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社会福祉・健康・医療行政 1999〜2011
障害者福祉 高齢者福祉 こどもの福祉

国民健康保険税の統一・改定に賛成しました
2011/12/24

 12月21日、11月定例市議会最終日に、国民健康保険税の改定案の採決が行われ、共産党だけが反対しましたが、政策会議、飛翔、公明党、無会派(田村)が賛成して、可決されました。
 今回の改定案は、合併以降も、国民健康保険税が旧4市町のままに据え置かれていたものを統一するために行われました。
 合併前には、旧久喜市の国保税率が県内でも高いレベルにあったのですが、若干下がることになります。

【猪股和雄の賛成討論の全文】

 まず、合併に伴って、これまでの4市町の国保税率が、それぞれ異なっていたのを、1つに統一するわけですから、増税になる世帯と減税になる世帯があって、旧4市町の地区によってその変動幅が異なってくるのは、ある程度やむを得ないことと言わなければなりません。

 むしろ、合併後2年間もそのような大きく異なった税率のままに放置されてきました。
その結果、地区によって、また世帯によって、合併前の高い税率のまま継続してきた地区・世帯と、一方で、合併前からの低い税率を継続して恩恵をこうむってきた地区・世帯があったわけです。
それは合併時に直ちに統一して置かなければならなかったはずなのに、そうした不公平を2年間も放置してきた久喜市政の方がおかしかったと言わなければなりません。

 今回の税率改定の一つの論点は、旧3町地区が4方式であったのを、旧久喜市と同じ2方式に改めたことです。

 これまで、旧菖蒲、栗橋、鷲宮町では、所得割+均等割に加えて、資産割+平等割の4方式で計算してきました。
所得を生まないのに、土地や家屋に賦課される「資産割」は、特に持ち家のある単身高齢者などには不利な制度です。

 「平等割」は家族人数に関係なく1世帯あたり1万4800円〜1万9800円が賦課されていましたが、やはり単身や人数の少ない世帯には不利な課税制度です。
最近は核家族化や単身高齢世帯が増えているので、家族構成が変化している実態に合っていませんでした。

 そこで「資産割」「平等割」を廃止して、「所得割」「均等割」の2方式に統一するのは、現状にあった妥当な改正であると評価できます。

 菖蒲、栗橋、鷲宮地区では資産割と世帯平等割がなくなった分を、所得割と均等割の税額を引き上げるのはやむを得ないことと言わなければなりません。

 旧久喜市だけが、所得割+均等割の2方式で、しかも50:50で課税してきましたが、これは低所得者には不利な税率でしたから、旧久喜市ではこれまでも、所得割の比率を高くするべきだという指摘を行ってきました。今回、60:40としたことによって、旧久喜市の所得割の税率が上がって、比較的高所得者世帯や扶養家族のない世帯にとっては増税となるのも、やむを得ない結果と言わざるをえません。

 一方で、これまで旧久喜市は一般会計からのその他繰入金が極端に少なく、被保険者1人あたりの繰入額は旧栗橋町の7分の1、菖蒲町の半分以下、鷲宮町よりも低い金額でしたが、今回の改定に合わせて、県内平均と同等まで、繰入金を拡大することができた。
1人あたりの繰入金額は、旧久喜市で5倍、鷲宮町で4倍、菖蒲町で2倍となります。旧栗橋町地区から見ればかなり少ない金額ですが、やっと他市並みになったということで、評価できます。

 ただしこれは、旧3町が、旧久喜市よりも多くの繰り入れをしていたということは、旧久喜市の財政が悪かったから、財源がなかったから繰り入れできなかったということを意味するのではなくて、政策選択の問題です。
国保の負担を軽減するために一般会計で負担するのは市の責務であるという政策判断をすれば、財政困難でも他の政策に優先して負担をしなければならないという、政治の問題です。
今後も、この政策方針は堅持していくよう、要望して、賛成します。

 ただそれにしても、地区によって、世帯によって、年間税額が10万円以上もの引き上げになる世帯もあります。
こうした世帯に対して、たとえば2年か3年間をかけて本来の税額にまで引き上げるというような、激変緩和の経過措置がとれなかったのか、検討もされなかったのでしょうか。
今からでも、経過措置の検討ができないか、検討していただきたい。

国保税の改定案が提出された
『声と眼』428号 2011/12/1

 11月議会に、国民健康保険税率の改定案が提案されました。
これまでは合併前の4市町の国保税率がそのまま引き継がれてきましたが、2年以内に統一することになっていました。
これまでの保険税率の賦課方式や税率が4市町で異なっていたため、改定による加入者負担への影響も大きく異なります。
久喜地区と鷲宮地区は全体的に税が引き下げられて負担減となりますが、菖蒲地区と栗橋地区は大幅な負担増となります。
また、国保税は後期高齢者医療制度の負担金や40歳以上の介護保険保険料もいっしょに徴収することになっていて、その税率も同時に改められました。

所得割と均等割の2方式に統一

 旧久喜市だけが、所得割+均等割(世帯人数に応じて賦課)の2方式で計算してきました。
所得割の税率を引き上げる一方で、均等割の金額を1人あたり6万2500円から5万円に引き下げることにしたため、全体的に負担が軽減されます。

 一方、これまで、菖蒲、栗橋、鷲宮地区では、所得割+均等割に加えて、資産割+平等割の4方式で計算してきました。
土地や家屋に賦課される「資産割」は、特に持ち家のある単身高齢者などには不利な制度です。
「平等割」は家族人数に関係なく1世帯あたり1万4800円〜1万9800円が賦課されていましたが、やはり単身や人数の少ない世帯には不利な課税制度です。
最近は核家族化や単身高齢世帯が増えているので、家族構成が変化している実態に合っていませんでした。
そこで「資産割」「平等割」を廃止して、「所得割」「均等割」の2方式に統一することになりました。

 菖蒲、栗橋、鷲宮地区では資産に対する賦課と世帯平等割がなくなった一方で、所得割の税率と、均等割の税額が大幅に引き上げられました。

一般会計からの繰り入れを増額

 国民健康保険加入者の中心は自営業や農家、高齢者で、社会保険のような雇用主負担がない上に低所得世帯も多いため、多くの自治体が一般会計からの繰入金で負担軽減を図っています。
2008年度の被保険者1人あたり繰入額は県平均1万6698円でした。
4市町の中で栗橋町だけが県平均を上回る2万4638円でしたが、菖蒲町は8747円、鷲宮町は4117円、久喜市は3436円で県内40市中最低で、その分、保険税負担が過重になっていました。

 今回の税率改定にともなって、2012年度は久喜市でも一般会計からの繰入額を大幅に増やし、被保険者1人あたり1万7700円、総額で7億8000万円の繰入れを予定しています。
これによって負担軽減を図りますが、それでも旧栗橋町に比べるとたいへん少ない金額です。

◆久喜地区の国保加入者の税負担は、総額で0.4%減、1世帯平均で643円の引き下げとなります。
 世帯モデル別の試算では、ほとんどの世帯で負担減となりますが、扶養家族が少い世帯や所得が高い世帯では負担増となるケースもあります。

◆鷲宮地区の税負担総額は9.8%減、1世帯平均で1万1726円の大幅な引き下げとなります。
 ほとんどの世帯で負担減ですが、少人数世帯や、所得が高い世帯で負担増となる場合もあります。

◆菖蒲地区の税負担は総額7.6%増の大幅な増税で、1世帯平均は年間1万3242円の引き上げです。
一部の低所得世帯では負担減となりますが、ほとんどの世帯で10〜30%近い負担増となります。

◆栗橋地区も総額9.8%増の大幅な増税で、1世帯平均1万6552円の引き上げです。
一部の単身者世帯などで負担減となるケースもありますが、ほとんどの世帯で10〜40%近い負担増となります。


2009年度 県内各市の一般会計からの繰入金額
被保険者1人あたりの金額(円)

1 入間市  48,096円
2 和光市 44,085
3 吉川市 32,057
4 蕨市 28,790
5 ふじみ野市 27,301
6 羽生市 25,624
7 狭山市 25,362
8 朝霞市 24,720
旧・栗橋町(2008年度) 24,638
9 戸田市 24,557
10 上尾市 24,147
11 飯能市 23,048
12 春日部市 21,627
13 秩父市 20,890
14 鳩ケ谷市 20,876
15 深谷市 20,242
16 新座市 20,209
17 行田市 20,020
18 桶川市 19,779
19 加須市 19,581
20 川口市 18,297
2012年度の久喜市 17.700
県内平均 17.204
21 日高市 17,007
22 坂戸市 16,626
23 さいたま市 15,898
24 鴻巣市 15,588
25 熊谷市 15,299
26 東松山市 15,110
27 幸手市 14,516
28 草加市 14,104
29 本庄市 11,758
30 鶴ケ島市 11,458
31 志木市 11,438
32 八潮市 10,586
33 川越市 10,327
34 越谷市 9,348
旧・菖蒲町(2008年度) 8,747
35 蓮田市 8,214
36 所沢市 8,163
37 富士見市 7,650
38 三郷市 6,537
39 北本市 6,019
40 久喜市 5,995
旧・鷲宮町(2008年度) 4,117
旧・久喜市(2008年度) 3,436
旧4市町の金額は2008年度の1人あたり繰入金額です。(参考)

各地区ごとの、現行税率と改定税率・増減

改正後の税率 久喜地区 菖蒲地区 栗橋地区 鷲宮地区
現行税率 比較増減 現行税率 比較増減 現行税率 比較増減 現行税率 比較増減
医療給付費分 所得割 % 7.00% 5.60% 1.40% 6.40% 0.60% 5.80% 1.20% 6.90% 0.10%
資産割 % 30,00% ▲30.00% 38.00% ▲38.00% 29.00% ▲29.00%
均等割 円 2万9000 3万5300 ▲6300 4200 2万4800 9200 1万9800 1万5800 1万3200
平等割 円 1万9200 ▲1万9200 1万9800 ▲1万9800 1万4800 ▲1万4800
賦課限度額 円 51万0000 47万0000 4万0000 47万0000 4万0000 47万0000 4万0000 47万0000 4万0000
後期高齢者支援分 所得割 円 2.10% 2.00% 0.10% 2.30% ▲0.20% 1.80% 0.30% 2.40% ▲0.30%
均等割 円 1万0000 1万1400 ▲1400 1万3800 ▲3800 1万0000 0 1万4800 ▲4800
賦課限度額 円  14万0000 12万0000 2万0000 12万0000 2万0000 12万0000 2万0000 12万0000 2万0000
介護納付金分 所得割 円 2.20% 3.02% ▲0.82% 1.10% 1.10% 1.20% 1.00% 1.40% 0.80%
均等割 円 1万1000 1万5800 ▲4800 1万0800 200 1万2000 ▲1000 1万4800 ▲3800
賦課限度額 円 12万0000 9万0000 3万0000 9万0000 3万0000 9万0000 3万0000 9万0000 3万0000
合計 所得割 % 11.30% 10.62% 0.68% 9.80% 1.50% 8.80% 2.50% 10.70% 0.60%
資産割 % 30,00% ▲30.00% 38.00% ▲38.00% 29.00% ▲29.00%
均等割 円 5万0000 6万2500 ▲1万2500 2万8800 2万1200 3万1200 1万8800 4万5400 4600
平等割 円 1万9200 ▲1万9200 1万9800 ▲1万9800 1万4800 ▲1万4800
賦課限度額 円 77万0000 68万0000 9万0000 68万0000 9万0000 6万80000 9万0000 68万0000 9万0000

税率改定によって、各地区ごとの税収がどう変わるか
増税額・減税額、総額と1世帯あたりの税額と増減

久喜地区 菖蒲地区 栗橋地区 鷲宮地区
改正税率 現行税率 増減額(率) 改正税率 現行税率 増減額(率) 改正税率 現行税率 増減額(率) 改正税率 現行税率 増減額(率)
税収総額見込額(単位:千円)
20億1707万2 20億2430万2 ▲723万0
(▲0.4%)
6億5726万2 6億1067万5 +4658万7
(+7.6%)
7億2664万7 6億6206万2 +6458万5
(+9.8%)
9億4806万5 10億1274万3 ▲6467万8
(▲6.4%)
1世帯当たり課税額(単位:円)
17万9471円 18万0114円 ▲643円
(▲0.4%)
18万6828円 17万3586円 +1万3242円
(+7.6%)
18万6224円 16万9672円 +1万6552円
(+9.8%)
17万1875円 18万3601円 ▲1万1726円
(▲6.4%)


★猪股の今年度の国保税額は 38万1800円でした。
所得が変わらないと仮定して改定後の税率で試算してもらったところ、41万4538円に増額となることがわかりました。★

猪股和雄の国保税額(改定額、現行額の増減)

改定税額 現行税額 比較増減
医療給付費分 所得割 22万5820円 18万0656円 4万5164円
均等割 2万9000  3万5300  ▲6300 
合計税額 25万4820  21万5900  3万8920 
後期高齢者支援分 所得割 6万7746   6万4520  3226 
均等割 1万0000  1万1400  ▲1400 
合計税額 7万7746  7万5900  1846 
介護納付金分  所得割 7万0972  9万7425  2万6433 
均等割 1万1000  1万5800  ▲4800 
 合計  8万1972  11万3225 
(限度額 9万0000円)
▲2万1633  
合計税額 8万1972  9万0000  8028 
合計 所得割 36万4538  34万2601  2万1937 
均等割 5万0000  6万2500  ▲1万2500 
合計税額 41万4538  38万1800  3万3738 

がん健診の個別通知は必要だ
 2010年9月市議会 猪股の一般質問  『声と眼』407号  2010/11/11

 がん検診などの健康診査で、昨年度までは旧久喜市と旧菖蒲町では対象者にはがきの個別通知を発送していました(栗橋や鷲宮地区ではもともと個別通知はなし)。
合併と同時に今年度からは個別通知を廃止してしまいました。
市では、合併して検診の回数が4地区に増えたので、はがきにすべての日程や会場を書ききれない、封書にすると郵送料が増える、保健事業日程表やホームページ、「広報くき」でお知らせするので、必要な人はそれを見ればいいという考え方です。

 しかし今年8月までの経過では、久喜と菖蒲地区では昨年度と比べて明らかに受診者数が減っています。
日常からの定期的な健康診査を受ける人が減っていけば、結局は病気になる人が増えて医療費が増大するのは目に見えています。

 これまで、胃がんや肺がんでは40歳以上の市民、子宮がんでは偶数年令の方などの対象者に、通知を出すことによって受診を促進してきました。
はがきでに4地区のすべての日程や会場を記載する必要はなく、『あなたは対象年齢です』というはがきを見るだけでも受診率を向上させ、将来的な久喜市の医療費を節減することにつながるはずです。
受診率がこれ以上低下しないうちに、早期に個別通知を復活させるよう求めました。


9月定例市議会
「子宮頸がん対策を求める意意見書」では対応が分かれた

『声と眼』407号  2010/11/10

 公明党が「子宮頸がんの予防措置実施の推進を求める意見書」を提案して可決されました。
全会派が賛成しましたが、飛翔の中から6名(久喜の井上、鈴木(松)、鷲宮の4人)が反対に回りました。
 このワクチンは有効性は認められますが、すべての子宮頸がんに効果があるわけではなく、有効期間も限られていて、定期検診が不可欠です。
性交渉経験前の12〜15歳に接種する必要があるとされています。

−私は、あくまでも“任意の個別接種”であることを確認して賛成しました。

 反対した6名の議員は、反対理由を明らかにしませんでしたが、『子宮頚がん予防ワクチンは「民族根絶やしワクチン」だ!』とたいへん過激な反対運動を展開している団体もあります。


済生会栗橋病院から「地域救急センター」設立補助金の要請がありました
『声と眼』404号  2010/9/13

 9月2日、済生会栗橋病院から、久喜市議会に対して「要望書」が提出されました。
済生会栗橋病院で第三次救急医療体制をになう救命救急センターの機能を持つ「地域救急センター」の設立を計画していて、その建設費用に対する補助金交付を求めるものです。

地域救急センター棟整備計画概要

 開設時期   平成23年9月1日予定
 工事着工   平成23年1月予定(工期約8ケ月)
 設置湯所   病院北側敷地(現駐車塘)
 設備機能   1階 救急外来部門(初療室4室・診察室3室・観察室10床)
          2階 CCU(冠状動脈疾患集中治療室)8床
              SCU(脳卒中集中治療室)    6床
              ICU(集中治療室)         6床
                                計20床
          3階 医局

 構  造    鉄骨造3階建て
 廷床面積   2.520.8平方メートル

 総事業費   約8億円

 センター機能
   スタートは、循環器 脳疾患領域を中心とした救急医療を展開
   第1次救急については、地域連携ネットワーク活用
   救急医療の臨床教育機髄
   救命救急士の特定行為への必要な指示態勢
   大規模災害時の医療体制の確保

 地域医療センター棟建設費用8億円の内、どれくらいの補助金を求めているのかはこの文書だけでははっきりしません。
済生会病院は救命救急センターをになうと位置づけられていて、久喜総合病院と同等以上の役割を持つことになります。したがって久喜市としては、久喜総合病院に対する補助金35億円の実績があるので、地域医療政策の視点からもバランス的にも相当額の補助金を出すことになると思われます。


偕楽荘とのぞみ園の指定管理者
『声と眼』392号  2010/1/23

 11月議会で、養護老人福祉施設「偕楽荘」と心身障害児簡易通園施設「のぞみ園」の管理運営を指定管理者に委任する議案が可決されました。

 指定管理者制度は単に施設の管理や個別業務の委託ではなく、施設の運営方針や使用条件など管理運営に関わる幅広い権限を民間事業者などに委任します。
久喜市ではこれまで文化会館や総合体育館、市民釣り場、さらに障害者福祉施設の「いちょうの木」と「けやきの木」を指定管理者に委任しています。
事業者の選任は公募で、事業者の運営方針や収支計画などを審査して選定します。

 偕楽荘の指定管理者には、いずれも特別養護老人ホームを運営している社会福祉法人・同仁会(鶴寿荘)と茂樹会(久喜の里)の2者が応募しました。
それぞれの事業計画書や提案、予算計画などを審査して、同仁会が選任されました。

 のぞみ園は社会福祉法人・啓和会とNPO法人「あかり」の2者が応募して、啓和会決まりました。
啓和会から提出された事業計画書によると、のぞみ園の管理運営費は市直営の場合の4000万円(20年度)から2000万円と大幅に縮減されることになっていて、その大きな要因は人件費の圧縮です。
啓和会はこれまでも久喜市内で啓和寮や作業所などの障害者施設を総合的に運営し、ノーマライゼーションの理念を実現してきました。
そうした実績やノウハウを生かして障害を持った児童の療育やデイサービスを実施していくことが期待されています。
また幼児期から将来を見据えての障害者や保護者の相談に応じ、養育を支援していくこと、個々のニーズに対応して行政ではできない弾力的な運営も期待されています。

 同仁会も啓和会も地域の高齢者福祉、障害者福祉をリードしてきた団体です。
市は福祉施設の指定管理者への委任を、単なる「アウトソーシングによる人件費カット」に主眼を置くのではなく、むしろ民間福祉事業者と協力しながら、施設や事業を拡充していく方向に活用するべきです。


新型インフル・ワクチンの有効性?
『声と眼』390号  2009/12/17

 厚労省の発表によると、15日までに新型インフル・ワクチン接種後の死亡者が70人に達しました。
厚労省は死亡者について「ワクチン接種と死亡との直接の因果関係はない」としています。
しかしワクチン出荷量930万回分に対して副作用は1538件、重篤な副作用が199件となっていて、これまでの推計では副作用発生率は0.02%、重篤な副作用例が0.002%にものぼっています。
(季節性インフル・ワクチンの重篤な副作用の率は0.0002%)。

 一方、6日までに新型インフルによる国内の感染者の死者は100人になりました。
厚労省は新型インフルに感染しての死亡者は基礎疾患があった場合も含めて「新型インフルによる死者」とカウントするのに対し、ワクチン接種後に副作用を発症して死亡した場合はわざわざ「基礎疾患があった」と断った上で、「接種と死亡の因果関係は不明」「評価不能」などと発表するのが通例です。

 ワクチンは重症化を防ぐと説明されていますが、接種後に新型インフルに感染して死亡するケースも多く、あらためてワクチンの有効性や安全性についての疑問が指摘されています。

 新型インフルは高熱が出ても2〜3日で治る軽症ですむ人がほとんどで、症状が出ない場合も多い病気です。
ワクチン接種をするかどうかは自分で判断する“自己責任”ということになりますが、特に子どもの場合には慎重に考えた上で、接種した後にも副作用など、子どもの体調の変化や経過をしっかりと見守っている必要があります。


社協の合併はどうなっている
『声と眼』388号 9月市議会 猪股の一般質問  2009/11/13

 社会福祉協議会は来年の7月に合併し、現在の久喜市社協を本所、3町の社協を支所とする計画です。
久喜市社協で行っている介護保険の事業を継続するとともに、3町についても事業所として自立できるよう事業を拡大していく方向です。

 社協の合併の状況について、市民にわかりやすく報告するよう求めました。


新型インフル対策は、パニックに振り回されずに、早期治療が基本
『声と眼』387号 2009/10/23

 「新型インフルエンザ」はWHOや各国の研究機関によって、感染力は強いが病原的には弱毒、基礎疾患がない場合など一般的には季節性と大きくは変わらないことがわかっています。
新型インフルは『感染したら危険で、かかってはいけない』病気ではなく、かかった場合に早期に安心して医療を受けられる体制を作って重症化を抑止することが大切とされています。

 県教育委員会の通知では、学校で「クラスに3人以上の発症(欠席)で学級閉鎖」などの基準が書かれています。
季節性の場合は基準はなく、20%くらいが休んだら校長の判断で学級閉鎖とすることが多いようです。同じ通知に「弾力的な運営を行って差し支えない」と書いてあるのですから、文字通り“弾力的”に対応するよう求めました。
保育園の場合は、もしも新型インフルで休園となったら、そこの保護者たちの多くが仕事にも行けなくなってしまいます。
保育園などは基本的に休園の措置は避けて、“登園自粛”の協力のお願いで対応することを確認しました。

 厚労省は国産ワクチンと海外からの緊急輸入で7700万人のワクチンを確保したと言っています
。しかし外国産のワクチンは国産とは製造法も異なり、安全性も未確認です。
これまで季節性のワクチンは妊婦には接種しないことを原則としてきたのに新型は「安全」と言い出したり、季節性ワクチンとの同時接種を奨めたり、これまでの見解と違いすぎて不安や疑問が指摘されています。

 かつて日本では学童にインフル・ワクチンを強制接種して多くの副作用事故を起こし、“効かない、危ない”予防接種との批判が高まって集団接種が廃止になった歴史もあります。
市で新型インフル・ワクチンの接種を実施する場合、『あくまでも任意である』ことを徹底するよう求めました。また副作用についての監視も強めるべきです。

 インフルエンザ脳症は解熱剤の安易な使用や抗インフル・ウイルス薬、タミフルの投与によって発症するいう指摘もあります。
特にハイリスク者など、感染・発症した場合の早期治療に、対策の重点を置くことを明確にすべきです。


地域の医療体制推進協議会の調査、(新)総合病院の建設現場を視察
市議会総務文教委員会

2009/10/15

 10月14日、市議会総務文教常任委員会が開かれました。
 9月議会で付託された議案は2件だけで、特に問題もなかったのですぐに終了し、その後、所管事務調査を実施しました。

 「所管事務調査」は、各委員会の担当する事務事業について、テーマを設けて調査したり、議員同士が意見交換したりするもので、以前のような提案された議案を審議するだけの議会から、議員が政策を研究し提案していける議会へ、議会のあり方を変えていく取り組みです。

 これまでも政策研究や政策提案は会派や議員個人の取り組みとして行ってきましたが、今年6月議会で成立した「久喜市議会基本条例」では、そうした取り組みを委員会として組織的に進めていくために、「所管事務調査」の機能強化を明記しました。

 今回、総務文教委員会は、市の(新)総合病院を中心とした地域の医療体制のあり方についてをテーマにして、「市の医療体制等推進協議会の協議経過」と、(新)総合病院の建設状況の視察を実施しました。

地域の医療体制ネットワークをどう作るのか

 「医療体制等推進協議会」は、7月に設置され、これまでに2回の会議を開き、(新)総合病院を中心とした地域の医療ネットワーク、病院と診療所の連携をどう作っていくかについて審議しています。

 10月中に市内の医療機関に「アンケート」を実施し、現在の医療機関の診療体制と、(新)新総合病院にどのような機能を臨むかを調査して、合併までに「中間的な」報告を出してもらう予定になっています。

 しかし今回の調査で対象としているのは、現在の久喜市地域の医療機関だけであって、したがって現在の久喜市の地域内での「地域の医療ネットワーク」「(新)総合病院と診療所の連携」に限定されていて、栗橋の済生会病院や鷲宮、菖蒲町の病院との連携は、今回の検討対象には入っていません。

 また、(新)総合病院自体も開院は2011年(合併の1年後)の予定ですから、現在の久喜市地域の中だけのネットワークの検討ではきわめて不十分です。

 ところが今の段階では合併を前提とした検討は行われていませんし、現在の久喜市以外の地域の病院や診療所は検討の対象外となっていますので、「推進協議会」の検討作業そのものにおのずから限界があると言わざるをえません。

 今後は3月の合併以降を見据えて、現在の久喜市地域内だけのネットワークにとどまらず、新久喜市全域を対象として、病院病院、病院と診療所との連携、ネットワークを検討して、その中に(新)総合病院をどう位置づけるのかという検討が求められてきます。

(新)総合病院の建設現場を視察

 (新)総合病院の建築は、2007年11月に起工式、今年1月から杭打ち工事に入り、現在は高さ50メートルの巨大なクレーンが4台入って、2階の床部分の工事が行われている段階ですが、建物の規模大きさに圧倒されました。

 6階まで立ち上がるのは来年4月ごろの予定で、2010年11月の竣工、再来年の2011年4月オープンをめざしています。

 管理棟と外来診療棟は2階建ての耐震構造、本館(病棟)は6階建ての「免震構造」となっています。

 「免震構造」は建物全体が地面から切り離されたバネと免震装置の上に乗っていて、地震のエネルギーを吸収してゆっくり揺らす、早くに揺れを止める構造で、大地震の時には本館全体が45センチの幅で揺れるが、中にいる人には揺れは感じられない、「手術していてもだいじょうぶ」なのだと説明されました。

 さて、建物自体はすばらしい病院ができるとして、今後の課題は診療体制の構築がどう保障されるかです。

 医師の確保はどうなるのか、開院時からすべての診療科目が毎日ちゃんと診療できるのか、24時間・365日の救急診療の体制は確保できるのか、市内の救急に対応できてたらい回しはなくなるのかなどの不安に、早期に応えてもらわなければなりません。


東中学校でさらに1クラスを「学級閉鎖」
2009/9/11

 東中学校の3年生の別のクラスで、4名の生徒がインフルエンザA型で発症したことが確認されたとのことで、そのクラスも11日から14日まで「学級閉鎖」とすることになりました。
 先に11日まで「閉鎖」していたクラスで感染していた生徒は「いずれも回復の状況にあります」と報告されています。
 市の教育委員会では、「学級閉鎖」とした理由を「健康回復を期し、感染の拡大を防止するため、学校では学校医とも相談の結果」としているのですが、本当にこうした措置が必要なのかどうか、検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。


東中学校で「新型インフルエンザ」による学級閉鎖
2009/9/10

 夏休み明けにおける、市内小中学校におけるインフルエンザと思われる児童生徒の発生状況が明らかにされています。

 9月1日、2日には、発熱による欠席者は23〜27名が報告されていましたが、その内、インフルエンザと思われる児童生徒は久喜小学校、本町小学校、青毛小学校、東小学校、太東中学校など全部で5〜6名です。

 7月に厚生労働省の「新型」インフルエンザに対する対応が変わって、普通の季節性インフルエンザと同様に扱って、遺伝子検査などによって特に「新型」インフルエンザかどうかの判定はしないことになったため、県や久喜市教育委員会の調査でも「発熱」、「インフルエンザ様疾患」という分類になっています。

 9月7日(月)には発熱による欠席者は全体で16名、その内、「インフルエンザ様疾患」は久喜中、東中で5人でした。
 8日(火)になって、発熱による欠席者は全部で27人に増え、「インフルエンザ様疾患」は小学校では1名だけでしたが、中学では久喜中学校、東中学校、10人と報告されました。

 特に東中学校では1クラスで4人が「A型インフルエンザ」と診断され、他にも発熱で休んでいる生徒があったため、「これ以上の感染拡大を防ぐため」に急遽、この日から学級閉鎖となりました。
 学級閉鎖期間は、8日(火)から11日(金)までですが、9日(水)は開校記念日でお休みのため実質の学級閉鎖期間は3日間となります。

 他の学校では今のところ、感染拡大は見られません。

 埼玉県教育委員会の「新型インフルエンザに伴う集積停止及び臨時休業等の目安について」では、次のようにその基準を示しています。
 《学級閉鎖の目安 同じ日に同一学級で簡易検査によりインフルエンザA型陽性者が3名以上発生した場合、学級閉鎖とする。》

 季節性インフルエンザについては「明確な規定はなし。通常、在籍者の2割程度の欠席が目安となっている」と記されています。

 学年閉鎖の目安は「当該学年で複数の学級が閉鎖となり、他のすべての学級でも感染者が確認される場合」、臨時休業(休校)の目安は、「複数の学年が閉鎖となり、他のすべての学年でも感染者が確認される場合」とされています。
 いずれのについても、季節性インフルエンザの場合は「明確な規定はなし」となっています。

 また、休業の期間は、「土日を含め、4日以上の期間を設定する」。「再開する際については、出席停止の対象となる者がその学級の20%以下になった段階で行うこと」となっています。

 しかしこうした休業措置については、一律に行うのでなく、「この目安については、学校医や保健所、教育委員会との協議を通じて弾力的な運用を行って差し支えない」と記されています。

 すでに新型インフルエンザは毒性も強くなくて、普通の健康状態の人であれば感染、発症しても、きちんと治療すれば重篤な状態に陥ることはないとされていて、「季節性インフルエンザと同等」との見解が主流になりつつあります。

 したがって特に「新型」と思われる児童生徒が発生したからと行って、季節性インフルエンザ以上の特別の対応を取る必要はないものと思われますが、実際には各地の教育委員会や学校などでは、感染が拡大した場合の責任問題(?)や「安全性」を見込んでからか、患者が少ない段階でも「休業」という強い対応を取ってしまう傾向があるようです。


夏休み後の新型インフル発生は
2009/9/3

 8月31日から小中学校が再開されましたが、市内の小中学校における新型と思われるインフルエンザの発生状況は、9月2日現在で8人ときわめて少数にとどまっています。
今は新型と思われる症状でも遺伝子検査は行わないので、診療対応も季節性と同様になりつつあります。

 県では「A型陽性者が3名以上」を学級閉鎖の目安としながらも、この目安については「弾力的な運用を行」うという通知を出しています。

 なお、保育園では、発熱で休んでいる子どもはいるものの、現在のところ、「A型」インフルエンザという報告はされていないとのことです。
 保育園の場合は「新型インフルエンザ」の発症者が複数発生したとしても、働く親の子育て支援という保育園の役割からして、保育園そのものを「休園」措置をとるのはむずかしいと言われます。
 そのような場合は、「登園自粛」を呼びかけて、条件のある親に協力してもらうことはあるかもしれません。


新型インフルエンザの対応を検証すべき
2009年6月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』381号 2009/6/20

 国内の新型インフルエンザは、当初は5月9日に成田空港での検疫が最初で、国内初の感染者は16日の神戸とされていました。
しかし実際には5月5日には発症者が出ていたことが後でわかり、感染者も各地に広がり、政府の「水際作戦」や「封じ込め」による対処方針は失敗しました。

 国では、発熱した人をすべて“疑いあり”として発熱外来で診療し、感染者は入院させるという方針でしたが、感染しても発症しない人や症状が軽くてすむ場合もあります。
すべての感染者を捕捉することは不可能で、しかもウイルスは潜伏期で発症する前から周囲へ拡散します。
現実には感染しても普通のかぜだと思って地域の医療機関に行った人も多かったと見られます。

医師会などとの協議を進めるべき

 5月下旬以降、久喜市や周辺地域でも感染者が発生しましたが、今後は普通のインフルエンザと同様に2次、3次の流行を起こすと考えられています。
その際には患者を“発熱外来”といった特別の医療機関で“隔離”する方法は現実的ではありません。
地域の医療機関で診療せざるを得ないことを想定して、地域の診療体制をバックアップしていくために、地域の医師会などとの協議を進めることについて、市の見解をただしました。

 また今後、さらに新型インフルエンザの流行があった場合、感染者に関する情報などをどのように管理するのか、県⇔市⇔医師会などの間でどのように情報共有をはかっていくのか、さらにそれらの情報をどのように市民に提供していくか、今回の経過を十分に検証しなければなりません。

 一方で、“風評被害”や感染者に対する差別・偏見はあってはなりませんし、感染者がでた地域を“危険地帯”視したりする必要もありません。
そのための情報管理と正確な情報提供のマニュアルを整備しておくことも求めました。


「混合型血管奇形」とは何か
2008/12/20

 12月219日、市議会本会議で、「『混合型血管奇形」の難病指定を求める意見書」が全会一致で可決されました。
 宮代町のS君(7歳)はこの病気にかかっていますが、難病指定もされていないため、有効な治療法も解明されていない状態のもとで、生活にたいへんな困難を抱えています。
 今年10月に、県内東部地域の議員や市民で作っている「政治改革ネット」の勉強会で、S君のお母さんのお話を聞く機会があり、私たちにできる限りの支援をしていくことになりました。
 まずは各市長議会で「政府に対する意見書」を上げていくことになり、久喜市議会でも私たちが提案して、他の会派の議員たちにも呼びかけました。

 12月定例議会で、国(厚生労働省など)にたいする意見書が可決されたのは、久喜市議会と、宮代町、三郷市、越谷市、草加市、吉川市、和光市の7議会です。
 来年の2月から3月の議会でさらに採択、可決が増えると見られます。

 以下は私の賛成討論です。

混合型血管奇形の難病指定を求める意見書に対する、猪股の賛成討論

 私たちの回りにはいろいろな難病を抱えて生活している人たちが大勢います。

 国が認定している難病は123疾患にのぼりますが、しかし現実には、国の認定に入らないたくさんの難病があります。混合型血管奇形もその一つです。
この病気の原因、治療法、患者数も明らかでなく、いまだに難病の認定も得られず、行政の支援も得られずに放置されています。

 この病気の認知度は非常に低く、医師や専門家でも知っている人は一部に限られており、専門的な知識と治療技術を持った医師は、全国で10人とも言われていますが、それでさえ、対症療法的な治療が施されているに過ぎません。

 昨年、岐阜県で6歳の女の子がこの病気にかかっていることがわかり、支援の運動はまたたく間に県内に広がり、昨年中に、岐阜県議会と岐阜県内の全自治体で、難病指定と国の支援を求める意見書が採択されました。

 そして埼玉県でも、この病気を持った7歳の子供とその親が宮代町で助けを求める声をあげ、私たちの身近なところで、この病気が少しずつ知られるようになったのは、ようやく今年のことです。

 この病気の名称についてですが、支援活動をしている「混合型血管奇形の難病指定を求める会」の名称にもある通り、この意見書でも混合型血管奇形と言っていますが、他にも「母斑病」、あるいはこの病気が四肢に現れたものを「クリッペルウェーバー症候群」とも呼ばれています。

 この病気に対して、行政としての何らかの支援制度を持っている自治体は、全国で唯一東京都です。
東京都ではこの「母斑病」別名「クリッペルウェーバー症候群」を都単独指定難病医療費等助成制度の対象として認定しています。

 当事者と回りの支援の方々が、今取り組んでいることは、まずはこの病気について多くの人に知ってもらうこと、そして国に対して難病指定を求める運動を進めること、そして東京都のように自治体単独で、この病気に対する独自の支援策を講ずるよう求めています。

 今、県内の、東部地区を中心にして、市町議会での意見書採択が進んでいます。16日には吉川市議会、越谷市議会、17日には三郷市議会、18日には草加市議会で意見書が可決されたという情報が入っていますが、さらにいくつかの議会で可決される見通しと聞いています。3月議会ではさらに多くの自治体で意見書が提案される見通しであり、運動は少しずつ広がってきています。

 難病指定の要件は、
@希少性、
A原因不明、
B効果的な治療法が未確立であること、
C生活面への長期にわたる支障があることとされ、
さらに疾患が社会的に認知されていることが必要です。
この4つの条件のもとに厚労省が指定し、難病指定されると国からの研究費用が支出され、研究班が発足し、これにより病気の解明と治療方法の発見へつながる希望が持てることになります。

 患者とその家族、支援の方々は、一刻も早く、この病気に対する社会の関心が広がり、難病指定への道が開けることを待ち望んでいます。そのための第1歩として、この意見書があるということを述べて、賛成討論とします。

可決された意見書の全文です。

「混合型血管奇形」の難病指定を求める意見書

 「混合型血管奇形」は、静脈・動腺・毛細血管・リンパ管のうち複数の血管の先天他形成不全をいい、体幹から四肢にかけて大小の腫瘍や癌のような症状が見られる。
血管の形成が不完全で脆弱なことから、患部は外傷により大量出血を起こす恐れやウイルス等の細菌に感染すると患部全体に広がり生令の危険にさらされる恐れのある病気である。
こうしたことから、安静保持が必要で、日常生活が著しく制限されることとなっている。
また、患部には血管が異常に成長し栄養過剰となることなどからか、成長に伴って下肢長差、背骨の変形異常といった症状が現れてきている。

 この病気の専門医は国内でも極めて少なく患者数の正確な統計もないという状況である。
しかし現在のところ、一般人はもとより、医師や難病対策に関わっている専門家の間でも認知度は低く、また、病気の原因さえ解明されていないのが現実である。

 さらには難病に指定されていないため、その治療方法も確立されておらず有効な改善策が見当たらない現状である。
また、医療や生活の支援もないため、患者や家族にとって精神的、経済的な負担は非常に大きなものとなっている。

 よって、国におかれては、「混合型血管奇形」を難病に指定することにより、早期に原因の解明や治療方法の研究、確立を図るとともに、患者が安心して治療を受けられる支援を行うよう要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成20年12月  日

久喜市議会

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣

300床で新病院の体制はどうなる
地域医療ネットをどう考えるか

2008年6月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』360号 2008/7/15

【6月市議会の一般質問です。】

 久喜新病院が当初計画の192床から300床に増えることによって、病院の基本計画などがどう変わってくるのか、明らかにするよう求めました。

 市の答弁は、300床になっても診療科目や医療体制の変更はなく、周産期医療や小児科などは設けない。
医師は28人から40人に増員する予定で、医師の確保はたいへんむずかしいが努力している。
また300床に増えたことによる財政シミュレーションについても厚生連で策定しているというものでした。
新病院の具体的な計画はJA厚生連で策定するので、市は直接には関与しないとされていますが、市が35億円の補助金を出すのですから、市民に明らかにするよう求めました。

 3月にJA厚生連と市、医師会などの参加で久喜市医療体制等推進協議会が開かれています。
地域の病病連携・病診連携を進め、地域完結型医療のネットワークをどう作っていくかということが課題とされていますが、今後の協議計画についてはまだはっきりとは決まっていません。

 私はさらに、久喜新病院を中心というだけでなく、済生会病院を含めた地域医療体制をどう作っていくかという観点が必要ではないかと提起しましたが、それは今後の課題であって、現在のところは久喜市内の医療体制の問題として考えるということでした。


久喜総合病院の計画と課題は
『声と眼』354号 2008/4/10

 3月24日、久喜市はJA埼玉厚生連と「久喜総合病院の整備及び運営等に関する協定書」を締結しました。
病院は2011年4月にオープンし、病床数300ベッド、診療科目は内科・呼吸器科・消化器科・循環器科・外科・整形外科・脳神経外科・泌尿器科・婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリ科・放射線科・麻酔科14科目、24時間対応可能な二次救急医療体制を確保することが明記されました。

 また、『周産期医療及び小児医療について、地域の医療事情に十分配慮して関係機関と協議し、対応を検討する』ことが記載されています。
周産期医療と小児科は当初の計画にはあったのですが、“近隣で充足されている”として構想からはずされていました。
しかし最近特に産婦人科と小児科の医師不足が問題になっており、市内でも1病院が小児二次救急輪番制をやめるなど状況が変化してきており、新病院で対応できないか、今後の課題になってきそうです。

 久喜総合病院は、地域における病院−診療所の連携体制の中心という位置付けで、そのため救急以外の外来は“地域の医療機関からの紹介のみ”を受け入れる予定です。

 建設費総額は120億円とされていて、久喜市がその内35億8000万円を補助金として負担します。
これは用地取得費用、建物建設費用、医療機器整備費用、周辺整備の費用にあてることになっています。
2007年度4億円、08年度10億円、09、2010年度に10億9000万円ずつ交付します。市は地方債を発行してまかない、利子を含めた負担総額は約38億8200万円と見込んでいます。

 市民や地域の医療関係者の意見を病院運営に反映させるため、JA厚生連が病院に運営協議会を設置することも協定に盛り込まれました。

地域医療ネットワークをどう作るか

 3月28日に「久喜市医療体制等推進協議会」が発足しました。
JA埼玉厚生連から3名(厚生連理事長と幸手総合病院の院長と事務部長)、久喜市医師会4名(医師会会長と理事)、市職員2名(企画政策課長と保健センター所長)、市民4名で構成し、「総合病院の設置に向け、久喜市の地域医療のネットワーク化等を促進する」ことを目的とし、今後の病院と診療所の連携や医療情報提供体制のあり方などについて協議するとしています。
推進協議会の任期は2年で、その後は実質的に運営協議会に引き継がれるため、現実には厚生連や病院側の経営方針に左右されます。

 なお「地域医療体制等推進協議会」は市が設置したものではなく、タテマエ上は“任意の団体”ということになっています。
市の説明によると、行政、JA厚生連、医師会、市民(有志?)が“こういうことを協議していったらいいんじゃないかということで自主的に集まった団体”で、設置主体も事務局もなし。
協議事項の設定も、諮問や答申もなし。
実効性や責任の所在、何をどう話し合っていって結論をどう出していくのか、組織の位置付けはきわめてあいまいです。

合併や済生会病院との関係は?

 地域の医療体制確立の問題は合併問題とも密接にからんできます。総合病院の開設は2011年の計画ですが、市はその前年の2010年に1市3町の合併を実現する予定で合併協議を進めています。

 合併が実現した場合、新市の医療体制の中心は必然的に栗橋の済生会病院が担うことになります。
仮に合併ができなかった場合でも、地域の病院間の連携体制は県内5番目の救急救命センターとして整備される予定の済生会病院を柱に構築していかなければなりません。
地域医療ネットワークの問題は、現在の久喜市という狭い範囲だけで考えるわけにはいきません。


総合病院、300床で2011年開院へ
『声と眼』352号 2008/3/19

 市は2月4日にJA埼玉厚生連と「久喜総合病院の整備及び運営に関する覚書」に調印しました。2011年4月までに開院、ベッド数192以上、市と医師会なども加えた運営協議会の設置などが明記されています。なおベッド数は県の承認によって、300床となる予定です。
 また当初は10年間で40億円の補助金を出す計画でしたが、4年間で35億8000万円に変更となりました。市はその75%の27億円を市債発行でまかない、15年間で償還(返済)し、利息を含めた市の負担額は約38億8000万円となる見込みです。


総合病院の補助金計画を変更
『声と眼』351号 2008/2/25

 市は総合病院の建設に対して40億円の補助金を支出する計画でしたが、これを07年度から4年間で35億8000万円に変更しました。
財源として約27億円を市債で、残りの約9億円を一般財源でまかなう計画で、市債償還(返済)は2022年まで、元利合計は38億8200万円にのぼる見込みです。


「久喜新病院」の起工式
『声と眼』346号 2007/11/26

 11月20日、JA埼玉厚生連・久喜新病院の起工式が行われました。JAや久喜市、埼玉県の関係者、地権者ら約100人が招かれ、市議会議員も21人が出席しました。
 設計監理は日建設計・全国農協設計共同企業体、工事は株式会社間組が請け負い、2010年度完成の予定です。

久喜新病院の起工式(1)

久喜新病院の地鎮祭(2)


食育推進基本計画を策定します
『声と眼』346号 2007/11/23

 11月定例市議会に、「食育推進会議」設置の条例が提案されました。

 05年に食育基本法が制定され、国の食育基本計画が策定されました。
これに基づいて各市町村が「食育推進計画」を策定することになっていて、久喜市でも、計画策定に向けて「食育推進会議」を設置することになりました。
食育推進会議の委員は農業関係者、食品事業関係者、食育ボランティア・消費者団体、公募の市民など20名で構成し、任期2年、基本計画の策定は09年度の予定です。

 食育基本法では「国民一人一人が『食』について改めて意識を高め、自然の恩恵や『食』に関わる人々の様々な活動への感謝の念や理解を深めつつ、『食』に関して信頼できる情報に基づく適切な判断を行う能力を身に付けることによって、心身の健康を増進する健全な食生活を実践するために、今こそ、家庭、学校、保育所、地域等を中心に、国民運動として、食育の推進に取り組んでいくことが、我々に課せられている課題である」と規定しています。

 久喜市議会ではこれまでに、食育行政について次のような市を視察してきました。
▲出雲市(05年に食育のまちづくり条例、06年に食育基本計画を策定)…今年、建設文教委員会視察、
▲東近江市(学校給食基本計画で食育を規定)…昨年、建設文教委員会視察、
▲小浜市(01年、食のまちづくり条例、04年、食育文化都市宣言)…05年に建設文教委員会視察。
▲また昨年は大地でも、南国市(05年に食のまちづくり宣言・食育のまちづくり条例、07年食育基本計画策定)を視察しました。
これらの市に比べて久喜市の「食育」の取り組みはたいへん遅れているのではないでしょうか。


久喜市周辺で次々に総合病院建設構想が動き出した
2007/9/30

 下の記事について、「地域医療支援病院は、すでに済生会栗橋病院が決まって、あと2病院の枠しかない」という指摘がありました。 

埼玉県東部地域、久喜市周辺で、新病院建設構想が次々に明らかになっています。
新聞報道などの情報を総合すると、以下のような計画が具体的に動き出しています。

◆久喜市 「幸手総合病院」の移転で、「久喜新病院」の建設、11月には着工予定
JA埼玉県厚生連が経営
192床
標榜科 14診療科目
医師数28人
建設費120億円、久喜市からの補助金40億円
2011年度オープンの予定
◆幸手市 「医療福祉系大学の付属病院」誘致構想
病院建設予定地は、中学校の統廃合跡地
周産期医療、がん、脳血管障害などに対応する高度専門医療、救命救急医療機能
事業費は大学と病院で55億円
市は、土地の無償貸与、施設を無償譲渡し、事業費用の補助も出す方向
大学を2009年度

病院は2010年度オープンの予定
◆加須市 羽生市の「埼玉医療生活協同組合羽生病院」が移転する計画
花崎地区に移転との計画
現在の羽生病院は、310床
2012年以前にオープンか?
(羽生の土地の借地期限)
◆加須市 都内の「江戸川病院」の誘致を進めている
仁生社江戸川病院
368床
16診療科目
加須駅南側に建設との計画

 これらのいずれもが、「地域医療支援病院制度」の申請を行う方向といわれています。(申請期限は9月28日まで)
 地域医療支援病院として承認されれば、国や県の補助も得られますが、県はすでに6病院を承認しており、残り4病院の枠しかないのが実情です。
 ここに、東部地区で、済生会栗橋病院を含めて4〜5病院が申請することになったとしても、承認はその内1〜2病院だろうとされ、非常に厳しい状況です。


総合病院の計画、きちんと説明を
2007年6月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』339号 2007/8/1

 4月に久喜新病院建設基本構想が公表されましたが、市民が安心してかかれる病院になるのかどうか、内容を明らかにしながら進めるべきです。

 基本構想では、診療科目は14となっています。昨年の事業計画書にあった産婦人科、小児科がなくなった理由としては、大宮に周産期センターが計画されている、久喜は小児医療体制が整っている、小児科や産婦人科の医師の確保が困難などと説明しています。また呼吸器科、消化器科、循環器科はこれまでは内科に含むと思われていましたが独立した診療科目になりました。今後、医師や看護師の確保に全力をあげるとしています。

 要員計画によると医師数が28名で、昨年の計画書の30名から2名減となりました。28名の内訳は内科1,呼吸器科1,消化器科1,循環器科3,外科3,整形外科2,脳神経外科3,泌尿器科3,婦人科1,眼科1,耳鼻咽喉科1,リハビリテーション科1,放射線科1,麻酔科1,救急診療部3名で、この他に非常勤医師も配置する計画です。救急診療は非常勤医師も含めて当直医師3名の24時間体制で対応するということです。

 現実に200床規模では経営的に成り立たないのではないかと危惧されることについては、計画では現在の幸手総合病院と同じ192床ですが、埼玉県の地域医療計画の見直しの中で300床への増を認められるように取り組んでいくとしています。なお、建物は300床にも対応できるとしています。

 建設に要する費用120億円の内訳は、用地費・周辺整備費を合わせて17億5000万円、本体工事費62億9000万円、医療機器36億5000万円(機器購入26億、システムに8億など)、事務費3億5000万円です。−これの財源は、JAの自己資金104億円(内、借入金98億)、久喜市からの補助金16億円(2007〜10年の4年分)を充てます。

 すでに用地買収はほぼ完了していて、建築工事は今年10月に契約し、11月着工の予定です。

★6月議会で、総合病院、医療問題について一般質問をした議員は、木村(共産)、井上(改進)、矢野(大地)、松村(無会派)、猪股(大地)の5人。★


基本健康診査の受診者数が大きく減少
2007年6月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』338号 2007/7/2

 保健センターの基本健康診査は、以前は[誕生月の前後3か月間・予約なし]で受診できていましたが、昨年から[5月から2月まで・いつでも受診可・予約制]に変更になりました。しかしその結果、昨年の受信者数は前年より1081人・13%も減ってしまいました。健康増進法で、自治体は受診促進をはかる責務が規定されています。PRや申し込み、受診方法の改善を求めました。


「新病院建設基本構想」を公表
『声と眼』334号 2007/5/7

 市とJA埼玉厚生連とで協議していた「久喜新病院建設基本構想」がまとまり、4月23日に市へ提出されました。
 建設地は上早見の消防本部西側地域、敷地面積39012u、地上5階建てで延べ床面積22000uとなっています。スケジュールは、今後、今年度から敷地造成、建築工事と並行して、基本計画、運営システム計画、マニュアル策定、基本設計、実施設計などを進めていって2011(平成23)年度に開院の計画になっています。

救命・救急、がん治療を柱に

 「新病院は、高度な医療機器と入院機能を特徴とし、急病人・重症者を入院で治療する施設」と位置付け、「外来部門は、紹介患者、救急患者への窓口としての機能が主」となるとしています。さらに地域の医療機関が「より質の高い医療を効率的に提供するための病診連携・病病連携を推進し、高度医療機器の共同利用や開放型病床等の確保も行い」、「地域医療支援病院」を目標として取り組むとしています。

 診療機能は、「24時間365日、二次レベル以上の救急に対応できる体制」、「代表的なガンに対する標準的な治療を、地域で受けることができるよう、設備陣容を整え、手術、放射線治療、抗癌剤による化学療法等を適切に組み合わせ、集学的な治療体制を構築」するとしています。一方、「周産期医療に関しては、産科や小児科の医師不足が全国的な問題となっており、また、近接する医療圏のさいたま市に周産期母子医療センターが開設されるなど、情勢の変化があることから、診療体制の方向性については、関係機関等と協議しながら、今後そのあり方を検討」するとしています。
【昨年5月に公表された《新病院建設事業計画書》では、救急・救命、周産期、がん治療を3本柱としていました。特に周産期医療では「難産、未熟児、新生児のセンターを目指す」としていましたが、結局できないことになったようです。またがん治療も専門医による診療体制の確立ができるかどうか、疑問も出ています。】

診療科目は14で確定? もっと減る?

 内科、呼吸器科、消化器科、循環器科、外科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科の14科と、救急診療部を設置するとしています。ただし「今後の地域の医療動向、患者動向を考慮し、診療科目の再編を検討する」とも書かれており、再検討の結果次第ではさらに診療科目を整理してしぼる方向も示されました。
【昨年の《事業計画書》では12診療科でしたが、放射線科と循環器科が増え、逆に小児科がなくなっています。また“産婦人科”となっていたのが“婦人科”に変更されました。】

病床数は192、医師数28

 ベッド数はこれまでは「最低300は必要」「300床を目指す」としてきましたが、今度の《基本構想》では192床となりました。そして「地域住民に求められている医療機能として、救急・救命、がん医療を柱とした、急性期の高度医療を提供するためには、更に多くの病床が必要となります。今後、行政並びに医師会等と協議しながら、必要病床数の整備を行います」としていますが、現実には増床は認められない状況であるため、192床で確定したものと見られます。

要員計画では医師28人、看護職182人など全部で305人となっています。
【《事業計画書》では医師30人、看護職200人など全部で350人となっていましたから、要員計画は大幅に縮小されました。】


総合病院の計画はどうなっている?
2006年11月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』327号 2007/1/15

幸手総合病院の移転・久喜新病院の建設は、これまでに明らかにされた大まかな計画では、2009年頃に着工、工事期間は2年とされています。
現在は基本構想策定の段階ということですが、その進捗状況や内容は明らかになっていません。

 昨年5月の医療懇話会にJA厚生連が作成した「新病院事業計画書案」が配布され、これによると、新病院の機能は、◆救急救命、◆周産期医療、◆ガン治療の『3本柱』となっていましたが、これらが基本構想でどのように変わるのか、どのような病院を作っていくのか、方向が見えていません。
それらの内容を明らかにするよう求めました。

 議会での答弁は、「事業計画書が基本構想のベースとなる。医療懇話会の提言を基本構想に反映させるようJAに要望していく」が、「基本構想はJAが作成するものである」というのが市の見解です。
3本柱についても「救急救命は必要だが、周産期医療が必要かどうか」とも答えています。
また、新病院は急性期医療を扱い、現在の幸手総合病院にある高齢者の療養型病床はなくして、「慢性期医療は地域の医療機関にお願いしていく」方向です。
−私は、これらの検討・協議経過についても市民に明らかにしながら進めるように求めましたが、市は「市民に対して、不確定な段階で情報として出すことには危惧がある」と答弁しています。こうした姿勢は疑問です。

基本構想はこれまでに言われてきた「12診療科、300床、医師数30名」で考えていくとしていますが、実際には192床しか確保できません。
また、現実に12もの診療科目を維持できるのかという疑問も出ています。市は答弁で「重点化、病院・医療機関の役割分担」についても言及しており、今後、計画の変更もありそうです。

 また、新病院の計画を作成していく上で、地域の医師会との協力体制が不可欠です。
そのために綿密な連携・協議が必要です。
当然、久喜市も協議の場に加わるべきだと思うのですが、市は、「JA厚生連が医師会と協議に入ったと聞いている。きわめて専門的な問題であり、いっしょに協議していくかどうか…」「事業の実施主体はJA厚生連であり、市が入っていけるかむずかしい」と、なぜか消極的な答弁でした。

 久喜市は120億円の建設費の内、40億円を負担することになっていて、市民の生命・健康を守る医療体制の中核的な役割を担う病院です。
基本構想・計画策定や医師会との協議についても、JAとともに久喜市も全面的に共同の責任を負っていくべきではないでしょうか。


健康診査の受診方法変更の影響は
2006年9月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』322号 2006/10/19

 基本健康診査の受診方法が、昨年度までは、誕生月の前後3か月間であれば、基本的に予約なしで受診できたのですが、今年度からは5月から2月までの間でいつでも受診でき、予約制となりました。
−市民からは、
Kいつでも受診できて受けやすくなった、
K予約が必要で不便になった、
K毎年の誕生月に定期的に受診していたが、4月に「お知らせ」が来てしまうので忘れそう、
K(お医者さんから)今までは毎月ほぼ平均していたが、今度は年度の前半に集中するのではないかなど、いろいろな声が出ています。
今年7月までの受診者数は2138人(昨年は2275人)で少し減っています。今後の推移を見てさらに受診しやすい方法を検討するよう求めました。


「新病院」の構想を明らかにすべき
『声と眼』321号 2006/9/25

 幸手総合病院の移転・久喜新病院の建設は、経営主体であるJA埼玉県厚生連が建設場所を久喜市上早見の久喜地区消防本部西側に決定し、埼玉県に「農地の除外申請」を出していますが、許可が出るまで1年くらいはかかるといわれます。
 これまで、今年度に用地確保、引き続いて構想の策定や設計を進めていって、09年に着工という大まかなスケジュールとJA厚生連が作った「計画案」が公表されていますが、具体的な見通しはいまだ不透明です。
市当局は、新病院の構想はJA厚生連が策定すると言っていますが、40億円の財政支援を決めた以上、久喜市は第三者ではありえません。
市民に対して「新病院」の基本的な計画と問題点についても、きちんと説明すべきではないでしょうか。

▼192床で経営が成り立つのか。市から経営に対する財政支援が必要になってくるのではないか。
▼目標としている300床への増床はきわめて困難といわれるが、どのような見通しがあるのか。
▼12診療科に加え、「救急・救命、周産期医療、ガン治療の3本柱」を掲げているが、現実に医師30人で対応できるのか。
▼特に心臓や脳疾患の救急を、24時間いつでも受け入れられる医療体制をどう確保していくのか。
▼外来部門は紹介患者と救急だけとしているが、地域の診療所との連携をどう作っていくのか。


公共施設での分煙対策進む
2006年6月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』318号 2006/8/7

 公共施設での“禁煙・分煙”の取り組み状況を質問しました。
−▲7月1日から市内の小中学校敷地内で禁煙を実施、
▲ふれあいセンター、けやきの木やいちょうの木などの福祉施設で館内禁煙を実施しました。
▲市役所庁舎は、1階は喫煙所を建物の外に移動、2〜4階は会議室などを喫煙所に指定しましたが、5階は相変わらず廊下が喫煙場所になっています。
なお、市長室や議長室は最初から検討対象外? 特別扱いのようです。


幸手総合病院の移転、計画の概要
『声と眼』315号 2006/6/19

 4月にJA埼玉県厚生連の経営管理委員会が、幸手総合病院の移転建設用地を、久喜地区消防組合本部の西側(さいたま栗橋線西側の上早見)に決定しましたが、5月に開かれた久喜市医療懇話会で、厚生連が策定した「(仮称)久喜新病院建設事業計画書(案)」が提示されました。
 新病院建設の理念および基本方針としては、「久喜新病院は公的病院の使命として急性期の高度医療を担い、地域医療を支援する病院としての役割を担う」。
地域医療との関係では「診療所が外来でできることはなるべくそちらにお願いし、病院は急病人、重症者を入院で治療する施設となる。
外来部門は紹介患者、救急患者への窓口としての業務が主となる」としています。

 さらに基本構想の具体的な考え方として、「救急・救命・周産期、がん治療が三本柱」として、「24時間365日2次レベルの救急に対応できる態勢と設備を整える」「難産、未熟児、新生児のセンターをめざす」「代表的ながんに対する標準的な治療を地域で受けることができるよう、設備陣容を整える」とし、
◆施設概要では、39330u、病床数192床、12診療科、1日平均入院患者数182人、外来患者数384人、
◆要員計画では医師30人、看護職200人など職員総数350人としています。
 一方、幸手総合病院の院長は『病床数は最低で300床必要ですが、医療計画の中の病床規制下では増床が認められるかどうかは県行政の権限に委ねられています。

必要財源をどうするか、医療スタッフをいかに充足するか、特に質の高い医師を数多く集める必要があり、大きな課題です』
『病院機能としては、急性期の入院に特化して、救急・救命、周産期、がん治療を3本の柱として運営されます。
外来は基本的に紹介制で、救急患者と紹介患者の診察が主たる外来業務です。軽傷で紹介状のない方、落ちついた慢性期通院の方は近隣のかかりつけ医に行ってもらいます』と説明しています。
ー経営的には300床が必要としながら、現実には192床で建設することになるわけで、そのギャップをどうするかが最大の問題ということになります。


幸手市議会が“病院移転問題”の決議
『声と眼』312号 2006/5/8

 幸手総合病院の久喜市内への移転問題について、幸手市側の反発が強まっています。
 幸手市議会で3月17日に、『JA厚生連総合病院の存続移転問題に関する決議』が提出され可決し、市議会として幸手市長に対し、「厚生連との協議の継続、久喜市長に対する協議の申し入れ、幸手市民に対する説明責任を果たすこと」を求めています。
ーー幸手市民や市議会が、JA厚生連の久喜市移転の決定に納得せず、再検討を求めていく構えを示したものです。


久喜市議会有志が緊急要望書

 4月11日にはJA厚生連が、建設位置を久喜市上早見(久喜地区消防本部西側)に決定しました。ー建設場所を巡っては、幸手市民にも配慮する立場から、久喜駅東側の幸手市に近い場所にすべきという意見が出されていたのですが、結果的には正反対の場所になってしまいました。
 そうした中、市議会有志(会派・市民力21のメンバー)6名の連名で、『厚生連病院の誘致に関する緊急要望書』が市長に提出されました。

ーー「建設位置の決定に際し、久喜市は東側との声があるということを伝えたのみで、場所についての働きかけをしていない。それは40億円という大きな財政支援をする自治体として基本的な責任を果たしていない。近隣の自治体と対立や決裂の関係にすることは許されない。街の将来を誤る危険を高める。近隣自治体のリーダー的中心的役割を担っていきたいという市長の発言に逆行する」などとした上で、
「@建設場所について、久喜市の考え方と希望を厚生連に要請し、再検討を求めること、
A病院問題を幸手市とよく話し合い合意を形成して、共同して厚生連に働きかけをすること、
B市の公金を投入するのであるから、土地は市の財産として購入し貸与する、周辺整備を市の支援分で行う、広域医療化を鑑み、近隣市町を取り込み、医療体制の内容、財政面についても綿密に協議し合意形成を図るなど、具体的に財政支援の形が残るようにすること」を求めています。

 これまでの市当局の説明では、久喜市の40億円の財政負担は建物建設や医療機器購入費の一部に充てられ、土地購入や周辺整備は厚生連が行うとされています。

ーーなお、大地は今回の緊急要望書の署名には加わっていません。


幸手総合病院の移転場所が“決定”
『声と眼』311号 2006/4/17

 4月11日の市議会全員協議会で、市長から「幸手総合病院の移転予定地」について報告がありました。「JA厚生連が新病院の建設予定地を、久喜地区消防本部西側の上早見地内に決定したという連絡が入った」ということです。
◆民家を含まない4ヘクタール程度の用地が確保できる、
◆幹線道路に隣接・近接している、
◆適正価格が見込める、などが決定の理由とされていますが、以前からウワサに上っていた場所です。

 市議会の一部からは、「幸手市側への配慮からできるだけ幸手に近い場所を選定するようJAに働きかけるべきだ」という意見も出ていましたが、特に考慮されることはなかったようです。


幸手総合病院の移転場所、予定地は久喜地区消防本部の西側(上早見・さいたま栗橋線の西側)に“決定”
2006/4/11

 4月11日、久喜市議会全員協議会が開かれ、幸手総合病院の移転=JA厚生連はもう「移転」という言葉は使わず、「久喜の新病院の建設」と言っているのですが、建設予定地が決まったという報告がありました。
 今日の午前中に、JA厚生連の経営管理委員会と経営改善委員会の合同会議が開かれ、その場で、建設予定地を、久喜地区消防本部の西側・上早見地区とすることを決定したとのことです。
 私は、その「決定」の意味は“地権者のある程度の了解を取った上での決定なのか”、あるいは、“地権者との説明や折衝はこれからで、JA厚生連の方針として決定したという意味なのか”を聞いたのですが、久喜市当局からははっきりとした説明はありませんでした。
 なお、久喜市は4月から企画財政部政策課の中に、「総合的病院誘致推進室」を設置し、専任職員2名を配置しています。
 JA厚生連も、幸手総合病院内に、「久喜市新病院建設委員会」を設け、専任職員を配置したそうです。

 これまで、病院建設の位置については、さまざまな憶測や推測が飛び交っていました。
 また、幸手市側への配慮から、久喜市内でもできるだけ幸手市に近い場所(青毛の葛西用水沿いの農地や吉羽の下水処理場の近辺)に配置するよう主張する意見、さらには、久喜市としてJAに対して東側に決定するよう主張するべきだという意見も出ていましたが、幸手市への配慮はゼロという結果になりました。
 またまた幸手市側からの反発が強まることになりそうです。


受動喫煙の防止、禁煙行政推進を
2006年2月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』310号 2006/3/29

 市の公共施設では、市役所が“分煙”(各階ごとに喫煙コーナー)、文化会館は“施設内禁煙”、ふれあいセンターが“分煙”(1、3階に喫煙コーナー)、総合体育館や運動公園は“敷地内禁煙”などとなっています。
また、学校では本町小と青毛小が“敷地内禁煙”ですが、他は施設内禁煙と喫煙コーナーの設置半々です。

◆健康増進法25条では、不特定多数の者が利用する施設では、利用者に受動喫煙(他人のたばこの煙を吸わされる)を防止するよう務めることになっています。
ーー本人の喫煙は自由ですが、受動喫煙防止のために施設内禁煙や分煙を強化するよう求めました。

 当局は「施設内禁煙を基本としていくが、敷地内禁煙とするのが望ましい」と答弁。また子どもたちの受動喫煙をなくすために「小中学校は敷地内禁煙としていく」方針を明らかにしました。
 さらに、久喜市政として、“禁煙行政”を進めていくよう求めました。【『たばこ規制枠組条約』が2005年5月に発効しました。】

★ーー実は市役所内でいちばん“煙害”がひどいのは4階の市議会議場脇のロビーで、議会開催中はいつでも煙が立ちこめています。
ここなどはすぐに禁煙にすべきです。
【現在、議員の喫煙者は6人くらい。市長・助役、市幹部は喫煙率が高い。】


久喜市への総合病院「誘致」問題の動き……2004〜2006  3月10日まで
2006/3/10

 2004年以降の、幸手総合病院の久喜市への移転の話の動きを、整理して記します。
 しかし、まだこの表は未整理です。議会の動き、等々、これから追加していきます。

久喜市の動き
JA埼玉厚生連の動き
幸手市の動き
2004
「医療を考える会」が、「総合病院の実現に向けて、医療懇話会を設置するよう求める請願署名」を取り組む
並行的に、「幸手総合病院の久喜市内への移転」のウワサが飛び交う
24 2月定例市議会代表質問で、猪股が「幸手総合病院の久喜市内への移転のウワサ」について、市長の見解をただす。
市長は、「総合病院移転に関するウワサについては承知していない。
医療環境の整備については重要な課題であり、市民要望が高いことから、引き続き情報収集に努めていく」と答弁
「埼玉県久喜地域 新病院整備計画基礎調査」がJA埼玉厚生連に提出される
(JA埼玉厚生連が、コンサルタント会社・アイテック株式会社に委託して作成したものといわれる)
「久喜市を建設候補地とする場合」という表現が、初めて出てくる
「市立病院以外の経営主体が経営内容のよい黒字病院として経営しても、
…(略)…病院経営が立ちゆかないことを意味しており、その不足分を補う何らかの財源(充当財源)が必要となる」とも明記
2月定例市議会。医療を考える市民の会」による『医療懇話会の設置を求める請願署名』を進めていたが、「陳情」に切り替えて提出
JA埼玉厚生連から、久喜市に対して、
「幸手総合病院の移転について、久喜市が移転の候補地の一つである」という意向が示される。
(この話は後に、「久喜市が移転の最有力候補地であるという意向が示された」という言い方に変化していった)

なお、この「意向表明」は秘密とされ、2005年6月まで公表されることはなかった。
幸手市の合併推進派のビラで、「幸手総合病院の院長に確認したところ、移転などという話は嘘」と明記
19 合併住民投票で、幸手市・鷲宮町は賛成多数、久喜市は反対多数で、合併は破綻
28 市議会に提出されていた、医療を考える市民の会」による『医療懇話会の設置を求める請願署名』(2014名)は、
議会の結論は“趣旨採択”。
もともとの文書では「総合病院」の文字が入っていたが、このままでは否決するという圧力があったため、「総合病院」の文字は削除された。
12 砂川議員の質問に、田中市長が答弁
「総合病院を初め、現在市民要望が高い公共施設建設につきまして手つかずのものが病院のほかにも幾つかあるわけであります。
…(略)…
しかし現在の市の財政状況を見たときに総合病院の設置につきましては厳しい状況というふうに認識をいたしております」
砂川議員の質問に対する答弁で、健康福祉部長が、「医療懇話会の設置に向けて検討している」ことを明らかにする
12 21 市議会で、「総合病院の設置を求める請願」(1万2222名)も、“趣旨採択”
2005
22 市議会2月定例会、代表質問で、市長が初めて、「医療懇話会を設置する」方針を表明
16 JA埼玉厚生連と久喜市との意見交換会
「幸手総合病院の現状と将来構想」について、厚生連から説明
JA埼玉厚生連と久喜市との意見交換会
「幸手総合病院の現状と将来構想」について、意見交換
22 JA埼玉厚生連経営管理委員会
新病院建設のための調査・研究を進めることを承認
25 JA埼玉厚生連と久喜市との意見交換会
幸手総合病院院長が、久喜市に対して、「幸手総合病院の将来構想」を説明
16 幸手市に、JA埼玉厚生連・鈴木会長と幸手総合病院院長が訪問
「幸手総合病院を移転」の考えを伝える
16 幸手市に、JA埼玉厚生連・鈴木会長と幸手総合病院院長が再度訪問
「幸手市に一部機能を残し、基幹部分を久喜市に移転」という意思表示を行う
16 幸手市議会全員協議会で、JA埼玉厚生連からの意向を報告
17 幸手総合病院が久喜市へ移転する方針が、いっせいに新聞報道
18 JA埼玉厚生連経営管理委員会
「幸手総合病院の久喜市への移転について、継続検討することを確認
21 久喜市議会全員協議会を開催、市長から説明
23 「医療懇話会」第1回会議…今後の会議の進め方について
市長選に向けての、田中市長のマニフェスト「政策実行計画」を公表
「総合的病院の誘致(救急医療体制の整備)を推進します」と明記
幸手市が庁内に「幸手総合病院移転阻止対策委員会」を設置(委員長は市長が務める)
幸手市長、厚生連理事長、みずほ農協との協議。
新聞報道について、JA側から、「具体的な移転の話はない。今後は新役員で対応する」と表明
幸手市長と議長が、みずほ農協管内の市町の首長を訪問。移転阻止のための協力を要請
11 みずほ農協が、JA埼玉厚生連に対して、「移転阻止」の要請書(申し入れ)を提出
15 幸手市議会全員協議会で、7月4日の経過について報告
JA埼玉厚生連経営管理委員会副会長が幸手市を訪問。この間の経過について、「今は白紙の状態である」と説明
医療懇話会の第2回会議…医療を取り巻く諸問題について、幸手保健所長の講演
久喜市長選挙で、田中市長が「幸手総合病院の久喜市内への誘致」を前面に掲げる
28 久喜市長選挙で、田中市長が3選
田中市長が記者会見で、「任期中に着工」を表明
22 JA厚生連と久喜市で事務打合せ会
移転についての状況確認と意見交換、今後の対応について協議
28 9月定例市議会、各会派の代表質問に対して、田中市長が初めて公式に議会の場で、「幸手総合病院の誘致実現」を表明
10 14 JA厚生連と久喜市で事務打合せ会
都市計画法の改正で、市街地以外への立地は困難になることを踏まえ、今後の対応について協議
10 17 医療懇話会第3回会議…久喜市の医療の現状についての意見交換
11 みずほ農協管内(幸手市、杉戸町、鷲宮町、栗橋町)の主張と議長に対して、JA埼玉厚生連が説明
「幸手総合病院の経営困難で、今後、廃止し取り壊すか、どこかへ新築移転するか、2つに1つを選ばざるを得ない」
「(幸手市と久喜市との)コンペ方式になる」ことを表明
11 15 JA厚生連と久喜市で事務打合せ会
一般的に病院を整備していく場合のスケジュール(案)について、コンサルタントから説明
11 21 JA埼玉厚生連・経営管理委員会、経営改善院会合同会議
「新天地を求めて調査研究をしていく」との方針を確認
11 21 幸手市議会全員協議会で、4日のみずほ農協管内市町への説明について報告
12 13 JA厚生連と久喜市で事務打合せ会
件の関係各課への調整をできるだけ早い段階で行う必要があることを確認
12 22 JA埼玉厚生連・経営管理委員会、経営改善委員会合同会議
「久喜市および幸手市に対して、新病院新築移転に係る財政支援要請をしていく」ことを確認
12 26 市長、議長がJA埼玉厚生連を訪問し、「市が応分の財政負担をしていく考えがある」旨を伝える
2006
11 JA埼玉厚生連・江原会長が久喜市を訪問
久喜市長あてに、「新病院新築移転に係る財政支援要請について」を提出
16 久喜市議会全員協議会で説明
「1月11日に、JA埼玉厚生連から、50億円の財政支援要請があった」ことを報告
19 JA埼玉厚生連から、幸手市に、「財政支援要請」を提出。久喜市と同じく、50億円
20 久喜市と幸手市に対して、財政支援を要請したことが、いっせいに新聞報道される。
幸手市長が記者会見
「これだけ重大な問題について、2月15日までの回答はできない。市議会とも十分検討し、市としてできる範囲の回答をしたい」
「久喜市に移転する意図があっての要請なら理不尽」と不快感を示した。
JA埼玉厚生連から、回答期限延長の連絡があった…「2月末日まで」
13 幸手市議会全員協議会で、市長が「財政支援要請」について説明
27 久喜市議会本会議、代表質問で、各会派から総合病院移転問題で質問
27 久喜市議会全員協議会で、JA埼玉厚生連への回答内容について説明
「総事業費120億円の内、40億円を財政支援する。09年度から10年間の均等割」
28 久喜市議会本会議一般質問、幸手総合病院移転問題で、松村市議が質問
「広域的な病院であれば、久喜市単独でなく、近隣市町に配慮すべき。
財政支援は久喜市単独ではなく、近隣市町の広域的な共同で行うべき。建設位置も幸手市に近いところにすべき」
28 久喜市議会本会議一般質問、幸手総合病院移転問題で、猪股市議が質問
「総事業費120億円の根拠(少なすぎるのではないか)。民間病院に公的資金から支援することの公正性と公平性は?
 200床で経営が成り立つか。将来的に運営費に対する支援をすることはない?」
28 久喜市から、JA埼玉県厚生連へ、文書にて回答書を提出
久喜市内などに、建設位置が決まったというウワサが飛び交うが、ほとんどは憶測に基づくインチキ情報と見られる。
幸手市が、JA埼玉厚生連に、回答書を提出
「新病院建設用地として、4万uを市が地権者から借り上げて整備し、無償貸与する」と。
JA埼玉厚生連の経営管理委員会・経営改善対策委員会の合同会議で、「久喜市への移転」を機関決定
11 JA埼玉厚生連の経営管理委員会・経営改善対策委員会の合同会議で、「移転場所は、久喜市上早見(消防本部西側」に機関決定
11 久喜市議会全員協議会で、田中市長が病院移転用地の決定について、報告
17 幸手市が厚生連側に「厚生連幸手総合病院の移転問題に伴う要請書」を提出。以下の説明を求めている。
・厚生連が久喜市移転を決めた選定基準についての具体的な説明
・周辺の住民に対する移転説明会

幸手総合病院の久喜市内への移転、JA埼玉厚生連が決定
2006/3/10

 幸手総合病院の誘致問題は、JA埼玉厚生連理事長が久喜市を訪れて、『久喜市内に移転、新病院を建設する』方針が伝えられました。
 1月11日のJAからの財政支援要請に対して、久喜市が2月28日に「10年間で40億円の支援」を回答、一方、幸手市は、3月8日、「建設用地4万uを幸手市が整備して無償貸与」と回答していました。
 JA埼玉厚生連は3月9日に、経営管理委員会と経営改善対策委員会の合同会議を開き、両市の回答を検討した結果、「久喜市に移転」を正式に機関決定したとのことです。

 これにより、今後、2006年度に基本計画の策定、07〜08年度に基本設計と実施計画の策定、09年度に着工し、2011年度に開院の予定で進むことになりますが、田中市長も言うとおり、「病院を実現するためには、まだまだ越えなければならないハードルがある」のも事実です。
 その第1は、財政です。09年度から10年間にわたって、毎年4億円の財政支援を行うことを約束したわけですが、久喜市の財政にとって、この負担が耐えられるか。他の事業や施策にしわ寄せがいったり、サービス低下、市民負担増にならないか。

 第2は、病院の基本計画、経営計画ができてみないとわかりませんが、192ベッドで経営が成り立つのかという疑問です。
 これまで幸手で、192床でやってきて経営がうまくいかなかったのに、久喜でも同じ192床で、経営できるのかどうか。
 建設事業費120億の内、JAが80億円を初期投資することになります。
条件設定は少々異なるのですが、幸手総合病院の移転を最初に検討調査した「埼玉県久喜地域 新病院整備計画基礎調査」報告書によると、新病院開院後、16〜22年間は赤字の状態が続く、開院後5年間で15億〜18億円の資金が不足するとされています。
 この報告書にはさらに、「市立病院以外の経営主体が経営内容のよい黒字病院として経営しても、…病院経営が立ちゆかないことを意味しており、その不足分を補う何らかの財源(充当財源)が必要となる。」とも書かれています。
つまり、新病院が、慢性赤字病院となる危険性、それを市からの公的資金を投入し続けなければならない可能性が示唆されています。

 第3には、病院建設地をどこに決めるのかという問題です。
 この報告書では、JRの東側、幸手市に近い場所を想定しているのですが、今のところ、市役所よりもさらに西側という説が有力です。病院へのアクセスも、久喜市民ばかりでなく、近隣地域の住民にとって利用しやすい病院でなくてはなりません。

 第4には、今後の近隣市町との関係が課題になってきます。
 今回の問題で、田中市長は幸手市長と特に話もしていないし、今後もする考えはないとしています。みずほ農協を構成する幸手市、杉戸町、鷲宮町、栗橋町などの行政・議会関係者からはきわめて厳しい反発が出ています。その他の近隣の町からも批判的に見られているのが実情です。
今後の広域的な行政ができるのか。田中市長の政治力が問われます。


「選定基準」では、当初から、久喜市を前提としていたらしい

 JA埼玉厚生連から、「久喜市内への移転を決定」の通知といっしょに、「新病院新築移転に係る選定理由について」という文書が付されています。
 ここには「選定基準」として、下記の項目が明記されています。

 選定基準

 1.交通アクセス
  (1)道路整備状況
  (2)鉄道
  (3)高速インターチェンジ
 2.人口動態
  (1)将来の人口予測
 3.利根(南)保険医療圏の主要病院配置
 4.患者の医療動向及び地域医療全体の動向  
 5.医師及び看護師配置
 6.財政支援額
 7.病院経営の面から


 これを見る限り、特に、「1.交通アクセス、(3)高速インターチェンジ」が基準の一つに入っているということは、当初から久喜市に移転することを前提とされていたようです。
 


幸手総合病院の移転でJAに財政支援
久喜市は「40億円を負担」と回答

『声と眼』309号 2006/3/6

 幸手総合病院の移転問題で、JA埼玉県厚生連からの「50億円の財政支援」の要請に対して、2月28日、回答書を提出しました。
 27日には市議会全員協議会が開かれ、回答内容について、市長から説明がありました。

@JA厚生連から財政支援要請のあった1月以降、8回の協議をしてきた。
A病床数は192床(現在の幸手総合病院と同じ)
 診療科目は12科ー内科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、胃腸科、産婦人科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、リハビリテーション科、麻酔科
 財政支援要請の時に予定していた、神経内科と皮膚科はなし。胃腸科と麻酔科が加わった。
B幸手総合病院の移転、新病院の建設費用の総事業費は、120億円。ー内訳は、用地費8億(4万u)、道路や下水道の周辺整備費5億、建物建設費60億(延べ床面積14000u)、医療機器47億円とされている。
C病院開設後の運営費や、将来の増床のための費用については支援を行わない。
D久喜市としては、この内、40億円を支援する。
 10年間の均等割で負担し、支援開始時期は、用地買収や開発行為の手続きが終了して着工が確実になった後、着工年度からとする。


 なお、市議会全員協議会で、市長が説明した後で、「この話は、28日の正式回答までは、この場だけにとどめて、公表を控えていただきたい」という「お願い」がありました。“明日までは外部に出さないでほしい”ということです。
−−私自身は、別にあえて宣伝して歩こうなどとも思ってはいませんでしたが、この「お願い」については違和感を感じました。
お願いに対して、私たち議員が「了解した」とかいうことにはなりませんが、市長がこのようなお願いをすること自体、きわめて奇異なことです。
なぜ秘密にしておかなければならないのか、外に漏らしたからといって支障が出てくることはないはずです。

「秘密」「箝口令」ではない!

 28日午前中の一般質問で、松村議員が総合病院移転問題について質問した際、部長が答弁の中で「10年間で40億円を支援したい」とこの中身の一部に触れたところ、新政議員団や公明党の議員から、「今の発言は取り消した方がいい」というヤジが飛びました。ーこの人たちは「箝口令」でもしかれていたと勘違いしていたのでしょうか。
 傍聴の市民も聞いていたのに、いったんしゃべった事実を取り消すことなどできません。支援内容について「市民には秘密」というような態度は、議員自身がみずからの活動をしばるものです。しかも、市民の重大関心事を「市長から頼まれたら、他に漏らさない」という姿勢は、はたして市民の方を向いて議員活動をしているのか、当局の方を向いているのか、議員の資質が問われます。
 民主主義に「箝口令」は似合いません。

★幸手総合病院の「久喜市への移転」は、幸手市民にとっては大問題。市長を先頭に「移転阻止対策委員会」も設置し、反対運動を進めている。話し合いは必要ないのか。★


財政支援の範囲を確認
2006年2月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』309号 2006/3/6

 私は3月1日の一般質問で、「財政支援」の内容についてただしました。
◆「開院後の運営費や増床の際の財政支援はしない。協定書などで確認していく」、
◆200床で病院経営が成り立つのかについては、「JA厚生連の自己責任で経営していただく」、
◆また、他の医療機関(病院)との均衡については、「地域医療体制を整備していくために久喜市が誘致するので、できる限りの負担はしていく」という答弁でした。


総合病院移転問題で、松村議員の一般質問に、田中市長の答弁
2006/3/3

 2月28日、市議会一般質問で、松村議員が総合病院の移転問題で質問しました。
 松村氏の質問趣旨の要旨は以下のようなものでした。
「幸手総合病院の久喜市内への移転は進めなければならないが、周辺市町からも批判的に見られているのは事実である。
「これは単なる移転ではなく、地域の中核的病院の建設であるから、財政支援するにしても、久喜市単独の支援ではなく、幸手も含め周辺市町と広域的に共同で負担する必要があるのではないか。
「移転場所も、できる限り幸手市側に近い場所を選定する必要がある。そのように久喜市として、JAに対して言っていく考えはないか。
「幸手市長に対しても、理解を得るよう協議する必要があるのではないか」。

 久喜市当局(部長)の答弁は、
「広域を対象とした医療機関ではあるが、久喜市民の最大の願いであり、久喜市として誘致するのであって、いわば立地する主体である久喜市の責任で負担していくべきである」
「場所は厚生連が決定する。“この辺の場所”ということは聞いているが、厚生連が決定すれば協力していく立場である」。

 また田中市長は次のように答弁しました。
「千載一遇の好機として財政支援を行っていく」
「大きな病院を設置することになる。移転に成功すれば、久喜市のみならず周辺住民にとっても高度の医療を受けられることになるのだから、そのことで(幸手市民にも)ご理解いただけると思っている。厚生連にがんばってもらうことが、幸手にも理解していただく道である。」
「幸手市長は、これまでも親しくしていただいてきており、いろんな会合で会うたび、親しく話をする、そういう立場である」と答弁。
 最後の発言の趣旨はよくわかりませんが、『この問題で、幸手市長に対し、特に話をしたり、釈明したりするつもりはない』という態度のようです。

 松村氏のみならず、私も、今後も広域的行政間の連携を進めていかなければならないのですから、少なくとも、幸手市長に対して、病院移転問題についての理解を得るための努力くらいはしてもいいのではないか、と思うのですが……。久喜市長はそうした考えがないようで、残念です。



幸手総合病院の移転、久喜市は「40億円を負担」と回答
2006/2/28

 幸手総合病院の誘致問題で、JA埼玉県厚生連から「久喜市に移転するにあたって、50億円の財政支援」を求められていました。その回答期限が2月28日となっていて、回答前に議会に報告するよう求めていました。
 これについて、2月27日、市議会全員協議会が開かれました。

市長から報告があった内容は、以下の通りです。

(1)JA厚生連から財政支援要請のあった1月以降、8回の協議をしてきた。
(2)病床数は192床(現在の幸手総合病院と同じ)
 診療科目は12科ーー内科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、胃腸科、産婦人科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、リハビリテーション科、麻酔科
 財政支援要請の時に予定していた、死ね機内か、皮膚科はなし。胃腸科と麻酔科が加わった。
(3)幸手総合病院の移転、新病院の建設費用の総事業費は、120億円。内訳は、用地費8億、周辺整備費5億、建物建設費60億、医療機器47億円とされている。
(4)病院開設後の運営費や、将来の増床のための費用については支援を行わない。
(5)久喜市としては、この内、40億円を支援すると回答したい。
 10年間の均等割で負担し、支援開始時期は、用地買収や開発行為の手続きが終了して着工が確実になった後、着工年度からとする。
JA厚生連への回答は、翌日の28日に文書で行い、その後、記者発表する。

  なお、市長からは特に、「この話は、28日の正式回答までは、この場限りのものとしていただきたい」というお願いがありました。 
つまり、“明日までは外部に出さないでほしい”ということです。これは“箝口令”ではなく、市長からのお願いに過ぎないもので、外に漏らしたからといって支障が出てくることはないはずです。
 私自身は「今日、明日」の問題であり、別にあえて宣伝して歩こうなどとも思ってはいませんでしたが、この「お願い」については違和感を感じました。
 市長からのお願いについて、私たち議員が「了解した」とか、「出さないと約束する」ということにはなりません。
このようなお願いをすること自体、きわめておかしなことと言わざるをえません。

当局から頼まれたら、知っていることでも漏らしてはいけない?

 28日午前中の一般質問で、松村議員が総合病院移転問題について質問した際、部長が答弁の中で「10年間で40億円を支援したい」とこの問題に触れましたが、新政議員団や公明党の議員から、「今の発言は取り消した方がいい」というヤジが飛び出しました。
 この人たちは「箝口令」が敷かれていたと勘違いしていたようです。
支援内容についていっさい触れてはいけないというような態度は、議員自身がみずからの発言をしばるものです。
しかも、知っていることでも、「市長から頼まれたら、他に漏らさない」という姿勢は、はたして市民の方を向いて議員活動をしているのか、当局の方を向いているのか、その議員の資質が問われます。

民主主義に「箝口令」は似合いません。

幸手総合病院の移転問題
JAから、50億円の財政支援要請

『声と眼』307号 2006/1/30

 幸手総合病院の新築・移転問題で、田中市長が久喜市内への誘致を明言し、幸手市やみずほ農協管内の町は「反対」の姿勢で対立しています。これまでにJAでは、久喜市と幸手市の“条件”次第でどちらに建設するか判断するという方針を明らかにしていました。
 1月11日には、JA埼玉厚生連から久喜市に対して、『新病院新築移転にかかる財政支援要請について』の文書が提出され、「幸手総合病院の移転、新病院整備にあたって、50億円の財政支援を求める」という要請がありました。
 なおJA厚生連と久喜市は、9月以降、4回の「事務打合せ会議」を重ねてきています。その中ですでに久喜市側から、“誘致に際して相当額の財政負担をする”ことを申し入れていた模様です。
 JA側では移転整備にかかる総事業費の見こみ150億円の内、「50億円を久喜市からの財政支援でまかないたい」ということですが、幸手市に対しては19日になって同じ内容の『要請書』を提出しており、どちらの市が、“要請”に応えられるかで、移転(建設)場所を決める方針のようです。

JA厚生連からの要請書の概要

▲幸手総合病院は、現状では救急の対応がむず かしいことや高度医療ができないなど、公的医療機関としての役割を果たせなくなっている。
▲また、建物の老朽化、関連大学からの医師派遣もむずかしくなっており、新病院の建設が緊急の課題となっている。
▲新病院は、久喜市、幸手市、宮代町、白岡町、菖蒲町、栗橋町、鷲宮町、杉戸町の2市6町を圏域とし、新病院の病院機能としては、急性期の入院医療に特化して、救急、救命、周産期、ガン治療を3本柱とした病院が必要である。

病院整備計画

@計画では、
   18年度に基本計画の策定、
   19〜20年度に基本設計と実施計画の策定、
   21〜22年度に建設工事、
   23年度に開院
A規模は当面は192床とし、今後の地域医療計画見直しの中で、300床までの増床を予定する。
B診療科目は12科…内科、小児科、神経内科、外科、整形外科、脳神経外科、産婦人科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、リハビリテーション科
C敷地は4万u、4階建て、市街化調整区域で、道路や駅からのアクセスの便利な場所
D総事業費は、土地、周辺整備を含め,150億円

財政支援の要請金額

 新病院新築移転にかかる費用の内、50億円の財政支援を要請する。
  回答希望期日…2月15日


財政など、検討課題は多い

 総合的病院誘致への市民の期待はますます大きくなっています。一方で久喜市の財政状況にも考慮しながら、今後、総合病院実現までに、多くの課題を検討していかなければなりません。
@JAからの支援要請額である50億円全額を支援するのか。−いつ頃、(何年間で)、どのように支出するのか。
A久喜市の財政計画との整合性はどうなるのか。50億円満額の負担ができるのか。
 現在の久喜市の財政見通しは、05年度から3年間の財源不足額(赤字)が53億円にのぼると試算され、現在、「行財政緊急改革計画」や第4次行政改革実施計画などを策定して、徹底した財政の見直しを進めていますが、これにさらに50億円の負担が加わって、久喜市の財政が耐えられるのか。
 財源をどのように確保するか、明確な財政計画のもとに進める必要があります。市民税の増税や、他のサービス低下と引き替えにすることは許されません。
BJAの整備計画では「用地費や周辺整備費を含めて、総事業費150億円」となっていますが、その内訳、積算根拠は明記されていません。
 はたして150億円でできるのか。実際には、建物の建築費と医療機器の整備だけで150億円はかかるのではないかという見方もあります。
Cまた、用地費と周辺整備費をいくらと見込んでいるのでしょうか。
 以前、理科大誘致の時は、用地買収費は実質的に市が負担し、周辺整備も市が実施。合わせて市の支出が60億でした。
 今度も、実質的に市が用地確保と周辺整備(ほぼ50億円程度?)を行ってJAに協力する形になるのか、それとも久喜市が50億円をJAに提供して、用地買収も周辺整備もJAがやるのでしょうか。
D新病院は将来は300床まで増やす予定としていますが、県の医療計画で増床はたいへん厳しい状況です。
 現在の幸手総合病院は192床ですが、200床程度では病院経営は成り立たないといわれ、新病院開設後も相当期間は赤字経営は必至です。
 それらの経費に対して、久喜市が“財政支援”負担を求められることはないのでしょうか。その見通しも明らかにしておかなければなりません。
E「50億円の支援」が、幸手総合病院を久喜市内に移転する「条件」なのでしょうか。
 JA側は、「50億円を約束すれば移転する。さもなければ移転しない」、あるいは「久喜と幸手とで、多く出す方に建設する」ということでしょうか。こうした「てんびんにかける」やり方に対して、幸手市などからは強い反発も出ています。
 また、みずほ農協管内市町(幸手、杉戸、鷲宮、栗橋)の理解を得ずに進めてしまって、久喜市が近隣市町の反感を買い、将来的に広域行政に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されます。
F久喜市が50億円の財政負担で、総合病院を誘致した場合、久喜市民は救急の際などに、他へ回されたり、夜間などに「体制がないから受け入れできない」というような事態は解消できるのでしょうか。
 JAと久喜市との間でそうした保証や協定を結んでおくことも必要ではないでしょうか。
 市民の期待に応えられる、真に健康を守ることのできる医療体制の整備、そのための総合的病院の実現が求められています。


「50億円の財政支援」が移転の条件か
2006/1/19

下記のJAからの「要請書」の記事で、ある意味で最も大事な視点を見落としていたことに気がつきました。
それは、「50億円の財政支援」が、幸手総合病院を久喜市内に移転する場合の「条件」なのか、ということです。
JA側は、「久喜市が50億円の支出を約束すれば移転する。そうでなければ移転しない」、あるいは、「久喜市と幸手市とで、多く出すと約束した方に建設する」ということなのか、という点について、JAの文書では、どう読んだらいいのでしょうか。


幸手総合病院の久喜市内への移転で、JA側から、「50億円の財政支援要請」があった
2006/1/17

 1月16日に、市議会全員協議会が開かれて、幸手総合病院の誘致に関わる新たな動きが明らかにされました。
 それによると、JA埼玉厚生連から、久喜市に対して、幸手総合病院の久喜市への移転費用の一部として、久喜市が「50億円の財政支援」をしてほしいという「要請書」が提出されました。
 JA厚生連と久喜市は、9月以降、これまでに4回の「事務打合せ会議」を重ねてきており、すでに、“相当額の財政負担をする”ことで協議されてきている模様。
 1月11日に、厚生連の江原会長が久喜市を訪れ、「新病院新築移転にかかる財政支援要請について」の文書を久喜市長に提出したそうです。 

「新病院新築移転にかかる財政支援要請について」の概要

・幸手総合病院は、現状では救急の対応がむずかしいことや高度医療ができないなど、公的医療機関としての役割を果たせなくなっている。
・建物の老朽化、関連大学からの医師派遣もむずかしくなっている。
・新病院の建設が喫緊の課題となっている。

・新病院は、久喜市、幸手市、宮代町、白岡町、菖蒲町、栗橋町、鷲宮町、杉戸町の2市6町を圏域とする。
・新病院の病院機能としては、急性期の入院医療に特化して、救急、救命、周産期、ガン治療を3本柱とした病院が必要である。

新病院整備計画
1.計画年度は、18年度に基本計画の策定、19〜20年度に基本設計と実施計画の策定、21〜22年度に建設工事、23年度に開院
2.規模は当面、192床とし、今後の地域医療計画見直しの中で、300床までの増床を予定する。
3.診療科目は12科……内科、小児科、神経内科、外科、整形外科、脳神経外科、産婦人科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、リハビリテーション科
  他に、集中治療室、救急告示、病院群臨床研修指定、等
4.敷地・4万u
5.市街化調整区域で、道路や駅からのアクセスの便利な場所
6.総事業費は、土地、周辺整備を含め、150億円

久喜市への財政支援金額
 久喜市に移転するにかかる費用の内、、50億円の財政支援を要請する

 回答希望期日……2月15日

 つまり、新病院整備にかかる総事業費を150億円と見込んで、その内、50億円を久喜市からの財政支援でまかないたい、という内容です。
 厚生連は、同じ内容の支援要請書を、幸手市に対しても提出するとしており、どちらの市が、“要請”に応えられるかで、移転(建設)場所を決めるということになります。

新病院建設事業費、久喜市の財政計画など、検討しなければならない課題も多い

 今後、検討しなければならない課題は、たくさんあります。
(1) 久喜市が、要請希望額である、50億円を全額を支援するのか。
  満額を支援するとした場合、いつ頃、(何年間で)、どのように50億円を支出するのか。
(2) その場合、久喜市の財政計画はどうなるのか。
 現在の久喜市の財政見通しは、平成18〜20年度までの3年間の財政不足額(赤字)は53億円と試算されています。
 これに対し、「行財政緊急改革計画」「第4次行政改革大綱」「第4次行政改革実施計画」などを策定して、徹底した財政の見直しを進めていますが、これにさらに、50億円の負担が加わって、久喜市の財政が耐えられるのか。
 その財源を、どのように確保するか、明確な財政計画のもとに進めなければなりません。
(3) 厚生連の要請書では、総事業費150億円とされていますが、その内訳、積算根拠は明記されていません。
 16日の全員協議会でも、私と松村議員が、その内容を明らかにさせるべきであり、久喜市として、その金額が妥当なものであるかの分析・検討をすべきと指摘しました。
 はたして150億円でできるのか、実際にはその倍くらいはかかるのではないか、という見方もあります。

 また、これは「土地、周辺整備を含め150億円」と明記されていますが、
 周辺整備は、JA厚生連がやるのか、久喜市がやる(つまり50億円の中に含まれている)のか。
 土地は、厚生連が買収するのか、久喜市が確保するのか。
 ……理科大誘致の時は、土地購入費を実質的に久喜市がそっくり負担し、周辺整備も久喜市が施行しました。それらの費用の総額が60億円とされています。
 病院開設後も、相当の期間は赤字が続くと見こまれますが、それらの経費に対して、久喜市が負担を求められることになるのではないか。

 この記事を最初に書いた際に、「理科大誘致の時は、久喜市が土地を買収し、無償で提供、周辺整備も久喜市が行い、それらの費用は60億円とされています。」と書きましたが、これは間違いでした。
 正しくは、「理科大の用地買収は、大学側で行い、その土地購入費用を、市が負担した」ということです。
 訂正します。

 また、総合病院が開設した後は、久喜市民は救急の際は、“優先的”(?)に、診てもらえるようになるのか、いわゆるたらい回しや、「夜間など、体制がないから、受け入れできない」というような事態は解消できるのか。
 総合病院に対する、市民の期待はますます大きくなってきます。
 市民の期待に応えられるような、総合病院の実現が求められています。

 


総合病院の誘致、具体的検討は
2005年11月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』306号 2006/1/16

 「幸手総合病院の移転・誘致」問題について、さまざまな動きが出ています。−特に11月4日には、みずほ農協管内の幸手・杉戸・鷲宮・栗橋の首長・議長に対して、JA埼玉厚生連の会長が「説明」に訪れ、『久喜市への移転ありきではない』『幸手総合病院の経営が厳しく、なくすか、どこかに作るか』『当然ながらコンペになりますから、…どの位どこかの援助があるのか…』などの話もされています。……つまり、JAとしては、幸手市や久喜市の援助、「誘致の条件」によって、いい方に持って行くという考え方のようです。−出席した首長からは「久喜の市長選挙に利用されてしまった」「現在地での調査をまずやるべき」などの厳しい反発の声も出たそうです。
 一昨年に策定された「新病院整備計画基礎調査」では、経営主体について「一般会計からの毎年度、相当額の繰り入れを前提にした市立病院」以外の経営では事実上経営困難と記されています。さらには用地費を除いて、建物建設費、医療機器等で72億円、その財源は市債を充当するなどの記載もあって、幸手総合病院の移転なのか、久喜市立病院の建設なのかわからない文書です。しかし実際には、1ベッド1億円、200床の病院建設であれば200億円というのが常識とされていて、72億円程度ですむ話ではありません。
 私はこうした経過について、久喜市の見解を求めたのですが、市は「11月4日の“説明”の内容は把握していない」「基礎調査はJAで作成したものであり、久喜市ではその内容の分析はしていない」「市立病院の検討はしていない。幸手総合病院の移転と理解している」という答弁で、具体的な構想や費用などについてはまったく検討されていないらしい(!?)ことがわかりました。
 なお、9月からすでに3回、JA厚生連と久喜市とで「事務打合せ会」が行われ、11月の打合せ会では「一般的に病院を整備していく場合におけるスケジュール」として、1年目に用地確保、2年目に基本構想・基本計画策定、3年目に基本設計・実施設計、4年目に建設工事・開院準備という「スケジュール(案)」も示されています。
 今後、幸手総合病院の移転が現実化すれば、久喜市が相当の財政負担をしなければならなくなるものと思われますが、市はその財源措置も含めて明らかにする責任があります。

病院問題の最近の動き

◆私は1月6日に、市に対して《12月以降のJA厚生連と市との協議経過。「誘致の条件」について、市はどのように検討しているかが記された文書》の情報公開請求をしました。

◆11日になって、16日(月)朝9時から、市議会全員協議会を開くという緊急連絡がありました。内容は、【幸手総合病院の誘致にかかるその後の経過について】となっています。JAからの「条件の打診」、久喜市としての検討方針など、新たな状況が報告されるものと思われます。

幸手総合病院の移転が決まったかのような、読売新聞の報道は、ほとんど“誤報”に近い
いや、“虚報”か
2005/12/5

 12月3日、読売新聞埼玉版に、「産婦人科など12科 久喜移転の幸手総合病院」という見出しで、幸手総合病院の久喜への移転が決まったかのような記事が掲載された。その記事は、

2日、一般質問で「県厚生連農業協同組合 幸手総合病院」(幸手市東)の久喜市への移転問題が取り上げられ、病院の計画原案の概要が明らかとなった。 市の説明などによると、移転先での建設工事は2006年度の着手、08年度の開院を予定。敷地面積は約2万平方メートルで、地上5階建て。診療科は内科や小児科、産婦人科など12科で集中治療室などを整備する。総事業費は約73億円。(以下、略)

などと書かれている。
 一般質問でこの問題を取り上げたのは私だが、この記事自体はほとんど「誤報」に近いものだ。
 久喜市議会において、この記事でいわれている移転計画や建設計画について、市はまったく説明も答弁もしていない。私の質問でも答弁でも、診療科目などについてはいっさい触れていない。
 つまり、この記事を書いた記者氏は、私の質問内容も当局の答弁も実際には聞いていない(?)で、ありもしない「説明」を記事にしてしまったことになる。
 実際問題として、建設計画の基本構想も経営構想・計画もできていない、その調査も行われていない、建設場所も決まっていないのに、06年度(来年)着工など不可能であることは、誰が考えてもわかることだ。それどころか、現在の幸手総合病院の経営主体である県厚生連は「幸手総合病院の移転」について、いまだに“機関決定”すらもしていないのだ。
 この記事を読んだ市民から、すでに私の所にも問い合わせがあったが、ありもしない期待を抱かせられた市民にとっては迷惑な話である。
 こんな無責任な記事によって、久喜市と久喜市民、幸手市と市民、みずほ農協管内の市町に対して、いたずらな迷惑と混乱を招いたことになる。新聞記事が必ずしも信用できない、その見本のような記事である。


幸手総合病院の移転「計画」?
『声と眼』298号 2005/9/12

 今、幸手総合病院が久喜市内に移転する計画があるというウワサが広まっています。田中市長が選挙直前に「幸手総合病院の久喜への誘致」を公約したことがその発端です。

◆田中市長は今年6月21日の久喜市議会全員協議会で、「平成16年5月、JA埼玉県厚生連から、幸手総合病院の移転について久喜市が候補地の一つであるという意向が示され…(中略)…久喜市に移転の可能性があるのであれば、その実現に向けて最大限の努力をすることが当然のことと受けとめて取り組んでまいりました」と発言しました。
 しかし昨年12月議会では、田中市長自身が「現在の市の財政状況を見たときに総合病院の設置につきましては厳しい状況というふうに認識いたしております」と答弁していたのです。
 この2つの発言のどちらが本当でしょうか。またこの1年間、田中市長はどのような「最大限の努力、取り組み」をしてきたでしょうか。

◆JA埼玉(厚生連)と久喜市はこれまでに4回、病院移転問題について協議をしています(16年5月、17年3月、4月4日、4月25日)。−しかし、この間の協議で、JA(厚生連)側から「幸手総合病院の移転」について口頭で説明を受けただけで、資料や文書はいっさい提示されませんでした。−このような重大な問題の協議で、資料も文書もないというのは信じられません。

◆私は市当局に対して、JAが作成したという「幸手総合病院の現状と将来構想」の文書・資料に基づいてきちんと検討すべきではないかとただしました。その後、久喜市は7月22日になってやっと、「埼玉県久喜地域 新病院整備計画基礎調査」という冊子を入手しました。
 しかし、この「基礎調査」報告書は、作成したコンサルタント会社の名前が印刷されているだけで、この調査を依頼したのがだれなのかは書かれていません。表紙にもどこにも、JA埼玉とか厚生連とかの文字も書かれていないのです。−これは本当に、JA(厚生連)が『幸手総合病院の移転』に関して調査した報告書なのでしょうか。

◆この調査報告書の内容は、久喜地域(久喜市、幸手市、鷲宮町)において、『久喜地域および周辺地域を対象に、地域医療ニーズを的確に把握した上で、将来必要とされる新病院の病院像を示す』とされています。−この調査はそもそも、「久喜市の医療問題の調査」ではありません。
 本来、幸手総合病院の移転問題を検討するのであれば、《厚生連幸手総合病院の経営状態や医療実績の変化、今後の幸手総合病院の経営方針、改築、移転した場合の医療供給体制、経営予測》などの分析が必要ですが、この調査報告書のどこにもそんな記載はありません。−この調査において、幸手総合病院の移転についての調査検討がまったくされていない…ということは、JA(厚生連)は本当に、幸手総合病院の改築や移転を検討していたのでしょうか。

どこで調査・検討されているのか?

◆「新病院整備計画の概要」という項で、新病院の規模は200床、敷地面積2000u、延床面積14000u、総事業費約73億円などの数字があげられています。−一方、幸手総合病院の移転の話に関しては、老人医療と透析関係は幸手の現在地に残して、残りの部門を久喜に移転するという「構想」が語られていますが、そんな記載もありません。調査報告書にある「新病院整備計画」は、文字通り「新病院」の建設整備計画以外ではありません。

◆なお、「新病院基本構想案・施設計画」という項で、唐突に「新病院は、…(略)…久喜市を建設候補地とする場合、以下の条件を満たすことが望まれる」という文章が出てきます。
 これは、“新病院を作ることになった場合、久喜市内に建てるとしたら…”という仮定の話ですが、久喜市民にはすでに『久喜市内への移転が決まった』と受けとめられています。

◆結局、この調査報告書では「幸手総合病院の移転」については書かれていませんでした。それではいったいどこで検討されているのでしょうか。
田中市長は「幸手総合病院の誘致が自分の使命である」と言い切りました。それでは、この幸手総合病院の「移転」計画がどのように検討されているのか、確実な調査の上に立った「構想」なのか否か、市民に明らかにするべきです。

★この報告書では、16年度に基本計画、用地確保交渉、経営主体確定、18年度に着工、20年度に開院となっています。すでに17年度も半ば……今後の見通しは?★


幸手総合病院の改築、移転という話は、どこまで本当か
2005/8/18

 市長選挙が近づいて、田中市長が急に言い出した「幸手総合病院の久喜への誘致」問題は、調べれば調べるほど、ますますその疑惑を増しています。

その1

 田中市長は、今年6月21日に開いた久喜市議会全員協議会で、最初にこの話があったのは、昨年の5月だと言いました。

平成16年5月に、JA埼玉県厚生連から久喜市に対し、幸手総合病院の移転について久喜市外点の候補地の一つであるという意向が示されたわけでございます。
(中略)
久喜市に移転の可能性があるのであれば、その実現に向けて、最大限の努力をすることが当然のことと受けとめて、取り組んでまいりました。《A》

 しかし、昨年の12月議会で、田中市長自身が、こう答弁しています。

総合病院を初め、現在市民要望が高い公共施設建設につきまして手つかずのものが病院のほかにも幾つかあるわけであります。
 さまざまな施設の設置につきましては、それぞれ縛りがあるわけでございまして、その幾つかは担当部長から今答弁があったわけでございますけれども、しかし現在の市の財政状況を見たときに総合病院の設置につきましては厳しい状況というふうに認識をいたしております。《B》

 《A》と《B》と、どちらが本当でしょうか。

 実際には、田中市長は何もしませんでした。
 当時合併の協議を進めていた幸手市に対しても、“説明して、ご理解をお願いする”とかの行動もいっさい起こすことはなく、何もしなかったのです。
 幸手市長は、平成17年、つまり今年の5月になって初めて、この移転の話をJAからの申し入れで初めて知ったのだと言います。
 田中市長からは、その後も、病院移転については、電話一本、しなかったのです。

 今になって、《A》のように、「その実現に向けて最大限の努力をすることが当然のことと受けとめて、取り組んでまいりました」などと言うのなら、いったい、この1年間、何をしてきたというのでしょうか。
そしてこの1年間の間に、幸手総合病院の移転・誘致に関して、何か成果はありましたか?
移転の受け入れのために、久喜市が土地を用意するとかの検討はしてきましたか?

その2

 JA埼玉から、久喜市に対して、病院移転問題について、これまでに4回の協議があったとされています。
 1回目は平成16年5月、2回目は平成17年3月16日、3回目は平成17年4月4日、4回目は平成17年4月25日です。
 不思議なのは、4回もの協議が持たれてきたのに、この中で、JA埼玉、あるいは厚生連側から、「幸手総合病院の改築、移転」に関する文書、書類、資料はまったく示されていないのです。4月25日に、久喜市役所内において「幸手総合病院の現状と将来構想について」説明を受けた、と言っているのですが、その際にも、書類、資料、その他、目に見える形のものは、いっさい示されず、口頭だけの説明だったというのです。
 私は、「幸手総合病院移転構想」の内容を確認しようと、6月に久喜市の情報公開制度を使って、以下の公文書公開請求をしました。

平成16年5月、JA厚生連から病院移転の意向が示され、平成17年3月、厚生連から久喜市に対する説明、4月4日、25日の説明、意見交換等において、厚生連から久喜市に提示、示された書類、資料の一切

 つまり、JA、厚生連から久喜市に示された書類等があれば、その時点でそれは「公文書」となっているはずです。
したがって、条例に定められた公文書公開請求をすれば、職員はそれを公開しなければなりません。(正当な理由があれば「非公開」処分もできる)。
 しかし、公文書館と病院移転問題の担当課である政策課、企画財政部長の回答は、『該当する文書、書類は存在しない』というものでした。

 これは何を意味するか。
 こんな重要な協議が行われているのに、その裏付けとなる資料も書類もまったく示されなかった、ということがありうるのでしょうか。
 JA、厚生連と協議していた久喜市当局は、資料も何もなくて、病院移転の話をただ聞いていただけだった、というのです。
 そんなことが信じられるでしょうか。なぜ?
 後で問題になったときに、証拠になるようなものは、いっさい残されなかったということでしょうか。
 私が、この病院移転問題について、疑惑を持ったのは、この時でした。

その3

 「幸手総合病院の移転」について書いてある書類が何もない、久喜市もそのような文書をまったく持っていないというのはおかしいのではないか。
 私は、久喜市当局・担当者に対して、少なくともJAが作成したとされる、「幸手総合病院の現状と将来構想について」の文書を入手し、久喜市当局として、「そうした資料に基づいてきちんと検討すべきではないか」と聞いてみました。
 当局はその後で、JAに資料の提供を求めたようです。
 7月22日になってやっと、「埼玉県久喜地域 新病院整備計画基礎調査」という冊子を、久喜市がJA(幸手総合病院)から入手しました。

 しかし、この冊子を読んでみて、おかしなことに気付きました。
この「基礎調査」という冊子は、JA厚生連が作製したものとされていますが、表紙にも奥付にも、JA埼玉、あるいは、厚生連の文字はないのです。
 作成は「平成16年3月」、「アイテック株式会社」というコンサルタント会社の名前が印刷されているだけです。
 そして、この報告書のどこを探しても、この報告書を作成、あるいは作成依頼したのが、JAであるとも、厚生連であるとも、作成者名がどこにも書かれていません。

 これは本当に、JA(厚生連)が、『幸手総合病院の改築』や、『移転』に関して検討した調査報告書なのでしょうか。
 いや、そもそも、JA(厚生連)が、幸手総合病院の改築、あるいは移転という話を、本当に、検討していたのでしょうか。
 これが第3の疑惑です。

その4

 この報告書の最初はこうなっています。

第1.調査概要
1 調査の趣旨
・久喜市、幸手市、鷲宮町(以下「久喜地域」と略す)においては、将来人口減と生活習慣病を中心とする患者、とりわけ高齢患者増が予想される中、……(略)……、地域住民から強い改善の要望が出されている。
・かた、久喜市、幸手市、鷲宮町は市町村合併特例法(05年3月)内の合併に向けて法定協議会がすでに活動している。
・そう言った状況の中で、久喜地域としては、地域医療体制の整備充実を図り、地域住民に対して新病院整備に関する考え方や意向を示す時期を迎えている。
・本調査は、以上の経緯から、久喜地域および周辺地域を対象に、地域医療ニーズを適格に把握した上で、将来必要とされる新病院の病院像を示すためのものとする。

 長々と引用したのは、つまりそもそも、この調査報告書は、久喜市の新病院実現ではなく、「久喜地域」の地域医療ニーズを把握し、必要な医療体制を調査するためのものということです。したがってまた、この報告書は、2市1町の合併を前提にして検討されたものということもできます。
 その後に続いて書かれている、
「2 調査範囲」も、「久喜地域」とされています。残念ながら、「久喜市の医療問題の調査」ではないのです。

 その次に、こんな項目があります。

(4)類似病院事例検討
・…(略)…
・また、新病院整備の方向性や計画の具現化、事業規模などの積算根拠を示すために、本調査は、同じ利根(南)保健医療圏に属する厚生連幸手総合病院(幸手市の公的病院198床)や済生会栗橋病院などを類似病院として事例検討を行う。
・…(略)…

 つまり、厚生連幸手総合病院は、「類似病院」の一つとして事例検討されているにすぎません。
 本来、幸手総合病院の改築や移転問題を「調査検討」するのであれば、
・厚生連幸手総合病院の経営状態や医療実績の変化
・今後の幸手総合病院の経営方針
・幸手総合病院が改築、移転した場合の医療供給体制、経営予想

などを検討しなければならないはずですが、この調査報告書のどこを探しても、そのような検討は載っていません。
 つまり、この調査においては、幸手総合病院の改築、移転については検討されていないのです。

 この調査報告書の中で、「幸手総合病院」の文字が出てくるのは、この「類似病院事例検討」の項目だけです。
(利根医療圏や、周辺の医療体制を資料的に掲載している表などには、他の病院名と並んで、何か所か載ってはいます)。

 この調査報告書の全体を通じて、何度読み返しても、幸手総合病院の「改築」、「新築」、「移転」、「再建」などの言葉はまったく出てきません。
 やはりこの調査報告書は、「幸手総合病院の改築や移転」について、検討した調査ではないのではないでしょうか。
 JA(厚生連)は、本当に、幸手総合病院の改築や移転を検討していたのか、という疑惑です。

その5

 「調査概要」の最後に、いきなり「新病院整備計画の概要」という項目が出てきます。

5 新病院整備計画の概要
(1)計画概要
 @計画年度
  ■16年度:基本計画、基本設計の策定、用地確保交渉、経営主体確定
  ■17年度:運営計画、実施設計の策定、敷地造成
  ■18年度:運営計画、建設工事
  ■19年度:マニュアル策定、建設工事、開院準備
  ■20年度:開院
 A規模:200床(一般病床)
 B主な診療機能
  ■診療科(継12科)
   内、小、神内、外、整、納、産婦、眼、耳、皮、秘、リハ
  ■主な診療機能
   集中治療室、救急告示、病院群臨床研修指定病院、他
 C建築計画
  ■敷地面積:2000u、地上5階
  ■延床面積:新築14000u、1床当たり床面積70u
  ■建築単価:320000円/u
  ■駐車場
(2)総事業費
  ■約73億円(税別)
  ■財源計画:企業債または長期借入金100%
(3)事業収支予測の結果
 ……(略)……

 これはどう見ても、幸手総合病院の改築、移転の話ではありません。
 幸手総合病院の移転の話に関して言えば、老人医療と透析関係は幸手の現在地に残して、残りの部門を久喜に移転するのだという「構想」が語られているのですが、ここに出てくる「新病院整備計画」は、それとはまったく無関係な、文字通り、「新しい病院」の整備計画以外ではありません。

 しかも、計画年度の16年度は、何の動きもないまま過ぎてしまいました。
 すでに17年度も半ばですが、JA(厚生連)が、新病院建築を具体的に検討しているという話はありません。
 それなのに、どうして、いつの間に、これが幸手総合病院が久喜市内に移転するという話に化けて流されて、しかも、久喜市長選挙に利用されてしまったのでしょうか。
これが第5の疑惑です。

その5

「新病院基本構想案」というのが書かれています。

第3.新病院基本構想(案)
 1 新病院の基本理念・基本方針
  (1)理念 ……(略)…
  (2)基本方針 ……(略)…
   1)久喜地域が必要とする診療機能を重点的に整備する
・……(略)……、久喜地域が求める新病院は、現在市内で不足する救急医療や、……(略)……  

 この調査報告書は、これまで「久喜地域」の医療のあり方について検討してきたのですが、ここで唐突に、「市内で」という表現が出てきます。
 つまりここから、新病院はここまで調査してきた久喜地域でなく、その一部である「久喜市内」を対象としたものに、突然変わってしまうのです。
 なぜでしょうか。

 さらに、

3 施設計画
 (1)施設規模 …(略)…
 (2)施設概要(イメージ) …(略)…
 (3)施設の立地条件
・新病院は、急性期病院をめざすことから、久喜市を建設候補地とする場合、以下の条件を満たすことが望まれる。
 …(略)…

 ここで初めて、「久喜市を建設候補地とする場合」という表現が出てきます。
 つまり、新病院を作る場合、建設予定地はまだまったく決まっていないけれど、仮に久喜市内に建てるとしたらこれこれの条件を満たすことが必要だ、という書き方です。
この文章が、『新病院が久喜市内にできる(のではないか、らしい)』という噂を生んで、その噂が、既成事実であるかのように一人歩きしていったものと考えられます。
 さらに許せないのは、この調査報告書では「久喜市を建設候補地とする場合」という、きわめてあいまいな仮定の表現をしていますが、これを「建設予定地が久喜市内に決まった」かのように、我田引水している人たちがいるということです。

 この報告書が、幸手総合病院の改築や移転については、一言も、まったく書いていないことは、すでに明らかになりました。
 したがって、幸手総合病院の移転候補地が久喜市内であることも、まったく根拠のない話ということになります。

 それでは、久喜市を建設候補地とする「新病院」とは、いったい何なのでしょう。
まるで、正体の見えない、幽霊のような病院ではありませんか。

 それを、「久喜市に幸手総合病院を誘致することが私に与えられた使命である」と宣言してしまった田中市長は、いったい何を根拠にし、何を考えているのでしょうか。
無責任きわまりない、市民を欺く行為といって過言ではありません。

その6

 幸手総合病院の地元である、埼玉みずほ農協(管内は幸手市、鷲宮町、栗橋町、杉戸町、庄和町)は、この病院移転問題についての疑義を確認するため、JA厚生連に対して「申入書」を出したということです。
 一方、JA厚生連は、移転問題は「白紙」の状態であると言っているそうです。

 しかも、すでに7月26日に書いたように、みずほ農協、幸手市、鷲宮町、栗橋町、杉戸町、庄和町のすべての首長が「反対」の姿勢を示している現在、いったい、田中市長はどのようにして、幸手総合病院を誘致するというのでしょう。

 このままでは、周辺市町との信頼関係がなくては成り立たない、広域行政の行方すらも危うくなってくるのではないでしょうか。


田中市長が「総合病院の実現」を公約したチラシを配布したが、
同じチラシで、文章の異なる2種類のチラシが存在する。
重大な文章を入れ替えた、その理由は?

2005/8/17

 田中暄二氏の実質的な選挙母体である「優しい街づくりの会」なる団体名で、上のチラシが配布された。
 これは、栗原に住んでいる市民の方が、
8月2日に、こんなチラシがポストに入っていた。今さらこんなことを言ったって、誰が信じられますか』と憤慨しながら届けてくれました。

 「久喜市長 田中けんじ」の自筆署名入りの文章が載っているのですが、
噴飯ものの、その内容……

「私は、市民のみなさまの熱い思いや声を受け止め、総合的な病院の誘致をはじめとした、救急医療体制の整備について、取り組んできました。」

しかし、事実はどうだったでしょう。
2004年12月議会で、砂川市議の質問に対して、市長自身が、こう答弁しています。

 総合病院の設立に向けて1万2,222人ですか、の方の署名が議長あてに請願として提出をされたということでございます。この数につきましては真摯に受けとめております。
  このことを受けて、市長は総合病院につきどのように考えているかとのご質問でございますが、総合病院を初め、現在市民要望が高い公共施設建設につきまして手つかずのものが病院のほかにも幾つかあるわけであります。
 さまざまな施設の設置につきましては、それぞれ縛りがあるわけでございまして、その幾つかは担当部長から今答弁があったわけでございますけれども、しかし現在の市の財政状況を見たときに総合病院の設置につきましては厳しい状況というふうに認識をいたしております。

 総合病院の関係でございますが、先ほど申し上げましたように請願の関係につきましては真摯に受けとめておりますし、砂川議員のただいまのご発言もご意見として真摯に受けとめております。

「請願、市民の声については真摯に受け止めている」と言いながら、「質問者の発言は、意見として受けとめている。しかし、総合病院の実現はむずかしい」…これだけを繰り返す田中市長。

 「久喜市に総合病院の実現はむずかしい。理由は、医療計画でこの地域のベッド数の制限があって、久喜地域に大きなベッド数をもった病院を作ること事態が許可されないからである。さらに財政問題と、他にも必要な公共施設があるので、総合病院に莫大な財源を使うわけにはいかない」。田中市長は、これまで、こう言い続けてきたのです。
 これまで何度も何度も、議会でのたくさんの議員の質問に対する、田中市長の決まり文句だったのです。
これが果たして、真摯に受けとめている姿勢に見えるでしょうか。

 それが突然、今年6月に、「久喜市医療懇話会を設置し、懇話会委員及び市民のみなさまのご意見を聞きながら、総合的病院の誘致を始めとした医療体制の整備の検討を開始したこともその一つです」と、方針を180度転換させたのです。

同じチラシで、2種類の文章のミステリー

 しかも、問題はその次です。

「今後、総合病院を誘致するという大きな事業を推進するにあたっては、基準病床数の規制や財政問題、開設場所など、解決すべきさまざまな問題があります。」
久喜市に高度な総合病院の誘致を実現することが、私に与えられた使命であると考え、全力をあげて、誠心誠意取り組んでまいります。」

 これを読むと、本当に、久喜市以外のどこかから、総合病院を誘致してこようとしているかのように見えます。
 しかし実は、同じチラシが2種類配布されていることがわかりました。

 もう一つのチラシは、上の写真のチラシと、2か所だけ、しかし、重大な文章の違いがあります。
それが下記の部分…、どういう理由からか、重要な部分を入れ替えた、2種類のチラシを作って配布しているわけです。

「今後、幸手総合病院を移転するという大きな事業を推進するにあたっては、基準病床数の規制や財政問題、開設場所など、解決すべきさまざまな問題があります。」
久喜市に幸手総合病院の誘致を実現することが、私に与えられた使命であると考え、全力をあげて、誠心誠意取り組んでまいります。」

 こちらのチラシは、8月3日、久喜駅頭で、配布されていたものです。
 明確に、「幸手総合病院を久喜市に移転させる」と言っているのです。

 チラシの体裁も他の文章もまったく同一なのですから、この2つのチラシの重大な違いに気がつく人はほとんどいません。
 最初は、『総合病院の誘致』だけが入った文章、後から、『幸手総合病院の誘致』に変更したチラシを配っているようです。
 地域に配ったチラシと、駅前で配布したチラシの文章とで、肝心な文章を入れ替えて配っている、その理由は何でしょう。

 田中市長は、自分の署名入りで、重要部分の文章を入れ替えた、2種類のチラシを配っている、その理由を、市民に説明する義務があります。


「久喜地域 新病院整備計画基礎調査」とは?
2005/8/8

「埼玉県久喜地域 新病院整備計画基礎調査」という文書を手に入れることができました。
この文書は、今年の7月22日になって、久喜市が、JAから提供してもらったもので、久喜市の情報公開制度によって請求したところ、すべて公開されました。

 この計画は、作成は「平成16年3月」、つまり、1年以上も前になっています。
 ここでいう「久喜地域」とは、久喜市、幸手市、鷲宮町、つまり2市1町合併の区域をさしています。
この区域内で、新病院が求められており、そして新病院が「久喜市を建設候補地とする場合」に、どのような病院となるかを検討しているものです。
 しかし、その内容をよく読むと、幸手総合病院の改築・移転を明確に書いているわけでもなく、移転先候補地として久喜市内が適当といったような文言もない、よくわからない「報告書」なのです。
 この「報告書」がどのような意味を持つものか、よくよく分析してみる必要がありそうです。


 実は今、状況は、久喜市長の思惑とはまったく別の方向に進んでいるようです。
 下記の7月26日の記事で、周辺町長の発言を掲載しましたが、さらに詳しい内容が手に入りました。
斉藤栗橋町長 「事前に各関係機関と協議すべきものである。経営が苦しいから移転をするというのは問題」
本多鷲宮町長  「農協が知らないというのはまずい話だ。農協が知らなければ、白紙撤回しかない」
小川杉戸町長 「個人としてはとんでもない話だ。
組合を無視し、しかも期間決定されていない。許せるものではない。
このことには全面的に(幸手市側を)応援する。
石原庄和町長 「自治体の長とすれば、こんな不合理なことはない。
理事や組合員を動員し、反対の実力行使がいちばん効果がある。
(久喜市は)新たに別の病院を作ればよいことだ。」

 田中市長は、こうした、周辺市町の首長の意向、久喜市のやり方に対する反発を知っての上で、なお、幸手総合病院の誘致を強行するつもりでしょうか。
久喜市民の立場としては、総合病院ができればいいとしても、幸手市民を無視し、近隣市町と対立してまで、本当に実現できるでしょうか。
田中市長の真意はどこにあるのでしょうか。

市長選挙を直前にして、市民の関心は、
“本当に幸手から移転させられるの? 田中市長は、本当にやるつもりなの?” という気持ちで見つめています。


幸手総合病院の移転の話の経過について、疑惑がふくらむばかり
田中市長は、周辺市町と対立してまで、『誘致』を進められるのか

2005/7/26

 幸手市の市議会全員協議会(7月15日)での、幸手市長の報告要旨が明らかになりました。
(1) 7月4日、厚生連理事長との会談で、理事長の話についての報告
 「今回いろいろと迷惑をかけて申し訳なかった。現在は新聞報道される具体的なところまでは至っていない。ベッドを一つ用意するのに1億2000万円かかる。計画としては300床ということだが、厚生連にその予算はない。役員の任期が6月末で変わったので、これからは新役員で対応したい」と語ったという。

(2) JA埼玉みずほ農協正副組合長の話についての報告
 「7月11日付で、埼玉県厚生連運営管理委員会の会長に対し、移転阻止の申し入れ(要請)を行った」という話。

(3)市長と議長が、みずほ農協管内の町長を訪問した際の、各町長の話についての報告
 栗橋町長 「これは事前に関係する機関と議論して進めるべきであり、唐突な話のように思える」
 庄和町長 「実際、こういうやり方でやってしまうことが今の社会でできるのか。自治体ではこんなことはできない」
 杉戸町長 「久喜市の態度を見ていて、私だったら許せない。こうなったら移転阻止の姿勢を厚生連に出すことが必要ではないか」
 鷲宮町長 「地元が知らないのではまずい話である」 「この件は厚生連として白紙撤回するしかないだろう」


幸手市が「病院移転阻止対策委員会」を設置
周辺市町との対立をさらに増幅させる、田中市長の政治家としての資質

2005/7/19

 7月15日、幸手市議会は全員協議会を開き、今後の幸手総合病院の移転問題への対策について協議したという。
 幸手総合病院の移転問題に対して、幸手では7月1日、「幸手総合病院移転阻止等対策委員会」が設置されました。
 委員長には、町田市長が座り、助役、全部長と関係課長で構成するという布陣。
 すでに市長みずからが、《JA埼玉みずほ》(JA北葛地区の組織)の組合長等とも会見、《JAみずほ》としては、JA埼玉中央会から移転の話は正式には聞いていないという話。
また、市長と議長とで、《JAみずほ》の構成区域にあたる、栗橋、鷲宮、杉戸、庄和の各町長に、移転阻止への協力要請にも回ったという。
各町長とも、「移転計画に疑義あり」との態度を表明した。

 幸手はどうやら本気で、病院移転を阻止する体制に入ったと見られる。
 この状態で、久喜市は、幸手総合病院誘致を進められるか。
 田中市長は今でも、3市6町の田園都市協議会の会長職にあるのだが、その構成市町との対立、不信をますます増幅させていくことにならざるをえない。
周辺、隣接市町との友好関係を壊していっていることについて、田中市長はどう考えているのだろう。

 田中市長はよく、「至誠天に通ず」(孟子)を引用する。
しかし、今、久喜市政に必要なのは、「信無くば立たず」(孔子・論語)ではないか。


幸手総合病院が久喜に移転?
 『声と眼』294号 2005/6/27

 6月17日の新聞各紙の埼玉版に「幸手総合病院が久喜に移転方針」、「幸手市長と議会は全員一致で反対」という記事が掲載されました。今後の紆余曲折は避けられず、動向が注目されます。
 幸手総合病院はJA埼玉厚生連の経営。診療11科目、ベッド数192床、幸手市内で最大の中核的病院です(久喜市民もお世話になっています)。
 新聞報道によると、5月16日にJA埼玉の会長と病院長が幸手市長を訪問し、『病院経営が厳しく、高度医療のできる病院を久喜市内に造りたい。通院と透析部門は幸手の現在地に残す』と伝え、6月16日に再度訪問した際に、幸手市長は『幸手総合病院は70年の歴史があり、市民にとって母なる病院だ。移転はとうてい受け入れられない』と答えたといいます。

久喜市議会全員協議会での説明

 21日には急遽、久喜市議会全員協議会が開かれ、市長からこれまでの経過の説明がありました。それによると、
▼昨年5月、JA厚生連から久喜市に対し“久喜市が移転候補地の一つである”と意向表明、
▼今年3月以降3回、厚生連から説明、意見交換が行われています。
 田中市長によると、『ここでの打ち合わせは、あくまで意見交換にとどまり、今後の病院移転に伴う財政負担の問題、あるいは開設場所など具体的な話ではなく、まだ何も決まっていない状況であって、具体的な協議はこれから』『JA厚生連が決める問題であり、市としてはその決定に基づき対応していく立場にあるが、…最大限の努力をしていきたい』『今回の病院移転問題については、久喜市の医療体制の充実を図るためにはお断りする理由はないと思っている』とも発言しました。
 この移転問題がこのまま進むのであれば、久喜市民にとってはいいニュースということになるのですが…。
 JAは今後3年程度かけて計画を具体化させていくといいます。

幸手市民の意向は? その他の課題も…

 今後の最大の問題は幸手市民の意向です。…JAの都合・方針だけで進められるのか、幸手市民の反対を押し切って移転を強行できるのか…。
久喜市が幸手市民と対立してまで病院の誘致を進められるのか。厳しい選択になってきます。
 もう一点は、移転に伴う費用分担です。病院建設は“1ベッドあたり1〜2億円”ともいわれます。
全員協議会の場で助役が『理科大誘致の際に市が資金を負担した実例もある』と発言しており、病院誘致についても、土地代など相当部分が久喜市の負担になるようです。
また新病院の医療圏域は人口30万人が対象となりますが、周辺市町の負担・協力が得られるのかなどの課題もあります。

病院問題の政治利用は許されない

 幸手総合病院の久喜への移転問題は、昨年の合併協議の最中から始まっていたにもかかわらず、幸手市民の反発を怖れ、住民投票が終わるまで極秘とされ、関係者に口止めまでされていたのです。
 “正式にはまだ何も決まっていない。具体的な協議はこれから”といいながら、今の段階で表面化されたのは、8月の市長選挙に向けた政治的思惑もからんでいるようです。幸手市民を無視して、総合病院問題を政治的に利用したりすれば、かえって問題をこじらせる怖れもあります。

 久喜市議会では、昨年9月に医療を考える会の『医療懇話会の設置を求める請願』、12月議会で総合病院をつくる会の『総合病院の設置を求める請願』を、いずれも趣旨採択。
 新年度に、市民公募や専門家ら15名の医療懇話会が設置され、6月23日に第1回懇話会が開かれました。


★JA埼玉の会長は久喜市の元議長で、田中市長を応援する立場の人。こうした政治的相関関係が憶測を生み、問題をさらに複雑にしていることは否めない。★

幸手総合病院の移転問題について、田中暄二久喜市長の説明
6月21日、市議会全員協議会での見解表明

 6月21日、久喜市議会全員協議会で、市長は「幸手総合病院の久喜市内移転」について、下記のように説明しました。

◆久喜市に対して最初に、幸手総合病院の移転の話があったのは、平成16年5月、病院の施設の老朽化や、経営的な問題等で、JA埼玉県厚生連(以下、「厚生連」とする)から、“幸手総合病院の移転について久喜市が移転の候補地の一つである”という意向が示された。
◆あくまで厚生連が病院の経営問題や将来構想などを踏まえた調査、経営判断のもとに、交通の利便性など立地条件などを検討した結果、久喜市を移転の候補地の一つとして話を持ちかけてきたものである。
◆久喜市にとっては、総合的な病院、地域医療体制について、市民の関心や要望も高く、市の最重要課題である。久喜市に移転の可能性があるのなら、その実現に向けて、最大限の努力をすることが当然のことである。

◆久喜市と厚生連とで、これまでに3回の意見交換・打合せを行ってきた。
 第1回目…3月16日(久喜市役所)、「幸手総合病院の現状と将来構想について」、厚生連から説明、意見交換を行った。
 第2回目…4月4日(JA埼玉県中央会)、「幸手総合病院の現状と将来構想について」の意見交換
 第3回目…4月25日(久喜市役所)、「幸手総合病院の現状と将来構想について」の説明、新病院の機能や今後の課題等の説明、意見交換
 これらはあくまで意見交換であってり、病院移転に伴う財政負担や開設場所など具体的な話ではない。まだ何も決まっていない。具体的な協議はこれからである。
◆病院の移転については、厚生連が決める問題である。
 市としては、その決定に基づいて対応するが、久喜市が候補地の一つということであれば、久喜市民最大の希望であり、久喜市としても最大限の努力をしていきたい。

幸手市の「反対」をどう考えるのか

◆厚生連では、病院の移転を進めるにあたり、幸手市に対し、病院移転の意向を伝える必要があることから、幾度か幸手市へ訪問している。
 5月16日には、幸手市にJA埼玉県厚生連中央会・鈴木芳男会長と幸手総合病院・井坂茂夫院長が訪問し、「施設の老朽化や経営不振などのため、移転し、高度医療を取り入れた総合病院として再出発したい。」ということを伝えた。
 これを受けて、幸手市では6月16日に、幸手市議会全員協議会を開催し、「幸手総合病院の移転について」を報告し、「反対」の姿勢を表明した。
 同日午後3時に、厚生連・鈴木会長、井坂院長が幸手市を訪問し、幸手市長に「厚生連の将来を考えると、一部外来と透析を幸手市に残し、移転をしたい旨」の意思表示を行った、と聞いている。

◆厚生連では、4月22日に経営管理委員会で、新病院建設のための調査・研究を進めることが承認され、幸手総合病院の久喜市への移転の方針については、6月18日に経営管理委員会を開催して、正式に「幸手総合病院の久喜市への移転について」継続検討することが確認されたと聞いている。

◆久喜市としては、JA埼玉県厚生連に対し、2点を要望した。

 1つは、幸手市に対して、厚生連から移転する理由を説明の上、その意思表示を幸手市にしていただきたいこと。
 2つは、厚生連として幸手総合病院の久喜市への移転について、機関決定をしていただきたいこと。

 1点目については、6月16日に厚生連から幸手市に対して意思表示がなされた。
 2点目については、6月18日に厚生連経営管理委員会において、久喜市への移転についての継続検討する方針が確認された。

◆いずれにしても、総合的な病院の整備等について、市民の関心や要望が高く、市民意識調査などにおきましては、常に上位に位置づけられており、今回の病院の移転問題について、久喜市の医療体制の充実を図るためにはお断りする理由はない。
◆今後、病院の移転という大きな事業を進めるに当たり、基準病床数の規制、あるいは財政問題、開設場所など様々な問題や課題があるが、
久喜市の将来を考えた時、救急医療をはじめ、地域医療体制の整備、充実を図るために、近隣市町に配慮しながら、病院移転の実現に向け、慎重にかつ積極的た取組んでいきたい。



総合病院を基本計画に位置づける
2005年6月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』294号 2005/6/27

 「市長選挙を前にして、今後、総合病院の課題をどう取り組んでいくのか明らかにすべきだ。市の基本計画の中に明確に位置づけていくことについて、市長がリーダーシップを発揮すべきだ」と市長の見解をただしました。当局はこれまでだと、“久喜市の属する利根医療圏域に新規の病院やベッド数の増床は認められない”ことを理由に、具体的検討を拒否してきましたが、今回は健康福祉部長が「医療懇話会で協議し、(新年度に策定される久喜市総合振興計画後期計画に)今まで以上に踏み込んだ形で位置付けしていきたい」、さらに市長が「具体的な政策課題として考えていきたい」
と答弁しました。

★私の、総合病院についての一般質問が13日。その後、17日に新聞報道、21日に市議会全員協議会、23日に医療懇話会発足と、事態が動いています。→ 1面参照★


「幸手総合病院が久喜市内に移転」というニュース
今後の動向を注視

2005/6/18

 6月17日の新聞各紙の埼玉版に、「幸手総合病院『久喜へ』」(朝日)、「JA厚生連幸手病院が移転方針」(毎日)の記事が掲載されました。ただ、いずれの記事の見出しにも「幸手市長は反対表明」とも書かれています。
 幸手総合病院は診療11科目、ベッド数192床の、幸手市内の最大の病院であり、地域の中核的病院です。久喜市民もよくお世話になっています。
 その病院の経営主体であるJA埼玉の会長と病院長が、5月16日に幸手市長を訪問し、『病院経営が厳しく、高度医療のできる病院を久喜市内に造りたい。通院と透析部門は幸手の現在地に残す』と伝えた…。
 1か月後の6月16日に再度訪問した際に、
幸手市長は『幸手総合病院には70年の歴史があり、市民にとっては母なる病院だ。移転はとうてい受け入れられない』と答えた…。
 幸手市議会は同じ16日に、全員協議会を開き、全員一致で反対していくことになったそうです。

 総合(的)病院…現在は「拠点的病院」といいます…の実現は、久喜市民にとっては常に最大の要求でした。
 昨年9月議会には、「医療を考える会」が医療懇話会の設置を求める請願(約2000名)を提出、さらに、12月議会には、総合病院をつくる会が「総合病院の設置を求める請願(12000名)を提出し、いずれも趣旨採択となっていました。
 その後、市は新年度に医療懇話会を設置する方針を明らかにし、すでに公募委員や専門家を含む15名の医療懇話会が設置され、6月23日には第1回の協議が行われます。医療懇話会は今年度中に5回くらい開かれる予定。委員の任期は2年です。
 当局はこれまで、“久喜市の属する利根医療圏域に新規の病院やベッド数の増床は認められない、したがって総合病院の実現は事実上不可能”としてきました。
 ただ、6月議会で、私が「市長選挙を前にして、総合病院をどう進めるか」と市長の見解をただしたところ、健康福祉部長が「医療懇話会で協議し、(久喜市総合振興計画に)今まで以上に踏み込んだ形で位置付けしていきたい」、市長が「具体的な政策課題として考えていきたい」と、これまでとニュアンスの違う答弁をしていました。
 つまり、市長も部長も、今回の幸手総合病院の移転の話を念頭に置いて答弁していたことになります。
 そして、今回の新聞報道と重ね合わせると、ベッド数の制限という壁を切り抜ける唯一の方法が、同じ圏域内の病院移転というわけです。

 さて、この話がこのまま進むのであれば、私たち久喜市民にとっては、本当にうれしいニュースなのですが……。
 6月21日には、久喜市議会全員協議会が開かれます。まずは当局の説明を待たなければなりません。

幸手市民の意向は? その他の課題も…

 最大の問題は、何と言っても、幸手市民の意向です。今後、紆余曲折があることは避けられないでしょう。
 JAとしても、病院経営の論理だけで幸手市から移転を強行できるのか、市民の理解が得られるのかどうか、今後どう進んでいくのか、注目されます。
 もう一点は、移転に伴う費用分担です。JAの負担で移転するのか、久喜市の負担がどれくらいになるのか。(新規病院建設には1ベッドあたり1億円かかるともいわれます)。
 また、新病院は人口30万人規模の医療圏域を対象にするといわれますが、周辺市町にも負担を求めるのかなど、課題もあり、JAは今後数年かけて、具体的な計画を作っていくとしています。

市長選挙目当てや、病院問題の政治的利用は許されない

 幸手総合病院の久喜市内への移転の話は、実は、昨年からウワサとして流れていました。(『声と眼』9月6日号)
 その時には、久喜と幸手が合併すれば同じ市内になるのだから、幸手市民の反対は強くないだろうという読みでしたが、それでも、住民投票が終わるまでは極秘の話とされていました。
 合併協議が壊れてから、この移転の話は消えたかに思われていました。
 しかし今になって、再び表面化してきたのは、8月の市長選挙に向けた政治的思惑もからんでいるようです。
久喜市民の最大の要求である総合病院の実現の課題を、選挙や政治的なカラミで利用してはいけません。


国民健康保険税の増税を可決
 『声と眼』288号 2005/3/28

 国民健康保険税の大幅引き上げを可決【詳細は前号】。−−大地と共産党が反対討論を行いましたが、賛成の討論をした議員は1人もいませんでした。議員は自分の政策的立場を、市民にちゃんと説明すべきです。


国民健康保険会計当初予算案、国保税の大幅引き上げ案に反対しました
2005/3/24

 3月18日、市議会2月定例会最終日、議案の討論・採決で、国民健康保険会計予算案と国保税条例の改正案に反対しました。
 下記は、その反対討論原稿の全文です。
【実際の本会議場での討論は、その場で言葉を挟んだり、言い換えたり、話し言葉になっていますから、少しもとの原稿とは異なります。】

 大地では、私が国保会計予算案に反対討論を行い、石川議員が国保税条例の改正案に反対討論を行いました。当然のことながら、どちらも反対理由はほぼ同じですが、2人で分担して、両議案に「反対討論」を行いました。

 この2つの議案に対して討論したのは、国民健康保険会計については、大地の猪股と共産党の木村氏、国保税条例の改正に対しては大地の石川氏と共産党の稲木氏だけでした。
 不思議なことには、賛成の立場からの討論をした人はまったく、1人もいなかったわけです。
 新政議員団、公明党、みらい、市政会の須藤氏と岸氏は賛成したわけですが、本来なら、これほど市民に大きな影響を与える議案に対しては、なぜ賛成するのか、本会議の討論という場で、その理由をきちんと述べるべきではないでしょうか。
 たとえば、『医療費が増えているのだから、加入者が負担するのは当然だ』とか、それとも、『増税はやむを得ない。苦渋の選択だ』ということかもしれませんが、自分の立場を表明することは議員の責任であるはずです。
 市民に対する、議員の説明責任を果たそうとしないで、当局の提案してきた政策には黙って従う、そんな議員たちの無責任…。これでいいはずはありません。

 今回の国民健康保険会計予算に反対します。
 これは、議案第19号の、国民健康保険税条例の改正、大幅な引き上げによる、特に低所得層へのしわ寄せという増税政策に対する反対の理由でもあります。
 今年度の国民健康保険会計は、5億5000万円の財源不足を生じるとされるなかで、せいいっぱいの努力をしようとしたものであることは評価いたします。しかしその対策として、久喜市当局の答えは国保税の大幅な値上げを打ち出しました。
 久喜市の国保会計は、全世帯の46%の世帯が加入しています。人口比では30数%ですが、約半数の世帯に国保加入者がいるということは、今回の大幅増税は、約半数の世帯に影響をもたらすということです。しかもそれは、ほとんどが、負担増となります。

 国民健康保険制度の特徴、それは国保制度そのもののかかえる基本的な弱点であり、問題であり、矛盾であるわけですが、その特徴は、加入者の中出、低所得層の比率がきわめて高いということであり、高齢者が多いということです。サラリーマンが退職すれば、当然、国保に入ってきますから、年金生活者が多い、生活が不安定な方々が多いということもできます。
 それはまた、医療を必要とする人々の割合がきわめて高いということでもあります。高齢化が進み、国保の加入者の中に高齢者の占める割合が必然的に高くならざるを得ず、一方で高度医療が進行すれば、当然の傾向として、医療費は伸び続けていくことになります。
 こうした制度のもとで、国保会計を運営していくためには、一般会計から、つまり税金から相当の負担をしなければなりません。今回、一般会計からの法定外繰入金を、これまでの1億5000万円から増額して、厳しい財政状況の中で2億円の繰り入れを行ったことは評価に値しますけれども、しかしそれでも、これほど大幅な、平均20%もの引き上げになりました。
 これまでもすでに国保税の収納率は68%です。新年度予算の算定ではさらに低下して66%と見込んでいます。1/3もの税が入ってこないことを、当初から見込んで予算を組まざるを得ないこと自体が異常です。この会計が破綻している、あるいは破綻が間近であることを示しています。
 今回の増税の手法は、中所得層に配慮したものだと説明されています。たしかにこれまで、高所得層の税負担が最高限度額53万円と方で決めれている中で、中所得層の負担が比較的重かったことは事実です。そのこと自体の問題もありますが、しかしだからといって、一挙に今回、応能応益の割合を50:50にして、低所得層にこれ以上の課題負担をさせていくことが、果たして適正な政策判断であったか。これまで久喜市でも、ほとんどの市町村でも、国保会計が低所得層の占める比率が多いという、基本的な弱点を持っていることに配慮したからこそ、応能応益を75:25として、能力、つまり所得に応じた負担としてきたのです。それを、所得に関係なく、世帯ごと、世帯人数に応じた一律の負担を大幅に引き上げることによって、中所得層の平均引き上げ額は4万〜6万、低所得層の負担増は、額は少ないものの、50%もの負担増となってしまいます。これらが、税収能率のいっそうの悪化をもたらすであろうことは、想像に難くありません。それは国保会計の空洞化に結びつきます。
 もう一つ、最大の問題は、市民、加入者への周知期間がほとんどないことです。ここで大幅増税を決定して、4月から実施されます。加入者は、6月に税通知書が届いて、何でこんなにと驚くことになります。景気回復は一向に実感されず、今年の確定申告で、特に年金生活者にとっては増税がひしひしと感じられ、そして、今度は国保税の増税です。
 国保制度は今大きな変わり目に立っています。都道府県の負担の導入、県内の保険料の統一、さらに県単位で国保制度を運営する方向に進んでいます。こうした状況と見通しの上に立てば、今の段階で、久喜市でこれほど大幅な国保税の引き上げを行うことは避けるべきです。
 よって、こうした増税を前提とした、2005年度国民健康保険会計予算案に反対します。

公共施設で非常ベルが誤作動したら
2005年2月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』287号 2005/3/14

 昨年12月に、ふれあいセンターで非常ベルの誤作動がありました。しかし館内にいた市民に対して『誤作動だ』という連絡もなく(ベルが鳴り続けていたので、放送が聞こえなかった?)、2階にいた障害者のグループの人たちがボランティアといっしょに逃げようとしましたが、非常口にカギがかかっていて外へ出ることもできず、たいへん怖い思いをしたそうです。
 問題は、◆職員が、誤作動とわかっても、なかなか非常ベルを止めることができなかったこと、◆館内にいた人々に対して、『間違いだから安心してください。逃げる必要もありません』と、すぐに連絡徹底して歩くべきだった、◆また、誤作動でも、あわてて逃げようとして転んでケガをしたり、トイレで動けなくなったりしている人がいないか、非常口から出た人がいないか、職員は全館を回って確認して歩かなければならなかったはずです。実際には、非常ベルを止めるのにせいいっぱいで、利用者への対応ができずに、無用の混乱と不安を与えてしまったわけです。
 そこで、非常ベルが鳴った時に(誤作動の場合も)、職員がどんな対応をしなければならないかを明確に決めておくこと、まず市民の安全を確認する体制を作っておくこと、日頃から非常口のカギの状態のチェックをしておくなど、“危機管理”体制の確立を求めました。−その後、非常口のカギを改善して開け方もはっきりと明示し、今後、非常の際の職員の行動マニュアルを策定していくことになりました。
 他の公共施設についても、これまでは、非常ベルの誤作動の場合の対応は想定していなかったといいます。−今後、本当の災害発生か、誤作動か、利用者への情報提供と徹底をはかり、行動マニュアルを策定し、非常ベルを職員が操作できるようにするなど、改善することになりました。


久喜の国民健康保険税を大増税
低所得世帯を直撃する

『声と眼』287号  2005/3/14

 05年度、国民健康保険特別会計が5億5000万円の歳入不足(赤字)になるとして、一挙に平均20%もの国保税の引き上げ・増税案が提案されました。中間所得層(年間所得500万円前後・3〜4人家族)では年間4万〜6万円の増税(税額40万円前後)。特に低所得世帯層(年間所得200万円以下)の値上げ率は50%を超える世帯もあります。−周知期間もなく、4月から実施されます。
 これまで国民健康保険税は、低所得世帯の税率を抑制する一方で、中高所得世帯の負担を重くしてきました。しかし今回の改定は所得に関わりなく、世帯ごと・世帯人数に応じた一律の負担額を大幅に引き上げたため、低所得世帯層を直撃する増税となります。県内市町村で国保税の見直しにあたって、こうした税負担方式に転換するのは久喜市が初めてで、田中市長の政治姿勢が問われます。−市長は、2月に公表した新年度の『主要事業の概要』でも、議会初日の施政方針演説でも、国保税の大増税には一言も触れませんでした(新聞報道もなし)。したがって国保加入者は5〜6月に納税通知が届いてから大増税を知らされることになります。−市民に全く説明もせず、知らせない内に決定し、4月から実施してしまうというやり方も、“市民の目の高さに立った市政”【田中市長の公約】とは無縁です。
 国民健康保険会計はもともと自営業や農家が中心でしたが、今は退職後の高齢者世帯が多く加入しています。加入者の内、無所得世帯が25%を占めるなど低所得世帯が多く、65歳以上の高齢者が36%と、医療を必要とする人々の割合がきわめて高くなっています。そのため医療費の伸びも大きく(05年度は18%増)、国保会計の財政構造はきわめて脆弱で、国保税や国庫補助だけで医療費をまかなうことは不可能な状態です。

増税で収納率はさらに悪化する

 久喜市の27000世帯中、46%もの世帯が国保に加入し、今は働いている人も退職すれば国保に入ることになりますから、今後も高齢者・年金生活者の割合は増え続けます。したがって市民の健康を守る行政の責任を果たすために、これまでも一般会計から毎年1億5000万円を国保会計に繰り入れて財源不足を補ってきました。05年度は繰入金を2億円に増やしましたが、残り約3億円の不足額を増税によってまかなうという計算です。
 しかし実際に、机上の計算通りになるかどうかはきわめて疑問です。−現在、久喜市の国保税の収納率は68%、滞納額が30%を超えてしまっています。当局は、今回の増税で滞納がさらに増えると予想して、収納率は66%に下がると見込んでいます。大幅増税しても、計算上の賦課徴収税額に対して、1/3もの税が滞納で入ってこないことを前提とした予算というのは異常で、国保会計そのものが空洞化し破綻寸前だということを意味しています。

一般会計からの繰入れ、医療費抑制
国保制度自体の見直しも

 すでに国保税の負担は限界に近づいているのですから、国保会計の財源不足を増税によってまかなうというのは、明らかな政策判断の誤りです。不足分については、当面、一般会計からの繰入金をさらに増やすしか方法はありません。もう一つは医療費の抑制です。−健康診査の拡大充実、予防など保健事業を充実して、国保加入者の医療費増を抑え、国保会計を黒字で運営している自治体も多くあります。
 国民健康保険制度は、現在は市町村単位で運営されていますが、このままでは近い将来、運営できなくなることは明らかです。そのため、都道府県負担の導入、県内の保険料の統一、県単位で国保を運営する方向で進んでいます。さらに将来は他の健康保険との統合・医療保険制度の一本化も議論されています。−こうした状況を踏まえれば、今の段階で、久喜市でこれほど大幅な国保税の増税を行うことは避けるべきです。


『声と眼』の記事に、井上議員から「抗議」の電話がありました
2005/1/12

 1月11日、『声と眼』283号に下記の記事「12月定例市議会 総合病院の請願も“趣旨採択”」を掲載して、西口で配布しましたが、その夜の9時半頃、井上市議から猛烈な電話がありました。
 井上氏いわく。「自分は総合病院を実現するようにいっしょうけんめい行動してきた。それなのに、あの記事は何ですか。自分が総合病院に反対しているかのように書くなんて、ひどいじゃないですか」と一方的にまくし立てます。「抗議の電話だ」と言います。
 私が、「井上さんはあの通り発言しているでしょう。議員は発言したことがすべてであって、発言に責任を持たなくちゃならない。そのまま書いている」と話しましたが、井上氏は「自分は総合病院を実現しようと思ってやっている。そうでないように書くのはひどい」と言うばかりです。
 彼は「一部分の発言だけ書くのはおかしい。前後の発言すべてを書くべきだ」とも言いました。つまり、私が、井上氏にとって都合の悪い部分だけを抜き書きしているかのように言うのです。
 私は、むしろ逆に、井上氏の発言の核心部分を突いているのですが、彼はそうでないと言いたいようです。
 そこで、改めて、このホームページで、井上氏の発言の前後関係も含めて正確に書き出し、その問題点、基本的な「疑念」を指摘することにします。『声と眼』の限られた紙面ではとても書き切れませんが、このホームページを読んでいただいた方には、私が、彼の発言の一部分を恣意的に抜き出して、けなしているのではなくて、彼の発言の核心部分を書いていることがお分かりいただけるでしょう。

 さて、井上氏は、12月10日、市議会健康福祉委員会の、『救急に対応できる総合病院の設立を求める請願』に対する審議の中で、紹介議員に対して、以下のように質問しました。

 まず、1回目の質疑は、
 「……。まず、1回前の議会で行政、医師会、市民による医療懇話会をつくっていこうということで、久喜の医療を考える市民の会、これが一生懸命活動されて署名を集めました。また、私もその会員でもありますし、健康福祉委員会に所属していましたので、紹介議員にはなれませんでしたけれども、一生懸命これについて取り組んでまいりました。その趣旨というものは、基本的には十数年この問題が立ちどまってしまっている、これについて本当に市民の方々からいろんな要望があるし、これについて真剣に考えていかなければいけない、それについて一歩ずつ進めていこうということなのですが、これに関してもいろんな問題があることも事実である。例えばベッド数の問題であるとか、医療圏の問題ですとか、予算の問題も大きくかかわってくるでしょう。
 そういったことを含めて、市民の皆さんと一緒になって、市民の皆さんを巻き込んで、それでいろんな問題点を挙げながら一歩一歩進めていこう、そこで総合病院が本当に必要なのか、総合病院という形でなくて、例えば救急にできるものが必要なのか、それともほかの形でやっていくのか、いろんなことを検討していこうという形でやってきたと思うのですけれども、……」
 2回目は、なぜこの時期に請願を出したのか、という質疑。
 3回目は、「総合病院」の定義、意味についての質疑。
 4回目の質疑で、次のように述べました。
 「……、紹介議員の方は、新たにたとえば今ないところにぽつんと作るというふうに考えてよろしいわけですか。それとも、たとえば僕らなんかも考えたことは、今あるものを発展させたり、例として上げていいかどうかはわかりませんけれども、宮代さんみたいに本当に必要な救急に対応できるものとして、総合病院ではないですけれど、六花を作っていったとか、そういうものを議論して進めていけばいいというふうに考えておりますけれども、今の(紹介議員の)お話ですと、そういう検討ではなくて、そういうものを新たに作って進めるというふうに紹介議員の方では考えられているということで、たとえば今言ったように、今あるものを最善の方向に持っていったり、まちに合ったものを探していったりとか、そういうことではないというふうに考えてよろしいですか。……」

 話し言葉ですから、文章にするとわかりにくくなって、たいへん意味が取りにくいのですが、
 1回目の質疑で、医療懇話会の場で、「総合病院が本当に必要なのか、総合病院という形でなくて、例えば救急にできるものが必要なのか、それともほかの形でやっていくのか、いろんなことを検討していこう」と述べています。
 「総合病院という形でなくて」、「救急にできるもの」が何を言おうとしているのかは分かりません。市内では新井病院も救急病院ですし、久喜や幸手、蓮田、栗橋なども含めた広域の救急に対応できる「病院群輪番制」という機構もあります。それらを活用していく方法もありますが、そういったことも念頭に置いているのでしょうか。
 そして、4回目の質疑で述べた、「たとえば僕らなんかも考えたことは、今あるものを発展させたり、例として上げていいかどうかはわかりませんけれども、宮代さんみたいに本当に必要な救急に対応できるものとして、総合病院ではないですけれど、六花を作っていったとか、そういうものを議論して進めていけばいいというふうに考えております」 という発言が、彼の考える医療問題の改善策の例としての核心部分と考えざるを得ないのです。しかもその後に、「今あるものを最善の方向に持っていったり、まちに合ったものを探していったりとか」とも言っていますから、そうした方法が、“最善の方向であり、まちに合ったもの”と言っているわけです。
 そして、こうした井上氏の発言は、請願の内容である「総合病院の設立」に対置して述べられているわけです。

 彼が言う「総合病院という形でなくて」、「他の形でやっていくのか」というあいまいな発言。また例として上げた宮代の「六花」は、久喜市の保健センターにある休日夜間急患診療所を常設にした形に近いものです。「今あるものを発展させ」るとなると、この休日夜間急患診療所を発展させるということになりますが、それで、総合病院(的な)施設になるとはとても思えません。それとも、市内の民間医療機関・病院を「発展させる」ことを考えているのでしょうか。
 いずれにしろ、問題は「新たに作るのか」、「今あるものを発展させるのか」ではありません。「総合病院」の実現をめざすかどうかです。

 久喜市行政当局、なかんずく田中市長が、総合病院の実現にきわめて消極的と見られる中で、これまで多くの議員がいっしょうけんめい、総合病院の実現を求めてさまざまな活動をし、議会でも要求や提案をしてきました。井上議員もその一人であったことに、疑いを持つ人はいないでしょう。
 しかし、今回の請願に対する、井上氏の発言は、総合病院の実現とは明らかに方向が違ってきているのではないか。目標としての総合病院からずれていってしまうのではないか。そういう疑念を抱かせるに十分なものです。
 私は今回の『声と眼』の記事の中で指摘したのは、そうした“疑念”です。
 そして、もう一つの疑念は、彼がなぜ、今回の請願に対して、原案を可決させるのでなく、趣旨採択とすべきとする立場に立ったのか、ということです。
 井上氏は、私(猪股)に「抗議する」といいます。それならば、彼が“総合病院をめざす”立場に立っているのかどうかを、まず明確にしてからにすべきではないでしょうか。
 もしも「総合病院をめざす」のだとしたら、「総合病院という形でなくて」、「他の形でやっていくのか」などというあいまいな発言や、「今あるものを発展させたり」とか、宮代町の六花のような施設を想起させておいて「そういうものを議論して作っていけばいい」などの発言は出てこないだろうと思うからです。



12月定例市議会
総合病院の請願も“趣旨採択”

『声と眼』283号 2005/1/11

 9月議会で、「医療懇話会の設置を求める請願」(2014名)が“趣旨採択”とされましたが、今度は1万2222名から出された「総合病院の設置を求める請願」も同様に“趣旨採択”の扱いにされてしまいました。−本来、請願の採決は『採択か不採択』しかありません。議員1人1人が、賛成・反対の態度をはっきりと示すべきなのに、“趣旨採択”というのは、『言ってることはわかるが、実際には実現がむずかしい問題だから、どちらとも取れる』ような、あいまいな玉虫色の結論です。
 健康福祉委員会の審議では、消極的な発言が相次ぎました。−新政議員団の福垣氏は「今の久喜市の財政規模で総合病院の整備が可能かどうか」と発言。公明党の角田氏は「これから話し合っていこうというときに、なぜ総合病院の請願を出すのか」。みらいの井上氏は「総合病院が本当に必要なのか、他の形でやっていくのか、いろんなことを検討して」「今あるものを発展させたり、総合病院ではなくても、宮代町の《六花》のような施設とか、…を議論して進めていけばいい」と発言。−“総合病院でなくても、救急に対応できる診療施設でもいい”と言うのがホンネ?
 採決では、角田氏から「時期の問題があるので、趣旨採択で」と動議が出され、猪股、木村(共産)が反対しましたが、趣旨(だけ)採択とされました。

★宮代町の《六花》は休日・夜間診療所と他の保健・福祉施設の複合施設で、総合病院とは比較になりません。久喜では、休日夜間急患診療所(保健センター併設)があります。★

当面、必要な医療体制の整備を

 久喜市の医療体制の整備・総合病院問題について、方向性を示すべき時期に来ています。まず、▼将来的な総合的病院の計画づくり(10年以上はかかります)と、当面の対策を分けて考えること、▼当面、市民が近隣の総合的医療機関をもっと利用しやすくするために、たとえば、済生会栗橋病院などへのアクセス道路の整備や病床数の確保について、済生会や栗橋町と協議するなど、できることから取り組んでいくべきではないでしょうか。


総合病院の設立を求める請願は「趣旨採択」
これでは総合病院を求める市民の要求の先送りにしかならない!

2004/12/24

 11月定例議会に『救急に対応できる総合病院の設立を求める請願書』が提出されました。
 「久喜市に救急に対応できる総合病院をつくる会」という市民団体が全市的に署名運動を行い、1万2222名という、最近ではかなり多い署名を集めて提出したものです。(ちなみに、9月議会に出された「地域医療体制強化に向けた行政・医師会・市民代表等参加による 医療懇話会の設置を求める請願書」の署名は2014名でした)。

 今回の請願は共産党の稲木・砂川議員が紹介議員になりました。
 12月10日に市議会健康福祉委員会で審議されましたが、9月議会の請願と同様に、今回もまたまた公明党の角田委員が、『趣旨採択』にするよう動議を提出し、私と共産党の木村委員が『趣旨だけでなく、原案全体について採択するべき』と、趣旨だけの採択に反対しましたが、角田氏と新政議員団の福垣、みらいの井上氏が『趣旨だけの採択に賛成』して、動議は成立。趣旨だけの採択が行われ、私たちも含め、全員賛成で趣旨採択となりました。

 21日の本会議では、今度は私が『趣旨だけの採択でなく、原案全体について採択するよう』動議を出しました。
 理由は、「(1)本来、議会の請願の採択には、賛成か反対、採択か不採択の2つしかあり得ない、(2)9月議会の請願でもそうであったが、本来あり得ない、しかも市民から見てわかりにくい『趣旨採択』という方法はとるべきでない、(3)特に今回の請願の内容は『総合病院の設立を求める』という趣旨であり、その趣旨以外の内容は含まれていないにも関わらず、あえて趣旨採択というやり方をとる必要はない。議会の結論についての解釈を謝ることにもなる。したがって、原案採択をするべき、というものです。
 私の「原案採択」の動議に賛成したのは、猪股の他、共産党3名、市政会(須藤、岸、原)、みらいの鈴木の8名。新政議員団と、公明党、みらいの後上、井上、大地の石川は反対(つまり趣旨採択でいいということ)しました。
 結局またもや、趣旨だけについての採決が行われることになり、全員賛成で『趣旨採択』となりました。

 この請願の審議を通じて、いろいろな議員の考え方が明らかになってきました。
 健康福祉委員会の審議では、みらいの井上議員が、『総合病院について、医療圏の問題とか、ベッド数の問題、予算の問題とかを、検討していく』『総合病院が本当に必要なのか、総合病院という形でなくて、たとえば、救急にできるものが必要なのか、それとも他の形でやっていくのか、いろんなことを検討していこうという形でやって来た』、『今あるものを発展させたり、総合病院ではなくても、宮代町のように救急に対応できる《六花》のような施設とかそういうものを議論して進めていけばいいというふうに考えている』と自分の意見も交えて質問していました。これだとどうも、“久喜市内に総合病院ができなくても、それに替わる、救急に対応できる診療施設ができれば、それでもいい”と言っているようです。しかし、特に、総合病院の議論をしているときに、宮代町の六花を引き合いに出して比較するのは間違いです(比較対照にはなりません)。

◆公設宮代福祉医療センター六花とは−−
 診療所(内科・小児科・外科・整形外科、入院…19床)、老人保健施設、通所リハビリ、訪問看護ステーション、在宅介護支援センター、保育園の複合施設。
 診療所としては、初期診療、休日・夜間の救急医療に対応し、一時的な入院も可能。
 つまり、久喜の休日夜間急患診療所と保健センター、ふれあいセンター、その他の福祉保健施設を合わせたような施設であって、“総合病院”とはまったく違います。

 公明党の角田議員は、『9月議会の請願が趣旨採択になって、これから話し合っていこうとしているときに、なぜ総合病院という請願を出すのか』と質問しました。これではまるで、市民の最大の要求であることは間違いないはずの、総合病院の請願そのものを否定することになります。
 さらに新政議員団の福垣議員は、『今の久喜市の財政規模で総合病院の整備が可能かどうか』と質問でした。
 たいへん不思議なのは、これらの質問に共通しているのは、『請願の言っていることはよくわかる』としながら、その実、いずれの質問も、“総合病院の実現”を明確には言い切らない、それどころか、実際には“総合病院は不可能(困難)だと言っているように聞こえるのです。
 角田議員は『趣旨採択にすべき』という動議の中で、『総合病院の話は私も本当に市民要望から見て設立しなければいけないと思っております。しかし、時期がございますので、趣旨採択をお願いしたい』と理由を述べました。
 しかし、これらの議員が本当に、“久喜市内に総合病院が必要だ。作っていこう”という立場なのか、遠い将来に先送りするために“趣旨採択”としたのではないかという疑問が、当然でてきます。その場合、井上議員が「今あるものを発展させたり、総合病院ではなくても…」と述べたことは注目されます。これは、現在の市内の民間医療機関の拡張とか、他の公的医療施設を作るのか、あるいは、たとえば久喜休日夜間急患診療所の診療日を増やす(現在は休日の夜10時までだけ)ようなことで、やむを得ないといっているのでしょうか。

今、できる取り組みは?

 いずれにしても、久喜市行政でも、久喜市議会としても、いざという時に市民の生命を守れる総合的な医療機関をどう確保するか、結論を出すべき時期が来ています。
 そして残念ながら、行政が「久喜市内に総合病院の設立」をすることに消極的な態度をとり続けてきたことも事実です。
 したがって、今から公的な総合病院の設立をしていく場合、(他市の例からすると)、これからすぐに検討に取りかかっても10年以上の期間はかかります。しかし今、現に身近な場所に総合的な医療機関が必要だという切実な状況は、待ってはくれません。
 とすれば、◆将来的な総合的病院の実現の課題と、◆今、当面、市民の生命を守るために、市民が使える総合的な医療資源をどう活用していくかという問題を、分けて考えていくべきではないでしょうか。

 根本的な解決策にはならないのですが、当面する問題の対応策としては、近隣にある医療機関をいかに活用していくかということを考えざるを得ないのです。
 たとえばここでは一つだけ、例をあげます。
 済生会南栗橋病院へのアクセス道路の整備、病床数の確保、久喜市行政として済生会や栗橋町と協議することなど、今できることから取り組んで行くべきではないでしょうか。(久喜駅東口から済生会病院まで、新幹線の側道を通れば15分で到着します。現在はさいたま栗橋線や幸手の国道4号線を通って30分もかかっています)。


医療懇話会設置を求める請願
文章から、「総合病院」の文字は削除

『声と眼』278号 2004/10/12

 「総合病院・救急医療問題」は、久喜市の最大の懸案事項です。今年に入って、「医療を考える市民の会」が『行政・医師会・市民代表による医療懇話会の設置を求める請願署名』運動を行い、約2000名の署名で9月市議会に提出されました。
 市議会では異例ずくめの展開をたどりました。
 提出された請願は、市民から署名を集めていた内容から変更され、もともとの請願署名文にあった「総合病院」の文言などが削除されていました。署名した市民の中には、「総合病院」の文言が入っているから署名した人も多いはずで、本来は署名した文章を提出時に変更することはできませんが、請願団体の責任で削除したそうです。
【請願書を議会に正式に提出する際に、一部の会派から、『総合病院などの文言が入っていると議会を通らない』という話があったので、医療を考える会の役員会で削除したそうです。】

市議会の結論は「趣旨採択」

 請願は、15日の健康福祉委員会で審議され、松村、角田、井上市議らの主張で『趣旨採択』にされてしまいました。−28日の本会議では、私が、『趣旨採択でなく、請願の全体を採択するよう』動議を出しましたが、少数で否決。結局、『趣旨だけについて採択する』ことになり、私たちもやむを得ず賛成。結果としては全会一致で『趣旨採択』となりました。
文章を変えた上、『医療懇話会の設置』という唯一の請願項目も“趣旨採択”では、残念ながら腰砕けの骨抜きです。

★『趣旨採択でなく、全体を採択すべき』の動議に、「賛成」は、猪股、市政会、共産党、後上、鈴木の9名。「反対」は新政議員団と公明党、井上、石川の15名。★

「趣旨採択」ってナニ?

 本来、請願は『採択』か、『不採択』しかありません。議会用語の解説によると、『趣旨採択』とは、『請願の願意については十分に理解できるが、当分の間は願意を実現することが不可能である場合』、『請願の趣旨、目的は賛成だが、具体的に実現がむずかしいような場合』などに趣旨採択とすることがあるとされています。−つまり、“請願の言ってることはわかるが、実現はムリ。否決するのもナンだから、一応は聞き置く”というのが、趣旨採択というわけ。− したがって、この請願を「趣旨採択」にしたということは、『医療懇話会の設置』を求める請願者や市民の意向はわかるが、実際には設置はむずかしいから、『趣旨採択』という玉虫色、どちらとも取れる、あいまいなゴマカシ決着にしたということです。
 正式に『採択』とすれば、行政当局に、『医療懇話会を設置』する政治的責任が出てきて、議会も強く迫ることができます。しかし『趣旨採択』では、当局は設置しないでもいいということを、議会が認めてしまうことになりかねません。厳密にいえば議会の責任放棄です。

「医療を考える会」の請願、「趣旨採択」のゴマカシ
請願文書も、市民が署名した文章とは違っていた…
2004/9/18

 「総合病院」の実現が、今でも久喜市民の最大の要求であることは、ほぼ間違いないでしょう。しかし大学病院等の誘致や、市立病院の新設も困難、市内民間病院の拡張も困難と、閉塞状況に陥っています。
 今年に入って、「医療を考える市民の会」が『行政・医師会・市民代表等の参加による医療懇話会の設置を求める請願署名』運動を行いました。
 この『請願書』は8月23日に、約2000名の署名を付けて久喜市議会に提出されました。
 しかし、請願の文章は、市民から署名を集めていた内容から変更され、もとの請願書名用紙にあった「総合病院」の文言などが削除されていました。
 2000名余の市民の中には、「総合病院」の文言が入っているから賛成署名した人も多いはずです。
 本来なら、市民から署名をしてもらったら、そのままの文章で「請願」として出すのがあたりまえ。『議会を通りやすくするため』などの判断で、署名してもらった文章をかってに変えて、提出したのでは、もとの文章に賛同して署名した市民の願いを裏切ることになってしまいます。

 こうした手続き上の問題について、議会運営委員会で協議しましたが、『議会に正式に提出された請願はこの文章だけだ。“変更前の元々の文章”には感知しない』として、受理しました。署名した人々に対しては、「医療を考える会」が責任を持てばいいという理屈ですが、これだと、市民向けには署名を集めやすい文章で署名をお願いしておいて、議会には問題になりそうな部分は省いて提出することも可能になってしまいます。今後、問題が残りそうです。

 請願は、15日の健康福祉委員会(委員長・鈴木松蔵、井上、角田、松村、木村、猪股の6名)で審議されました。
 基本的には全員、賛成の立場でしたが、採決にあたっては、角田市議が、『趣旨採択』とするよう提案し、松村、井上市議がこれに賛成しました。
 本来は、請願は『採択』か、『不採択』しかないのですが、『趣旨採択』とは、『請願の願意については十分に理解できるが、当分の間は願意を実現することが不可能である場合』、『請願の趣旨、目的は賛成だが、具体的に実現がむずかしいような場合』に趣旨採択とするもの。
 わかりやすく言えば、“言ってることはわかるが、実現はムリ。否決するのもかわいそうだから、一応は聞き置く”というのが、趣旨採択の本質です。

 つまり、この請願を「趣旨採択」にするということは、『医療懇話会の設置』は不可能だから、当局が設置しないでいいということを認めてしまうことになります。
 こんなあいまいなゴマカシの趣旨採択という方法をとることに、猪股、木村議員が反対。あくまでも、「趣旨だけ」でなく、「医療懇話会の設置」という請願の全体を採択し、行政に懇話会設置を求めて行くべきと主張しました。
 しかし、3対2で、「趣旨だけを採択する」という動議が成立してしまいました。
 その後、委員長が、「本請願については趣旨について採決します。ご賛成の方は起立してください」と諮って、私たちもやむを得ず賛成。全員一位で、趣旨採択となりました。

 この請願は、9月28日の本会議で全体で採決されます。

 


「医療を考える会」の請願のゆくえ?
『声と眼』275号 2004/9/6

 「総合病院」の実現が、今でも久喜市民の最大の要求であることは、間違いないでしょう。しかし大学病院等の誘致や、市立病院の新設も困難、市内民間病院の拡張も困難と、閉塞状況に陥っています。今年に入って、「医療を考える市民の会」が『医療懇話会の設置を求める請願署名』運動を行いました。−この『請願書』は8月23日に、約2000名の署名を付けて提出されましたが、請願の本文から「総合病院」の文言が削除されてしまうなど、もとの文章が大きく変更されていました。−市民の署名をもらった請願書の文章を勝手に変えてしまったらしいのですが、いったいどうなっているのでしょうか。

「総合病院が移転」のウワサの真偽
幸手市民の意見はどうなのか

 こうした中で、“幸手総合病院が久喜に移転”のウワサが広がっています。−幸手総合病院は11診療科目、198床で、JA関係団体が設立・経営しています。“移転”の話は、建物の改築にあたり、「幸手の現在地には老人関係の病棟だけ残して、その他の主要機能を久喜に機能分割する」というもので、この真偽が注目されています。−議員など久喜市の関係者、市民団体の関係者、久喜の医師会の役員の中にも『その話は聞いている』と語る人がいるのも事実です。
 ただ、幸手市との合併協議が進んでいる最中で、“今は幸手市民を刺激してはまずい”という判断から、現在の段階では、「いっさい表に出さない」「その話題自体を凍結」ということになっています。−「機能の分割であって、病院全部の移転ではない」「合併すれば同じ市内になるんだから、幸手市民の反発も少ないのではないか」と見込んでもいるようです。
 しかし、そもそも、“合併前だから議論凍結、表に出さない”というやり方からして、幸手市民を欺瞞するものです。
 仮に合併後に、実際に移転(機能分割?)計画が表に出てくれば、幸手市民が「移転反対」の運動に立ち上がることが当然予想されます。その時に、合併後の新市の市長や議会が、「移転」を推進するでしょうか。−そうすると、事実上、移転は不可能(?)で、結果的に、久喜市民の期待をも裏切ることになります。
 「医療を考える会」の請願署名と、久喜市内への総合病院の誘致・移転の話、さらに合併問題もからまって…。こんな無責任な話は、幸手市民・久喜市民、双方の不信を招くだけです。

財政計画に『総合病院』の予定なし

 全戸配布された《新市建設計画》に、「総合病院等の誘致」が記載されています。しかし、その財政的裏付けである《財政計画》には、『総合病院』誘致や建設の費用は盛り込まれていません。
 合併特例債事業の候補(久喜市分15事業・183億円)にも、また、市町別の主要事業候補(久喜市分22事業・350億円)の中にも入っていません。−ということは、現実には総合病院の計画はないのに、《新市建設計画》や合併推進のパンフレットに、総合病院の項目だけを記載しているわけで、久喜市民を「合併賛成」に誘導するために、ありもしない計画を載せているということです。


幸手総合病院が久喜市内に移転して来るというのは単なる“ウワサ”か
2004/3/22

 久喜の市民の中で、最も強い要求は「総合病院の建設、または誘致」であるというのは、事実である。10年くらい前には病院用地を行政が確保して、誘致しようという動きもあった。残念ながら、田中市長も、久喜市の行政も、今のところ、久喜市内に総合病院を作ろうという姿勢、方針はまったくもっていない。
 いやむしろ、合併がうまくいけば、幸手市内の大きな病院が同じ市内ということになるから、いいじゃないかという、開き直り的な姿勢すら見えているのだ。


 久喜市の医療を考える会という住民団体が、3月定例議会に請願を提出する準備を進めていたが、急に「陳情」に切り替えられた。市議会議長らから、強い要請(?)があってのことという。
 時期を同じくして、幸手総合病院(JA系列)が老朽化による建物の改築に合わせて、主要部分が久喜市内に移転して来るというウワサが急速に広がった。
当の住民団体の中でも、また医師会の中にもそのウワサがあるという。幸手市議会でも、「そうしたウワサの真偽について」正式に取り上げられたという。
 病院の当事者も、久喜市も、『あずかり知らぬこと』と言うのだが、その割にだれも、『デマである。そんな事実はない』と否定する人もいないのである。

 久喜市民の中では、そのウワサが本当であることを願っている人もいる。つまり、幸手市が久喜市と合併するに際しての「ミヤゲ」というわけだ。
 逆に、幸手市民にとっては、合併と期を一にして、市内の総合病院まで久喜に持って行かれたんじゃ、とんでもない、という気持ちの人もいる。

 大切なのは、今の久喜市民にとって、本当にどんな医療体制が必要なのか、ということを議論する場ではないか。
単に、いくつもの診療科目を持った大きな病院が来ればいいという問題ではない。ましてや、隣の市にある病院を久喜市の区域に動かして、今の久喜の区域に住んでいる住民の医療を満足させればいいという問題でもあるまい。



『医療懇話会』設置の請願は見送り
『声と眼』263号 2004/2/9

 久喜市医療を考える市民の会が、『地域医療体制強化に向けた議会・行政・医師会・市民参加による医療懇話会の設置を求める』請願署名運動を開始しています。この請願は、久喜市において「総合病院などの救急医療体制の充実について話し合うため、まず行政、議会、医師会、市民代表が同じテーブルで協議する場の設置を求める」という、しごく当然な内容です。
 2月定例市議会に提出する計画でしたが、市議会の各会派と話し合った結果、今回は『陳情』に切り替え、あらためて時期を見て『請願』として提出することにしたそうです。


ふれあいセンターの管理委託を検討しては
3月市議会 猪股和雄の一般質問 『声と眼』225号 2002/3/11

 ふれあいセンターの管理は現在は市の社会福祉課が行っていますが、はたして職員を3人(他に臨時職員)も配置しておく必要があるのでしょうか。たとえば社協などに委託してもいいのでは?−と提案。利用者のサービス低下にならないことが大前提ですが、市も今後検討する考えです。


土屋知事の訪問で、ふれあいセンターは大騒ぎ

「やらせ」のにぎわいと歓迎に、土屋知事は大喜びで帰っていった
2002/2/8

 午後、ふれあいセンターへ行ってみると、1時過ぎに市の職員40名以上が市バスで到着。会場の設営、駐車場整理などに当たらせるため、各課の「手の空いている(要するに暇な)職員をかき集めてきたという。
 それにしても、知事の威光は大したもので、広場前の駐車場も北側入口前の駐車場もロープを張ってすべて使用禁止。知事到着後も、10数台は止められる駐車場に知事の黒塗りの高級車と随行車を会わせて数台を置いただけなのに。−−その分、一般市民(動員者)が車を停める場所がなくて、大混乱だった。
 歓迎セレモニーで、知事の「大演説」は20分ほどにも及んだ。動員が効いて人も多かったから、よほど機嫌が良かったらしく、漫談調で冗談をしきりに連発しながら、話の中心は10数年前の環境庁長官時代の思い出話。そして、「娘である土屋品子をよろしく頼みます」とも。…衆議院解散が近いと見ているのかな?
 話の中で少しは、マジメな部分もあって、「権力者にならない」「現場主義」という2つのフレーズがあったのだが、この当日の、「やらせの賑わい」を見て「現場」を見たと思われるのは困る。
 それと、知事が来るからというので県や市の職員がどれほどに苦労して無駄な時間を費やして市民を動員し、準備してきたか、その事実を知らないで、いい機嫌になって喜んでいるとしたら、まるで「ハダカの王様」だし、知っていて、みんなが自分のために動員してでも人集めするのが当然だと思っているとしたら、「権力者」以外の何ものでもない。
 さて、土屋知事はどちらだろう。
 ちょっと言葉などに遅れのある子どもたちが通う、おもちゃ図書館。普段は3時過ぎには終わって、子どもたちは帰るのだが、この日は特別に知事が部屋を回ってくる4時過ぎまで残っていたという事実など、知っていたのかな。知らなかったんだろうな。

 私は、点訳・パソコン室にいた。
 視覚障害者とたんぽぽのサポーターとでパソコンの練習をしていて、同時に、ぎんなんのメンバーが点訳用パソコンを動かしていた。知事一行が入ってきて、市長が説明。音声によるパソコンの練習や点訳の様子を見ても、あまり反応がない。「たいへんですね」「がんばってね」「すごいね」などとありきたりの決まり文句しか帰ってこないのには、ちょっと拍子抜け。
 何をやっているのか、理解してくれたんだろうか、心配になった。
 「久喜は進んでるね」とも言っていたが、県内あちこちでこうした取り組みが進んでいて、できていないとしたら、それこそ、ノーマライゼーションからして問題なのだ。
 久喜が進んでいるのではなく、できていない他市や県が遅れているのだ。そのことを理解しているのかどうか。


土屋知事閣下様がふれあいセンターをご訪問にいらっしゃられるので、
久喜市はご歓迎の市民の動員にいっしょうけんめい
県職員も十数人で何度も下見、何という時間と税金の無駄使い
行政は他にやるべき仕事はないのかね。それともそんなにヒマなの?

2002/2/2

 土屋知事が、2月7日に、「さわやかふるさと訪問事業」と銘打って、土屋知事が久喜のふれあいセンターを視察に来るという。
 普段のありのままのふれあいセンターの姿、活動を見てもらえばそれでいいと思ったら、行政としてはそれではすまないらしい。
 1月13日に、ふれあいセンターの登録団体を集めて、当日の「動員」の依頼。
各団体に人数を割り当てて、ぜがひでも百数十人の歓迎部隊を集めなければという意気込みである。
 2月7日、知事の訪問は、午後3時半から4時半までの1時間。
 最初の30分間は歓迎式典、館内視察に25分、最後の5分間は集まった市民と知事の記念写真を撮って、全員で“お見送り”という時間割だとか…。

 市では社会福祉課で準備の会議を積み重ねていて、各団体に対しても、参加人数を事前に報告してほしいとのこと。
 障害者団体やボランティア、日常普段の活動にはふれあいセンターを使っていない団体まで集めて、“にぎわい”を演出してみせるというわけだ。
 一体これでは我々ボランティアは、障害者のためのボランティアか、知事のご機嫌取りのボランティアか、分からないというものだ。
 だいたい、知事は25分でさあっと全部見て行くんだから、知事がそれぞれの部屋を覗く1〜2分だけ、いればいいのかな。

 知事をお迎えする市町村は住民を大勢動員して“歓迎”するのが慣例になっているらしい。さて、これではいったい何のための、だれのための知事の県内視察なのか、目的と意義について、大いなる疑問がわいてくる。
 人がたくさんいないと知事がご機嫌を悪くする?
 後々の予算配分に影響でもする?
 知事側から、できるだけたくさん動員しておくように指示でも来ている?
 それは知事自身の意向なのか?
 “わざわざ来てもらう”側の市町村が、知事のお出ましを感謝しありがたがって、勝手に動員競争しているのか?

 さらに、2月1日の夕方には不思議な光景を目にした。
 ちょうど知事がふれあいセンターを見ているであろう時間帯に、県の職員15〜16人が大挙してセンターを訪れ、知事の回るコースの確認をしていたのである。市の健康福祉部長、社会福祉課長、センター所長らが、同行していた。
 県の職員による下見はこれで2回目だという。
 これ、すべて、仕事で、給料もらって、やっているんだろうが、県の職員というのは、そんなにヒマなのか。
 県も、市も、たかが知事の視察に対して、何という無駄な時間と労力を使っているのだろう。
 行政はやるべき仕事がもっと他にあるんじゃないだろうか?

 なお社会福祉課では当初、知事の乗った車を中庭の奥まで入れて降りてもらう計画だったのだが、ここは車は進入禁止。
私は『知事だから特別扱いするのか』と課長に抗議したところ、県に相談して、駐車場で降りてもらうことになったとか…。【当たり前だ】
 もう一つ、当初の予定との変更があったとか。初めは、知事に2階の外の渡り廊下を歩いてもらうはずだったのだが、知事のご健康(寒いかもしれない、雨でも降ったら濡れてしまう)を理由に、県から外を歩かせないように申し入れが来て、コースを変更したという。
 この外廊下は、利用者の避難路として、設計時に工夫した個所であり、ふれあいセンターの特徴といってもよい、むしろ知事にぜひ見てもらいたい所なんだが、知事に寒い思いをさせては成らないということの方が優先するらしい。
 何と、ばかばかしい話ばかり。
当日は、さらにばかげたことが起こるかもしれぬ。ぜひ見物に行ってみたいと思っている。


知事の歓迎に団体の動員って…?
『声と眼』223号 2002/2/4

 2月7日に、土屋知事が久喜のふれあいセンターに来るので、歓迎のためにボランティアや福祉団体の“動員”を−こんな“協力依頼”がありました。これは知事の「さわやかふるさと訪問事業」と銘打って実施されるもので、当日は午後3時半過ぎから1時間だけの予定でふれあいセンターを訪問します。もっとも、最初の30分間は歓迎式典、館内視察に25分、最後の5分間は集まった市民と知事の記念写真を撮って、全員で“お見送り”という時間割だとか…。
 市では社会福祉課で準備の会議を積み重ね、各団体を集めて動員人数を記した紙まで配って参加人数を事前に報告してほしいとのこと。−知事をお迎えする市町村は住民を大勢動員して“歓迎”するのが慣例になっているらしい…(それとも県側の意向でしょうか)。−行政はやるべき仕事がもっと他にあるんじゃないの?
 なお社会福祉課では当初、知事の乗った車を中庭の奥まで入れて降りてもらう計画でしたが、ここは車は進入禁止です。『知事だから特別扱いするのか』と課長に抗議したところ、県に相談して、駐車場で降りてもらうことになったとか…。【当たり前だ】

★知事の県内視察は、普段のありのままの活動状況を見てもらうことに意味があるはずだが、行政側は『知事にいい機嫌で帰ってもらう』ことが目的なのか?★


社協の体制強化が急務
12月市議会 猪股和雄の一般質問
『声と眼』181号 2000/1/24

 4月から、社会福祉協議会が《居宅介護支援事業所、訪問介護事業所》としてホームヘルパー派遣やケアプランの作成業務、また在宅介護支援センターも運営することになります。久喜の介護保険行政の中心的な役割を担うわけですが、現在の社協の体制ではとても対応できません。職員体制を充実し、専任常勤の事務局長を配置していくよう求めました。


市長が久喜市社会福祉協議会会長に
『声と眼』1999/7/12 169

◆社会福祉協議会 新会長に田中市長を選出(5月26日評議員会)。介護保険導入を目前にして、行政と社協の連携強化が課題。なお塩崎前会長は新設の相談役に。