陶芸入門。 ![]() 最近陶芸を始めた。 仕事を離れてから、囲碁、釣り、船、ピアノ、ゴルフ、料理、旅行、写真、読書などの多彩な趣味を、まる でさすらい人生のように楽しんできた。 思うことは、趣味というものは、なにか打ち込んでいるライフワークがあってこその趣味であって、朝 から晩まで趣味に浸かった生活では、趣味が苦痛とは言わないもののなにか喜びのない単なる時間 つぶしになる恐れがあるということだった。やはり趣味は忙中に閑を見つけてこそ楽しみが倍加する のであって、趣味がすべてという構図は不健全に思える。傍から見ると羨ましくみえても、本人はいた って空虚な時間をすごしていることが多い。ということだった。 それなのに性懲りもなく今度は陶芸である。数ヶ月前に、少し体調に不安を感じて体を動かす趣味を 敬遠した時期があったのと、いくつかの偶然のきっかけが重なって葉山の某陶芸教室に通い始めてい る。 T社の友人Si氏がリタイヤ後に山梨に自分の工房を作って陶芸をやっている。趣味が嵩じて個展をや ったり希望者には販売もしているので、ひとかどの陶芸家気取りの趣味人である。 昨年1宿1飯の恩義にあずかった時に、作品群を見せられて盛んに陶芸を勧められたのがきっかけ のひとつ。小・中学時代の友人のMi氏が、昨年自分が作った手造りのビールジョッキを持ってきて、 これで飲めばビールの味は抜群だろうと、半ば強制的に相槌をうたされ、陶芸や油絵を趣味にせよと 唆され、そのジョッキが我が家の食器棚に鎮座していることもきっかけのひとつ。釣り仲間のSa氏が やはり陶芸に凝っていて、素焼き〜本焼きは山梨のSi氏の「窯」を使っているので、私が陶芸をやれ ば素焼き前の作品を一緒に持参しますよ、と誘われたこと。などが陶芸を始めたきっかけということ になる。 しかしそれ以上に陶芸に魅力を感じた理由は、やはり自分で釣った魚は、自分の作った皿に載せて、 自分の作った器でビールとお酒を飲みたい・・・。それが陶芸を始めようと思った一番大きなきっかけで ある。 陶芸は、ろくろを回して成形をしてゆくことに魅力を感じがちだが、その他にも興味深いことは沢山あ る。性質の違う土を完全に練ること、菊練りという練り方で中の空気を抜いていくこと、これはかなりの 力が要るがそれ以上に技がいる。私はマスターできないので今は先生に頼っている。私は初心者なの で電動ロクロではなく手びねりという工法で作っているが、丹念にカンナとカキベラで削って形造りをし ていくには結構集中力が要る。 元来私は、注意力散漫で集中力がないのだが、この時ばかりは手先に神経が集中する。日常の 諸事をすべて忘れて頭の中が空っぽになってひたすら造形にのめりこむ時それが何よりのストレス 解消になっているようだ。 意外かもしれないが、一見きれいに成形されたものよりも、ゆがみや凹み があったほうが作品の味があるようで、陶芸の先生はかえってそのほうを褒めてくださる。それが アマチュアの良いところなのだろう。 最大の魅力は、釉薬を施して焼きあがった時の形と色彩の驚きである。自分の手が加えられて、 例えガラクタであれ命を吹き込まれた作品が生まれたという感激である。これは経験した人でない と分からない。いとおしい命の誕生である。 悪戦苦闘して何とか成形した後は作品を乾燥させ署名をして終了。ここからは素焼き〜施釉〜本焼 の工程になるが、これは先生に一任している。素焼きは800度、本焼きは1200度にもなるのだそうだ。 釉薬にもいろいろあって、透明釉とか天目とかから気に入った釉薬を自分で選ぶことになる。土も信楽、 織部などを選んで作品に仕立てている。織部の濃いグリーンなどは私の好みの色である。 一心に何かに打ち込むということは素晴らしい事と思う。仕事であれ趣味であれ奉仕活動であれ、熱 心に打ち込んでいる姿は、ときに神々しくさえ見える。本人にとっても、忘我の「時」を持つのは心身とも に健康を保つためのよい習慣だと思う。私にとって陶芸が最後の忘我の趣味になるかどうかは別にして。 |
作品紹介。
NO | 作品 | 種類 | NO | 作品 | 種類 |
1、 | 中鉢、小鉢 | 小鉢は信楽、中鉢は織部。 | 3、 | 小皿1,2 | 織部。 |
2、 | 急須 | 信楽。 | 4、 | ジョッキ、丼。 | 信楽。 |