芝刈り作業も含めて、現場の校長先生たちにすれば、そうしたメンテナンスがいちばんの悩みであり、今後への不安の種でもあるようです。
メンテナンスの費用や手間については、地域の企業からの支援や、学校、地域、子供会との協力体制を作っていきたいとも言われていましたが、確かに、校庭芝生化後の管理をすべて行政や学校だけでやっていくのは困難だという事情は理解できます。
上條小学校の校庭芝生化は大阪府のモデル事業であり、今後のメンテナンスも含めて全面的に府の予算で実行したもので、今のところ、他の小学校に拡大していく計画はないとのことでした。
しかしこの事業を大きく広げていくためには、将来的には“地域の学校”“地域で作る学校環境”、さらには地球温暖化防止のための学校校庭の緑化という位置付けで、地域全体の協力体制を構築していくことが課題になると思われます。
赤いコーンの向こう側が7月に植えた部分。手前は4月に植えた部分です。 | 4月に植えた芝はもう根付いています。 |
久喜市議会の議員全体研修を実施しました
2009/7/8
7月7日、市議会全体研修会で、埼玉県による都市緑化事業を視察してきました。
今回の視察地は、さいたま市の埼玉会館にモデル的に設置された屋上庭園、松伏町立金杉小学校の校庭芝生化の2か所です。
都市、特に市街地における緑化は、地球温暖化抑制のための緑被率の向上、ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の確保などのために有効とされており、久喜市議会でもこれまで多くの議員(私も)が、校庭芝生化や屋上緑化、壁面緑化などを提案してきていますが、久喜市では今までのところ、公園や街路樹などの一般的な緑化事業以外には取り組みがされていません。
埼玉県環境部みどり再生課では特に屋上緑化、壁面緑化、今年度は特に新規に学校校庭の芝生化、幼稚園や保育園の園庭芝生化を推進する方針を打ち出しています。
埼玉会館の屋上庭園
埼玉会館の屋上といっても、ここは7階建ての屋上ではなくて大ホールの屋上、2階くらいの高さのところで、屋上緑化のモデルとして県民に見せるために、県内の造園協会の協力で造成したものです。
470㎡くらいの広さを4つのブロックに分けて、ポリブロピレン製の薄いマットを敷いてその上に植栽したブロック、建設廃材を成形して芝生等を植栽したブロック、高木、低木、芝生中心などの庭園を造っていました。
外からもいつでも入れる場所にあって、緑化の宣伝のために、当初は18年度だけ1年間だけの予定でしたが、そのまま残してあるそうです。
屋上緑化の効果として、熊谷市で日本最高気温を記録した19年8月16日、さいたま市の最高気温37.5℃の日、緑化していない部分の天井内の最高気温は40.4℃まで上がりましたが、同じ日に緑化した部分では32.4℃にとどまって、明らかに温度低減効果が実証されたとしています。
松伏町立金杉小学校の校庭芝生化
午後は松伏町立金杉小学校の校庭芝生化を視察しました。
今年5月に埼玉県が主催で「みどりと川の再生フォーラム」が開かれ、その会場が松伏町内の県立公園「まつぶしみどりの丘公園」だったので、そのイベントの一環として町内の学校校庭芝生化を取り組んだそうです。
費用は県の10割補助の事業で、当初の県の計画では町内5つの小中学校すべての校庭を全面芝生化しようということでしたが、4校は授業や部活動、学校開放の影響や維持管理の懸念などから断ってきて、金杉小学校だけで、校庭12000㎡の内、600㎡だけを芝生化することで折り合いがついたということでした。
実際に芝生を植えたのは、校庭と校舎の間の一部だけで、プールの2倍弱の広さでしょうか、現地を見てみると、いかにも狭いなあという感じでした。
植えた芝は一般的な高麗芝ではなくて、西洋芝の「ティフトン芝」という、乾燥に強くて横に広がって比較的根付きの良い種類で、それを張り芝ではなくて、ポットに入ったものを2300株、地面を掘って植えていく工法です。
水曜日の朝、1、2年生の児童115名が1~2時間くらいで植えて、3週間くらいで根付いたそうですが、この日に見た限りでは芝よりもかなり雑草が伸びており、芝が勝つのか、雑草が勝つのか、両方とも生きていくのか、どうなっていくか、校長先生や松伏町の担当者も少々不安もあるようでした。
植え付けにかかった費用は約70万円ですから、1平方7000円ということになります。
子どもたちが植えたので人件費はかからず、県の事業ですので、今後3年間の管理費用はすべて県が持ってくれるということで、経過が良ければさらに植え付け面積を拡大していくことも検討するそうです。
屋上緑化や壁面緑化、あるいは校庭芝生化はもう社会的な流れですから、いずれは久喜市内でも取り組みが進むはずですが、今のところ、久喜市行政の市政はまだまだ消極的といわざるをえません。
市役所屋上の緑化、ふれあいセンターの壁面緑化、市立保育園や幼稚園の園庭、学校の校庭芝生化はすぐにでも進められると思うのですが…。
我孫子市の予算編成過程の公表、公募型補助金制度を視察してきました
2009/3/27
3月25日、大地の5人で我孫子市に行政視察に行ってきました。
我孫子市は一昨年まで、「改革派市長」として知られた福島氏が市長を務めていて、たくさんの先進的施策を実現してきました。
今回の視察の目的である、「予算編成過程の公表とパブリックコメント」「公募型補助金と市民査定制度」もそうです。
1.予算編成過程の公表とパブリックコメント (1)予算の編成過程の公表をパブリックコメントの実施は、2005年10月、市長の指示によって、2006年度予算編成時から実施している。この制度の目的は、 ①予算編成過程の公開、事業の目的や必要性、事業費などを明らかにする、 ②市民の意見を聞き、次年度予算編成に反映させる、 ③各事業の採択状況の透明性を高め、すべてを明らかにして市民に対する説明責任を果たすことである。 公表の対象事業は政策的経費1000事業の内の「新規事業」のみとし、継続事業と経常的経費については公表・パブリックコメントの対象としていない。 (2)2009(21)年度予算について、2008年10月1日に平成21年度予算編成方針について庁議決定、10月31日を各事業所管課からの事業要求期限として、その際に、対象となるすべての事業の事業評価表(部運営方針、政策・施策評価)を提出させて、その後、政策的経費のリアリングに入る。 予算査定は、第1回、第2回が企画課、第3回と第4回が市長査定であるが、各査定ごとに、ホームページに予算編成状況を掲載する。 第1回は、12月1日、各部から出されたすべての新規事業の一覧表、約160事業の概要や予算要求額、さらに事業の優先度を4段階に分類してその理由と合わせて掲載している。 第2回は12月下旬、事業の優先度をさらに精査し、予算要求額を絞り込んだものを掲載。 第3回は2009年1月中旬、予算内示段階で、事業採択案の一覧表を掲載。 第4回は1月下旬、予算案決定(示達)の段階で、事業採択の結果と採択した事務事業の一覧表を掲載する。 なお、今年度は実際には国の予算編成の遅れの影響もあり、第三回目の公表は1月27日、4回目は2月3日にホームページの更新を行った。さらに2月10日に国の2次補正の影響による修正した。 (3)パブリックコメントについては12月1日の広報で告知、12月10日からパブリックコメントを開始、1月30日で締め切り、2月3日に「回答」をホームページに掲載した。 1月27日から29日まで、予算編成(内示段階)に関する議員への説明会を開催している。 ただし各議員はそれぞれ、12月以降のホームページにおける公表を閲覧し、予算編成過程を逐一研究しているようだという。 (4)21年度予算編成過程においては、政策的経費の内の新規事業141事業の査定状況が公表された。 事業名、事業の概要、21年度の事業計画、事業費、各査定段階における「事業の優先度」、査定額が明記されている。 事業採択の優先度は4ランクに分けられている。 A…事業採択の考え方に基づき、平成21年度に実施する事業 AB…事業採択の考え方に基づき、緊急度等を性差の結果、他のAランクの事業に比べると21年度実施の必要性が低いと考えられる事業(事業実施年度は22年度以降) B…事業採択の考え方に基づき、事業の必要性はあるが、21年度実施の必要性が低いと考えられる事業(事業実施年度は22年度以降) C…事業の必要性は低い、もしくはないと考えられる事業 たとえば企画課査定で「A」ランクだったものが。市長査定で「B」ランクと評価されて査定額がゼロとなった場合、その評価の理由が明らかにされている。 あるいは「緊急性」が低く評価されて、「事業の必要性は高いが、22年度に実施」「22年度以降に実施」などと明記されているため、議会や市民にとっても理解しやすいものと考えられる。 各査定ごとのランク別事業数は次のようになっている。
(5)市民からのパブリックコメントは、21年度は1人、3件であった。 初年度の18年度は11人23項目であったが、19年度1人、20年度は4人と大きく減っている。 これは予算要求と査定状況の全体像が公表されていることから、個々の市民にとっては自分の要求がどう扱われているかわかり、かえって行政に対する信頼が増しているからと考えられる。 パブリックコメントに至らないまでも予算要求項目や事業内容に対する電話等での問い合わせは多くあるということであった。 |
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2.補助金の公募と市民審査 (1)従来から「補助金見直し」を進めてきたが、既存の団体については既得権的に補助が継続し、新しい市民活動に対しては予算の制約で新規の補助金が交付されにくい状況が続いていた。そこで、平成11年に、それまでの市単独の補助金をすべて白紙に戻し、12年度からは、既得権に左右されず同じスタートラインに立って補助金交付を公募し、応募申請した団体に対して公平に審査して公布できる制度に改革した。 (2)市の補助金2億円をいったんすべて白紙に戻し、補助金を希望する団体を公募、第三者機関である市民の委員会で審査し、その結果に基づいて補助金を交付することとした。 毎年、新規補助金の公募を行うが、いったん決まった補助金も、最長3年間で白紙に戻し、再度、応募してもらって審査して決定することとした。 (3)補助金の対象は、営利を目的としない、市民生活の向上及び市民の利益につながる公益的な活動とし、市内に在住在勤・在学する5人以上で構成し、活動拠点が市内にある団体とする。 公募型補助金の対象としては、①特に行政上の制度がないもの、②市民の自主的自発的活動を奨励するもの、③団体としての活動を認め、その運営費に対して財政的援助をするもの、④イベントの実施にあたって財政的援助をするものとしている。 補助対象経費は、人件費(事務局職員の雇用)、報償費(講師等謝金)、交通費、消耗品・原材料費、図書購入費、印刷製本費、通信費、行事等開催時の保険料、研修費、講師等の食料費、使用料、事務所賃貸料、光熱水費、備品費、その他必要があると認めたものとし、補助金の金額は補助対象経費の2分の1以内とする。 実績報告書とともにすべての領収書の提出を義務付けており、透明性を確保して支出の適否についても確認している。 (4)18年度は公募補助金の申請30件 採択となったもの 22件(継続17、新規5) 不採択となったもの 8件(継続 7、新規1)である。 (5)補助金等検討委員会は、委員5名で任期3年。委員の選任基準は、客観的に判断できる立場にいること(市内のどの補助団体にも所属していない)、男女の比率は半数程度。構成は我孫子市以外の行政経験者2人、行政書士1人、市内大学教員2人となっている。 (6)補助金の審査判定基準は、 ①時代度、 ②実現(目的達成)可能性、 ③創造性・独創性、 ④我孫子らしさ の4項目についてそれぞれ3点を配分し、各委員の採点を集計して、それをもとに全員の協議によって3~4段階にランク付けし、「採択」とすべきもの、「不採択」とすべきもの、ケースによっては付帯意見を付けて提言書を提出し、これをもとにして行政(市民活動支援課)が交付を決定する。 (7)提言書で評価の低かった団体が、再度、活動のPRや説明をする場として公開ヒアリングを実施していて、希望すれば参加することができる。 18年度は公開ヒアリング対象件数7件の内、ヒアリング実施4団体、2団体が補助金を復活交付されている。 (8)こうした経過によって、平成11年度は、51団体、団体補助金合計額3996万円であったが、平成19年度は31団体、805万円となっている。 これは単に団体数の削減、補助金交付額の減額を進めてきたものではなく、市民の視点から見て必要性のある補助金を継続してきた、あるいは団体の育成のために新規の補助も実施してきており、公募型補助制度の成果をあげてきているとていると考えている。 また、団体の財政的自立を果たしてきたものもある。 (9)公募型補助金は、本来、団体の自立に向けた補助金と位置づけられており、そのため、市民活動団体のレベルアップ講座や発表の機会を設けるなど、自立に向けた取り組みを強化することが課題である。 (10)3年ごとにすべての補助金を白紙に戻し、市民の視点で見直すことや団体の自立に向けた取り組みを行うことで、市民活動全体の活性化や、市民自治のまちづくりを進めていく力になると考えている。 |
ときがわ町「議会基本条例」を視察研修してきました
2009/1/17
1月16日、久喜市議会の議員全体研修を実施、21名の議員が参加しました(1名欠席)。
ときがわ町は埼玉県で初めて「議会基本条例」を2008年3月4日に議決しました。 ときがわ町は2006年4月に旧都幾川村と玉川村が合併し、合併と同時に町議会議員選挙で16名の議員が選出されました。 その後、議会基本条例制定に至る経緯を次のように説明しています。 合併後、「町民に必要とされる議会をめざし、積極的に議会改革に取り組んで」きた。 さらに、2007年6月には、「さらに議会が町民の負託に応え、町民から期待された行政監視の役割を果たすためには、議会の責務や運営方法を明確にする必要がある。そこで、それらを規定する議会基本条例ならびに議会畝意について調査することとし」、議会運営委員会で議会基本条例についての調査を開始しました。 それから実質的に9か月間で基本条例を制定しました。 策定にあたっての基本姿勢は、 (1)議会の姿勢を町民にPRできるものとする (2)専門用語の使用を避け、条文を簡素化する (3)議会と議員の役割と責務を明確に規定する (4)行政監視の機能を強化する (5)町民協働のまちづくりを進める (6)重要施策の策定段階から議会の参画や、行政の説明資料の事前提出を求める (7)執行部の反問権と、議員間の自由討議を保障して討議の充実を図る (8)議会の最高規範として位置づける となっています。 条文は全部で10条、各条文の規定は簡潔かつ明確です。 議長や議会運営委員会委員長が「ときがわ町議会基本条例」についてていねいに説明してくれましたが、そのお話しの中にも、進んで県内最初の議会基本条例を制定し、この条例をバネにして住民協働のまちづくりを進めていこうという自負と気概を大いに感じさせてくれました。 たとえば条例第2条には「町民からの提案や意思表示の機会を積極的に設け、それらを政策提案につなげるよう努めるものとする」、「議会は、町民に対し十分な情報公開と政策上の論点の定時を積極的に行わなければならない」などの規定があります。 先進市の議会基本条例ではこれらは、「意見交換会」や「議会報告会」などを実施するという明文規定があるのが普通ですが、ときがわ町議会では最初はそこまでの明確な合意を持っていたわけではないと言います。 しかし、条例を制定した以上は、町民の意見交換会や議会報告会を開いていこうと積極的な取り組み方針を決め、すでに議会運営委員会で「意見交換会及び議会報告会開催要領」を検討し、新年度には実現する計画で進んでいます。 また議員間の討議を充実していくことをめざして、本会議で質疑終了後に「自由討議」の機会を設けています。 ただ実際にはまだ議員からの発言はないそうですが、そうした機会を設けて新たな取り組みを始めていることは、今後の討論の場としての議会役割が大きく広がっていくだろうと感じさせられました。
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杉並区の区民協働事業、退職男性主体のNPO法人がデイサービス運営
2009/1/12
2008年11月11日、杉並区の「高齢者在宅サービスセンター 松渓ふれあいの家」と「ゆうゆう西田館」を視察しました。
今回は埼玉県東部地区の自治体議員や市民で作っている「政治改革ネット」主催の視察で、久喜市議会から、猪股と矢野が参加して勉強してきました。
地域における、学校の余裕教室の活用法、行政と住民の協働事業のあり方、退職男性の地域参加、「楽しい」デイサービスの一つの形、多くの教訓を与えてくれました。
【2か月前の視察です。報告書のアップが遅くなってしまいました。】
1.高齢者在宅サービスセンター 松渓ふれあいの家 杉並区では2000年から、小中学校の余裕教室を活用してデイサービスセンターを開設することを決定し、運営にあたる団体を公募した。区立松溪中学校の余裕教室を活用して「松渓ふれあいの家」を2001年に開設する予定で運営団体を公募し、選考審査の結果、『NPO法人 生きがいの会』に決定した。 『NPO法人 生きがいの会』は、最初、男性(特に退職後の高齢男性)料理教室のサークルとして活動していたが、デイサービスセンター運営公募にあたって高齢者介護にも関わっていくことを決めた。 当初、生きがいの会は、料理から介護への転身がうまく行くかどうか試行錯誤ではあったが、定年退職後の高齢者を中心に、みずからの経験を生かしながら地域に足を下ろしていこうという思いを、明るく、楽しい、元気な『松渓ふれあいの家』を作ろうという取り組みに託したという。 NPO法人格の取得がふれあいの家委託の条件だったが、生きがいの会会員の社会的経験(会社経営の経験者も多い)を生かす形で比較的スムースに進んだ。 一方、こうした団体にデイサービスセンターの運営を委託するにあたり、杉並区では、立ち上げ資金として補助金を年間3000万円、3年間にわたって交付し、各団体は人件費、送迎用の車や備品類の購入にあてた。 スタートは事業委託だったが委託は3年間で打ち切り、その後は介護保険事業所として自立して、運営費は完全に介護保険収入でまかなっている。 学校の余裕教室を活用したデイサービスセンターのメリットとして、学校の生徒児童との交流が図られることがあげられる。 ドア一つで学校と行き来でき、日常的に子どもたちが訪問してくれたり、運動家での交流や、逆に学校における田んぼづくりに市道を頼まれることもある。 区内で8つの小中学校で余裕教室にデイサービスセンターを開設しているが、松渓ふれあいの家の特徴は、男性スタッフが多いことである。 スタッフは14~15人いるが、施設長の他、ケアマネージャー、ホームヘルパー、生活相談員など、看護師3人を除いてほとんどが男性である。 松渓ふれあいの家デイサービスのもう一つの、最も大きな特徴は、利用者の7割が男性ということで、登録者は約100人、毎日の定員は30人だが、その内、女性は平均して8名である。 スタッフが『高齢者がデイサービスに行って、1日おもしろくなかったというようでは良いデイサービスとは言えない』と言うとおり、めざしているものは「楽しい」「明るい」「元気な」デイサービスで、毎日のメニューもユニークである。 たとえば、毎月5のつく日(5・15・25日)はワイン&ジュースの日で、昼食前にお酒のいける方もいけない方も一緒にグラスを傾け乾杯! 昼食後はコーヒー&紅茶タイム。挽きたてのおいしいコーヒーと香り高い紅茶。 昼食やおやつはいずれもキッチンスタッフのこだわりの手作りニュー。もともと男性料理教室から始まったサークルなので、その経験を生かしている。 午後は、各自が自由に参加する趣味のプログラムで、麻雀、囲碁、将棋、ゲームなどのプログラムがあるが、最も人気のあるのは麻雀で、5卓はいつも満員である。毎日のメンバーの定員は30人なので男性も女性も半分以上が麻雀に興じ、にぎやかな声があがっている。 他のデイサービスでは麻雀はやっていないので、これも男性メンバーの人気がある理由の一つである。 その他にお散歩、ガーデニング、書道、絵手紙、歌、絵画、歌の伴奏はスタッフによるハーモニカだという。 杉並区における「高齢者在宅サービスセンター 松渓ふれあいの家」事業の展開は、学校の余裕教室の活用法、行政と住民の協働事業のあり方、退職男性の地域参加、「楽しい」デイサービスの一つの形、多くの教訓を与えてくれるのではないか。
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2.『杉並区立ゆうゆう西田館』事業 杉並区には「敬老会館」が区内各地域に設置されていたが、この施設を高齢者の生涯学習と地域参加の場として、16か所に「ゆうゆう館」を開設した。敬老会館はもともと「高齢者の地域施設」だったが、そこから発展して、高齢者予備軍も含め、多くの方にも利用してもらうために、「ゆうゆう館」として事業の見直しを行い、シルバー人材センター、社会福祉法人、NPO法人などが運営(指定管理者)にあたることになった。 特に区民との協働事業として運営事業者を公募した結果、多くのゆうゆう館を「生きがいの会」を含むNPO法人が運営している。 『杉並区立ゆうゆう西田館』(旧西田敬老会館)は19年度から、『生きがいの会』としては2か所目の協働事業として取り組み運営することとなった。 『生きがいの会』は、「ゆうゆう西田館」において「地域の仲間と居場所作り講座」「麻雀を楽しむ会」「パソコン教室」「ガーデニングを楽しむ」などの11講座を開設した。 事業で最も人気があるのは麻雀で、年間133講座開設し、男性434人に対して女性が1820人が産科、パソコン入門講座は300人が参加し、年間利用者数は前年(区直営)の5000人から19年度は8800人に増加した。 生きがいの会のゆうゆう西田館は、「ご近所のカルチャーセンター」をめざして、気軽に、質が高く、安価で、楽しかったと思ってもらえる事業を展開しているという。 |
北海道津別町の生ごみ堆肥化を視察してきました
2008/10/29
10月15・16日に、北海道釧路市で、全国市議会議長会主催の議員活動に関する研究フォーラムが開催されました。
大地の5人で参加し、その翌日の17日、釧路市の隣の津別町に行って、生ごみ堆肥化事業を視察してきました。
久喜宮代衛生組合の「HDMシステム」実験と同じ方式による堆肥化の先進例 久喜宮代衛生組合で10月から、「HDMシステム」と呼ばれる生ごみの減容化・堆肥化の実験を開始していますが、津別町はこれと同じ方式による生ごみ堆肥化を平成13年度から取り組んでいて、順調な成果をあげています。
生ごみ収集量(搬入量)は、年間約300トン、月平均24トン、1人あたり月排出量は約4kg。 生ゴミの堆肥はおもに自家菜園の堆肥として配布されています。 |
宮代町の学校給食の試食会に参加しました 埼玉県東部地区の議員や市民で「東部地区政治改革ネット」という会を作っています。 |
学校給食にかける町ぐるみの熱意に感動 宮代町の学校給食センターは、1か所で町内全部の小学校4校、中学校3校の学校給食、約2650食を作っています。調理と配送を久喜市と同じ全農食品に委託していますが、センターは町の施設であり、献立も町の栄養士さん2人で作っています。 つまり久喜市では、センターの運営も調理も、食材料の購入もすべて全農食品に委託していますが、宮代町ではあくまでも調理だけの委託であり、学校給食については町が全面的に責任を持つ仕組みになっています。 組織は次のようになっています。 学校給食運営審議委員会…給食費、給食運営に関する全般的なことについて審議 学校給食研究委員会…献立の検討と反省、給食指導に関することなど 物資選定会議(年11回)…食材の選定と仕入れ、特に地元産食材の購入について協議しています。 この日の献立は、ごはん、牛乳、いかの磯辺揚げ(上右)、五目きんぴら(上左)、のっぺ汁(下右)でした。 献立は、久喜市よりももっと工夫を凝らし、バラエティに富んだものでした。 各県の郷土料理の日(10月は群馬県・おっきりこみでした)、行事食、外国料理の日、児童生徒からのリクエスト献立の日(10月はハロウィンでカボチャ料理)、10月10日は目の愛護デーでヨーグルトのブルーベリーソースの献立もありました。 食器は、皿2枚とお椀が強化磁器製で町のシンボルの葡萄の絵入りの特製品です。 ご飯はアルミの弁当箱に1人分ずつ盛り込まれてきます。これは久喜市と同じに、久喜市内のライスセンターに委託炊飯していて運ばれてきます。1食の盛りつけ量は17.37円かかっていますが、この分は町で負担しています。 米は100%宮代産コシヒカリ、野菜などの地場産食材が34% 宮代町の学校給食の大きな特徴は、地場産の食材をできるだけ多く使っていることと言えます。米は全量が宮代町産のコシヒカリです。 味噌も全部、宮代産。宮代町内で生産された旬の野菜などの農産物の使用は、平成18年度は31品目、19年度は42品目、重量ベースで34%に達しています。最近は特産のモロコも使っているそうです。 毎月の献立表に「宮代産」の野菜を明記し、さらに各学校での毎日の放送用資料で、地場産農産物であることを知らせており、「生産者の方々への感謝の気持ちや残さず食べようとの意欲を育む」と言っていました。 地場産農産物の使用のための町行政や生産者との打ち合わせ会議を年2回開いています。
献立に使ったすべての食材料について、産地がわかっています。 この日の、のっぺ汁、以下の磯辺揚げ、五目きんぴらに使用された食材料(調味料も含めて)20種類の内、小麦粉だけがオーストラリア産と日本産のブレンド、その他はすべて国産で、どこの県だかわかっているということでした。 輸入食材の場合でも、中国産はいっさい使っていないということでした。 地元の宮代産の農産物はもとより、すべての産地を把握しているということが大切なのだと思います。 そうした姿勢が、子どもたちの安全のために安心安全な給食を提供するという行政の責任の表れといえるでしょう。 1人1人のアレルギーに対応した給食 もう一つの大きな特徴は、平成17年度から、医師の診断書にもとづいて、各学校のアレルギーの子どもをすべて把握して、1人1人にアレルギー対応の原因物質除去食、または代替食を提供しています。たとえばこの日は、
全部の学校、クラスで“栄養指導”を実施 2人の栄養士で、全部の学校を回って、年間30時間の「食育指導」を実行しています。小学校は4時間目にクラス単位に「食育」を実施し、給食をいっしょに食べています。 テーマはたとえば、2年生「色の濃い野菜、薄い野菜」、4年生「3食の食品群、食品のグループ分け」、6年生「朝食の献立を考えよう。栄養バランスと1汁2菜・ご飯とみそ汁の組み合わせ」、中学校は学年単位で、たとえば2年生「食生活を考えよう。コンビニ食と食品表示」といったぐあいです。 この日の給食がとってもおいしかったのはもちろんですが、地産地消、宮代産の食材の使用を積極的に進めていて、すべて産地を把握して明らかにしていること、1人1人のアレルギー対応や、「食育」の実践など、学校給食にかける熱意に感動しました。 |
議会のあるべき姿への歩み 8月4日、5日、議会運営委員会で、視察⑦研修を実施しました。 2006年4月、議長選挙において、議員の立候補、公約発表を実施、その中で「議会基本条例制定」を公約に掲げた議長が当選し、その直後の5月、伊賀市議会は「議会のあり方検討委員会」を設置し、議長から、①議会基本条例について、②政務調査費の使途について、③議員定数についてを諮問しました。 6~8月にかけて「市民と議会の意見交換会」を開催、56会場、83団体、約500名の市民が参加し、議会基本条例制定についての理解を得ました。 9~10月、議会のあり方検討委員会で素案を作成、11月には市内6か所で議会基本条例についての住民説明会を開催、11月末に検討委員会から条例案が議長に答申されました。12月にパブリックコメントを経て原案を作成、その後、7回の議員懇談会を開催し、答申案について議論を深め、一部修正・削除をして、2007年2月28日、「伊賀市議会基本条例」が賛成多数で可決されました。 なお、伊賀市議会では従来より「すべての会議は公開」で行われており、議員懇談会などの議論も市民、マスコミの傍聴、公開のもとに行われました。 こうした策定経過からは、伊賀市議会基本条例策定が、原案策定までに約半年とたいへん短い期間で進められたにもかかわらず、議員や議会の主導だけでなく、すべて市民に公開された中で、市民の意見を取り入れる努力をしながら進められたことがわかります。 2.伊賀市議会基本条例の構成 2004年12月に制定された伊賀市自治基本条例の、第5条第2項「この条例の定める内容に即して、分野別の基本条例の制定に努める」、第5章「議会の役割と責務」第38条~41条に定められた議会と議員の責務、市民参加と情報共有の各課題を具体化するものとして、議会基本条例は制定されたものといえます。 したがって、伊賀市議会基本条例はいわゆる理念条例にとどまらず、議会の実施する具体的な施策を定めています。 3.伊賀市議会基本条例の特徴 伊賀市議会の説明によると、伊賀市議会基本条例の特徴的な規程として、次の7項目があげられています。 ①【第7条】市民との意見交換の場である「議会報告会」を議会主催で実施する ②【第8条】市民にわかりやすい議会論議ならびに審議論点の明確化のため、質疑・質問は「一問一答方式」で行うことと、行政執行部(答弁者側)に「反問権」を認める ③【第9条】政策の公正、透明性の確保と議会審議での論点情報の形成のため、行政に対し、議案提案と同時に、政策形成の経過や田の政策との比較検討、財源などの説明義務 を負わせる ④【第12条】議員による政策討論会を実施して、二元代表制の一翼を担う議会としての政策形成をはかる ⑤【第13条】常任、特別委員会の活動の一環として、市民の要請に応えて「出前講座」を実施する ⑥【第18条】全議案に対する各議員の対応と反対(賛成)理由を公表する ⑦【第20条、21条】議員の定数、報酬の改正は、議員みずから説明責任を果たすために「議員提案」で行うこと などを、議会基本条例で規定し、議会及び議員に義務付けています。 4.伊賀市議会基本条例の根底には、次のような基本姿勢があります。 ①議会を市長と並ぶ二元代表制の一翼として、監視機能及び立法機能【前文】を十分に発揮させることによって、地方自治の本旨に基づく議会のあるべき姿の実現をめざそうとしていることです。 ②議会を、市民の意思を代表する合議制機関と位置づけて、意見の対立から議会におけるまちづくりへの合意形成をはかろうとしていること【前文】 そこから「政策討論会」の設置や、「議員相互間の自由討議を中心に運営しなければならない」、「議員、委員会及び市長提出議案並びに市民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努める」【第11条】という、民主主義の本来の姿を追求する規程が導き出されてきます。 ③代表者会議や議会運営委員会など、議会のすべての会議を原則公開【第6条】とし、市民に開かれた中での意志形成をはかろうとしていること ④こうした基本的な見解に基づく諸規定を実現していくために、議会基本条例を「議会における最高規範」【22条】として位置付け、将来にわたる議会及び議員の行動を律していこうとしています。 5.現状と今後の課題 ①伊賀市議会ではもともとすべての会議は公開でしたし、基本条例制定後、すでに議会報告会や出前講座は実施してきました。 行政からの重要な政策を議会提案するにあたって、その根拠となる論点情報の提供や、議会審議における「反問権」の行使も実現してきています。 ②議員間の政策討論会も数回試みられてきていますが、まだ政策討論会を通じて、「議会としての政策形成」にまでは至っていないということでした。また、委員会における議員間の自由討議による合意形成の取り組みは、今後の課題と説明されていました。 ③地方議会のあるべき姿を、条例として描き上げ、一歩一歩着実にその実現に向かって歩を進めている、伊賀市議会はその途上にあると言えるでしょう。 |
久喜宮代衛生組合議会の視察研修報告(3) 2008/7/20 山形県の4分の1をカバーする大規模、広域のごみ処理施設…置賜広域、千代田クリーンセンター 山形県南部、2500k㎡の広大な面積に、人口わずか24万人、米沢市・長井市・南陽市の3市、高畠町・川西町・白鷹町・飯豊町・小国町の5町で構成されている広域組合です。 |
久喜宮代衛生組合議会の視察研修報告(2) 2008/7/19 40トン炉1基の小規模な焼却施設で、先進技術がいっぱい…福島県田村西部環境センター 7月14日、午後、三春町にある「田村西部環境センター」に行きました。 【日本一小さな発電所】
最も大きな特徴は、余熱利用設備としてボイラーを設置して隣接するサウナ・温泉施設(地域還元施設)に余熱を提供していることと、もう一つはさらに余った蒸気を利用して自家発電していることです。 【灰溶融炉の燃料は、プラスチック】
もう一つの特徴は、焼却灰を無害化するために灰溶融炉を設置して灰を固化(スラグ)し、路盤材やコンクリート骨材に利用します。19年度は556トンを製造し、1トン100円で地元の建設業者に売却しています。
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久喜宮代衛生組合議会の視察研修報告(1) 2008/7/18 久喜のごみの最終処分場のひとつ…小野ウェイスト・パーク(福島県小野町) 7月14日、久喜宮代衛生組合議会の視察研修、まず、福島県小野町にある「小野ウェイスト・パーク」に行きました。
久喜宮代衛生組合のごみ(焼却灰など)は、最後はどこの最終処分場に埋められているか
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「議会運営改革シンポジウム」に参加してきました 全国の自治体議員や議会事務局関係者約200名が集まりました。 私たちは早くに予約していたのですが、申し込みが多くてだいぶ断られたそうです。 二元代表制の下で、議会と首長の関係性はいかにあるべきか 午前中は議会運営改革についての講演で、議会改革は定数削減や議会経費削減だけでなく、議会の活動量、議会の役割発揮度を向上させていくこと、それによってまちづくりへの貢献度を上げていくこと、特に、 ・首長と議会の二元代表制の下で、議会が執行部の行政に対する監視と評価を行い、その上に独自の政策立案機能を形成していくこと ・行政評価の手法を取り入れて議会や議員みずからが議会改革を進めることの重要性 が強調された。 予算審議のあり方 ・執行機関の予算編成方針の策定にいかに関わるか、そこに議会や市民の意見を反映させることができるか、実際の予算が首長の基本方針に基づいて行われているかを監視しチェックしていくこと、・決算審査において、執行部みずからの事務事業評価をチェックし、議会の視点から行政評価を進めること、決算に対する議会からの指摘が次の予算編成にどのように反映されているかをチェックしていくこと、 ・議会の質問や質疑における要求事項や政策提案が、行政執行や予算編成にどのように反映されているかをチェックしていくこと、 など、今後の久喜市議会の取り組みに対しても多くの示唆を得ることができた。 午後からの事例発表では、三重県議会と飯田市議会から議会改革の実践経過が報告された。 《三重県議会の議会改革の取り組み》 ・基本計画や男女参画推進計画、環境基本計画、バリアフリーのまちづくり推進計画、人権行政推進計画などは、法律上は議会の議決は必要ないとされているが、これらを議会で直接に審議し、議決することとした。・予算決算常任委員会を設置して、予算審議の内容充実を図った。 本会議や他の常任委員会審議はもちろん、予算決算常任委員会、分科会審議をインターネット中継を実施した。 ・6月議会後に議会として、次年度の予算編成方針に対する要望、9月議会で予算編成方針に対する質疑、11月議会では当初予算の各部局からの要求状況を明らかにさせる。 これによって、年間を通じて、議会からの執行部の予算編成に対する関わりを強めた。・今年度からは議会の会期を年2回とした。 前期は2月~6月、後期は9月から12月とし、休みは年末年始とお盆の時期だけで、実質通年議会とした。 これによって、緊急の議案にも対応できるようになり、「議会を開くいとまがない」ことを口実にして条例改正などを議会に諮らずに決めてしまう首長の専決処分をなくしてきた。 年4回の議会だと、休会中に委員会を開くには前の議会で議長と本会議の承認が必要だが、2回の会期となれば、会期中であれば必要に応じて柔軟に委員会を開くことができるようにした。 《飯田市議会の議会運営改革》 ・平成19年4月に、議会が主導して「自治基本条例」を策定した。議会として議会活性化の一環として自治基本条例を検討を進め、議長の諮問機関として「わがまちの憲法を考える市民会議」を設置して議会の発議によって条例策定を進めた。・対面室問席の設置と一問一答制の採用、本会議のCATV中継の実現 ・現在は、決算審査において、行政による事務事業評価を生かしていく取り組みを進めている。 これは、「施策目的の達成に向けて効果的に事務事業が展開されているかをチェックする」ことを目的とし、これまでは決算書の数字や事業実績、事業内容を質問するのが主だったが、こうした決算審査のやり方を抜本的に変えていこうとするものである。 これは他の多くの自治体議会も同じなので、私たちの久喜市議会にとっても大いに参考になるものであった。 ・飯田市議会も、平成18年度の用例改正で、市の基本計画を議会の議決事項としている。 |
鶴ヶ島市議会の“議会報告会”を見学してきました これは昨年来、鶴ヶ島市議会が“議会改革”“議会活性化”について検討を続けてきて、その成果の一つとして実施されたものです。 最近、全国各地の自治体で「議会基本条例」を定め、その中で、議会の側から市民の中に出ていこう、市民と対話しようという動きが取り組まれてきていますが、さいたまでも関東でもおそらくは初めての取り組みで、各地の議会の注目を集めました。 4月19日の土曜日、午後1時半から市役所のロビーで開催され、150名以上の市民が参加し、中には他市の議員らしい姿も見られました。 議会改革特別委員会委員長から、この議会報告会を開くことになった経過と議会改革の取り組みについての報告、次に各常任委員会委員長らが次々に立って、3月定例議会の報告を行い、市民から質問や意見などを受けていきました。 始めは2時間くらいの予定だったらしいのですが、市民から次々と手が上がり、4時半ごろにやっと閉会しました。 最初に司会役の議会改革特別委員長が、議会でどのような審議をしたかを報告する、市民のみなさんも議案や政策の内容や陳情ではなく、議会がどんな市議をしたかについての質問をしてほしいと、念を押していました。 実際、議案や政策の内容そのものであれば、行政当局が行うべきですし、議会に対して「この政策が云々」という意見を出されても、議会は会派や議員によって立場も考え方も違いますから、答えようはないわけです。 しかし実際の報告会の進行はかなり委員長の考えとは違っていってしまったように見えました。 各委員長が常任委員会の内容を報告する際に、どうしても議案の説明そのものになってしまっていましたが、本来なら、それぞれの議案について、何が問題になり、どんな質問がどれくらい出されたかを、もっと報告してほしかったと思います。 市民からの質問でも、議案の内容そのものについての質問や、「この議案はけしからん」というような意見が出されてしまって、それに対して、議員側からの回答では、会派によって「わが会派は反対した」「私たちはこういう理由で賛成した」というような話がされてしまっていました。 これでは政治討論会に近くなってしまって、立場の違いを際だたせることになってしまうのではないかと思われました。 それでも私は、この議会報告会は「成功」だったと評価します。 それは議会だけで準備して市民に呼びかけて、150名以上の市民が関心を持って集まったこと。 議員がみずから議会の内容を整理し、市民に理解してもらえるように工夫しながら話していったこと。 質問に対しても、各議員が積極的に演壇に立ち、きちんと誠実に説明しようとしていたこと。 つまり、議会が市民の中に出ていくんだということを身を以て示すことができたということです。 説明の仕方に工夫が足りないとか、政治討論会みたいになりがち…、といった、問題点を指摘することは簡単です。 しかし、それらの問題点は「今後の課題」として、これから回を重ねていくことによって改善していくことができるだろうと思います。 要は、議会が主催する議会報告会は何を目的として、市民に何を伝えたくて実施するのかということを、議会と市民が確認し合うことが大切なのです。 鶴ヶ島市議会が、これからもこの議会報告会を継続して開催し、他の議会に広がっていくことを期待したいと思いました。 |
鶴ヶ島の議会報告会に参加して、議会と市民のやりとりを見ていて、私たちも久喜市議会として、反省しなければならないと思ったことがあります。
それは、私たちは普段、久喜市議会で、議員と行政当局だけにわかる専門的なルールで運営され、市民にはわからなくて当然と考えてはいなかったか、議会はともすれば、市民の批判は「素人の批判」として受け取って、理解してもらえなくても仕方がないといった態度に陥ってはいなかったかということです。
「むずかしいルール」と開き直るのでなく、市民に理解してもらえる説明の仕方を工夫していくことによってこそ、議会が市民から信頼される存在になると思います。
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