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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』279号
2004年10月25日

合併破綻後の市政運営は?

 久喜・幸手・鷲宮の合併協議会の「解散」は3首長で合意したものの、いまだに次の合併協議会が、いつ開かれるのかもわかりません。−早期に合併協を解散した上で、田中市長の政治責任を含め、今後の久喜市政の方向を、市民に示すべきです。
【その後、合併協議会が、10月26日(火)午後5時半〜、鷲宮町役場で開かれることが決まりました。また、11月1日(月)午前9時〜、久喜市議会臨時会が開かれて、「合併協議会の解散」を議決することになりました。】

 秘書政策室が作った「将来への選択」というパンフレットは市民へのオドシそのものでした。
 《合併しない場合》…10年間で102億円の赤字…1年間平均で10億円の赤字を埋めるには…
◆人件費の削減(職員人件費10%削減)約3億4000万円、
◆公共事業の削減(道路、水路整備など普通建設事業の単独分)約3億7000万円、
◆市単独サービスの見直し(福祉タクシー利用料助成事業、難病見舞金事業、介護サービス利用者負担助成制度などの各種福祉サービスの廃止)約4000万円、
◆受益者負担の適正化(戸籍手数料、幼稚園保育料、総合体育館、市民プールなど使用料、手数料の50%増)約1億円、
◆国民健康保険税の引き上げ(一般会計からの赤字補填ができない場合、一世帯当たり年間約12000円の増税)約1億5000万円。
−−合併推進のために大げさに書いたのは明白で、率直に撤回すべきです。それとも市長は、こんなしわ寄せを、本気で市民に押し付けるつもりでしょうか。−来年度の予算編成に注目。
 そもそも久喜市では、平成13年に「久喜市総合振興計画」、14年に「緑の基本計画」、15年に「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」などの行政計画が策定されています。これらの基本計画を、“合併が壊れたからご破算”にできるはずもありません。市長は、市長自身が作ったこれらの計画を実行していく責任を負っています。


埼玉県議会で、教育基本法改正の意見書を自民党が単独強行可決

 10月13日、県議会で自民が「教育基本法の早期改正を求める意見書」を単独提案、強行可決しました。最終日に緊急提案というのもルール無視。小泉内閣は、来年の国会で「教育基本法改正=改悪」をする予定で、県議会など各地の地方議会で「意見書」を積み上げ、既成事実化を狙っていることは明らかです。
 自民党はこの意見書の中で、「青少年犯罪、学級崩壊やいじめ、不登校、学力の低下」など、「教育の再建」「青少年の健全育成」「日本国民の在り方はいかにあるべきか」「新たな時代の教育の方向性」を示し、「伝統・文化の尊重と国を愛する心の育成」「道徳・宗教的情操のかん養」を図るために教育基本法の改正を主張しています。しかし自民党のいう「教育の危機的状況」は、金とモノ優先、強い者が勝つ、現代日本の競争社会が作り出した、大人社会の反映に他なりません。「日の丸・君が代」「管理教育」の強化、上には逆らえない教育現場、もの言えぬ先生たち、お仕着せの「愛国心」で、子どもたちの心まで支配しようとする、今の教育のあり方の方が問題です。
 愛国心教育や徳目・宗教的情操(?)を、子どもたちに強制して植え付けることができるでしょうか。子どもたちの心の自由を奪うことが許されるでしょうか。教育の抱える問題を解決していくためにこそ、教育基本法の精神を教育現場に活かしていかなければなりません。
 昭和22年、日本国憲法を教育に活かすために制定された教育基本法。−憲法改正を叫ぶ人々にとって、教育基本法はジャマモノです。教育基本法の改正=改悪をした上で、憲法改正=改悪になだれ込む、というシナリオ−−。

教育基本法」を読んだことがありますか?

★入学式や卒業式、学校行事や行政のあらゆる儀式で「日の丸・君が代」の強制があたりまえのようになっています。「愛国心」は強制できるものですか。★
★教育基本法の全文を見たことがありますか? 一度読んでみてください。まったく古くなってもいません。これのどこを変える必要がありますか。★



久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』278号
2004年10月12日

2市1町の合併協議会解散へ
市長が市議会全員協議会で説明

 10月5日、緊急に市議会全員協議会が開かれ、田中市長が、ようやく、やっと、「住民投票結果を尊重して、久喜市・幸手市・鷲宮町の合併協議会の解散」を表明しました。
 市長は、「9月19日の住民投票は、久喜市で反対が賛成を上回り、たいへん残念」「4日に幸手市長、鷲宮町長と首長会議を開き、2市1町の合併協議会の解散を申し入れ、やむを得ないと了解していただいた」。「当面は、久喜市は単独で市政運営を行うことになる」と説明。−私は、「この間、市長が方向性をまったく示さずにきたため、市民の間には、“市長が辞職・再立候補して、この合併を継続するのではないか”というウワサも広がっている。それもないのですね」と確認したのに対して、市長は「そのようなことは考えていない。任期中、せいいっぱい務めていきたい」と答えました。
 これで、これまで進められてきた2市1町の合併協議は終結します。

半月間の空白は何だったのか

 住民投票が実施され、市民の多数が反対して、明確な結論が出たにもかかわらず、田中市長は16日間も『合併協議会からの離脱という結論』を先延ばししてきました。この間、“民意”を無視する行動をとり続けた田中市長…。その政治的道義的責任は免れません。
 ◆全国の自治体どこでも、合併の住民投票で「反対多数」の結果が出たら、1〜2日後には『合併断念』を宣言しているのがあたりまえ。半月間もの優柔不断は何だった?
 ◆住民投票で、反対が多数という明白な結論が出た後も、合併継続を画策し、「2市1町でいっしょになれる他の方法がないか模索した」(6日・毎日新聞記事)というのです。
 ◆幸手市長や鷲宮町長の「合併継続の強い意向があるから」と、久喜の民意よりも、よその意向を尊重したのです。この間、田中市長の目線はいったいどこを向いていたのでしょう。
 田中市長は、「賛成していただいた市民のみなさん、幸手市及び鷲宮町のみなさんに深くお詫びする」と言います。合併賛成の人にはお詫びするが、久喜市民の多数意思=民意であった「反対」の意志を示した人々に対する謝罪も、反省の弁もありません。本来なら、『この間、多数の民意を無視して申し訳なかった。みなさんの民意に従います』と言うべきではないでしょうか。
 しかもいまだに、「合併自体が否決されたとは考えていない」、「今後も2市1町の枠組みを基本として」合併を追求すると言って、多数の市民の“2市1町の合併反対”の意向に反する言動をとり続けています。−田中市長は、今回の合併を“民意にしたがって”やめたのでしょうか、それとも保身のためだったのでしょうか。

合併は「白紙」から出発すべきだ

 周辺地域では、春日部・庄和・杉戸・宮代の合併協議会が解散、栗橋・大利根・北川辺も住民投票で否決、蓮田・白岡・菖蒲グループも難航し、県内の多くの地域で合併協議は白紙に戻っています。
 久喜市も今後、あらためて「白紙」の状態から議論を始めるべきです。@まず、国頼み・補助金だよりでない“自立”した自治体へ、市政と行財政のあり方の根本的見直し、A久喜市にとって、本当に合併が必要なのか、Bもし必要だとしたら、どのようなまちづくりのために、どのような枠組みが望ましいのか。−こうした基本的なことから検討していかなければなりません。

★反省しない人々……田中市長の与党議員の一人は住民投票後もなお、『市民の判断が間違っているんだ』と公言していました。いったい何を考えている?★


9月定例市議会、29日に閉会
全議案と各会派の賛否

医療懇話会設置を求める請願
文章から、「総合病院」の文字は削除

 「総合病院・救急医療問題」は、久喜市の最大の懸案事項です。今年に入って、「医療を考える市民の会」が『行政・医師会・市民代表による医療懇話会の設置を求める請願署名』運動を行い、約2000名の署名で9月市議会に提出されました。
 市議会では異例ずくめの展開をたどりました。
 提出された請願は、市民から署名を集めていた内容から変更され、もともとの請願署名文にあった「総合病院」の文言などが削除されていました。署名した市民の中には、「総合病院」の文言が入っているから署名した人も多いはずで、本来は署名した文章を提出時に変更することはできませんが、請願団体の責任で削除したそうです。
【請願書を議会に正式に提出する際に、一部の会派から、『総合病院などの文言が入っていると議会を通らない』という話があったので、医療を考える会の役員会で削除したそうです。】

市議会の結論は「趣旨採択」

 請願は、15日の健康福祉委員会で審議され、松村、角田、井上市議らの主張で『趣旨採択』にされてしまいました。−28日の本会議では、私が、『趣旨採択でなく、請願の全体を採択するよう』動議を出しましたが、少数で否決。結局、『趣旨だけについて採択する』ことになり、私たちもやむを得ず賛成。結果としては全会一致で『趣旨採択』となりました。
文章を変えた上、『医療懇話会の設置』という唯一の請願項目も“趣旨採択”では、残念ながら腰砕けの骨抜きです。

★『趣旨採択でなく、全体を採択すべき』の動議に、「賛成」は、猪股、市政会、共産党、後上、鈴木の9名。「反対」は新政議員団と公明党、井上、石川の15名。★

「趣旨採択」ってナニ?

 本来、請願は『採択』か、『不採択』しかありません。議会用語の解説によると、『趣旨採択』とは、『請願の願意については十分に理解できるが、当分の間は願意を実現することが不可能である場合』、『請願の趣旨、目的は賛成だが、具体的に実現がむずかしいような場合』などに趣旨採択とすることがあるとされています。−つまり、“請願の言ってることはわかるが、実現はムリ。否決するのもナンだから、一応は聞き置く”というのが、趣旨採択というわけ。− したがって、この請願を「趣旨採択」にしたということは、『医療懇話会の設置』を求める請願者や市民の意向はわかるが、実際には設置はむずかしいから、『趣旨採択』という玉虫色、どちらとも取れる、あいまいなゴマカシ決着にしたということです。
 正式に『採択』とすれば、行政当局に、『医療懇話会を設置』する政治的責任が出てきて、議会も強く迫ることができます。しかし『趣旨採択』では、当局は設置しないでもいいということを、議会が認めてしまうことになりかねません。厳密にいえば議会の責任放棄です。

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