赤外線送受信機 NO.32 (PIC12C509A 受信機)

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バッテリモニタを搭載した超軽量 3 チャンネル赤外線受信機の製作
 Kokam が 20mAh 0.7g のリチウムポリマ電池を開発した。素晴らしく軽いが流せる電流にも制約がある。 5C で使っても 100mA と飛行機の全電力をまかなうのはかなり厳しい。しかし超軽量飛行機製作への夢がふくらむ。

 早速超軽量機に見合う超軽量受信機を作ることにした。小容量の電池を使う場合、どうしても無理をしがちなので電池の下限電圧に注意を払う必要がある。そこで前回作ったバッテリモニタを受信機に組み込むことにした。

 基板に新たに電圧を監視する IC を載せるためと、自己点滅 LED を基板に直づけできるように部品のレイアウトを見直した。 9mmx6.7mm の基板に収めたが部品密度が高くなるのではんだ付けが少々大変である。

 今回ははんだの使用量を極力少なくなるような配慮をした。前もって基板の全面に薄くはんだをコーティングしておき、 0.3mm のはんだを長さ 1mm ほどに切ったはんだ片を部品の足下に置いてはんだ付けした。この方法だと余分なはんだを使わないので軽くできる 。

 電池電圧が下限電圧の 3V に達したことを知らせるための点滅 LED は、機能を損なわない範囲で軽量化したものを基板に直接はんだ付けした。高輝度タイプの LED なので体育館内では飛行中容易に確認することができる。インドアエアプレーンではオートカットが働くより LED の点滅で知らせてくれる方が使いやすい。

PCB layout B (200pixel/cm)         PCB layout A (200pixel/cm)

 エポキシ樹脂でモールドされている受光素子の裏面をヤスリで削り落とす。画像からわかるように裏面の金属部分が透けて見えるまで削り落とす。その後表面のレンズを削り落とし、裏面から 1.2mm の厚さになるまでヤスリをかける。これでかなり軽くなるが、さらに軽くするために裏面の金属の厚さが半分ぐらいになるまで注意深くヤスリで落とす。

 赤外線受光素子は 0.07g まで軽量化できた。超軽量な受信機は主に低容量の軽量な電池と組み合わせて使うことを考慮し、赤外線受光素子には特に消費電流の少ない新日本無線の NJL21H380A を使った。最大消費電流が 0.56mA と他のタイプに比べて 5 分の 1 以下と少ない。はんだの使用量を抑えた結果、バッテリモニタを搭載した受信機は 0.26g ととても軽く仕上げることができた。

 この受信機を今回新たに作った A-6 インドアエアプレーンに搭載して全備重量 2.86g という超軽量な飛行機が完成できた。 3 チャンネル受信機だが A-6 ではスロットルとラダーの 2 チャンネルで使っている。ラダーアクチュエータは 0.025mm のワイヤを 650 ターン巻いた 220Ω のコイル (0.08g) と 3mm 丸 0.6mm 厚のマグネット 2 個 (0.031gx2) を使っている。秤の上に飛行機と別に載っているのが Kokam 20mAh リチウムポリマ電池。

 今後も軽量な受信機を使う予定なので、引き続きバッテリモニタを搭載した受信機を作った。できればさらに軽くしたいという思いから PCB パターンを見直した。


(200pixel/cm)

 赤外線受光素子は徹底的に削り込んで 0.06g まで軽くなった。バッテリモニタの自己点滅 LED は 0.02g。プリント基板も 8.6mmx6.6mm と前回より若干小さくし、パターンの銅箔面積も少なくした。 0.2mm の両面ガラスエポキシ基板を使って 2 枚の基板を同時に作ったが両方で 0.05g (1 枚 0.025g) となった。

 受信機全体に占めるはんだの量もばかにならない。今回ははんだを基板にコーティングするのをやめ、フラックスを塗布してから 0.3mm のはんだを 0.7mm ほどの長さに切ったものを部品の足下に置いてはんだ付けし、基板が完成したあと洗浄剤でフラックスを洗い流した。

 バッテリモニタ用 IC は入手しやすい MAXIM の MAX6327R31T に変更した。データシートからは LM810M-3.08 と同等のスペックで何ら問題なく動作した。

 涙ぐましい努力の結果 0.22g と今までになく軽い受信機ができあがった。マグネットアクチュエータには 200Ω 以上のコイルを使う。

 受信機を露出して搭載する飛行機にはバッテリモニタ内蔵の受信機を使い、胴体に受信機を内蔵する場合にはバッテリモニタを外付けすればいい。いずれにしてもたった 2 個の軽量な部品で電池電圧の監視ができるので 1 セルで飛ぶすべての飛行機にバッテリモニタを搭載するのが望ましい。


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2004/03/24
2004/04/08 PCB layout addition