4.6 共乾施設の設計,運営のためのソフトウェア

4.6.1 共乾施設の設計計画         目次(第4章)へ

  農業プラントの代表例として,共乾施設(カントリエレベータ,ライスセンタ)の設計,運営について述べる.

 カントリエレベータの導入および運営管理においては,地域農業の社会構成,農業経営状況,土地基盤整備状況,導入利用地域の共同化ならびに稲作の栽培品種,作付面積,作業体系および収穫期間の気象状況,また農業機械普及状況など,多くの要因が深く係わっている.これらの自然的・社会的要因は,カントリエレベータの導入規模設定,あるいは既存施設の稼働計画およびその経営管理に大きな問題をもたらしており,これらの要因に有効に対応することは重要な課題である.ここでは,カントリエレベータ(3000 tクラス:理論処理能力240t/d)についての導入および運営管理を支援するソフトウェアを紹介する.

 支援システムの作成では,まず荷受工程の作業流れの調査結果を基にいくつかの仮定条件を設定した上で,荷受工程の待ち行列理論モデルを基に,荷受工程のサービス処理過程の作業流れのシミュレータを作成し,つぎのような結果を得た.

 1) 支援システムの実証評価については,サービス終了時刻,および累積処理量のそれぞれ実測値と計算値の比較検討を行い,システムの有効性を確認した.

 2)荷受工程についての分析結果は次のとおりである.

  1. 1日の荷受重量が200t以下の場合には,待ち荷口数は5荷口以下であり,荷口の平均待ち時間は10分以下である.このような状態は比較的安定した状態であるといえる.
  2. 荷受ホッパの稼働率については,1日の荷受重量が少ないと荷受ホッパ間の稼働率のばらつきが大きい.しかし,荷受重量が増加するとともに稼働率が上昇し,200t以上に増加すると,個々のホッパの稼働率はほぼ一定の値(80%)に近づく傾向がある.このような状態になると,荷受工程においては,荷受用機械の稼働が飽和となり,滞貨量および待ち時間が増大するため,作業時間の延長等の状況が生じる.

 ●ソフトウェア カントリエレベータの運転シミュレータ:ce_800.exe,

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