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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』 661号
2023年 11月26日


661号ファイル

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防火装置の不具合 放置は許されない

 建築基準法で建物の防災施設や屋上防水などについて定期的な点検が義務付けられています。
2022年3月に実施された点検では、ほとんどの学校で屋上防水の劣化、外壁のクラックや破損、防火シャッターの不具合などが指摘されました。
しかし市ではその後1年以上も補修を行わずに事実上「放置」してきました。

 ようやく9月議会で追加補正予算を計上して、校舎の雨漏りは久喜中など8校は今年度中に解消する見通しですが、栗橋西中学校は来年度の大規模改修に先送りされています。
校舎外壁の落下が久喜東中、久喜東小学校と続きました。
改めてすべての学校校舎の点検をやり直して直ちに補修するべきですが、いまだに方針が示されていません。

青葉小の防火シャッターを現地確認

 火災発生時に児童生徒の命を守る防火シャッターや防火扉は30校で不具合が指摘されています。

 11月2日、有志議員4人で青葉小学校の防火シャッターの不具合の実態を確認してきました。
青葉小学校で「防火シャッターの不具合」が指摘されたのは、普通教室棟、管理・特別教室棟の8か所で「ブレーキ不良」となっています。
災害時にシャッターが降りてきて、人などに触れたら停止しなければならないのに止まらないで挟んでしまうおそれがあるというのです。
実際に現地で確認すると、防火シャッターが作動するとかえって危ないので、普段からシャッターを下ろして閉鎖していました。
また別の箇所ではシャッターのレールに突っかい棒を入れて下りないようにしていました。
これでは火災の時に防火シャッターが作動せず、防火装置の役目を果たせませんから、法律違反のおそれもあります。

 教育委員会は防火シャッターが使えないことを知っていたのに、修理しないで放置していたことになります。
防火装置の修理のための予算を付けなかった財政当局の責任も重大です。

 青葉小以外に防火シャッター・防火扉の不具合が指摘されたのは、◆防火シャッターのレールに障害物(清久小・北小)、◆自動開閉装置不良・扉開閉不良(久喜小・鷲宮小・久喜中・久喜南中・栗橋東中)、◆シャッター降下不良(太田小・清久小)、◆断線で起動不良(太田小)などで、これらは実際に火災が発生したら防火装置の役目を果たせない致命的欠陥ではないでしょうか。
◆その他にも多くの学校で「運動エネルギー超過」(閉鎖速度が早すぎる)も指摘されています。
市長はすべての学校の防火装置が正常に作動するように、直ちに修理の予算を計上すべきです。


学校給食のアレルギー対応を拡大

 久喜市では2021年2学期から新学校給食センターで《アレルギー対応食》の調理を開始しました。
最初は《卵と乳の除去食》、2年目からは《卵と乳の代替食》を提供しています。
市内の小中学校に通う約1万3000人の内、昨年は313人の児童生徒が給食でアレルギー食材の対応を申請していました。
現在、《卵と乳のアレルギー代替食》の提供を受けているのは85人で、その他に《弁当を持参》や、献立によって《一部弁当持参》の児童生徒が175人です。

 市議会でこれまで、1人でも多くの子どもが給食を食べられるように『アレルギー対応の食材をもっと増やすように』求めてきました。
教育委員会では来年4月から、《卵と乳》に加えて《エビ・カニ》の代替食の調理を開始する方針を発表しました。

 アレルギー食材の代替食は、《卵・乳・エビ・カニ》のすべてを除去して別の食材に置き換えます。
このやり方だと、たとえば《エビ》は食べられないけれど《卵》はだいじょうぶという子どもにも、この4種類の食材をすべて除いた給食を提供することになります。
理想は1人1人の児童生徒にそれぞれのアレルギー食材を個別に除いた給食を届けられればいいのですが…。

★【アレルギーを持つ児童生徒 年度】
卵128人、牛乳54人、ピーナツ64人、木の実64人、甲殻類53人、果物72人、小麦17人、大豆7人、魚類18人、魚卵29人、そば29人、ゴマ7人、その他65人 ★


生活保護世帯が増え続け、過去最多に

 生活保護の相談や申請、決定が大幅に増えています。
今年度上半期(4~9月)の相談件数は318件(前年比29%増)、申請180件(同59%増)、生活保護の新規開始123件(同62%増)でした。
その結果、9月の生活保護受給数は過去最多の1406世帯に達しました。人数では1814人で、これまでは2019年の1819人が最大でしたから、それに次ぐ多さです。

相談 (昨年比) 申請 (昨年比) 決定 (昨年比) 世帯数 人数
1 36 (▲6) 15 (▲2) 15 (+3) 1373 1783
2 50 (+11) 29 (+12) 14 (▲1) 1374 1783
3 57 (+11) 31 (+10) 20 (+2) 1378 1787
4 52 (+21) 25 (+5) 20 (+8) 1379 1781
5 51 (+15) 34 (+22) 23 (+11) 1389 1796
6 59 (+12) 32 (+12) 19 (+8) 1391 1794
7 50 (+11) 28 (+8) 20 (+6) 1396 1797
8 59 (+15) 25 (+8) 17 (+4) 1390 1793
9 47 (▲3) 36 (+12) 24 (+10) 1406 1814

高齢者ひとり暮らしになって生活窮迫

 生活保護世帯の内訳(下表)では高齢者世帯が46%、人数でも45%を占めています。
特にひとり暮らしの高齢者が年金だけでは暮らせないで生活保護に頼らざるを得ない実態が顕著に現れています。

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単身世帯数 2人以上の世帯数
高齢者 障害者 傷病者 その他 高齢者 障害者 傷病者 母子 その他
651 167 133 160 80 28 28 52 107
1111世帯(1111人) 295世帯(703人)

 久喜市の生活保護基準(最低生活費・23年10月時点)は、70歳代でひとり暮らしでは1か月6万9670円で、他に住宅扶助(家賃)が限度額3万7000円まで支給されます。
70代で2人暮らし世帯では住宅費を除く最低生活費は月約11万円、40代の親と小学生の母子家庭の場合の最低生活費は約14万円で、それ以下の収入の人は生活保護に該当します(貯金額その他の条件によって受けられないこともあります)。

 社会福祉協議会でも困窮者自立支援事業を行っていて、上半期の相談件数は264件に上りました。
社協で行っていた生活資金特例貸付けの終了にともなって生活保護申請が増えています。
住居確保給付金は20件に支給されました。また生活保護にあたると判断されて、市の生活支援課を紹介されたケースも9件ありました。

市議会欠席は「届出書」を提出すべき

  久喜市議会では、本会議や委員会の会議を欠席するときには「理由を明記した欠席届出書を提出する」ことになっています。
ところが、最近1年間にM、W議員が健康上の理由で本会議を欠席、教育環境委員会視察でS議員が健康上の理由で、E議員が私用で欠席していたにもかかわらず、いずれも「欠席届出書」を出していなかったことがわかりました。
久喜市議会の「申し合わせ」で、当日の開会時刻に間に合わない場合は電話でもいいとされていますが、いずれも事前に欠席することがわかっていたのに口頭の連絡だけで済まされていました。

 議員は公職ですから、本会議や委員会等の公務をやむを得ない理由で休む場合には、「欠席届」の書類を出すのが最低限の責任ではないでしょうか。
当然、理由も明確にして証拠を残しておくべきです。
13日に開かれた代表者会議で、事前・事後にかかわらず、理由を明記した欠席届の提出を義務付けるよう提案しました。

◆会議規則第2条 『公務、疾病、育児、看護、介護、配偶者の出産補助その他やむを得ない事由のため出席できないときは、その理由を付け、当日の開議時刻までに議長に届け出なければならない』
◆議会運営上の申し合わせ事項 『欠席の届出は、その理由を記した届出書を議長に提出する。但し開議時間までに提出できない場合は、電話等を利用してこれを行う』
『委員会、委員派遣による研修等の場合も同様とする』 

市議会本会議場のバリアフリー化

 久喜市議会バリアフリー化推進委員会は9月22日の第2回委員会で、市議会本会議場の入口から議員席に上がる段差にスロープを設置する案をまとめました。
本会議場の議員席は3段の階段状になっていて、車いすや歩行が不自由な人は議席に上がるのに困難な場合があります。
そこで1段目の段差にスロープを設置して、介助なしでも上がれるようにしようという配慮です。
2段目以上は議席の間の通路が狭くてスロープが設置できないので、1段目だけということになりました。
また議員席のイスは固定式で、現在は1か所だけ固定イスを撤去して他のイスを置いています。
他の議席の固定イスも撤去して車いすを置けるようにしようという案も出ています。


★イスラエルによるガザ地区侵略。
ハマス殲滅のためには、パレスチナ住民をいくらでも殺していいと考えているかのようだ。
ー 東京大空襲、ヒロシマ、ナガサキ、そして沖縄戦を思い起こす日々。★








久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』 660号
2023年 11月6日


660号ファイル

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 11月定例市議会の日程

今度は久喜東小でも 外壁落下事故

 市内の多くの公共施設で、排水管やエアコンの故障、雨漏りが多発しています。
久喜市はこれまで維持管理に財政を使わないで、「故障するまで放置し、故障してもすぐには補修しないで先送り」というやり方が常態化していました。
現在までに小中学校の25校では屋上防水の劣化、20校で外壁のクラックなどが指摘されています。
他にも20校以上で防火扉やシャッターの故障や動作不良がわかっています。
その結果、久喜中など9校では数年前から雨漏りが続いていて、久喜東中学校で外壁が落下する事故も発生しました。

 市は6月と9月に緊急の補正予算で、雨漏り対策や校舎の点検、補修工事の設計などを進めていますが、補修が追いついていません。
10月17日には今度は久喜東小学校で外壁が落下し、学童保育室の入口のひさしを突き破るという事故が起こりました。
幸いにも子どもの被害はありませんでしたが、ここはこれまでの指摘箇所には入っていませんでした。
東小ではいつどこで外壁が落下してくるかわからないので、校舎のまわりを全部立ち入り禁止にして、児童の出入りは1か所に限定し、その部分だけ天井や壁をシートで覆って応急措置を取っています。

 子どもたちの命に関わる非常事態ですから、他の新規事業をストップしてでも、改めて最優先で、直ちにすべての小中学校校舎の総点検と修理を行うべきです。
来年に先送りしている余裕はありません。財源は財政調整基金(40億円)の一部を取り崩すだけで十分です。


★久喜市でも生活保護が増え続けています。市の生活支援課への相談件数は昨年の2倍に上り、生活保護受給世帯が9月に1406世帯で過去最多、人数で1814人に達しました。詳しくは次号で。★


私たちは政務活動費を何に使ったか

  久喜市議会では4半期ごとに1人1か月3万円の政務活動費が、各会派に交付され、支出報告書と領収書の提出が義務付けられています。
市民の政治を進める会(猪股・川辺・田村)の7~9月分の使途報告と明細です。

パートナーシップ制度拡充を求める

 同性カップルを婚姻に相当する関係として認証する「久喜市パートナーシップ制度」は2021年からスタートしました。
市議会でさらに当事者が使いやすい制度拡充を提言し、10月から一部が改善されました。
引き続き次の課題も検討するよう求めます。

(1)同性カップルが養育する子どもも「家族」として登録することができるようになりました。
春日部市などでは制度の名称を「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」と表現しています。
久喜市の制度も実態に合わせて名称も変更した方がいいでしょう。
(2)これまでは同性カップルが市役所へ来て職員の前で「宣誓」しなければなりませんでしたが、宣誓書を郵送して登録できるようになりました。
一歩進めて宮代町のように「届出制度」に変更するべきです。
「宣誓書」にこだわる必要はありません。
(3)さいたま市・越谷市・春日部市・草加市と連携協定を結んで、引っ越しても登録を引き継げるようになりました。
さらに隣接する宮代・杉戸・白岡・幸手・蓮田など、同様の制度を持っている市町との連携を拡大するべきです。

久喜市が学校給食費値上げを決定

 10月23日の学校給食審議会で、来年4月からの学校給食費の値上げ案が決まりました。
新しい給食費保護者負担月額は、小学校で現在の4150円から510円増の4660円に、中学校で現在の4960円から620円増の5580円に引き上げられ、年額(8月を除く11回集金)では5610~6820円も負担が増えることになります。

 県内では市によって給食実施回数や年間集金回数が違い、端数切り捨ての市もあるので、単純比較はできませんが、現在の久喜市の給食費は県内平均を下回っていました。
値上げ後は1食あたりでは高い方から4番目、年額では小学校が4番目、中学校が3番目になります。
食材料費などが高騰していますが、多くの市では値上げしないで一部を公費で補助していて、久喜市も昨年から保護者負担を据え置いてきました。
インフレで格差が拡大し生活困窮世帯がますます拡がっているのに、今この時期に公費補助を打ち切って値上げするのは理解できません。

 全国で給食費を無償化する自治体が増えています。
県内では坂戸市が今年度から給食費全面無償化に踏み切り、他に滑川町、東秩父村、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、美里町、神川町が無償化しています。
これらの市町は財政が裕福だからではなく、『子どもたちの成長と子育て支援』を優先させるという政策判断で給食費無償を実現しました。
所沢市も10月の市長選で『給食無償化』を公約に掲げた新人候補が当選しました。

市長は『子育てするなら久喜市で』と言っていますから、真っ先に給食の無償化を決断すべきです。

★子どもたちにとって安心安全な学校施設と、だれでもが安心安全な学校給食を食べられることを、久喜市の子育て支援政策の最優先課題に据えていかなければならない。
市長はそう思わないか。★

学校給食費保護者負担の県内比較 (単位 円)
小学校 中学校
回数 1食 月額 年額 回数 1食 月額 年額
志木市 185 310 5210 5万7350 185 360 6050 6万6600
秩父市 186 290 5400 5万4000 186 347 6450 6万4500
入間市 187 282 4400 5万2800 182 336 5100 6万1200
久喜市 新 188 273 4660 5万1260 185 332 5580 6万1380
鶴ヶ島市 190 266 4600 5万0600 187 315 5350 5万8850
上尾市 182 270 4300 4万8300 184 310 5200 5万8440
朝霞市 186 280 4700 5万1700 186 315 5300 5万8300
新座市 183 270 4500 4万9500 182 320 5300 5万8300
飯能市 188 265 4258 4万9967 181 321 5450 5万8029
川越市 189 253 4350 4万7850 190 303 5250 5万7750
幸手市 188 251 4600 5万0600 184 292 5230 5万7530
鴻巣市 185 268 4500 4万9500 182 314 5200 5万7200
北本市 184 269 4500 4万9500 179 320 5200 5万7200
日高市 190 248 4300 4万7300 190 301 5200 5万7200
熊谷市 183 263 4383 4万8217 181 316 5200 5万7200
さいたま市 185 260 4380 4万8180 178 317 5130 5万6430
草加市 187 272 4300 4万7300 187 324 5100 5万6100
富士見市 191 250 4300 4万7300 191 300 5100 5万6100
ふじみ野市 190 248 4300 4万7300 187 300 5100 5万6100
本庄市 190 240 4125 4万6020 190 290 5000 5万5070
狭山市 185 260 4300 4万7300 185 300 5000 5万5000
坂戸市  189 237 4100 4万5100 188 292 5000 5万5000
坂戸市は、2023年度から、給食費を無償化 
久喜市現在 188 243 4150 4万5650 185 295 4960 5万4560
春日部市 185 250 4250 4万6750 184 290 4950 5万4450
所沢市 192 237 4210 4万6310 187 290 4930 5万4230
八潮市 183 250 4180 4万5980 180 300 4920 5万4120
蕨市 180 256 4200 4万6200 179 301 4900 5万3900
和光市 180 262 4300 4万7300 180 299 4900 5万3900
深谷市 187 240 4100 4万5100 182 300 4900 5万3900
羽生市 187 241 4100 4万5100 187 288 4900 5万3900
吉川市 190 240 4100 4万5100 190 280 4900 5万3900
白岡市 188 252 4300 4万7300 188 287 4900 5万3900
蓮田市 185 250 4200 4万6200 185 290 4880 5万3680
行田市 191 237 4100 4万5100 191 280 4850 5万3350
越谷市 181 243 4000 4万4000 181 294 4850 5万3350
東松山市 186 243 4100 4万5100 185 285 4800 5万2800
三郷市 189 240 3950 4万3450 188 280 4700 5万1700
桶川市 190 234 4000 4万4702 185 272 4550 5万0866
戸田市 180 244 4000 4万4000 180 281 4600 5万0600
川口市 180 273 3895 4万2845 180 324 4565 5万0215
加須市 187 223 3800 4万1800 187 258 4400 4万8400
平均 186 255 4294 4万7342 185 302 5057 5万5596
この表は、教育委員会が調査して給食審議会に提出した資料を編集したものです。