赤外線送受信機 NO.5 (送信機)

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新たに Futaba の送信機を改造することに
 以前 Dynamics Unlimited から調達したマグネットアクチュエータシステムは、赤外線受光素子を搭載すれば赤外線受信機として機能するようになっている。現在売り出されているシステムは 1 枚基板でできているが、以前のものは画像のように受信部とドライバ部が別々の基板でできていた。このドライバ(右側)だけを使って、黄青白のジャンパ線を外した 3 本の端子に赤外受光素子をセットすれば、赤外線受信システムに変更できる。

 赤外線受光素子をセットして JR の改造送信機で動作を確認してみた。ところがこのシステム、 Futaba 用として調達してあったために、 JR の改造送信機ではそのパルス列の違いからチャンネルに食い違いがあって正常に動作しない。自作受信機との比較テストもできないことがわかった。今 Futaba の配列にしておかないとこれから先の実験にも支障が出てきそうだ。

 というわけで早速古い Futaba の送信機を入手した。送信機の改造からやり直しである。入手した送信機は 5 チャンネルのヘリ用送信機なので、リボリューションミキシング、スロットルホールド等不要なスイッチ類がついている。関係なくて使わない機能はトラブルを回避するために配線を外してしまう。

 前回改造した JR の送信機で赤外線コントロールについてある程度の感触が得られた。そこで今回の改造では、最初から本格的な赤外線送信機として使えるように考えた。使用する赤外線発光素子の数も大幅に増やす。秋月電子通商から赤外線投光器としてキットで販売されているものを使う。キットでは 12V で 56 個もの赤外発光ダイオードを使うようになっている。 8 セルのニッカド電池を使う送信機では電圧の違いからそのまま組んで使うことができない。そこで 5 個の発光ダイオードを直列に繋いで 8 列の組み合わせとした。 40 個の発光ダイオードを使うことになる。

 今回改造する送信機は 3W ほどの消費電力である。赤外線方式に改造した送信機が同程度の消費電力になっても赤外線受信機が軽量できちんと動作するなら改造する価値は十分ある。そこで、赤外発光ダイオードに供給する電力を計算してみた。投光器のキットではダイオード 1 個あたり 50mA の電流を流している。説明書からはパルス駆動ならもっと多くの電流が流せそうだ。そこで 5 個直列にした赤外発光ダイオードに 10Ω の電流制限抵抗を繋ぎ、計算上 65mA の電流が流れるようにした。常時点灯すると 520mA 流れることになるが、パルス駆動でもあり、そのデューティは 75/1000 ほどなので平均すると 40mA ほどにしかならない。送信機全体でも 70mA ほどである。赤外線コントロールユニット回路図

 送信機にセットする赤外線投光部は投光器のキットに入っていた基板をカットして使った。送信機内部には PIC で使えそうな 5V の電圧がなかったので 78L05 を使って PIC 用の電源を確保した。幸い送信機内部は高周波ユニットが別基板になっていたので、その基板を取り外して赤外線コントロールユニットを置き換えた。 PIC12C509A でパルス列に 38KHz の変調をかけて 8 個のトランジスタでそれぞれ 5 つの赤外発光ダイオード 8 列をドライブしている。コネクタピンは高周波ユニットから外して使った。高周波ユニットと赤外線コントロールユニットの比較。組み込んだ送信機内部の様子。送信機上部から見るとこんな感じになる。 PIC12C509A プログラムhex ファイル。

 早速前回使った実験用の赤外線受信機の PIC プログラムを Futaba 用に書き直してみた。 今回は秋月電子通商から調達した小さいほうの受光素子に替え、 PIC も受光素子も前回と同じリチウムイオン電池 1 セルの 3.6V で駆動してみた。家の中のどこからでも、送信機をどんな方向に向けてもコントロールできるようになった。今後赤外線送受信機の実験には改造した Futaba の送信機を使っていく。

 送信機内部で作られているパルス列は正論理で PIC12C509A の 4 番ピンに 5Vp-p に変換したものを入力した。出力は 5 番ピンから取り出した。 5 チャンネルの送信機なので 6 個の立ち上がりパルスがある。よく見ると立ち上がりパルス部分のグランドも光っている。立ち上がりパルスの一つの時間軸を拡大してみるとこうなる。 38KHz で変調しているからだ。13μsec ごとに ON/OFF を繰り返している。

 赤外線送受信機の実験が停滞してた中で、赤外線コントロールのデジQを調達した。あの小さいボディに充電式のニッケル水素電池 2 個と赤外線コントロールシステムが搭載されている。気になるのは赤外線受光素子の動作電圧だ。すぐに分解するのも気が引けるので猫を相手にしばらく遊んだ。はじめのうちは猫もなんだろうといった顔つきで見ていたが、慣れてきて危害を加える相手ではなさそうだと判ると、すごい勢いで追いかけまわして手ではらうようになった。小さな車はひとたまりもなくすっ飛んでいく。いい加減遊んだところでボディにひび割れが入り、それ幸いと分解してみた 。なんと赤外線受光素子には 5V 以上に昇圧された電圧が供給されていた。

 今回実験に使った赤外線受光素子。以前書いたが Dynamics Unlimited の赤外線コントロールシステムは通達距離に問題があった。今回の実験のために緒方さんから送信ユニットと受光素子をお借りした(リード線のついているもの)。受光素子は秋月電子通商から調達した 2 種類(左側の大きいものと右側の 2 つ)より小さい。ところがこの受光素子、Dynamics Unlimited のドライバ基板にセットしてテストしてみたがすこぶる感度が悪い。本当にこの受光素子でコントロールできるのかと疑ってしまうほどだ。続いてデジQの受光素子もテストしてみた。こちらも感度はあまりよくない。結局画像右側のものが素晴らしい受光感度があることが判った。右側の二つは同じものだが、少しでも軽くするために片方は不要な部分を削り取ったものだ。使用したドライバは内部で 5V 近い電圧に昇圧されている。

 もしかしたら、秋月電子通商から調達したものを除いて受光素子の変調周波数が 38KHz ではないことも考えられる。変調周波数を変更してまでのテストはしなかった。

 今回の送信機改造で少しは実用になりそうな感じを受けた。狭い家の中での実験なのでなんともいえないが、 30m ほどの到達距離は確保できないと実際には使えないだろう。赤外線受信機に使う受光素子もできるだけ感度を高めるため、適正電圧の 5V でドライブできるように DC-DC コンバータで昇圧して使うことになる。


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2002/11/17