4.5 農業機械化システムの最適化  目次(第4章)へ

4.5.1 営農計画の基本的考え方

 営農の目的をシステム工学的に表現すると,つぎの式を最大にすることであるといえる.

      PC          eq.4.71

 ここで,B:営農システムの効果,P:営農システムの出力,C:営農システムの入力,である.

 経済面にかぎると,Bは利益(円)で,Pは生産高(円),Cは経費(円)であり,最大の利益をあげるのが営農システムの目的と考えられる.

 実際には,単に経済的な評価だけでなく,健康や労働的な評価(たとえば,重労働や不衛生な仕事や危険な仕事はマイナス要因であり,楽で衛生的で安全な作業はプラス要因である)などを,それぞれ何らかの数値化によって評価すれば,これらの効果も当然,営農システムの目的の一部であろう.

 そのほか,政治的な効果,社会生活・家庭生活への効果など多くの分野にわたる評価が含まれるべきであろう.

 したがって,営農の目的は,全体としての効果を最大にすることであるといえる.

 つぎに,農作業計画や営農計画を考えるときに,その対象とするシステムの範囲の定義が重要である.

 国政レベルの立案者は,国全体としての農業の全効果(たとえば,農業分野の総利益)を最大にすることを考えるであろうが,個々の営農システムの計画者は,各農家や各営農集団の総利益を最大にするよう計画するはずである.したがって,専業農家・兼業農家・受委託農家・農業労働者等のそれぞれの営農形態の違いによって,その営農システムの評価の方法が異なってくるので,注意する必要がある.

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