今回は DC/DC コンバータも組み込むことを前提に、できるだけコンパクトにまとまるように部品のレイアウトを考えた。プリント基板を使わず立体配線である。回路図ではモータ出力にコンデンサとショットキダイオードがないが、コンデンサはモータ側に付け、ショットキダイオードはモータが小さいことを考慮して省略した。配線距離が最も短くなるように部品を配置し、チップコンデンサとチップ抵抗を使って軽量化を心がけた。PIC のバイパスコンデンサ省略した。 DC-DC コンバータはリチウム電池 1 セルの入力で出力電圧 5V 出力電流 100mA 以上が確保できる。
赤外受光素子はできるだけ軽くなるように、樹脂部の不要なところを削り取った。幸い使用する PIC 2 個と FET が同サイズなので 3 個を積み重ねてしまう。
マグネットアクチュエータドライバとスピードコントローラのプログラムは今までの改造受信機に使ったプログラムを書き込んだ。ところが、今回改造した送信機のシリアルパルスの繰り返し周期の違いから、デコーダがうまく動作してくれないことがわかった。繰り返し周期を 23msec に設定してプログラミングしてあったが、今回の Futaba 改造送信機は 21msec の繰り返し周期となっていた。そのためプログラムに若干の変更が必要だった。
実際に搭載する受信機を想定してフラットパッケージの 12C509A/SN に直接書き込んだたため、 10 個調達した SN タイプも既に使い果たしてしまった。 JW タイプでテストすればよかったが、前回の改造がうまくいっていたため大丈夫だろうと判断したのが誤りであった。初心に返って JW でテスト。今回はマグネットアクチュエータドライバとスピードコントローラとを一体にするので、 1 個は JW にもう 1 個は 手元にある DIP タイプの PIC に書き込んでテストを繰り返した。
実験していてわかったが、今回改造した送信機のパルスにニュートラルのずれ、スロットルストロークのパルス範囲に違いが見られた。スロットルポジションを自動的に取得する機能を搭載したスピードコントローラの必要性をここで感じたが、それだけのプログラミングレベルに達していないので、今回は送信機内部のボリュームを調整することで解決した。
一気に組み上げたかったが SN タイプ PIC の手持ちがなくなってしまったので、急遽注文した。ついでに JW タイプも一緒に注文した。
PIC が届いたので再度プログラムを書き込み、赤外線受信機を組み上げた。赤外受光素子の後ろに DC-DC コンバータ、マグネットアクチュエータドライバ、それにスピードコントローラと全部の機能を組み込んである。バッテリを繋ぐケーブルとモータへのケーブルを含み 1.3g と軽量に仕上げることができた。後ろに見える二つの穴にマグネットアクチュエータを接続する。
家の中でテストした限りではインバータ照明の影響は全く受けていない。作業に使っている電気スタンドとは相性が悪く、スタンドの照明下ではアクチュエータにふらつきがでる。家の中では通達距離に問題はないが、体育館の広さでどうかは今のところわからない。
実際に搭載するつもりで組み上げたが、通達距離以外に体育館の強烈な照明の影響も心配だ。問題なく動作してくれれば 1.3g は素晴らしい軽さとなる。しかも受信機、スピードコントローラ、マグネットアクチュエータドライバ、マグネットアクチュエータとすべて自作の機材で飛行機が飛ぶことになる。
今回もマグネットアクチュエータドライバの出力に PIC の 2 ポートを並列使用しているので、コイルの巻き線抵抗は 100Ω 以上あれば PIC の許容電流に収まる。
その後、通達距離がどの程度あるのか気になり、夜中に家の外に出てテストしてみた。 KP00 モータにプロペラをセットして鉄の塊にモータを取り付け、高さ 1.5m ほどのブロック塀の上に置いた。プロペラの回転面と受光素子を手前に向け、スロットルを操作しながら遠ざかってみた。送信機に取り付けた赤外発光ダイオードの指向性が結構強い。離れるに従い発光素子の向きを受光素子に向ける必要があったが、結構遠くまで操作できる。問題なく操作できた距離を後からメジャーで測ってみたら、当初の目的であった 30m はクリアできた。 40m ぐらい離れても発光素子をきちんと受光素子に向けさえすれば問題なく操作できる。
夜中ということもあり、ほの暗い外灯程度しか明かりがないので、外光の影響がなく条件はいいようだ。飛行機に搭載した場合、受光素子はほとんどの場合送信機に向いていないことになる。四方を囲まれた体育館での壁面、床面等からの反射効果も期待することになる。体育館での実際のフライトの様子は「電動飛行機製作記」の A-1 を見てほしい。