いのまた和雄トップページへ 『声と眼』のページへ テーマ別目次へ 市民活動のページへ メッセージのページ

久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』 698号
2025年 9月29日


698号ファイル

 『声と眼』
バックナンバー


【9月市議会】 選挙の公費負担限度額引き上げは必要か

 市議会議員選挙と市長選挙のポスター、選挙中の個人ビラ、候補者カーの費用などは、市が公費で負担しています。
3年前の選挙では公費負担の上限額は、レンタカー11万600円、運転手8万7500円、ガソリン代5万2920円、ポスター55万3600円、選挙用個人ビラは市議選3万40円、市長選12万160円でした。

 9月市議会に、公費負担の上限額を引き上げてポスター印刷費58万1972円、個人ビラは市議選3万5200円、市長選13万4080円とする条例改正案が提案されました。
宣伝カー関係費用の上限は据え置きです。

 3年前の選挙では、5名(川内・上條・成田・新井議員と梅田市長)がポスター印刷費の上限額いっぱいを請求して支給されました。
他の候補者は30~50万円が8名で、30万円以下が15名でした(猪股は27万6800円)。
個人ビラは市議候補12名と梅田市長が上限額満額を使いましたが、他の候補者はもっと安くすんでいます。
印刷費などは特に基準がなく、候補者が自分で負担するわけではないので、業者が高く請求してくる傾向があると言われています。

 3年前の市議選で全候補者31名の公費負担合計額は1617万円にのぼりました。
公費負担の財源はすべて市民の税金ですから、各候補者はできるだけ低価格で発注し、公費負担を減らすべきです。
実際、多くの候補者は限度額より大幅に安くすんでいるのですから、公費負担上限額を現在の額で据え置いても、印刷費をその範囲内ですませることはできるはずです。
安易に公費負担を引き上げるべきではありません。

【9月市議会】
「生活保護基準引下げを違法とした最高裁判決を踏まえ、
生活保護利用者への補償措置を求める意見書」を提出した

 9月市議会に、生活保護費の引き下げ分の補償を求める意見書を提出しました。
 提出者は猪股、賛成者として、無会派の貴志、宮崎、共産党の渡辺、市民の政治を進める会の川辺議員が署名しました。
 最終日の10月1日に審議されます。

生活保護基準引下げを違法とした最高裁判決を踏まえ、
生活保護利用者への補償措置を求める意見書

 本年6月27日、最高裁判所第三小法廷は、大阪府内及び愛知県内の生活保護利用者らが、2013年から3回に分けて実施された生活扶助基準額の大幅な引下げによる生活保護費の減額処分の取消し等を求めた各訴訟の上告審で、厚労相による本引下げは違法であると認め、各処分を取り消す判決を言い渡した。

 本判決は、2008年から2011年の「物価下落」による「デフレ調整」を理由に生活扶助基準額の引下げを行った判断について、厚労相の裁量を逸脱・濫用するものであり、生活保護法3条、8条2項に違反すると判断したものである。

 したがって本引下げが行われた期間における生活保護を利用者の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」という憲法上の極めて重要な基本的人権を侵害した事実を深刻に受け止めるべきである。

 同様の裁判は全国で相次いで起こされ、各地の裁判所で審理が続いており、今回の判決で統一的な判断が示されたことから、他の同種訴訟にも影響を与えるのは当然である。

 埼玉県内の生活保護利用者が原告となっている訴訟では、さいたま地裁及び東京高裁において、いずれも額処分を取り消す判決が下され、現在最高裁判所に係属中である。

 国は、埼玉訴訟を含め現在も全国の裁判所に係属している同種訴訟の原告及び原告となっていない生活保護利用者並びに元利用者についても、本引下げによる保護費の減額処分を取消し、本来受けるべきであった生活扶助費と実際の支給額との差額を支給するなど、必要な補償措置を講じるべきである。

 よって、国に対し、本引下げによる影響を受けたすべての生活保護利用者及び元利用者への補償措置を直ちに実施して、本引き下げによる被害を回復するとともに、真に健康で文化的な最低限度の生活が可能となるように生活保護基準を引き上げることを求める。

 以上,地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出する。

久喜市議会

【提出先】
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣


★市民の政治を進める会で、9月市議会にもう1件、「消費税の食料品非課税の実現を求める意見書」を提出した。
提出者は川辺議員、賛成者に田村、宮崎、貴志、渡辺議員が署名している。★


猪股市議の一般質問 1
9月10日の本会議で、7項目の一般質問を行いました。


【一般質問】 福祉避難所の早期開設方針を再確認3

 市では災害時に、障害者や高齢者など一般の避難所で過ごすことが困難な方々の福祉避難所を開設します。
以前は一般の避難所を設置した後で福祉避難所を開設して、特別な配慮が必要な人を移送するという考え方でした。
しかし熊本地震などで、障害者らが避難所に入れないで取り残されていたことが問題になりました。
そこで議会で福祉避難所の早期開設を提案し、久喜市も3年前に方針を転換して、一般の避難所を開設すると同時に福祉避難所2か所(ふれあいセンター久喜・久喜特別支援学校)を開設することにしました。
要援護者の個別避難計画で、福祉避難所に直接避難することも盛り込んでいます。

 ところが最近、市が出前講座で配布した資料には、《一般の避難所開設後、速やかに福祉避難所を2か所程度開設します》と書かれていて、職員もその通りに説明していたことがわかりました。
一般質問で確認したところ、この資料は間違いで、市が方針を変更したのに、資料の説明を直していなかったことが判明しました。
市ではこの間違った資料を訂正して、今後は新しい方針で説明していくとしています。

 問題は、職員が資料が間違っていることに気付かずに、これまで出前講座などで市民に間違った説明をしてきたということです。
市の職員自身が福祉避難所を早期に開設するという新しい方針を知らないで、古い考え方のままでいたことになります。
職員全員に新方針の共通理解を徹底することと、市のホームページや広報で市民に正確に知らせていくように求めました。


【一般質問】 がん患者のアピアランスケアを拡大

  がん患者が治療と仕事などの社会参加を続けられるように、アピアランス(外見)ケアの拡充が求められています。
議会で提案をしてきた結果、久喜市も一昨年からウイッグの購入費助成制度(上限1万円)を県内4番目に開始しました。
現在は46市町が助成制度を作っていて、久喜市以外のすべての市町ではウイッグだけでなく補整下着や乳房補正具も補助対象にしていますが、久喜市だけが「ウイッグのみ」に限定しています。
6月議会で、久喜市も補助対象を拡大するよう提案しましたが、市は『拡大する考えはない』と答弁していました。
今回も引き続き対象の拡大を求め、ようやく来年度から助成対象を拡大するという答弁を引き出すことができました。

 補助金額は他市町では最高5万円で、近隣の宮代町・白岡市・蓮田市などはウイッグ3万円、補整下着等2万円を補助しています。
久喜市もせめて近隣市町並みに補助金額を引き上げるように提案しましたが、市は『引き上げる考えはない』という答弁を繰り返しました。

★アピアランスケアの補助対象の拡大ー。
今回は斎藤議員も同じ質問をした。
6月議会で私が提案したので、今度は前向きの答弁が出てくると思って取り上げたのだろうか。
他の議員の質問に都合よく便乗するのはいただけない。★

【一般質問】 子どもたちに冷却パッドの配布を提案

  地球温暖化・沸騰化で、久喜市でも40℃近い気温の日が続きました。
重いランドセルを背負って通学する子どもたちの健康が心配です。
そこでランドセルに取り付けて使う《冷却背当てパッド》を、小学生にプレゼントするとともに、学校に再冷凍できるように冷凍庫の設置を提案しました。

 全国で2市がこの冷却パッドを全小学生に配布するとともに、学校に冷凍庫を設置して、帰りにも冷たいままで使えるようにしています。

 久喜でも個人的に購入して使っている家庭もあるようですが、帰りまでには溶けてしまって役に立ちません。
教育部長が『日傘やネッククーラーなどを推奨している。冷却パッドも各家庭で用意するもの』と答弁しました。
しかし帰りにも使えるように、学校に冷凍庫を設置しないと意味がないのですが、そうした配慮をする考えはないようです。

【一般質問】 「久喜市掲示場」って知ってますか?

市役所の玄関前に「久喜市掲示場」があります。
条例などを公布する際に貼り出して《公告》するのですが、実際には取り出して読むことはできません。
職員も市民がだれも見に来ないことがわかっているのに、わざわざ文書を貼りだしています。

 さいたま市、熊谷市、所沢市などはすでにホームページ上に《電子掲示場》を開設して、そちらに《公告》しています。
久喜市もホームページに《掲示場》を開設するよう提案しました。
市では来年度から実施する方向で、準備を進めていくと答弁しました。







久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』 697号
2025年 9月 8日


697号ファイル

 『声と眼』
バックナンバー

財政調整基金は33億円を回復したが

 9月1日に定例市議会が始まり、2024年度決算などが提案されました。
昨年度の予算審査での最大課題は、小中学校校舎の老朽化対策や公共施設の維持管理・改修でした。市は緊急に公共施設の改修を進めるため、それまで80億円あった基金の内の60億円を取り崩すなどして改修の財源に充ててきました。

◇財政調整基金は、当初予算でほとんど全額を取り崩しましたが、市の事業の削減などで余剰金を積み戻してきて、25年度末には33億円を確保できる見通しです。
◇減債基金も8億円もあった全額を取り崩し、その後に一部を積み戻したものの、25年度末の残高は2億円にとどまる見込みです。
市の借金である市債残高は、25年度には420億円、26年度末には500億円をこえる見込みであり、計画的な償還のために減債基金をもっと積み増しておく必要があります。
◇アセットマネジメント基金、ごみ処理施設整備基金、市民の森・緑の公園整備基金などを含めた市の基金残高は、25年度末の総額で約52億円となる見通しです。

★財政調整基金は不測の災害などに備えて積み立てておくもので、久喜市の適正規模は33億円程度とされている。
減債基金は市債の償還資金だから、安易に取り崩しては、将来の市債償還計画が成り立ちたなくなるおそれがある。★

2024年度一般会計決算が提案された

(単位 千円)

歳入 2024年度予算額 2024年度決算額 増減額 増減率
市税 235億2094万5 235億6398万5 4304万0 0.18%
地方譲与税 4億4833万9 4億4785万6 ▲48万3 ▲0.1%
利子割交付金 800万0 1000万3 200万3 25.04%
配当割交付金 1億1300万0 1億9048万0 7748万0 68.57%
株式等譲渡所得割交付金 9300万0 2億7354万8 1億8054万8 194.14%
法人事業税交付金 2億5400万0 3億2062万5 6662万5 26.23%
地方消費税交付金 3億52000万0 37億1284万3 1億9284万3 5.48%
環境性能割交付金 7500万0 9781万7 2281万7 30.42%
地方特例交付金 1億7095万5 8億6454万5 6億9359万0 405.71%
地方交付税 57億2200万0 67億0553万5 9億8353万5 17.19%
交通安全対策特別交付金 1978万2 1636万0 ▲342万2 ▲17.3%
分担金及び負担金 2億2485万0 2億1136万8 ▲1348万2 ▲6.00%
使用料及び手数料 3億1058万4 3億0652万0 ▲406万4 ▲1.31%
国庫支出金 99億1033万4 141億4183万6 42億3150万2 42.70%
県支出金 43億0770万9 43億6403万8 5632万9 1.31%
財産収入 2303万7 2億5371万8 2億3068万1 1001.35%
寄附金 1億0763万5 2億2372万5 1億1609万0 107.86%
繰入金 69億3570万0 29億4776万2 ▲39億8793万8 ▲57.5%
繰越金 7億0000万0 17億5861万8 10億5861万8 151.23%
諸収入 13億6473万0 14億7830万0 1億1357万0 8.32%
市債 31億3840万0 30億9717万1 ▲4122万9 ▲1.31%
合計 609億6800万0 649億8665万2 40億1865万2 6.59%
歳出 2024年度予算額 2024年度決算額 増減額 増減率
議会費 3億5662万7 3億3649万2 ▲2013万5 ▲5.65%
総務費 73億6371万4 71億8432万3 ▲1億7939万1 ▲2.44%
民生費 254億2706万2 280億0174万3 25億7468万1 10.13%
衛生費 53億3586万4 65億8406万9 12億4820万5 23.39%
労働費 1492万3 1543万3 51万0 3.42%
農林水産業費 7億8211万7 6億3624万1 ▲1億4587万6 ▲18.65%
商工費 2億5431万6 2億2257万0 ▲3174万6 ▲12.48%
土木費 50億6217万5 41億9328万1 ▲8億6889万4 ▲17.16%
消防費 22億1168万2 21億7818万6 ▲3349万6 ▲1.51%
教育費 96億7921万8 76億5090万2 ▲20億2831万6 ▲20.96
公債費 41億3666万3 40億8398万9 ▲5267万4 ▲1.27%
諸支出金 1億4363万5 5億8242万2 4億3878万7 305.49%
合  計 609億6800万0 616億9965万2 7億3165万2 1.20%

歳入歳出差引額  33億1700万円
継続費等を除く実質の差引額   27億4952万円
──────────────────── 
財政調整基金 24年度末残高 37億8676万円
25年度 財政調整基金を取り崩し 20億5936万円
  財政調整基金に積立て 13億8167万円
25年度末 財政調整基金残高見込み 33億0846万円

審議会等の女性委員比率39.8%にはアップしました
公募委員が30%未満の審議会が増えた

『声と眼』697号 2025/9/8

 女性委員は昨年より19名減ですが、比率はやや上がりました。
女性委員が3割に満たない審議会は4です。
年齢構成では60代以上が半分を占めています。
ここに記載した以外の行政委員会でも、選挙管理委員会は女性ゼロ、農業委員会で女性は19名中2名だけです。

公募委員が3割未満の審議会は昨年の3つから5つに増え、市民参加が後退していると言わざるを得ません。
この表には出ていませんが、4つ以上の審議会委員を兼任している人が人もいて、人選が固定化していることも否定できません。
市長が積極的に女性や若手の登用を主導して、兼任を減らすとともに、公募や新しい委員を増やしていくべきです。
久喜市の市民参加の質が問われています。