フラットパッケージアダプタの製作 NO.3

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14 ピン TSSOP タイプ の PIC を DIP タイプに変換するフラットパッケージアダプタの製作
 Microchip から次々とインドアエアプレーンに使えそうな PIC の新しいデバイスがリリースされている。現時点ではデバイスが入手できても、手持ちのライターソフトではほとんど対応していないなど問題もある。

 8 ピンの PIC12F683 は内蔵クロックが 8MHz と、 PIC12C509A や PIC12F629 等と比べて倍の速さになった。また、8 ピンの PIC では唯一 PWM を持っている。今まで 8 ピンでは AVR の ATiny15L が PWM を持っていた。 PWM があればスピードコントローラの組み込みが飛躍的に楽になる。この PIC12F683 はすでに入手が可能で、 SN タイプもあるが、残念ながら 2004 年 8 月の時点では、秋月の PIC ライタも IC-Prog も対応していない。

 同じ 8 ピンでは、一度しか書き込めなかった PIC12C509A に対してフラッシュメモリ版の PIC12F509 がリリースされた。 2V から動作するが、すでに互換モードで使用可能な PIC12F629 があるので、よほど安価でなければ利用価値は少ないかもしれない。

14 ピンでも魅力的な PIC がリリースされている。ただし、インドアエアプレーンの受信機に使うにはパッケージの小さなものが必要になる。 TSSOP というパッケージサイズの 14 ピン PIC を調べてみると、 8 ピンの SN パッケージサイズの PIC と変わらない大きさで、ピンピッチが SN の 1.27mm に対して 半分の 0.65mm である。しかも SN タイプより軽い。


左から PIC16F630 の DIP、SL、右奥が STで、手前が PIC12F629/SN

 14 ピンでは、PIC16F630、PIC16F676、PIC16F684、PIC16F688 等がリリースされている。中でも PIC16F684 は 4 チャンネルの PWM を持っているので魅力がある。しかし TSSOP の 0.65mm ピッチとなると、はんだ付けが難しそうだ。

 フリーソフトである IC-Prog のバージョンが 1.05C になって、 PIC16F630 に対応していることが確認できた。そこで早速 PIC16F630-E/P、PIC16F630-I/SL、PIC16F630-I/ST の 3 種類のパッケージを調達した。 PIC16F684 についても、いずれは書き込めるようになるだろうとすでに用意してある。 DIP タイプの 2.54mm ピッチと、 SN タイプと同じ 1.27mm ピッチを持つ SL タイプ、それに 0.65mm ピッチの ST タイプ。

 さて前置きが長くなったが、14 ピンの ST タイプに書き込むためのフラットパッケージアダプタが必要になった。トナー転写法によってプリント基板を作れば 0.65mm ピッチのパターンも可能だと思っていたが、変換基板を利用した方が簡単だと考えた。調べてみると(有)中根エレクトロニクスでなんと 105 円で販売している。金メッキが施されていて立派な基板である。本来は IC をはんだ付けして使うためのものだが、 PIC を載せて押さえつければ、書き込み用のフラットパッケージアダプタとして使えそうだ。

 PIC16F630 を載せてみた。簡単に PIC を基板に押さえつける方法はないだろうか?今まで作ってきたアダプタは、穴を開けた押さえ板で PIC の足の部分を基板に押さえつけた。

 今回は横着をして、載せる PIC のすぐ脇に 2mm のタップでネジを切り、プラスチックネジを使って、その頭で PIC を直接基板に押さえつける方法で試してみることにした。 PIC の位置あわせが少々面倒だが、たまにしか書き込まないアマチュアにはこれでも十分だ。 24 ピン用の基板なので、使わないピンはそのまま遊ばせておく。中央にセットしたのは裏に貼り付ける 14 ピンソケットのフレームにネジが当たらないようにするため。

 基板の裏側に 14 ピンの丸ピンコネクターを瞬間接着剤で固定してから、コネクタの足下に線を巻き付けてはんだ付けし、それぞれに対応した基板の穴に通してはんだ付けした。たったこれだけで 14 ピン ST 用のフラットパッケージアダプタのできあがり。

 早速 JDMーProgrammer にセットして、読み出しと書き込みのテストをしてみた。あいにく普段愛用している Let's note が突然壊れてしまったので、古い Libretto 30 を持ち出して使っているが、 RS-232C ポートに直接 JDM-Programmer をセットすれば問題なく書き込むことができる。

 2mm のプラスチックネジ(ポリカーボネート製)を使ったのは、パッケージを押さえつけるときに無理な力をかけない配慮から。変換アダプター基板 105 円 + 2mm ネジ 2 本 10 円 + 丸ピン IC ソケット( 14 ピン) 40 円と製作費は 160 円以下。

 14 ピンの PIC16F630 を使うと 12 の I/O ポートが使えるようになる。マグネットアクチュエータとスピードコントローラを内蔵した受信機なら 6 チャンネルまでの受信機を作ることができる。実際には 6 チャンネルの必要性はほとんどないが、 4 チャンネルならヘリコプタにも使える。利用できるポート数が多いので、出力ポートを並列に使えば、 FET による H ブリッジ回路なしで低抵抗のマグネットアクチュエーターを PIC だけでドライブできる。実は 100Ω のマグネットアクチュエータを FET なしでドライブできるのが魅力で、フラットパッケージアダプタを作る気になった。
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2004/08/06