MAX4020 は思いの外効率が悪い。そこで何とか±250mA の出力電流を持つアナログデバイセズの AD8534 をテストしてみたいと思い、日本の代理店にサンプルを注文した。しかしなしのつぶてである。そこで ANALOG DEVICES 本社にサンプルを注文した。用途を IR RECEIVER としらた、アメリカ合衆国の法律でプロダクトの内容が不明確なため輸出できないと連絡がきた。そこで MAX4020 を使った赤外線受信機の画像と回路図を添えて、 MAX4020 を AD8534 に替えてテストしたいと伝えた。ようやく輸出 OK となり、三日目に IC が届いた。
調達したのは AD8534 と AD8532 。前者には 4 個の OP アンプ、後者には 2 個の OP アンプが入っている。早速後者の OP アンプでテストしてみた。 MAX4020 を搭載した受信機と同じ IRXA301 の出力に AD8432 を配線し、前回の MicroMag の 100Ω アクチュエータをつないでみたところ、 MAX4020 の時とは大きな違いがあった。出力電圧の低下がとても少ない。 MAX4020 では内部抵抗が 50Ωほどであったが、 AD8532 では 10.5Ω という結果が出た。 MAX4020 を AD8534 に変更するだけで効率が格段によくなり倍近い出力が得られることがわかった。
しかしながら AD8534 は現在のところ少量を入手するのが難しい。ということでサンプルは入手したものの受信機への実装は見合わせることにした。その気になれば MAX4020 とピンコンパチブルなのでいつでも交換できる。
しばらく時が経過し、超小型パッケージの N/P DUAL MOSFET があることを発見した。特にオン抵抗の小さなものは 3000 個単位でないと入手できないが、実用になりそうな FAIRCHILD のものが 1 個から Digi-Key で調達できることがわかった。 H ブリッジ回路でドライブすることになるが、はるかに内部抵抗が低くなるはず。しかもパッケージが小さいのでオペアンプを使うより軽くなりそうだ。受信機の PIC プログラムは「赤外線送受信機 NO.16」にあるすべての hex file が使える。
早速 FARICHILD の NDC7001C という N/P DUAL MOSFET を調達した。パッケージは SOT-6 ととても小さい。何度かレイアウトを変更してほぼ満足できるパターンとなった。今回は 0.2mm の両面基板でエッチングした。
裏側には DC-DC コンバータとモータ出力用の FET を取り付ける。
早速 Push-E に今回の受信機を搭載してみたみた。飛行機側のアクチュエータコイルのリード線を差し込み式にするため JST コネクタプラグのピンを取り外してリード線に取り付けた。これで受信機は他の飛行機にも簡単に載せ替えできるようになる。
実際に飛ばしてみた結果、とても小さな半径で旋回しながら上昇することができ、マグネットアクチュエータのトルクがかなりパワーアップしていることを実感した。