インドア F/F を R/C 化するには搭載機材が軽いことが何よりも重要になる。赤外線受信機は 1g を切る軽さになった。動力にゴムの力を使うので電源が軽量化できる。電源に使う電池が軽ければゴム動力 F/F 機の負担も少なく、本来のゆったりした飛行を妨げることなく R/C 化できそうである。
翼面荷重が 2g/dm2 を切る飛行機は人と一緒に歩くことができるほどゆっくり飛行する。だがインドア F/F 機の方が遙かに翼面荷重が少ない。進路を変えるのに長い釣竿を使ったり紐のついた風船使ったりするようだ。リモートコントロールできればその必要もなくなる。普段はフリーで飛行させ、進路を変えるときだけ送信機から赤外線でコントロール信号を送る。飛行速度が遅いので舵角は単純に右か左のみでいいだろう。
必要なときだけコントロール信号を送る方式にすると、普段使っている送信機を使うのは重いし大げさになる。しかもプロポーショナルコントロールの必要もないだろう。送信機は左右のコントロールボタンがあればいい。操作時以外は赤外光を発射しない方式にすれば電池の消耗も少なく、送信機も小型にできる。
通達距離はどの程度必要だろうか。飛行速度が遅いので水平方向の距離は操縦者自らが近づけばいい。とすると高度の分だけ届けばいいだろう。 F1M の競技規定をみると 30m 以上というのもあるが、我々が飛ばしている体育館で一番高い天井を持つ潮風アリーナを想定しても 30m も届けば十分だ。
ところがどちらの電池も DC-DC コンバータを繋いだだけでかなり電池電圧が低下してしまう。電流供給能力は極端に少ないようだ。小さいほうの電池はとても使えそうにない。大きいほうの BR435 は無負荷でかろうじて 5V の出力があるものの、赤外線センサを負荷に繋いだだけで 4V ほどに下がってしまった。果たしてこの電池、使い物になるだろうか。
PIC12C509A は 3V からの動作が保証されている。赤外線センサーは広範囲な電圧で使える SANYO の SPS-443-1 を使う。 3.3V 出力の DC-DC コンバータは IC に MAX1595 を使っている。受信機に電源を供給してみたところきちんと 3.3V が出力される。受信機を繋いだ状態でアイドル電流は 6mA ほど。負荷に白色 LED と青色 LED を繋いで左右の信号を確認してみた。 LED 点灯時で 10mA ほど流れる。これなら何とか使えそうだ。次に予め巻いてあった 220Ω のアクチュエータコイルを繋いでみた。 PIC 2 ポートドライブで 26mA の電流が流れた。電池の容量からはちょっと過負荷である。改めて巻いた 0.025mm 1000t 413Ω のコイルを繋いだところ 16mA の電流となった。まあこの程度の電流がいいところだろう。電池電流は赤外線センサが 2.5mA 、PIC が 2mA 、DC-DC コンバータが 1.5mA 、コイルアクティブ時 10mA といった割合である。アイドル電流が減らせれば電池の負担も軽くなる。新日本無線の 3.3V 定格赤外線センサが入手できれば最大でも 0.6mA の消費電流なのでアイドル電流が大幅に減らせる。しかし現時点では入手できない。
わずかでもアイドル電流を減らすために PIC を眠らせたらどうかと考えた。必要なときだけ起こして仕事をさせ、普段は眠らせておく。そのためのコマンドで SLEEP というのがある。使うのは初めてなのでうまく使えるかどうかわからない。OPTION コマンドの bit 7 を予め '0' にすることで SLEEP コマンドが働くことがわかった。プログラムの中で SLEEP と記述するとそこで PIC は眠りに入る。 PIC12C509A では GP0、GP1、GP3 の入力の変化で PIC が目を覚まし、 0 番地からプログラムが再開する。適切な位置に SLEEP コマンドを置くことでうまく目的の機能をさせることができるようになった。起き抜けにもかかわらず、すばやく命令を実行してくれる。自分とは大違いでとても頼もしい(笑)。 SLEEP 中はクロックが停止しているので PIC の消費電流はごくわずかとなる。今回の用途では PIC に比べて他のパーツが電気食いなので効果絶大とまではいえないが、それでもアイドル電流は 5mA ほどに減った。