赤外線送受信機 NO.19 (受信機編)

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Dynamics Unlimited の受信機を改造
 前にも紹介したが、以前 Dynamics Unlimited から調達したマグネットアクチュエータシステムは RF 受信機だが、赤外線受光素子を搭載すれば赤外線受信機として機能するようになっている。現在売り出されているシステムは 1 枚基板でできているが、以前のものは画像のように受信部とドライバ部が別々の基板でできていた。このドライバ(右側)だけを使って、黄青白のジャンパ線を外した 3 本の端子に赤外受光素子をセットすれば、赤外線受信システムに変更できる。

 自ら赤外線受信機を作ってみて改めて Dynamics Unlimited の受信機に多くの不都合があることがわかった。この受信機、常にやかましくマグネットアクチュエータから音が出ている。ニュートラルでも同じである。安定性が悪くニュートラルも常に変動しているのだ。はじめて手にしたときはこういうものなのかと思っていた。ある時オシロで出力波形をみてみた。なんと、エルロンもエレベータも舵をいっぱいに切っても PWM のデューティは 50% ほどで、コイルには最大時の半分しか電流が流れない。スロットルに至っては 50% を超えるといきなり 100% なってしまう。これではトルクを出し切っていないし、スロットルも使いずらい。しかも入力信号が途絶えると前の状態で動作し続ける。この機能は一見良さそうにも思えるが、何らかの理由でコントロール不能になった場合モータが回り続けるので危険だ。

 現在の一体型の受信機は使ったことがないのでなんともいえないが、以前のタイプを持っている人も少なくないだろう。そこで上記の不都合を改善するために受信機に搭載されている PIC を外して、新たにプログラムした PIC を搭載することにした。この受信機ではすべて IC の表面が削られていてる。しかしピンの配線から PIC はすぐにわかる。品番は不明だが PIC12C509A で代替え可能である。

 基板には DC-DC コンバータが組み込まれていて内部は 5V で動作している。従って、リチウムポリマ電池 1 セルで十分に使える。早速 PIC の入出力ピンがどのようになっているか調べてみた。マグネットアクチュエータは PIC から出力された後アンプを介してドライブしている。 PIC は負論理出力である。スロットルは元々 Futaba 用として調達したので送信機のリバーススイッチは使わずノーマルで使うようになっている。現在他の受信機はすべてリバース設定で使うようにしているので、混乱を避けるためこの受信機もリバース設定で動くようにプログラムし、スロットルは 0% から 100% までリニアに変化するようする。 PIC の 4 番ピンが入力、 2 番ピンがスロットル出力、 3,5 番ピンと 6,7 番ピンがアクチュエータ出力になっている。

 今までの PIC プログラムでは全く使えないので、 IRXA301 仕様に合わせたこの受信機専用のプログラムを新たにアセンブラで組み直すことにした。

 基板からピンセットを使って半田ごてで PIC の足を一本一本丁寧に取り外す。SN タイプに比べて一回り大きいので SM タイプの PIC のようだ。

 とりあえず紫外線消去のできる PIC にプログラムを書き込んだものを仮配線してテストした。アクチュエータ出力に 50Ω のコイル(受信機と一緒にセットになっていたもので 0.08mm の線を巻いてあるようだ)をつないでみたら驚くほどトルクが増加した。これは最大で 50% の平均電圧しか加わっていなかったのが 100% になったので当然ではあるが、あまりにもトルクが増えたのには正直言って驚いた。しかもニュートラルが安定して、コイルには電流を流さないので今までのやかましさが嘘のようである。さてスロットルはというと、 PIC からの PWM 出力はリニアに 100% まで変化するもののモータの回転は途中で息をつく感じがする。

 基板の裏側に FET がある。品番は不明だがパターンから判断して IRF7805 などとは違う。 PIC からのスロットル出力をたどると FET に直接入力されているところと CR を介して入力されているところがあった。

 オシロスコープの波形からこの C が影響していることがわり、このチップコンデンサを基板から外すことでモータ出力がリニアに変化するようになった。


IRXA301-DU modified receiver

 すべて問題なく機能することを確認してから、改めて PIC12C509A にプログラムを書き込んで基板にはんだ付けした。これで IRXA301 と同じ働きをする受信機に生まれ変わった。入力信号が途絶えても 1 秒後にスロットルが OFF なるので、万一の場合にも安全だ。

IRXA301-DU for Futaba rxa301du.hex

 上記の改造で RF 受信部と組み合わせて使うこともできるし、黄青白のジャンパ線をはずしてそこに赤外線センサーをセットして使うこともできる。コイルは電源電圧でドライブしているので 50Ω のコイルでも問題なくドライブできるが、パワーアップした分コイルは 100Ω 程度のものを使ったほうが格段に効率がよくなる。 200Ω も使える。 50Ω 以下のコイルは試していないが使われているアンプの許容電力がわからないので使わない方が無難。いずれの場合も安定性に優れたハイトルクでリニアスロットルのすばらしい受信機に生まれ変わる。


IRXA301-DU modified receiver + MicroMag mini actuators (100ohms)

 上の画像は 100Ω のコイルで、エルロンとエレベータを操作した状態で、簡易トルク測定では 4.4gf・cm ものトルクがあった。回路電圧 5.02V 、コイルドライブ電圧 3.82V 、コイル電流 38mA 、アクチュエータへの供給電力 146mW といったところだ。

 従来の Dynamics Unlimited のシステム付属のゴムヒンジを使っている場合は、今回の改造によるトルクの増加で舵角が極端に大きくなってしまう。従って腰のあるヒンジに交換する必要がある。

 上記改造によりいかなる不都合が生じても一切責任を負えない。改造はあくまでも自己の責任で行ってほしい。


  • PIC の勉強をはじめて一年、よき先輩に恵まれ楽しくここまでこられたことに感謝!
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    2003/04/25